Archive for the ‘保全執行・離婚について’ Category

【コラム】保全執行・離婚について 離婚を求められた場合には

2020-07-07

質問

夫から離婚を迫られています。応じなければならないのでしょうか?

 

回答

法定離婚事由がない限り、離婚に応じる必要はありません。

 

解説

離婚届に署名しなければ、裁判にならない限り、離婚は成立しません。そして裁判で離婚が認められるためには、以下のような法定離婚事由に該当する必要があります。

① 不貞行為

不貞行為とは、配偶者のある者が自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいいます。

② 悪意の遺棄

悪意の遺棄とは、正当な理由なく同居・協力・扶助義務を履行しないことをいいます。

③ 3年以上の生死不明

3年以上の生死不明とは、3年以上生存も死亡も確認できない状態が続いていることをいいます。

④ 強度の精神病

強度の精神病とは、その障害程度が婚姻の本質ともいうべき相互協力義務等を十分に果たしえない程度に達しているような場合をいいます。

⑤ その他婚姻関係を継続し難い重大な事由

夫婦生活を続けられない重大な理由があれば離婚は認められます。具体的には、暴行・虐待、重大な病気、宗教活動、勤労意欲の欠如・多額の借金、犯罪行為・服役、性的不能・性的異常、性格の不一致などが挙げられます。

 

通常問題になるのは①不貞行為や⑤その他婚姻関係を継続し難い重大な事由になりますので、離婚を請求されている側にこれらに該当する事実がないのであれば、一方的に離婚されることはないと言えます。

ただし、配偶者から離婚を請求されていることは事実になりますので、何等かの対応をする必要があります。

離婚を受け入れるか否かは別にして、まずは相手の話をよく聞くことが大切です。その場で言い返すのではなく、一旦は話を聞き、冷静に次の対応策を考える時間を作りましょう。

相手の言い分に納得できる部分があるのであれば、それにどう対応するかを検討していくことになりますが、相手に不倫相手の影がある場合は注意が必要になります。離婚を回避する場合でも、不倫相手の存在の有無は、今後の対処に大きく影響する部分になりますので、注意深く確認するようにしましょう。

 

自分の状況が法定離婚事由に該当するか分からない場合や対応策について困っていることがある場合は、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。茨城県で弁護士をお探しの場合は、離婚問題に精通した弁護士が多数所属している当事務所へぜひご相談ください。

【コラム】保全執行・離婚について 財産処分を防ぐ方法

2020-07-07

質問

現在、離婚に向けて財産分与について話し合っていますが、結婚後に夫婦で買ったものの、夫名義になっている家を処分するから出て行ってほしいと言っています。処分をやめさせることはできないのでしょうか。

回答

処分禁止の仮処分を行うことで、売却を阻止できます。

解説

財産を処分されてしまうと、離婚成立後に、予定していた金額の財産を相手方から受け取ることができなくなってしまう可能性がありますので、勝手な財産処分を防ぐ手段を講じておく必要があります。たとえば、今回の質問のように、結婚後に購入した不動産を勝手に売ってしまい、その代金を夫が使ってしまった場合には、不動産を取り戻すことはできませんし、お金を払ってもらうこともできません。

そこで、離婚成立前に、夫が勝手に共有財産を処分するのを防ぐために、法が準備している方法として、処分禁止の仮処分があります。処分禁止の仮処分とは、債権者が金銭債権を持っているとき、債務者の財産状況の悪化などの事情がある場合には、裁判所は債務者に対して、財産の売却等を当分の間行なわないよう命令することができる、というものです。

ここで、仮処分には調停前と審判前があり、注意が必要になります。調停前の仮処分は、調停中に調停委員会が行う保全処分ですが、違反には10万以下の過料の制裁があるのみで、強制執行はできません。審判前の仮処分は、財産分与、婚姻費用分担などの審判ができる事件の調停・審判を行っているときに、申立てができます。相手方の財産に対する保全処分には、保証金の納付(供託)が求められるのが通常ですが、一般の民事保全よりも低額になる傾向があります。なお、審判前の仮処分の場合は、強制的に執行することができます。

申立の際には、「仮処分命令申立書」という書類を作成して裁判所に提出しなければなりません。ここには、「被保全権利」と「保全の必要性」をわかりやすく記載し、正本と副本を提出します。また、「被保全権利」と「保全の必要性」についての資料も添付する必要があります。裁判所での審尋を経て、裁判官が被保全権利と保全の必要性の要件を満たすと考えた場合には、仮処分命令が発令されます。

 

仮処分は、裁判手続きの中でも複雑で専門的なものです。仮処分をするときには、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。弁護士に依頼すると、書面の作成から審尋まで対応してもらうことができます。茨城県で弁護士をお探しの場合は、離婚問題に精通した弁護士が多数所属している当事務所へぜひご相談ください。

【コラム】保全執行・離婚について 面会交流拒否と間接強制

2020-07-07

質問

妻に面会交流を拒否されてしましいました。1回拒否したら一定額を支払うことを命じてもらうなど間接強制をすることは可能なのでしょうか。

回答

一定の条件を満たせば、面会交流の間接強制をすることは可能です。

解説

間接強制とは、債務を履行しない義務者に対し、一定の期間内に履行しなければその債務とは別に間接強制金を課すことを決定することで義務者に心理的圧迫を加え、自発的な履行を促すものです。 

面会交流の場合、まずは父親と母親が、面会交流の方法等について話し合い、話し合いでうまく合意できない場合には、家庭裁判所の調停手続で合意をめざすことになります。調停でも合意ができない場合には、審判によって、裁判官に交流の仕方を決めてもらうことになります。

調停や審判で面会交流の方法等が決まったのに、それが守られない場合で、監護している親が会わせないようにしている場合には,強制執行の手続があります。具体的には、面会交流をさせなければならない監護親に対し、「面会交流を拒否したらお金を払わないといけない。」という心理的負担を与えることで面会交流の実現を促すということになります。

では、どのような場合に間接強制ができるのでしょうか。最高裁判所が平成25年3月28日に出した基準を見てみましょう。

【決定1】

監護親ではない親と子が面会交流をすることを定める調停調書に基づき間接強制決定をすることができないとされた事例

→ 調停調書では、面接交渉の具体的な日時、場所、方法等は双方協議で決定すると定められていた。

【決定2】

監護親に対し監護親ではない親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判に基づき間接強制決定をすることができるとされた事例

→ 審判で、面会交流の日時、各回の面会交流時間の長さ及び子の引渡しの方法が明確に定められていた。

【決定3】

監護親に対し監護親ではない親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判に基づき間接強制決定をすることができないとされた事例

→審判で、面会交流の頻度や面会交流時間の長さは定められていたが、子の引渡しの方法については何ら定められていなかった。

 

つまり、①面会交流の日時又は頻度、②各回の面会交流時間の長さ、③子の引渡しの方法の3つの要素により、監護親の義務の内容が特定しているといえる場合は、間接強制が可能だということになります。

相手方から面会交流を拒否され、子どもに会うことができないなど、困っていることがある場合は、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。茨城県で弁護士をお探しの場合は、離婚問題に精通した弁護士が多数所属している当事務所へぜひご相談ください。

【コラム】保全執行・離婚について 面会交流を拒否された場合

2020-07-07

質問

面会交流を拒否されてしまいました。面会することはできないのでしょうか。

 

回答

まずは当人同士で話し合いを持つ必要があります。それでも解決しない場合には調停など家庭裁判所での法的手続きにより和解を目指すことになります。

 

解説

面会交流とは、離婚後に子どもを養育・監護していない方の親が子どもと面会したり一緒に時間を過ごしたりして親子としての交流を持つ権利「面会交流権」のことをいいます。

面会交流は通常、離婚するときや別居するときに条件や取り決めをおこないます。具体的には、面会日、面会頻度、面会場所、送り迎えの場所と時間などを決め、後々のトラブルを防ぐために書面にしておきましょう。

面会交流は、子どもの福祉に関連するものでもありますので、一方の親だけの都合や感情だけで面会を拒否することはできません。但し、一方の親が面会交流時に問題のある言動を繰り返す場合「拒否・制限する理由となりうる事情」に該当することがあります。例えば、子どもの前で他方の親の悪口を言う、子どもに他方の親の様子等を探らせる、子どもを連れ去られる危険があるなどの場合があげられます。

面会交流でトラブルが生じた場合には、離婚のときと同様にまずは双方の話し合いでの解決を目指します。十分な話し合いができないときや話し合いが決裂してしまった場合には、家庭裁判所に調停の申し立てをおこない解決を図っていきます。

調停が調わなかった場合には、審判で解決していくことになります。審判とは、訴訟に近いかたちで手続きがおこなわれます。裁判官がこれまでの調書等を参考に判断し、審判で下された面会交流の内容は裁判所の判決と同様に法的効力を持ちますので必ず履行しなくてはなりません。

では、調停や審判を経ても、なお面会交流を拒否された場合にはどうすればよいのでしょうか。面会交流は、その性質上、直接強制という方法に馴染みませんので、間接強制の制度が用意されています。間接強制とは、罰金のようなもので、面会交流が実現しなかった場合に、面会を拒否した親がもう一方の親に一定額を支払うというものになります。

相手方から面会交流を拒否され、子どもに会うことができないなど、困っていることがある場合は、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。茨城県で弁護士をお探しの場合は、離婚問題に精通した弁護士が多数所属している当事務所へぜひご相談ください。

【コラム】保全執行・離婚について(全般)

2020-07-07

質問

別れる相手に財産を渡したくないために財産を隠したり、処分をされないようにするためには、どのような手続きをする必要があるのでしょうか。

 

回答

財産保全の措置をとる必要があり、調停前の仮の処分、審判前の保全処分、民事保全手続があります。

 

解説

調停前の仮の処分は、調停委員会(または裁判官)が、調停のために必要であると認める処分を命ずるものです。調停前の処分を命じることができるのは、家事調停事件が係属している間と定められています。

審判前の保全処分とは、調停の成立や審判の確定を待っていては、権利が実現できないおそれや、権利者が重大な損害を受けるおそれがあるなど、早急に対処して欲しい事情がある場合に、権利の対象を保全できる処分になります。審判や調停の申立て前から利用できる手続ではありませんが、審判や調停の申立てと同時に審判前の保全処分を申し立てることは可能です。

民事保全手続とは、長期に渡る裁判の間に、債務者が財産を隠匿したり、勝手に処分したりすることで債権者が損害を被ることのないよう、現状を保全したり、債権者の権利や地位を暫定的に認める制度です。民事保全手続は、仮差押え(民事保全法第20条)、係争物に関する仮処分(民事保全法第23条1項)、仮の地位に関する仮処分(民事保全法第20条4項)に分けられます。

これらの保全処分ができる要件は、①保全処分を行える権利者であること、②保全処分を行う必要性があること、③これらの事実について疎明できること、です。また、保全処分は、万が一不当な申立てであれば、相手方が損害を被る可能性がありますので、一定額の保証金を供託しなければなりません。

また、たとえば仮差押えの保全命令が出されたとしても、自動的にその手続が進むわけではなく、別途仮差押命令を実行する手続すなわち執行の申立てが必要になります。保全執行手続は、保全命令手続で出された保全決定の内容を具体的に実現する手続です。保全命令送達から2週間経つと、保全執行をすることができなくなってしまいますので注意が必要です。保全命令を無駄にしないよう、速やかに執行の申立てをするようにしましょう。

離婚に伴う保全執行等でお困りのことがあれば、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。これらの手続きは裁判所に対して行う必要があり、手続きも複雑で、専門知識も必要になります。茨城県で弁護士をお探しの場合は、離婚問題に精通した弁護士が多数所属している当事務所へぜひご相談ください。

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