Archive for the ‘様々な離婚について’ Category

【コラム】様々な離婚について4 離婚後の手続き

2018-07-10

1 離婚後の手続き

離婚そのものの手続きが終わってもそれで終わりではありません。新しい生活を送るためには、離婚後の各種手続きが必要になります。以下、順番に見ていきましょう。

 

2 「住民票移動届」「世帯主変更届」を提出

婚姻中に住んでいた場所から引っ越しをする場合には、役所に「住民票異動届」を提出します。届出には、印鑑が必要になります。

離婚により、自分が世帯主になる場合は、役所に行って「世帯主変更届」を提出します。「世帯主変更届」の手続きには、①免許証やパスポートなどの本人確認ができるもの②国民健康保険に加入している場合は、国民健康保険証③印鑑が必要です。

また、住所や苗字が変わると「印鑑登録の変更」が必要になりますので、こちらも併せて手続きをする必要があります。

 

3 「国民健康保険」の手続き

(1)国民健康保険に加入する場合

離婚したことにより元配偶者の健康保険から外れる場合は、離婚から14日以内に役所に行って、国民健康保険の加入手続きをする必要があります。

「国民健康保険」の加入手続きには、①免許証やパスポートなどの本人確認ができるもの②国民健康保険被保険者取得届③健康保険資格喪失証明書④印鑑が必要です。

 

(2)婚姻中に国民健康保険に加入していた場合

婚姻中に国民健康保険に入っていた場合は、「世帯変更」の手続きを行ったうえで、自分が世帯主となり、子どもがいる場合は被保険者として入れます。

 

(3)会社の健康保険に入る場合

離婚後に自分の勤務先の会社の健康保険に切り替える場合には、会社に対して加入手続きの依頼をするとともに、国民健康保険の脱会手続きをします。

「国民健康保険の脱会」に必要なものは、①国民健康保険被保険者資格喪失届②国民健康保険証③新しい健康保険証または資格取得証明書④印鑑になります。なお、脱会手続きは資格喪失の日から14日以内に行う必要があります。

 

4 「児童扶養手当」「児童手当」の手続き

18歳未満の子どもがいる場合は、離婚後に役所「児童扶養手当」の手続きをすると、収入に応じて所定金額の支援を受けることができます。「児童扶養手当」「児童手当」の申請手続きには、①子どもの入籍届出後の戸籍謄本②住民票③申請者名義の預金通帳④所得証明書⑤健康保険証が必要です。

また、学校に通う子どもがいる場合、「就学援助」の申請をして、審査が通れば就学にかかる費用の一部を支給してくれる制度もあります。

 

5 「保育園(保育所)」の申し込み

子どもを保育園に預けて働く場合は、役所で保育園(保育所)への入園の申し込みをします。地域によっては待機児童も出ており、空きがないこともありますので早めに手続きをとりましょう。

申し込みに必要な書類は、住んでいる地域にとっても若干の違いはありますが、①入所申込書②家庭内保育ができないことが確認できる書類③収入が確認できる書類等が必要になります。

 

6  「国民年金」または「社会保険」の手続きをする

(1)会社員の場合

会社員で、「健康保険」「厚生年金保険」「労災保険」「雇用保険」などの社会保険に加入している場合は、会社の担当部署に依頼をすると苗字の変更や住所変更に伴う手続きをまとめてしてもらえます。

 

(2)会社員ではない場合

「国民年金」の変更手続きを行う必要があります。役所に行き、扶養家族でなくなったことや住所・苗字の変更を伝えて手続きします。

「国民年金」の変更手続きには、①年金手帳②離婚届受理証明書(または離婚後の戸籍謄本)③免許証やパスポートなど本人確認のできるものが必要です。

 

7 各種名義変更・住所変更

離婚に伴い、「土地」「家」「車」の財産分与をした場合は、早急に名義変更の手続きを行いましょう。また、「運転免許証」「預金通帳・銀行カード」「クレジットカード」「パスポート」など、住所や苗字の変更をする必要があるものは、速やかに変更手続きを行いましょう。

 

8 「年金分割」の手続き

離婚の際、年金分割の取り決めをした場合は、元配偶者とともに年金事務所に出向き、年金分割の手続きをします。

年金分割請求の期限は2年以内となっており、手続きが遅れると時効になってしまうので、早めに手続きをしましょう。

「年金分割」の手続きに必要なものは、①年金分割の合意書(または公正証書)②双方の年金手帳③双方の戸籍謄本④免許証やパスポートなど本人確認のできるものです。

 

9 まとめ

離婚はそれだけでも相当なエネルギーが必要ですが、離婚後の各種手続きも重要であり、忘れてしまったら大変なことになってしまうものもあります。後々不利にならないように漏れなく手続きをしなくてはなりません。

どんな手続きが必要なのか迷ったら、早めに弁護士にご相談ください。当事務所には様々な手続きにも精通した弁護士が多数在籍しております。親身になってサポート致しますので、ぜひ一度ご連絡ください。

【コラム】様々な離婚について3 偽装離婚の危険性

2018-07-09

1 偽装結婚とは

偽装結婚とは、法律上の定義はありませんが、何かしらの目的をもって実態のない結婚をすることです。偽装結婚の目的は様々考えられますが、「日本人の配偶者等」という在留資格を得るために行われることが多いです。

「日本人の配偶者等」という在留資格は、日本人と結婚すれば取得することができ、この在留資格を手に入れると働き方にも制限がなくなります。そのため、自由に働き、母国に高額の仕送りをすることが可能になるのです。

 

2 偽装結婚が問題となる法律

偽装結婚自体は法律に定義がありませんが、以下の法律に抵触し、罰せられることになります。

(1)虚偽の婚姻届けを提出すると、公正証書原本等不実記載罪(刑法)にあたり、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金。

(2)日本に在留する資格を持たない外国人を隠匿すると、入管法違反となり、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金。

(3)営利目的で(2)の罪を犯した者は、5年以下の懲役及び500万円以下の罰金。

 

関連条文

【日本国憲法 第24条】

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

 

【民法 第752条】

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

 

【刑法 第157条】

公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

 

【出入国管理及び難民認定法(入管法) 第74条の8】

退去強制を免れさせる目的で、第24条第1号又は第2号に該当する外国人を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。

第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、5年以下の懲役及び500万円以下の罰金に処する。

 

3 時効について

2-(1)の公正証書原本等不実記載罪に関しては、犯罪が終わってから3年(虚偽の届出から3年)で、刑事訴訟法上の公訴時効が適用されます。

また、2-(2)及び2-(3)の入管法違反については、違法な在留が取り除かれてから3年で公訴時効が適用されます。なお、「違法な在留が取り除かれてから」とは、偽装結婚により取得した在留資格を放棄し、新たに適法に在留資格を取得時点もしくは帰国した時点からという意味になります。

 

4 偽装結婚が発見されるきっかけ

偽装結婚などの偽装滞在者は表面上は正規の滞在者となっているため、わかりにくいのですが、下記のようなきっかけで偽装結婚が発見されることが多いようです。

(1)近隣住民や知人による通報
(2)在留期間更新、永住権取得、帰化申請の際に届け出る情報
(3)法律違反等に対する警察官による調査

 

5 まとめ

明らかに偽装結婚と知っていて結婚した場合も、偽装結婚かもしれないくらいの気持ちで結婚した場合も、前述のような処罰を受ける可能性があります。

また、偽装結婚ではないのに、知り合ってすぐの結婚や、結婚しても同居していない等の事情により、偽装結婚を疑われることもあります。

いずれの場合であっても、一人で対応していくことは難しいと思われますので、早急に弁護士にご相談ください。

当事務所には、様々な分野で経験を積んだ弁護士が多数在籍しておりますので、安心してお任せください。偽装結婚に関係するお悩みがある場合は、ぜひ一度当事務所にご連絡ください。

【コラム】様々な離婚について2 婚約破棄と慰謝料

2018-07-06

1 婚約とは

婚約とは、将来婚姻を締結しようとする当事者間の契約と考えられており、当事者の合意のみで成立します。つまり、結納や指輪の授受がなくても、当事者同士で合意していれば婚約は成立します。

但し、実際に裁判になった場合には、損約が成立しているかどうかについて、①二人の合意が第三者(親、兄弟、友人、勤務先など)にも明らかにされたかどうか②二人の同意に基づいて新たな生活関係が形成されたかどうか③継続的な性関係があったかどうか④二人が合意したときに、その合意の意味を判断できる成年者であったかどうか⑤父母に言われて簡単に交際を絶ったかどうかなどにより判断されることになります。

 

2 婚約破棄には正当な理由が必要

婚約は、正当な理由がなければ一方的に破棄することはできません。但し、以下のような場合には破棄が認められることがあります。

  1. 婚約相手が浮気をした。
  2. 婚約相手から暴力行為や精神的にダメージを受けるような暴言を受けた。
  3. 婚約相手が精神病患者や身体障害者となってしまった。
  4. 婚約相手が性的不能者となってしまった。
  5. 婚約相手が職を失い、収入が大きく減少した。
  6. 婚約相手の悪質な前科や借金、異性との深い関係が清算されていなかった、などの事実を婚約後に知った。

婚約をしたものの親や兄弟の反対を受けたり、一緒に暮らすことを考えたら性格が合わないと感じたりすることもあるかもしれませんが、それらの理由だけでは正当な理由とは言えず、婚約破棄は認められません。

 

3 婚約破棄の慰謝料・損害賠償の相場

正当な理由がないにも関わらず、相手から一方的に婚約を破棄された場合には、慰謝料(精神的損害)や損害賠償(財産的損害)の請求ができることがあります。

慰謝料の相場としては、50万から200万円程度になりますが、実際には、婚約に至るまでの交際期間、婚約後の期間、婚約破棄の原因、妊娠等の有無、社会的立場や経済的事情等、様々な事情を考慮して決定されることになります。

 

4 慰謝料請求の手順

(1)当事者同士での話し合い

直接会ってでも電話でもメールでもかまいませんので話し合いを行い、当事者同士での合意ができれば、合意に基づいた金額を請求します。

 

(2)調停・裁判

元婚約者が話し合いに応じない、当事者同士での合意ができない場合は、慰謝料請求調停を申し立てます。

調停では、調停員が当事者の婚約破棄に至った事情や原因を聞いたうえで、解決案の提示や助言を行います。

調停でも合意ができなければ、裁判を申立てをします。裁判で有利な判決を得るには、一方的に婚約を破棄されたメールや婚約指輪等、客観的な証拠を準備する必要があります。

 

5 まとめ

婚約破棄をされた場合、慰謝料や損害賠償の請求について検討することもあると思いますが、元婚約者がが話し合いに応じないこともありますし、応じたとしても双方の主張が食い違い、なかなか話がまとまらないこともあります。そのような場合は、一人で悩まずに早急に弁護士に相談するようにしましょう。

茨城県という地域に密着したサービスを展開している当事務所には、経験豊富な弁護士が多数在籍しております。お困りのことがあればぜひ一度当事務所にご相談ください。

【コラム】様々な離婚について1 外国人配偶者との離婚

2018-07-05

1 外国人配偶者との離婚

国際化の進展に伴い、日本人が外国人と結婚するケースも多くなりましたが、一方で一度は結婚したものの文化の違いなどから離婚するケースも多くなっています。

日本人が外国人の配偶者と離婚したい場合、日本人同士の離婚の場合とは異なり、①どこの法律に従って離婚の手続きを行うのか(準拠法について)②日本の裁判所で離婚についての調停や裁判ができるのか(国際裁判管轄について)という問題があります。

 

2 準拠法について

外国人配偶者との離婚にあたって適用される法律(準拠法)については、「法の適用に関する通則法」に定められています。「法の適用に関する通則法」第27条および第25条によると、以下のとおりです。

(1)夫婦の一方が日本に常居所地を有する日本人であるときは『日本法』
(2)夫婦の本国法が同一であるときは『本国法』
(3)夫婦の共通本国法がないときは『夫婦の共通常居地法』
(4)共通常居地法がないときは『夫婦に最も密接な関連のある地の法律』

なお、「常居所」とは、相当長期間、居住している場所を意味します。

以上より、日本人配偶者が日本に常居所地を有していれば、外国人配偶者がどの国の人でも日本の法律が適用されます。

 

3 日本の裁判所で離婚についての調停や裁判ができるのか

日本人同士の離婚の場合、協議離婚の合意ができなければ日本の裁判所に調停を申し立てることになります。しかし、外国人配偶者が相手の場合は、必ずしも日本の裁判所に申し立てができるわけではありません。

では、どこの裁判所に申し立てをすればよいのかについて、法令上は明確ではありませんが、最高裁判所の判例により一応の基準が確立されています。

最高裁判所昭和39年3月25日判決によると、日本人配偶者が、外国人配偶者を相手方として、日本の裁判所に離婚についての調停や訴訟を提起することができるのは、以下のいずれかの場合になります。

(1)相手方の住所が日本国内にある場合
(2)相手方の住所が日本国内にない場合であっても、

① 相手方から「遺棄」された場合
ここでの「遺棄」とは、婚姻関係にある夫婦間の義務である「同居の義務」「協力義務」「扶助の義務」に対する違反をいいます。
② 相手方が行方不明の場合
③ その他①②に準じる場合

過去の判例では、生活実態や相手方の有責性等の事情を考慮して実質的に判断し、日本に裁判籍を認めているものが多々あります。

 

4 まとめ

離婚は、これまでの婚姻関係を解消するもので、財産分与、慰謝料、養育や面会交流等決めなくてはならないことがたくさんあり、日本人同士であっても精神的な負担は大きいものです。相手が外国人の場合はなおさら不安に感じることも多いのではないでしょうか。

当事務所では、経験豊富な弁護士が丁寧にお話をうかがい、ご不安を解消できるようにアドバイス致します。また、茨城県全域に対応している当事務所では多くの相談事例からノウハウを蓄積しており、安心の解決策をご提案することが可能です。

外国人配偶者との離婚でお悩みの際には、ぜひ一度当事務所にご相談ください。

keyboard_arrow_up

0298756812 LINEで予約 問い合わせ