子どもの養育費について

1 養育費とは

養育費とは、未成熟子が社会人として独立自活ができるまでに必要とされる費用です。
養育費は、養育費を支払う側の親と同程度の生活水準をお子様が維持できる程度かどうかで判断されます。
養育費には、お子様の衣食住のための費用、医療費などの生存に不可欠な費用のほか、そのご家庭の生活レベルに相応しい社会人として成長するための費用も含まれます(例えば、予備校代やクラブ活動費等)。

2 養育費の支払期間

(1) 支払開始時期

養育費はいつから支払義務があるのか、ということについては見解が分かれています。
一般に、離婚と同時に養育費を決める場合には、離婚時からになることが多いようです。
離婚の後に養育費を決める場合には、養育費の支払を申し立てたときからと判断されるようです。

(2) 支払終了時期

次に、養育費はいつまで支払義務があるのか、ということについても見解が分かれています。

未成熟子が成年に達したとき(「未成年者が成人に達する月まで」)とされる場合のほか、「未成年者が満18歳に達する月まで」、「来成年者が満22歳に達する月まで」等と判断される場合もあります。

大切なことは、養育費は、お子様が未成熟子でなくなるときまで(=経済的・社会的に自立するまで)支払われるべきであるということです。
したがって、いつの時点であれば、お子様が未成熟子では亡くなったと言えるかどうかがポイントになります。
ご両親がお互いに大学を卒業しており、お子様も当然に大学進学を予定しているのであれば、大学卒業までは未成熟子であると考えることもできますし、高校を卒業後すぐに働き始めるようであれば、高校卒業時点で未成熟子ではないと考えることもできます。

このように、養育費の支払期間は争いのあるところですので、慎重に検討する必要があります。

3 養育費の算定

養育費の算定は、現在は裁判官らが作成した「養育費算定表」に従い、ご夫婦の年収やお子様の人数、年齢構成によって決められる傾向にあります。
もっとも、この「養育費算定表」に必ずしも従う必要はありません。

個別の事情によって、この「養育費算定表」よりも高額の養育費であるべき事案もあれば、より低額の養育費であるべき事案もあります。
個別の事情を主張する場合には、①親の収入の確定、②子の必要生活費の算定、③親の負担能力(扶養余力)を検討する必要があります。

4 養育費を支払ってもらうためには

次に、養育費を支払ってもらうための手続についてご説明します。

(1) 合意ができる場合

あらかじめ養育費について検討し、離婚と同時に協議を成立させるという方法のほか、離婚を先に済ませてから養育費について協議するという方法もあります。

なお、話合いによる解決をするのであれば、公正証書を作成しておいた方がよいでしょう。
公正証書によらない場合、相手方が養育費を支払わなくなってしまったときには、民事訴訟を行う必要があります。

(2) 離婚の合意ができない場合

離婚の合意ができない場合や、離婚することは合意できたものの養育費について合意ができないために離婚自体の合意に至らない場合があります。

このような場合には、離婚を求めて調停や人事訴訟を提起することになりますが、この調停や人事訴訟の中で養育費の支払を求めていくことになります。

(3) 離婚が成立したものの養育費が決まらない場合

養育費に関する調停・審判を申し立てることになります。

5 養育費の増減額請求

養育費について取決めをした後に,事情が変わった場合には,養育費の増減額の請求をすることができます。
手続きとしては,調停・審判を申し立てることになります。

もっとも,事情の変更として認められるのは,最初の取決め時から一定期間が経過し,相当程度事情が変わった場合です。

例えば,子どもが重病を患ったり,進学したりすることで特別の費用が必要になった場合や,義務者の収入が失業等で減少した場合,逆に権利者の収入が増加した場合等があります。

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