Archive for the ‘再婚までの準備’ Category

【離婚問題コラム】再婚までの準備16 便法の離婚と再婚

2019-06-13

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1.便法としての離婚

「借金の取り立てが厳しいので、一旦離婚して妻を実家に帰し、落ち着いたら再婚したいと思っているが、そのような離婚は認められるか」このような場合でも、夫婦の双方に離婚意思があれば、協議離婚は有効に成立します。以下、解説していきます。

 

2.離婚の意思

離婚の意思とは、婚姻関係を解消する意思のことを言い、夫婦両当事者間に当該意思がなければ、離婚は当然に無効とされます。ただし、ここでいう離婚意思とは、離婚の届け出をする意思で足り、便法としての離婚も有効とされています(判例)。つまり、莫大な借金を背負った夫が強制執行を免れるために、本心から離婚したいと思っているわけではないのに、離婚届を提出し、ほとぼりが冷めたら妻と再婚しようと考えている場合であっても、離婚は有効ということになります。

学説では、離婚意思は「夫婦生活を廃棄しようとする意思が必要」とする実質意思説もありますが、判例では、届出意思説がとられています。

なお、上記の例で、強制執行を免れるために財産分与に仮託して財産処分をしているような場合には、当該財産分与が詐害行為に該当するとして債権者取消権行使の対象になる可能性があることに注意が必要です。

 

2.氏を変更するための離婚と再婚

では、夫婦の氏を変更する目的で、協議離婚の届出をし、再婚と同時に氏を変更することは認められるのでしょうか。たとえば、最初に妻の氏を称していたものを、一旦離婚し再婚することによって夫の氏を称することにするような場合です。

判例の立場によると、この場合も離婚後再婚できるように思われますが、氏を変更するための離婚と再婚は認められないと考えられます。なぜなら、本来、婚姻中に氏を変更することはできませんが、このような離婚・再婚を認めると、実質的に婚姻中の氏の変更を認めることになってしまうからです。

もっとも、離婚後に時間をおいてから再婚し、氏を変更した場合には、有効とせざるを得ませんので、便法を全て認めないということは難しいと言えます。

 

3.まとめ

離婚には様々な事情があり、便法としての離婚を考えざるを得ない事情がある場合もあるかもしれません。茨城県全域にリーガルサービスを提供している当事務所では、さまざまな離婚問題に関するご相談を承っております。当事務所では、様々な分野で経験を積んだ弁護士が多数在籍しております。これまでの経験をいかし、ご相談者様一人ひとりに寄り添った対応を行うことができます。弁護士へのご相談をお考えの方は、ぜひ当事務所にお任せください。

 

【離婚問題コラム】再婚までの準備15 協議離婚の無効・取消しと再婚

2019-06-12

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1.虚偽の離婚届

「夫が離婚届を偽造して役所に届け出てしまった」このような場合、離婚は認められるのでしょうか。結論からいうと認められないのですが、以下解説していきます。

 

2.協議離婚の無効

(1)協議離婚の無効

協議離婚が有効であるためには、夫婦ともに、離婚届を提出する時点において離婚する意思が存在する必要があります。もし、どちらか一方の離婚意思が欠けていた場合には、協議離婚は無効になります。その場合に、再婚をすると重婚状態になり、関係者からの請求で再婚が取消されることになります(民法第744条・第732条)。

 

(2)無効の協議離婚の追認

前述のとおり、夫婦の一方が勝手に離婚届を提出してもその協議離婚は無効です。ただし、後から気づいた配偶者が、無効の協議離婚を追認することができます(最判昭和42年12月8日)。

 

(3)不受理申出制度

当事者の一方の意思に基づかない協議離婚は無効なのですが、形式が整っていれば受理されてしまいます。それを防ぐため、不受理申出制度という制度があります。

不受理申出制度とは、養子縁組・協議離縁・婚姻・協議離婚・認知の届出について、「第三者によるなりすまし」や、「一度は届出の意思を持ち、届書に署名・押印したけれど、役所へ提出するまでにその意思を翻したとき」など、本人の意思に基づかない届出が受理されることを防止する制度です。

原則として、不受理申出をする本人自らが、本籍のある役所へ出頭して、申出書等の申請書を提出する必要があります。不受理申出の有効期限は定められておらず、不受理申出の必要がなくなったときには、申出をした本人自らが出頭して「不受理申出の取下げ書」を提出します。

 

3.協議離婚の取消し

配偶者に騙されて協議離婚したり、配偶者から脅されて身体の危険を感じたためにやむを得ずに協議離婚届をしてしまったときには、その協議離婚を取り消すことも可能です。なお、協議離婚の取り消しは、騙されたことを知った後、または強迫を免れた後、3か月以内に家庭裁判所に対して手続きをしなければなりません。

相手の住所地または双方で合意した土地の家庭裁判所に対して、協議離婚取り消しの調停を申し立てします。調停で解決を図ることができなかった場合は、双方の住所地を管轄する家庭裁判所に対して訴訟を提起して解決することになります。

 

4.まとめ

いったん成立した協議離婚を取り消す等をするには、家庭裁判所での手続きが必要になります。もちろん、家庭裁判所に手続きを確認しながら自分で手続きをすることは可能ですが、法的な手続きは煩雑ですし、専門知識が必要になることもあります。協議離婚の無効や取消しについてお困りのことがあれば、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、法的なアドバイスも可能ですし、裁判所での手続きもご相談者様に代わって行うことができます。茨城県で協議離婚の無効や取消しに強い弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご相談ください。

 

【離婚問題コラム】再婚までの準備14 外国人との離婚と再婚

2019-06-11

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1.国際離婚

国際離婚とは、双方もしくはどちらかが、日本以外の国籍を有している夫婦が離婚することをいいます。国際離婚の際には、外国の法律や制度などが関係してくるため、複雑な法的問題が生じる場合も多く、手続も難解です。さらに、文化や考え方の違いから様々な対立が生じることがあります。

日本での国際離婚の特徴は、夫が日本人で、妻が中国やフィリピンのアジア圏の出身であるという場合が多く、妻側が弱い立場に立たされることが多いです。また、夫が欧米人で、妻が日本人である場合は、子どもの親権等について問題が生じることが多いようです。

 

2.再婚を前提とした離婚

(1)国際離婚の準拠法

準拠法は以下のようになります(法の適用に関する通則法25条、27条)。

① 夫婦の一方が日本に常居所地を有する日本人であるとき→日本法

② 夫婦の本国法が同一であるとき→本国法

③  ①にあたらないが、夫婦が共通常居所地であるとき→夫婦の共通常居所地法

④ 夫婦が共通常居所地でないとき→夫婦に最も密接な関係のある地の法律

 

(2)国際離婚の手続き

離婚の方式については、離婚の準拠法か、行為地法が適用されるため、日本で日本人と外国人が離婚する場合は、日本法に従い、協議離婚をすることができます。ただし、協議離婚を認めている国は少ないため、日本で離婚が成立していても、外国では離婚が成立しないという不都合が生じる可能性があります。そのため、できるだけ裁判所を介した離婚手続(調停離婚、審判離婚、裁判離婚)をとっておくことが望ましいといえます。

 

(3)裁判管轄(日本で離婚手続きができるのか)

国際離婚の場合、常に日本の家庭裁判所へ調停・裁判を申し立てるということができるわけではありません。では、どの国の裁判所で行うべきかという問題については、法律上明確ではありません。もっとも、最高裁の判例等からは、一応の基準が確立されています。

 

① 相手の住所が日本にある場合

離婚しようとしているのが日本人でも外国人でも、相手の住所が日本にあれば、原則として、日本の家庭裁判所で手続を進めることができます。

 

② 相手が外国にいる場合

相手が外国にいる場合は、原則として、相手の国に国際裁判管轄権が認められます。ただし、相手から遺棄された場合や相手が行方不明の場合等には、例外的に、日本の家庭裁判所に管轄が認められます。

 

3.国際再婚について

(1)国際再婚成立の準拠法

国際再婚成立の準拠法は、各当事者の本国法になります(法の適用に関する通則法24条)。国際再婚を考えている場合には、前婚の取り扱いや、再婚禁止期間がどうなっているかについても調べてみましょう。

 

(2)方式の準拠法

国際再婚の方式の準拠法は、婚姻挙行地の法になります(法の適用に関する通則法24条2項)。日本で結婚する場合は、市区町村役場への婚姻の届出をすれば婚姻が成立します。

 

4.まとめ

国際化が進んでいる現代では、国際結婚や国際離婚も増加傾向にあります。外国人との結婚や離婚は、日本人同士の結婚やよりも複雑ですし、文化や習慣の違いからトラブルになることも少なくありません。

したがって、問題が大ごとになる前に、専門家である弁護士に相談するようにしましょう。茨城県で国際離婚・再婚に強い弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。外国法にも精通した弁護士が、丁寧にサポート致します。

 

【離婚問題コラム】再婚までの準備13 嫡出推定制度

2019-06-10

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1.嫡出推定制度

(1)嫡出子とは

嫡出子とは、法律上の婚姻関係にある男女の子として生まれた子です。より具体的には、①母親と父親が婚姻関係にあること②父親と子との間に親子関係があることの両方の要件を満たす子になります。

 

(2)嫡出推定とは

民法第772条第1項には、「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」と書かれています。また、同条第2項によると、「婚姻成立の日から200日以後に出生した子」あるいは「婚姻解消の日から300日以内に出生した子」は、その婚姻中に懐胎した子と推定されることになります。つまり、夫の子と推定されることになります。

 

(3)嫡出否認の訴え

嫡出推定を受ける子であっても、夫が「自分の子どもであることを否定したい」場合には、家庭裁判所に対して嫡出否認の訴えを提起することができます。この訴えが認められれば、子と父との間には親子関係がないことになります。なお、嫡出否認の訴えは、夫が子どもの出生を知った時から1年以内に提訴しなくてはなりません。

 

2.二重の推定

民法では、「婚姻成立の日から200日後」、「婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内」という2つの推定が重なることを、再婚禁止期間を定めることで防いでいます。もし、再婚禁止期間を守らず再婚し、戸籍係も気づかず受理してしまった場合には、前婚の解消後300日以内で、かつ後婚の成立後200日以後に出産する可能性が出てきます。つまりこの場合には、前夫の子であるという推定と後夫の子であるという推定が二重に働いてしまうのです。

このような場合には、父を定める訴えによっていずれが父親であるかを定めることになります。

 

3.推定の及ばない子

形式的には、772条に該当してもその推定が及ばない場合があります。たとえば、子どもは、確かに婚姻後200日以内に生まれたが、懐胎可能な期間は、夫は不在(長期間の別居、海外赴任、服役中など)でそもそも妊娠が不可能であった場合などです。このような場合で、父と子の関係を争う場合には、親子関係不存在確認訴訟によって争うことが可能です。なお、親子関係不存在確認訴訟の場合は、嫡出否認の訴えと異なり、提訴の期間は限定されていません。

 

4.まとめ

子どもが誰の子かというのは非常にデリケートな問題ですが、その子のためにもきちんとした手続きをとって正しい戸籍に入れてあげられるようにする必要があります。離婚を経ての再婚は様々な事情があると思いますが、後々のトラブルを避けるためにも、親子関係に関する法律知識を整理しておくことはとても大切です。親子関係についてお悩みがある場合は、早めに弁護士に相談しましょう。

茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。ご相談者様にとって最善の解決ができるよう、経験豊富な弁護士が丁寧にアドバイスをさせていただきます。

 

【離婚問題コラム】再婚までの準備12 再婚禁止期間

2019-06-08

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1.再婚禁止期間とは

民法第733条第1項によると「女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。」として、女性にだけ再婚を禁止する期間を設けています。

以前は、再婚禁止期間は6ヶ月間だったのですが、最高裁判所が、平成27年12月16日に6か月の再婚禁止期間のうち100日を超える部分は憲法に違反しているという判決を出したため、平成28年6月1日に上記内容に民法が改正されました。

 

2.再婚が禁止される理由

民法上では、子どもの父親を法的に推定するために、「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子」「結婚後200日を過ぎて生まれた子は現夫の子」と定めています。そのため、たとえば離婚してすぐに再婚してしまうと、200日後に子が生まれた場合にこの推定が重なってしまい、生まれた子どもの父親が誰かわからなくなってしまうことになります。そのような事態を防ぐために、100日の再婚禁止期間がおかれているのです。

 

3.再婚禁止期間の例外

再婚禁止期間には以下のような例外もあり、すぐの再婚が可能です。

 

(1)民法第733条第2項に該当する場合

① 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合

これは、前婚の解消または取消しの時に懐胎していなければ、その後に懐胎した子が,前夫の子とは考えられないからです。なお、この場合は医師の証明書が必要になります。

 

② 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合

女性が出産したのであれば、その次に生まれる子は後婚での子ということになるからです。

 

(2)夫が3年以上行方不明で裁判離婚が成立した場合

前夫が3年以上行方不明であれば、懐胎することは考えらないためです。

 

(3)夫の失踪宣告により婚姻が解消した後に再婚する場合

失踪宣告の場合も何等かの事情で行方不明であることになるため、前夫の子を懐胎するとは考えられません。

 

(4)前夫と再婚をした場合

離婚後すぐに前夫と再婚するような場合も例外としてすぐの再婚が認められます。

 

(5)妊娠の可能性がない高齢者の再婚の場合

こちらも女性に受胎能力が無い場合に例外として認められます。

 

4.まとめ

前婚で離婚や死別を経験しても、その後また新たな出会いがあり、再婚を考えるということはよくあることだと思います。女性の再婚禁止期間も短縮され、より自由に再婚することが可能になりました。

しかし、一方では離婚直後の再婚に対しては、周囲から厳しい目で見られることもあるでしょう。離婚後すぐの再婚については、少し冷静になり、慎重にことを進めることが大切です。

離婚をしてからの再婚準備等でお悩みのことがあれば、早めに弁護士に相談しましょう。茨城県で離婚、再婚についてのサポートをご希望であれば、当事務所にご相談ください。様々な分野で経験を積んできた弁護士が丁寧にサポート致します。

 

【離婚問題コラム】再婚までの準備11 配偶者が行方不明の場合

2019-06-07

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1.配偶者が行方不明の場合

配偶者が行方不明になってしまった場合、配偶者の財産はどうなるのでしょうか。また、再婚したりすることはできるのでしょうか。

 

2.失踪宣告の種類

人が死亡すると、残された子や配偶者は、その財産を相続することができますし、また人が死亡すると婚姻関係も終了するのので、残された配偶者は再婚することもできます。ところが、死亡ではなく、行方不明になったりして生死不明の状態が長期間続く場合には、配偶者等の利害関係人の法律関係が不安定になってしまいます。そこで、民法では、一定要件のもと、利害関係人との間では、その人を死亡したとして法律関係を取り扱う、失踪宣告という制度があります。

 

(1)普通失踪

不在者の生死が7年以上明らかでないとき、利害関係人(親族及び死亡によって効力に影響がある契約の相手方)の申立てに基づいて家庭裁判所が失踪宣告をします。そうすると、7年間の期間満了時に、利害関係人との間では死亡したものとみなされます。具体的には、相続が発生し、生存している配偶者は再婚もできるようになります。

 

(2)危難失踪

戦争、船の沈没など、死亡の原因となる事故に遭遇し、その状況がやんだ後1年間生死不明である場合に、利害関係人の申立てに基づいて、家庭裁判所が失踪宣告をします。そうすると、事故(危難)が去った時に死亡したものとみなされます。具体的な効果は、危難失踪の場合も普通失踪と同様です。

 

3.失踪宣告の手続き

利害関係人(不在者の配偶者、相続人にあたる者、財産管理人、受遺者など失踪宣告を求めるについての法律上の利害関係を有する者)が、不在者の従来の住所地又は居所地の家庭裁判所に失踪宣告の申立てをして行います。

必要書類は、申立書と関係書類(不在者の戸籍謄本、不在を証明する書類、利害関係人であることの証明等)になり、費用は収入印紙代、切手代、官報公告料がかかります。

 

4.再婚について

前述のとおり、普通失踪の場合も危難失踪の場合も、失踪宣告がなされたら婚姻関係は終了しますので、再婚が可能になります。なお、失踪宣告の場合以外で女性が再婚する際には、再婚禁止期間がありますが、失踪宣告によって婚姻関係が終了した場合には、再婚禁止期間の制度は適用されず、すぐに再婚することが可能です。

 

5.失踪宣告が取消された場合の再婚の扱いについて

配偶者の失踪宣告が下されたため、他の相手と再婚していたら、元配偶者が生きて戻ってきた場合はどうなるのでしょう。

まず、失踪宣告は、本人が家庭裁判所に申し立てることで取消すことができます。婚姻関係の扱いについては以下のとおりです。

 

(1)生存配偶者と再婚相手が、不在配偶者の生存を知りながら結婚した場合

失踪宣告が取消されれば前婚は復活し、後婚は重婚(民法第732条)になっり、前配偶者からも後婚の取消しを請求することができます。

 

(2)生存配偶者と再婚相手が、不在配偶者の生存を知らずに結婚した場合

失踪宣告が取消された場合であっても、前婚は復活せず、後婚のみが有効と扱われます。

 

6.まとめ

配偶者が長い間行方不明であるため、失踪宣告の申立てをしたい、または、再婚後に前の配偶者が戻ってきた、など、失踪宣告に関連してお悩みのある方は、早めに弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、手続き面でサポートすることも可能ですし、前の配偶者と後の配偶者を巻き込んでのトラブルになった場合に、話し合いに参加したり法的側面からのアドバイスをしたりすることができます。茨城県で失踪宣告、再婚等に強い弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご連絡ください。

 

【離婚問題コラム】再婚までの準備⑩ 配偶者と死別した場合

2019-06-04

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1.死別と離婚との違い

離婚も死別も婚姻関係が消滅しますが、どのような違いがあるのでしょうか。

離婚とは、婚姻関係にある生存中の当事者同士が、有効に成立した婚姻を婚姻後に生じた事情を理由として将来に向かって解消することであり、死別とは、配偶者と死に別れることです。

 

(1)相続

離婚の場合相続は発生しませんが、死別の場合は相続が開始されます。

 

(2)財産分与

離婚の場合は財産分与について話し合われますが、死別の場合は財産分与は問題になりません。

 

(3)姻族関係

姻族とは、婚姻関係を契機とする配偶者の血族および血族の配偶者のことです。姻族関係は、離婚によって当然に消滅しますが、死別の場合は、残された配偶者が姻族関係終了の意思表示をしてはじめて終了します。

 

(4)復氏

婚姻による氏を改めた配偶者は、離婚によって当然に婚姻前の氏に復しますが、死別の場合は、残された配偶者が復氏を望んだ場合にのみ婚姻前の氏に復します。

 

(5)子どもの親権者および監護権者

未成年の子どもがいる場合、離婚するときには子どもの親権者や監護権者を決定するということが問題になりますが、死別の場合はこれらの問題は生じません。

 

2.配偶者の死別後の再婚

(1)再婚後、結婚はいつからできるか

配偶者との死別は悲しい出来事ですが、新しい出会いがあって、再婚を希望することももちろんあります。この場合、結婚までの期間の制限はあるのでしょうか。

男性の場合は、再婚の期間制限はありません。これに対し、女性の場合、死別後100日が経過しなければ、再婚することができません(死別時に妊娠していなかった場合や死別後に出産した場合を除く)。女性だけこのような制限があるのは、死別後すぐに再婚して子どもが生まれた場合、子どもの父親がどちらかわからなくなるということを避けるためです。

以上のように、法律では、男性ならすぐ、女性でも死別後3ヶ月もすれば再婚することができます。しかし、三回忌や七回忌を節目と考える人も多いようです。一般的な感覚としては、少し期間をおいてから再婚するのがいいかもしれません。

 

(2)再婚後、恋愛はいつからできるか

では、死別後の恋愛は、いつから許されるのでしょうか。恋愛については、法律による制限はありませんので、いつから恋愛しても自由です。ただ、一般的には少し時間をおいてから、という人が多いのではないでしょうか。

 

3.まとめ

今回は、離婚と死別の違いや、再婚における注意点の解説をしました。平成28年の民法改正により、女性の再婚禁止期間の制限も緩やかになり、以前より早くに再婚できるようになりました。とはいえ、死別の場合は、恋愛関係になったり再婚を考えたりするのは、心理的に抵抗があるかもしれませんし、子どもがいる場合は、子どもへの配慮も必要になります。離婚や死別、その後の再婚に関連してお悩みのことがあれば、弁護士に相談しましょう。ご相談者様のお話を丁寧に伺い、解決に向けてサポート致します。茨城県内で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご連絡ください。

 

【離婚問題コラム】再婚までの準備⑨ 配偶者の親族との養子縁組の解消

2019-06-03

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1.配偶者の親族との養子縁組

婚姻により、どちらかの氏がもう一方の氏に変わり、配偶者の両親とは姻族という関係になります。その上で配偶者の親族(親)と養子縁組をすることも可能です。養子縁組すると法律上親子と扱われ、親の扶養義務と相続権が発生します。

 

2.前婚の解消と養子縁組

離婚の場合は、養親としても養子としても、養子縁組を解消したいと思うのではないでしょうか。特に、養子だった者が再婚を考えた場合には、前婚の配偶者の親族と養子縁組をしているということは、感情的にも扶養義務が生じるという点でも、新しい結婚相手からすると不愉快に思われる可能性があります。

逆に死別の場合は少し事情が異なります。自分の子と仲違いして離婚した場合とは異なり、自分の子が亡くなって養子が残った場合で、特に孫もいるような場合は、養親としても積極的に養子縁組を解消したいと思うケースは多くないと思われます。また養子側としても、養親が死亡した場合には、第一順位の相続人になりますので、養親の資産状況によっては解消を望まない場合もあるかもしれません。

 

3.養子縁組の解消

養子縁組を解消するには、離縁の協議が必要になります。お互いの協議により合意できた場合には、市区町村の役所に戸籍法第70条の離縁の届出をすることで離縁が成立します。協議での合意ができなかった場合には、家庭裁判所での調停、裁判により解決することになります。

なお、法律上、裁判で離縁が認められるには、①他の一方から悪意で遺棄されたとき②他の一方の生死が3年以上明らかでないとき③その他縁組を継続し難い重大な事由があるときのいずれかに該当する必要があります。事実上争いになるのは③に該当するか否かになりますが、過去の判例を見ても、該当するとして離縁を認めるケースと該当しないとして離縁を認めていないケースがあり、結論は一様ではありません。そのため、養子縁組をするかどうかか先々のこともよく考えて慎重に行う必要があります。

 

4.まとめ

前婚のときは良かれと思ってした配偶者の親族との養子縁組ですが、離婚するとなると離縁を考えるのが当然ではないでしょうか。協議で離縁ができればよいのですが、スムーズに話が進まないことも多いようです。何かお困りのことがあれば早めに弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、調停や裁判の手続きも代理人として行うことができますし、協議の場合でも早期解決を目指すことができます。

茨城県で、離婚・再婚に強い弁護士をお探しの際には、ぜひ当事務所にご連絡ください。様々な分野で経験を積んだ弁護士が、丁寧なサポートを致します。

 

【離婚問題コラム】再婚までの準備⑧ 戸籍と氏

2019-06-01

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1.氏・戸籍の変更について

離婚や再婚によって氏が変更になることがありますが、変わる側(及びその子ども)にとっては、様々なところへの届出等もあり重要な問題です。離婚等によって氏や戸籍はどのように変わるのでしょうか。

 

2.離婚後に氏について

(1)婚姻のときに氏を改めなかった者の場合

夫婦は婚姻のとき、夫または妻の氏のどちらかの氏を称することになります(民法第750条)。婚姻により氏を改めなかった者は、離婚をしてもそのままの氏を名乗ることになります。

 

(2)婚姻により氏を改めた者の場合

婚姻により氏を改めた者は、離婚をすると婚姻前の氏に当然戻ることになります(「復氏」)。ただし、婚姻期間中の姓を離婚後もそのまま名乗りたい場合は、離婚の日から3ヶ月以内に、「離婚のときに称していた氏を称する旨の届」(戸籍法第77条の2)を出せば、婚姻していたときの氏を名乗ることができます。

 

3.再婚の離婚・再婚相手の死亡の際における氏の選択

(1)前婚の配偶者が死亡した場合

前述のように、婚姻により姓を改めた者は、離婚によって婚姻前の氏に復するのが原則ですが、後婚の離婚の場合、「婚姻前の氏」とは何を指すのでしょうか。この点については、後婚の離婚によって前婚の氏に復することになります。ただし、婚姻によって氏を改めた者は、配偶者の死亡後はいつでも復氏の届出(戸籍法第95条)をすることで婚姻前の氏(実家の氏)に復することができます。つまり、前婚での氏にするか、実家の氏にするか自由に選択することができます。

 

(2)前婚の配偶者と離婚した場合

前婚の配偶者が死亡した場合ではなく、離婚した場合はどのようになるのでしょうか。前婚の離婚の際に、前婚期間中の氏を選択した場合は、再婚の離婚後に復する氏も前婚期間中の氏になります。ただし、戸籍法第107条第1項の「やむを得ない事由」があるときに限り、家庭裁判所の許可を得て氏を変更することが認められますので、当該条項に該当する場合には、実家の姓に変更することもできます。

 

(3)再婚相手が死亡した場合

では、再婚相手が死亡した場合の氏はどのようになるのでしょうか。もちろん、婚姻によって氏を改めた者は、配偶者の死亡後もその氏を名乗ることができます。

また、この場合も、戸籍法第107条第1項の「やむを得ない事由」があるときに限り、家庭裁判所の許可を得て氏を変更することが認められます。

 

4.離婚と戸籍

離婚すると戸籍がどうなるかについては、以下のパターンがあります。

 

(1)婚姻前に入っていた戸籍に戻る

離婚をした場合には原則として、婚姻前に入っていた戸籍に戻ることになります。ただし、元の戸籍が除籍されている場合(戸籍内の全員が死亡している場合など)には、戻る戸籍が無くなっているので、新戸籍を編製することとなります。

 

(2)結婚時の氏を継続使用し新しく戸籍をつくる

離婚から3ヶ月以内に市区長村役場に届け出をすると、婚姻時の氏を使い続けることができます。この場合には、新たな戸籍を作成することとなります。

 

5.子どもの戸籍と氏

離婚する夫婦に子供がいる場合、離婚後の子どもの戸籍や氏はどうなるのでしょうか。まず、戸籍については変更がありません。戸籍に変動がないのですから、子どもの氏についても、離婚により変わることはありません。したがって、たとえば、父が戸籍の筆頭者である場合に、母が元の戸籍に戻れば、母と子の氏は違うものになります。これは、母親が親権者となった場合でも、変わることはありません。 もし、親権者である母と子の氏を同じにしようとするのであれば、子を母親の戸籍に入籍させる手続きが必要となります。

また、離婚後の母が婚姻中の氏を名乗る場合には、母と子の氏は同じになりますが、このような場合であっても、母と子の戸籍を同じにしたい場合は、やはり子の氏の変更の手続きをしなければなりません。このようなケースでの母の氏と子の氏は、形式的には同じでも、法律的には異なるものとされるためです。

 

6.まとめ

離婚・再婚による氏や戸籍の変更は、内容によっては家庭裁判所での手続きが必要になりますので、一人では不安なこともあるのではないでしょうか。専門家である弁護士にご相談をお考えの場合、当事務所にご連絡ください。

当事務所は茨城県全域にリーガルサービスを提供しており、経験豊富な弁護士が多数在籍しております。ぜひ当事務所の弁護士にお任せください。

 

【離婚問題コラム】再婚までの準備⑦ 年金分割

2019-05-31

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1.年金分割とは

離婚時年金分割とは、夫婦が離婚する際に、婚姻期間中に支払った年金保険料に対応して、厚生年金や共済年金の婚姻期間に比例する部分を按分する制度です。婚姻中はお互いが協力し合って財産を形成するものであるため、年金についても公平に分割すべきという考え方に基づく制度で、2007年4月から導入されています。

年金分割の対象になるのは、厚生年金と共済年金のみであり、国民年金や国民年金基金、厚生年金基金、確定給付企業年金や確定拠出年金は、年金分割の対象にはなりません。

 

2.合意分割と3号分割

(1)合意分割

2007年4月1日以後に離婚等をし、以下の条件に該当したときに,婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる制度です。

①婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること。

②当事者双方の合意又は裁判手続により按分割合を定めたこと。

 

(2)3号分割

夫婦が2008年5月1日以降に離婚をした場合で、2008年4月1日以降に、国民年金の第3号被保険者期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)がある場合に、2008年4月1日以降の第3号被保険者期間における年金(正確には「年金記録」)を分割するという制度です。3号分割の場合、年金の按分割合は、当然に2分の1となり、当事者の同意は不要です。

 

3.再婚を踏まえた年金分割

年金分割は、夫婦が婚姻していた期間中の保険料納付記録を書き換えることによって、将来の年金額を修正する制度になりますので、その後再婚したからといって将来の年金額が変更になるわけではありません。

したがって、年金分割を受ける側としては、感情的に何か嫌なことがある等の特別な事情がない限り、離婚に際しては年金分割はしておいた方が良いでしょう。逆に、年金分割をする側は、年金が分割されてしまいますので、支給額が少なくなります。また、支給額の減少により、再婚相手との老後の生活が苦しくなる可能性がありますので、再婚をする際には、年金分割をしている事実を事前に説明し理解を得るようにしましょう。

 

4.まとめ

離婚時年金分割のことでわからないことあれば、すぐに弁護士に相談してみましょう。弁護士であれば、どのような場合にどのような分割請求の手続きが必要になるのかアドバイスすることが可能ですし、年金分割の調停や審判での代理人を依頼することも可能です。

また、再婚する場合にはどのようなことに注意すべきかなどのアドバイスをすることも可能です。茨城県全域にわたり、地域に密着したサポートを行っている当事務所には、離婚・再婚に精通した弁護士が多数在籍しております。何かお困りのことがございましたら、ぜひ一度ご連絡ください。

 

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