Archive for the ‘離婚問題とうつ病’ Category
【コラム】離婚原因とうつ病3 障害年金の受給要件
1 障害年金の審査
障害年金は書面審査です。そのため、提出した書類の内容ですべてが決まってしまいます。面接官とは一度も会わずに審査されるため、どんなに症状が重くても、提出した書類でそれが伝わらなければ不支給になってしまうこともありえます。
2 申請に必要な書面
ここでは申請に必要な2つの書面についてご説明いたします。
(1)診断書
障害年金では、傷病によって、障害の程度に応じた等級を認定するための基準が定められており、等級判定ガイドラインでは診断書の記載事項を元に等級の目安が定められています。
そのため、診断書にどれだけ詳細に病状、日常生活の状況や就労の状況等を書いてもらえるかが重要になってきます。
① 診断書作成を依頼するにあたってのポイント
1 受診前に日常生活状況についてまとめておく
うつ病の等級判定においては日常生活能力の程度が重視されています。
そのため、実際に診断書を作成する医師に対して、自分の日常生活の状況や仕事の状況、何に困っているのか等を十分に伝える必要があります。
受診の際に、正確に伝えられるよう、事前に内容をまとめておくと良いでしょう。
2 病歴・就労状況等申立書
病歴・就労状況等申立書は、日常生活や就労の状況について、障害年金の請求者が自分で作成する書類になります。
こちらも簡単に済ませるのではなく、日常生活の状況、就労状況、困っていること等について、自分の言葉で詳細に書くようにしましょう。
具体的には、(ア)初診日から現在までの状況を3~5年に分けて記載する(イ)具体的に記載する、ということが必要になります。
(ア)初診日から現在までの状況を3~5年に分けて記載する。
病気のために初めて病院を受診した日から現在までの日常生活や就労の状況について、3~5年にわけて記載する必要があります。
(イ)具体的に記載する。
例えば、周囲の人との人間関係でトラブルになったこと、症状の頻度、日常生活で困っていること、自殺未遂や自傷行為の有無、家庭や職場での援助の内容、どのような支障が出ているか、入院歴やその際の様子を記載します。
3 受給のための要件
障害年金受給のための要件は、以下のとおりです。
(1)初診日を特定する
障害年金の受給にあたっては、初診日を特定することが重要です。初診日を特定しなければ保険料納付要件の確認ができません。
また、初診日に加入していた年金によって、年金の内容も異なります。さらには、障害の程度を判断する日である「障害認定日」(初診日から1年6か月後)も決まりません。
ここでいう初診日とは、今回請求しようとしている障害の原因となった傷病について、初めて医師の診療を受けた日をいいます。
うつ病の場合は、まずは体の不調と捉えて内科等を受診する場合もあります。その場合は、内科受診日が初診日となります。
(2)年金保険料を一定程度以上、納付していること。
① 年金に加入している
あくまでも年金制度の一つなので、年金に加入していないと受け取ることができません。
具体的には、今回請求しようとしている障害の原因となった傷病について、初めて医師の診療を受けた日(初診日)に国民年金、厚生年金、共済年金に加入していることが必要です。
② 年金保険料をしっかり支払っていること
障害年金を受給するには、初診日月の前々月までの被保険者期間のうち3分の1を超える保険料の未納がないことが要件となります。
※学生など年金保険料の支払いを免除されている場合の「保険料免除期間」については未納扱いにはなりません。
(3)等級の認定基準を満たすこと。
「障害認定日」(初診日から1年6か月後)の時点で、障害の程度に応じて1~3級に認定されると障害年金が支給されます。なお、うつ病の場合の認定要領は以下のとおりです。
【1級】
気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の介護が必要なもの
【2級】
気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの。
【3級】
気分(感情)障害よるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障 害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの。
4 まとめ
離婚問題からのうつ病という辛い状況から日常生活を立て直すためにも、金銭的な不安をなくして十分な休養に専念することは非常に大切なことです。
受給には要件もあり、一定の手続きも必要になりますので、申請等でわからないことがれば専門家に相談するようにしましょう。
茨城県という地域に根差した弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご連絡ください。経験豊富な弁護士が、離婚やその後に続く問題についても親身になってサポート致します。
【コラム】離婚問題とうつ病2 障害年金の内容等
1 障害年金について
障害年金とは公的年金の一つです。障害年金は、障害によって生活に支障が出てしまった場合に支払われる年金のことです。
障害年金は、障害の程度によって、1級(重度)から3級(軽度)の認定があり、 障害の状態が重いほど受給できる年金額も多くなります。
2 障害年金の受給資格
病気等で生活や仕事などが制限され、以下の条件を満たしている場合には受給対象になります。
(1)初診日に国民年金、厚生年金、共済年金に加入している。
初診時の年齢、加入している公的年金によってもらう障害年金の種類や金額が変わります。
(2)初診日までに一定以上保険料を払っている。
病気やけがになった前日の時点で3分の2以上の期間、公的年金を納めている必要があります。
(3)障害の程度が条件を満たしている。
病気やケガによって、国が定めた基準以上の重い障害が残ってしまった場合に障害年金の対象となります。
(4)20歳以上65歳未満である(初診日当時)
(5)20歳未満でも先天性の障害と20歳前に障害を発症した方
3 障害等級について
障害年金の対象となる病気は幅広いため、障害ごとに基準が設けられています。うつ病や総合失調症の精神的な病気ついての基準は以下のようになっています。
(1)障害等級 1級
精神疾患が原因で、常に他人の援助がなければ自分の身の回りのことがほとんどできない状態の方が該当する等級。
(2)障害等級 2級
精神疾患が原因で、自分の身の回りの多くのことが、他人の援助が必要な状態の方や家庭内での簡単なことはできるが、時々援助が必要な方も症状により該当する等級。
(3)障害等級 3級
精神疾患が原因で、日常生活では時に援助が必要な程度であり、短時間就労可能な状態でも認定される可能性はありますが、フルタイム就労可能な状態での認定は困難な等級。
4 年金の種類
障害年金には、障害基礎年金(受給対象者すべて)、障害厚生年金(会社員の場合は障害基礎年金に上乗せされる)、障害共済年金(公務員の場合は障害基礎年金に上乗せされる)という3つの種類があります。
どの障害年金を受け取れるかについては、障害状態になった人の職業によって異なり、等級によっても受け取れる金額が異なります。
(1)障害基礎年金
自営業者や専業主婦、学生などが加入する国民年金の期間中に初診日がある病気やケガによって障害の状態になった場合に受給できる年金です。
年金額は、平成30年4月分から、
【1級】 779,300円×1.25+子の加算
【2級】 779,300円+子の加算
子の加算とは、第1子・第2子は各224,300円、第3子以降は各74,800円となります。
(2)障害厚生年金、障害共済年金
一般の会社員などが加入する厚生年金の期間中に初診日がある病気やケガによって障害の状態になった場合に受給できる年金です。
3級に該当する場合でも対象となります。障害厚生年金、障害共済年金の場合、加入歴やもらっていた給与額などによって変化します。
また、1級または2級に該当する場合は、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金、障害共済年金が支給されます。
年金額は、平成30年4月から、
【1級】
(報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕※
【2級】
(報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕※
【3級】
(報酬比例の年金額) 最低保障額 584,500円
※その方に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算されます。
5 まとめ
離婚による精神的なダメージにより日常生活もままならなくなった場合、この過酷な状況から抜けだすためには、金銭的な不安を解消していくこともとても重要になります。
受給には要件もありますし、専門的な知識も必要になりますので、一人で手続きをするには不安がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その場合でもご安心ください。茨城県全域に対応しておりますので、身近な場所でご依頼いただいた方に寄り添ったサポートをすることが可能です。不安なことがあれば、ぜひ一度ご連絡ください。
【コラム】離婚問題とうつ病1 離婚によるうつ病と障害年金
1 離婚問題とうつ病
離婚問題に直面すると、配偶者の不貞、DVやモラハラ、子どもの奪い合いなど、精神的に大きなストレスがかかり、うつ病になってしますことがあります。
うつ病になると、仕事もできずに自宅療養となり、収入も途絶え、日常生活もままならなくなってしまいます。そのような場合には、一定の要件を満たすと障害年金を受給できることがあります。
2 うつ病とは
うつ病とは、心や身体のストレスが重なるといった複数の原因から、脳に機能障害が起きることで生じる状態のことです。うつ病になると、自己を肯定することが難しくなり、ものの見方もネガティブになるため、ちょっとしたことでも落ち込んで、さらに状態を悪化させるというサイクルに陥ります。
そうなると、眠れなくなったり、食欲がなくなったり、何をしても楽しいと思えなくなったり、更に症状が進むと生きていることすら辛くなったりします。
3 うつ病になる原因
強いストレスを感じるとうつ病になることがありますが、他の要因としてうつ病になる原因は以下のようなものがあります。
① 脳の機能障害
脳の中では神経細胞から神経細胞へさまざまな情報が伝達されます。その伝達を担うのが「神経伝達物質」というものです。
なかでも「セロトニン」や「ノルアドレナリン」といわれるものは、人の感情に関する情報を伝達する物質ですが、うつ病になるとこれらの「セロトニン」や「ノルアドレナリン」が減少するといわれています。
② うつ病を発症しやすい性質(個人の性格)
うつ病になるかどうかは個人の性格的な面も影響します。
- 相手の気持ちを敏感に察する
- 周囲への気づかいや配慮をする
- きまじめ・几帳面
- 仕事熱心
- 責任感が強い
4 うつ病の症状
以下のような症状が2週間以上続くとうつ病の可能性が高いといえます。
① 精神的な症状
- 気分の落ち込み
- 興味や意欲の低下、喜びを感じなくなる
- 集中力、思考力の低下
- 口数が減る
- 自分を否定的に考えるようになる
- 死んだ方がよいと考えるようになる
② 身体的な症状
- 倦怠感や疲労感
- 眠れなくなる
- 食べれなくなる、食べ過ぎる
- 頭や体の痛み
- 生理的機能の低下
5 うつ病の治療
うつ病の治療には、大きくわけて「休養」、「薬物療法」、「精神療法・カウンセリング゙」という方法があります。
(1)休養
うつ病は脳のエネルギー欠乏によるものですので、脳をしっかり休ませるということが治療の基本になります。
今までフル回転させていた脳を休ませ、新たに自分のペースを作っていくための時間を十分にとることが大切になります。
自宅でゆっくりできればよいのですが、それでも仕事や家事に追われるということであれば、一時的に入院をすることを考えた方がよい場合もあります。
(2)薬物療法
うつの状態によって、以下のような薬物を使って治療をすることがあります。効果も期待できますが、副作用があることもあります。
① 抗うつ薬
薬物療法の中心となるものです。脳の中のセロトニンやノルアドレナリンという物質の働きを高める作用があります。
② 抗不安薬
不安を静める働きがあります。症状の中で、不安や焦燥が強い場合に抗うつ薬と一緒に飲むことがあります。
③ 睡眠薬
睡眠障害の症状がある時に処方されます。
(3)精神療法・カウンセリング
医師との対話を通じて、客観的にうつ病になった原因を探り、今後はより柔軟な考え方や対応ができるようにしていく治療方法になります。
6 まとめ
前述のように、一旦うつ病になってしまうと、症状にもよりますが、回復するまでには長い時間がかかることが多く、収入が途絶えてしまうこともあります。
そのような場合に、一定の要件を満たすと障害年金を受給できる可能性があります。離婚という精神的なダメージから、自分自身の生活自体が立ち行かなくなってしまうのはとてもつらいことです。
話をするだけでも心が軽くなることもありますし、不安があれば早めに専門家に相談してみましょう。
茨城県全域に渡って幅広く対応している当事務所では、経験豊富な弁護士も所属しておりますし、その他の分野の専門家とも深いつながりがあります。不安を一人で抱えこまず、一度ご相談ください。