未払の婚姻費用

別居している夫婦が離婚を決意し財産分与をしようとする場合は、未払いの「婚姻費用」が問題になることがあります。

夫婦は、互いに協力し合い、相手の生活を扶助する義務があります。

これを怠った場合、相手に対し生活費を請求することができます(民法752条、760条)。この生活費を婚姻費用(婚費)といいます。

夫が一方的に別居し、妻子に生活費を入れなかったような場合、妻は夫に対し別居から離婚が成立するまでの期間分の生活費について、婚姻費用として請求できます。

実際に婚姻費用としていくら請求できるかは裁判所が早見表を作っていますのでそちらを参照ください。

 

夫婦中が悪くなって別居しても、婚姻が続いている限り生活費は相手に渡さなければなりません。

しかし、別居後の費用まで負担することは支払う側(主に夫側)にとっては抵抗があり、なかなか現実に支払いがおこなわれることはありません。

過去には、この請求は現実の生活を維持させることが趣旨であるとして、請求できるのは将来の婚姻費用(生活費)のみであり、過去の未払い婚姻費用については調停の際に考慮しないという運用がなされていました。

しかしこれでは、夫側は婚姻費用の未払いを続ける方が得ということになってしまいます。

そこで、この義務を全うさせるために、財産分与の請求をする場合、この過去の未払い婚姻費用も併せて考慮するように運用が変わりました(東京地判平成12年9月26日)。

夫側は支払いを怠るほど遅延損害金が加算されることになります。

 

別居後に離婚の話し合いを行っている方は、財産分与の調停の際に、ぜひ未払い婚姻費用の請求も忘れずに行ってください。

過去に不払いがあったという事実は明確なものではないため、内容証明などで事前に請求を行っておくことも良いと思われます。

生活に困窮している場合は、調停前・審判前の保全処分として仮払いを求めることもできます。

 

逆に未払いの生活費がある夫側はすみやかに支払いを行い記録を残しておくことが妥当です。

しかし離婚に至った原因が妻側にある場合や、妻が就労能力があるにもかかわらず自活しようとしない場合は婚姻費用の減額が認められます。このような事由が思い当たるときは専門家にご相談下さい。

 

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