【コラム】養育費について2 調停で決まった養育費の支払いをしてくれない場合の3つの対処法

質問

前夫が離婚時に決まった養育費を払ってくれません。きちんと支払ってもらうための対処法にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

回答

養育費を払ってもらうための対象法として、①履行勧告②履行命令③強制執行という方法があります。以下詳しく説明致します。

 

解説

1 履行勧告

履行勧告とは、家庭裁判所で決めた調停や審判などの取決めを守らない人に対して、それを守らせるため制度です。相手方が取決めを守らないときに、家庭裁判所に対して履行勧告の申出をすると、家庭裁判所は、相手方に取決めを守るように説得したり、勧告したりします。

履行勧告の手続に費用はかかりませんが、義務者が勧告に応じない場合に、支払を強制することはできません。

 

2 履行命令

履行命令とは、履行勧告と同じように家庭裁判所の調停証書や審判調書、あるいは判決の内容に記載された内容を、相手が適切に守らない場合に、それを守らせるための制度です。履行勧告の場合は罰則規定はありませんが、履行命令を無視した場合は、10万円以下の罰金の支払いを課される可能性があります。

ただし、この罰金は、申し立てをした人物に払われるわけではありません。このため、養育費の支払いが滞っているような場合は、罰金が一層の負担になり、ますます支払いが遠退く可能性があります。

 

3 強制執行

相手がどうしても支払をしないときに、強制的に養育費を支払わせる方法が

養育費の強制執行(「差し押さえ」)です。差し押さえは、債務者(義務者)が任意で支払いをしないときに、債務者の財産や資産を差し押さえて、強制的に支払いをさせる方法になります。

差し押さえの対象となるものは、相手の所有物であればたいていのものを差し押さえることができます。具体的には、預貯金、積立金、生命保険、株券、投資信託、給料、売掛金などがあげられます。

差し押さえには、債務名義という「強制執行をしてもよい」というお墨付きが必要になりますので、債務名義がない場合には、差し押さえをすることができません。養育費調停の調停調書、離婚審判の審判書、養育費審判の審判書などが債務名義にあたり、養育費を決めた際の合意書(公正証書にしていないもの)などは債務名義にはあたりませんので注意が必要です。

債務名義は、養育費調停をすることにより、差し押さえに必要な債務名義を得ることができますので、債務名義がない場合であってもあきらめずに対処しましょう。

 

4 まとめ

養育費が貰えないと子どもを養育することが困難になってしまいますので、確実に払ってもらう必要がありますが、自分ひとりだけで対応するのは大変です。

養育費の請求には、知識や経験が必要になりますので、少しでもスムーズに養育費を払ってもらうために、弁護士に相談しましょう。

茨城県で弁護士をお探しであれば、離婚にまつわる問題に精通した弁護士が多数在籍している当事務所にご連絡ください。

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