裁判離婚

裁判離婚とは

裁判離婚とは、夫婦間の協議、家庭裁判所の調停でも離婚の決着がつかない時に、家庭裁判所に離婚を求める訴訟を提起して、判決によって離婚を行うことをいいます。

夫婦の一方が離婚に合意していなくても、離婚を認める判決書を市町村役場に届け出ることによって離婚が成立します。

裁判離婚の実情

協議離婚・調停離婚とは違い裁判離婚では裁判を行うので、書面の作成や証拠の収集など、法律の知識や技術が必要になります。

また、裁判離婚は訴訟提起から判決まで平均15か月の期間を要します。

裁判離婚は時間や労力、精神的負担が重く、望み通りの判決が出るとは限らないことも覚悟しておかなければなりません。

裁判離婚を行う決意がある方は、当初から弁護士を選任することをお勧めします。

裁判離婚の手続

訴状を提出すると一か月後に第一回口頭弁論が行われます。裁判所にもよりますが、その後、約1か月に1回のペースで審理が開かれていきます。

離婚裁判は原則として一般の方が傍聴することができますが、実際のところ傍聴する人はほとんどいません。

プライバシーを保護する必要性が高いと考えられる当事者尋問・証人尋問などは、例外的に裁判が非公開にされる場合もあります。

離婚の法定原因 

離婚の主張が認められる場合というのは、法定されています(民法770条1項各号)。

以下、一つずつ見てみましょう。

●不貞行為(1号)

性交または性交類似行為を伴ったいわゆる浮気や不倫です。

一時的なものか継続しているか、愛情があるかどうかは関係ありませんが、一度きりの風俗での買春であれば、不貞行為とは認められ難いです。

●悪意の遺棄(2号)

働かない、生活費を渡さない、家を出ていってしまったなど、夫婦の同居・協力・扶助の義務(民法752条)を、あえて放棄している場合です。

●3年以上の生死不明

3年以上、配偶者からの連絡が途絶えて、生死もわからない場合です。

7年以上の場合は失踪宣告を申し立てる事ができ(民法30条1項)、宣告が出ると配偶者は死亡したものとみなされ離婚が成立します。

●回復の見込みがない強度の精神病

「強度の」というのは、夫婦の同居・協力・扶助義務が果たせないほどの精神病を言います。

本号にあたるかどうかは、医師の診断や離婚後に期待される治療や生活の状況などを総合考慮して裁判官が判断します。

精神病にかかってしまう事は本人に帰責性がないため、これを法律の文言通り離婚事由として良いのか争いがあり、裁判所もこの事由に基づく離婚を認めることはなかなかありません。

●その他の婚姻を継続しがたい重大な事由(5号)

1~4号以外で、婚姻生活が破綻し修復の見込みがない場合を指します。

大部分の裁判離婚はこの事由によっています。

おおまかに挙げますと、性格の不一致・配偶者の親族とのトラブル・多額の借金・過度の宗教活動・暴力・ギャンブルや浪費癖・性交渉の拒否・犯罪による長期懲役などです。

離婚が認められない場合

離婚裁判では、原則として破綻の原因を作った有責配偶者からの離婚の請求は認められません。

ただし、近年の裁判例は以下の要件を満たす時は、例外的にこれを認める傾向があります。

①    別居期間が同居期間と比べて相当に長くなっている。

②    子どもがいないか、子どもが十分に成熟している。

③    相手方が社会的に過酷な状態におかれていない。

破綻した夫婦をいつまでもその状態に置いておくことは妥当でないという考慮によるものです。

裁判離婚は当事者の負担が重く、ほとんどのケースで弁護士が選任されています。

調停が不成立となってしまい離婚訴訟を提起されている、または訴訟を提起しようと考えている方は、当事務所にご相談下さい。

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