1 ADHDとは
ADHDとは、先天性の障害であり、不注意、多動、衝動の症状が見られます。
ADHDの人は、注意力が散漫でミスが多かったり、じっとしているのが苦手でそわそわとした行動をとったり、思ったことをそのまま口にしたりします。また、うまくできない自分を責めたり、ひどく落ち込んだりしてますます悪循環に陥ることもあります。
治療で根本的に治るものでもないため、一番つらいのは本人かもしれませんが、それを支える側としてもつらいと感じることが多いのではないでしょうか。
2 子どもの頃の特徴
ADHDの子どもには以下のような特徴がみられます。
(1)不注意
- テスト等でのうっかりミスが多い
- ものをよく無くす、忘れ物が多い
- 興味のあることに集中しすぎる
- 切り替えがうまくできない
(2)多動
- 落ち着いて座っていることができない
- 集団で活動する際に話を聞くことができない
(3)衝動
- 好きなときに好きなことを話す
- 思ったとおりにならないと駄々をこねる
3 大人になってからの特徴
大人になってからみられる特徴としては以下のようなものがあります。
(1)不注意
- 提出物等の期限を守れない
- ケアレスミスを何度も繰り返えす
- ものを無くす
(2)多動
- すぐに気が散る、仕事に集中できない
- 順序立てて仕事をすることができない
- 複数の業務がある場合、どこから手を付けてよいかわからなくなる
(3)衝動
- 思ったことをすぐに発言してしまう
- 他の人が話していても遮って話し始めてしまう
- 作業中、他に気になることがあるそちらに集中してしまう
- 怒りがうまく抑えられない
- 少しのミスでも他のことが手につかなくなるくらい落ち込む
4 結婚生活で問題になりがちなこと
(1)不注意
ADHDの人は、注意深く相手の話を聞くことが難しいため、相手の話を十分に聞かずに、自分の意見だけを押し通してしまうことがあります。また、約束した日や記念日を忘れてしまい、相手に悲しい思いをさせてしまうこともあります。
他には、お金の管理が苦手だったり、家事育児を段取り良く行うことが難しかったりします。
(2)多動
ADHDの人は、自分の思ったことを早口でまくしたてたり、相手の言うことに耳を傾けなかったりしまう。ゆったり落ち着いて会話を楽しむような場面でも、貧乏ゆすりがやめられなかったり、そわそわと落ち着かない素振りを見せたりします。また、一つの仕事が長続きせず、相手を心配させてしまうこともあります。
(3)衝動
ADHDの人は、その場限りの思いつきの発言や提案をして、相手を傷つけてしまうことがあります。また、思ったことを直接的な言葉で伝えて、相手に嫌な思いをさせてしまうこともあります。また衝動が抑えられないため、高額な買い物や契約を独断でしてしまうことがあります。
5 ADHDの原因
ADHDの確たる原因はまた解明されておらず、現在も研究や議論がなされていますが、生まれつき脳に何等かの機能障害があることが原因であるとされています。さらに、脳の中でも前頭前野(大脳の機能)のバランスが崩れていることにより、脳のネットワークが乱れているとも考えられています。
また、遺伝的要素や胎児期に受ける環境的悪影響も関係するという考えもあります。
いずれにせよ、以前言われていたように、「親のしつけが悪い」「育て方に問題がある」ということが直接的な原因ではないと考えられています。
6 まとめ
ADHDについては、まだわからないことも多いため、まわりから理解されにくく、本人はもちろん、本人を支える側としても辛いことが多いかもしれません。
ADHDは、療育や教育といった心理・社会的アプローチや薬物療法などの医療的なアプローチによって症状を軽減することができます。ですが、その場合であっても、本人も支える側も大変で、時には離婚を考えてしまうことがあるかもしれません。
そのようなときは一人で抱え込まずに、専門家にご相談ください。茨城県全域に対応している当事務所は、経験豊富な弁護士が多数在籍しておりますし、必要に応じて各種専門家と連携をとることも可能です。ぜひ一度ご連絡ください。