【コラム】養育費について3 相手が無職の場合は養育費を請求できない?

質問

元夫が無職なのですが、養育費の請求をすることはできないのでしょうか。

 

回答

無職の場合、養育費の支払いをさせるのは難しいですが、例外的にできる場合もあります。

 

解説

1 養育費支払い義務者が無職の場合の養育費について

養育費とは未成熟子が社会に出て独立できるようになるまでに必要となる費用のことです。子どもは民法第877条第1項の「直系血族」に当たりますから、親は子を扶養する法律上の義務があり、離婚が成立しても親子関係はなくならない以上、親の子に対する扶養義務はなくなりません。つまり、養育費の支払い義務者となっている親は、自分の生活レベルを落としてでも養育費は支払わなければなりません。

養育費の金額を決定する際、当事者の合意で如何様にでも決められますが、裁判所を通して算定する場合には、「養育費算定表」を基準に決定されます。最終的には、子どもの年齢や人数、両親の年収など様々な要素を総合的に勘案して金額が決められます。

養育費算定表の金額は目安に過ぎませんが、養育費算定表の額を大きく超えて養育費を請求することは実際上は難しいでしょう。養育費算定表によると、養育費支払い義務者が無職の場合の養育費の相場は、月々0~1万円となっているため、養育費を請求するのは非常に難しいといえます。

 

2 無職であっても養育費の支払いを請求できる場合 

無職であっても、養育費の請求ができる場合があります。以下、詳しく見ていきましょう。

(1)不労所得や高額な資産を持っている場合

現在無職であっても、株の配当や家賃収入などの不労所得がある場合は支払いの義務が生じます。また、不動産や高額の預貯金等の資産がある場合も、その資産から養育費の支払いを請求できる場合があります。

 

(2)潜在的稼働能力がある場合

離婚時に無職であっても、健康状態、職歴、保有資格などから、潜在的な稼働能力があると判断されれば、養育費を請求することができる可能性があります。

 

(3)今後働いて養育費を払うことに同意してもらう

元夫と協議し、今後は働いて養育を確実に支払うことに同意してもらえば養育費の請求が可能になります。このときは、協議のうえ合意した内容を公正証書に残すようにしましょう。収入ができても払わないようなことがあれば、給与等を差し押さえて養育費を強制的に支払わせること等ができます。

 

3 まとめ

養育費支払い義務者が無職の場合でも、上記のように養育費を支払ってもらう手段はあります。ただ、潜在的稼働能力を証明する場合も、強制執行をする場合も、専門的な知識や経験が必要になりますので、自分ひとりだけで解決するのは困難です。早めに弁護士に相談するようにしましょう。

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