Archive for the ‘親権について’ Category

【コラム】親権について15 子どもが嫌がっても親権者には引き渡さなければならない?

2020-07-09

質問

離婚判決で母親を親権者とすることが決まりましたが、子どもが母親を嫌っていて母親のところには行きたくないと言っています。それでも引き渡さなくてはならないのでしょうか。

 

回答

判決が出ている以上は、引き渡す必要があります。

 

解説

1 親権者の決定

未成年の子どもがいる場合、離婚後の親権者を父親と母親のどちらにするのかを決めなければ離婚することができません。婚姻中は夫婦は子どもに対して共同親権を持ちますが、離婚する場合には一人に決定する(単独親権)必要があるからです。

まずは夫婦間で話し合いをしますが、夫婦間で合意できない場合は、調停や裁判で親権者を定めることになります。調停や裁判で親権者を定める場合の判断基準としては、乳幼児の母性優先、今まで子どもを養育監護していたか、子どもの意思、兄弟姉妹関係、経済力等があげられます。

 

2 子どもが親権者を拒否するケース

1.のように決まった親権者ですが、決定した後に、子どもに拒否されることがあります。たとえば、それは、母親の不貞行為を多感な年齢の子どもが知ってしまったような場合です。母親が不貞行為をしたとしても、監護状況に問題が無ければ親権者になることができますが、子どもにとっては、悪い母親だと感じられて、母親を拒否することが少なくありません。

 

3 どのように対応したら良いか

子どもが親権者のもとに行くことを嫌がっているからと、いつまでも親権者に引き渡さない場合には、人身保護法違反により、釈放を命じられる可能性あります。では、どのように対応したら良いのでしょうか。

このような場合は、親権者変更の申立てをするのも一つの手段です。親権者変更は一度決定した親権者を変更するものであり、なかなか認められにくいものではありますが、全く認められないものでもありません。実際、離婚判決で母親が親権者に指定されたものの、子どもの拒絶が強かったため父親が親権者変更を申し立てて認められた判例もあります(大阪高裁平成12年4月19日決定)。

 

4 まとめ

子どもの親権についてお悩みのことがあれば、早めに弁護士に相談しましょう。親権は親側の権利義務ではありますが、子どもの福祉・利益の保護を一番に考える必要があります。子どもが親権者を嫌っているような場合、一旦は判決に従って親権者のもとへ行くことを説得すべきですが、どうしても拒絶するような場合は子どものためにも親権者変更の検討をするのも手段の一つです。

親権者変更の問題でお悩みの方は、親権の問題に詳しい当事務所の弁護士にご相談ください。

【コラム】親権について14 不貞行為をした場合にも親権は取得できる?

2020-07-09

質問

不倫がきっかけで離婚することになりましたが、子どもを手放したくはありません。親権を取得することは可能でしょうか。

 

回答

不倫がきっかけの離婚であっても、親権を取得することは可能です。

 

解説

1 親権とは

親権とは、子どもを監護教育するために父母に認められた権利義務のことをいい、父母が共同で行使するのが原則ですが、父母が離婚した場合には、どちらか一方の単独親権となります。つまり、離婚の際には、父親か母親のどちらか一方を親権者として指定しなければなりません。

 

2 親権の決め方

まずは当事者間の合意によって親権者を決定します。協議離婚や調停離婚の場合には、双方が合意しない限り、親権者を決めることはできませんし、親権者が決まらなければ、離婚することもできません。

当事者の話し合いが決裂してしまった場合には、裁判により親権者が決定されることになります。親権者を決める基準としては、以前からの子どもとの関係、子育てに関わってきた程度、子どもの年齢、健康状態、経済力、離婚後の居住環境、離婚後の面会交流についての考え方、子どもの意思(子どもが15歳以上の場合)等の要素を検討して決定されます。

不倫をしていたかどうかは、親権の取得に直接影響するわけではありませんが、不倫をされた側の相手としては、「不倫した人に子どもは任せられない」と主張することが多いので、話し合いがうまくいかなくなる原因にはなり得ます。

 

3 不倫をした側が親権を取得することが難しくなる場合

(1)もともと虐待していた場合

子どもを虐待していた場合や育児放棄をしていた場合には、親権が認められない可能性が出てきます。

(2)育児をしていなかった場合

外出が多く家に帰らず、子どもを放置していた場合などには、親権が認められない可能性が高くなります。

(3)離婚時、子どもと一緒に暮らしていない場合

離婚前に夫婦が別居する際、子どもと一緒に暮らしていない親には親権を認められない可能性が高くなります。

 

4 まとめ

親権の取得についてお困りのことがあれば、早めに弁護士に相談しましょう。親権は一度決定すると変更することが難しくなります。たとえ不倫して離婚した場合であっても、子どもの親権者になることを諦めたくない場合、弁護士であればどのようにしたら良いかについてのアドバイスをすることができます。

茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご連絡ください。離婚問題・親権問題に精通した弁護士がサポート致します。

【コラム】親権について13 兄弟姉妹ごとに親権を分けることはできる?

2020-07-09

質問

親権者の決定にあたり、子どものうち、兄を父親、妹を母親にしたいと考えていますが可能でしょうか。

 

回答

兄弟姉妹を分離するのは望ましくないとも言われますが、親権を分けることは可能です。

 

解説

1 兄弟姉妹不分離の原則

離婚する際に、未成年の子どもがいる場合は、必ず親権者を決めなくてはなりません。協議により合意できれば問題はないのですが、親権をめぐって調停・裁判になった場合には、裁判所の基準により親権が決まります。

その基準により、兄弟姉妹がある場合には、基本的に「兄弟姉妹不分離の原則」が適用されます。これは子どもの福祉と利益の観点から、兄弟姉妹はなるべく一緒に育てるのが望ましいと考えられているからです。

特に、子どもの年齢が低い時期ほど、この原則は重視されます。

判例では、京都地裁昭和30年9月12日等で兄弟姉妹不分離の原則に基づいて親権が決定されたケースがあります。また、特に幼児である点を考慮してこの原則が適用された判例として、仙台家裁昭和45年12月25日があります。

 

2 兄弟姉妹の親権を夫婦それぞれで持ちたい場合

1.のような原則もありますが、どうしても夫婦でそれぞれ子どもたちの親権を持ちたいという場合、分けることも可能です。

たとえば協議離婚の場合、夫婦間で合意できれば、父親が兄を、母親が妹を引き取り親権者になることが可能です。また、調停や裁判の場合でも、離婚前の長期別居等により、兄弟姉妹がそれぞれ父親と母親に別れて生活していたような場合は、別々の親権が認められる場合もあります。

また、子どもが15歳以上の場合、子どもの意思も重視されますし、10歳以上であればその意思は尊重されます。実際に、判例でも、子どもが15歳と12歳で、子どもの意思が考慮され、親権が分けられたケースがあります(東京高裁昭和63年4月25日)。

以上のように、兄弟姉妹の親権を分けることは可能ですが、一番大切な子どもの福祉と利益を尊重して慎重に検討する必要があります。

 

3 まとめ

親権の決定において、子どもの福祉が大切であることは間違いありませんが、親の方も様々な事情を抱えている場合があります。一人で悩まずに、早めに弁護士に相談するようにしましょう。弁護士であれば、相手方と交渉してもらうこともできますし、調停や裁判になった場合に代理人になってもらうこともできます。

茨城県で離婚問題・親権問題に詳しい弁護士をお探しの場合は、ぜひ当事務所にご連絡ください。

【コラム】親権について12 親権者を変更することはできる?

2020-07-09

質問

離婚する際に、子どもの親権を安定的な収入のある元夫にしたのですが、子どもから度々父親が暴力を振るうようになったと相談を受けるようになりした。親権を自分に変更することは可能なのでしょうか。

 

回答

一度親権者を確定した後は、親の勝手な都合で親権者を変更することはできません。親権者が適任ではなく子どもの成長に悪影響があるなどの場合、親権者を変更できることがあります。

 

解説

1 親権者を変更できる場合とは

一度決めた親権者を容易に変更すべきではないということから、親権の変更が認められる場合は限られています。

親権変更の場合には、どちらが適切な親権者かということに加え、離婚時と比べて現在の親権者による養育環境が悪化しているかという点も重視されます。つまり、親権を変更しなくても子どもが育つ環境が問題なく子どもにとっての利益に変わりがなければ、わざわざ親権を変更しなくてもいいと考えられます。

現状では親権変更は難しく、あえて変更すべき相当な理由がない限りは変更が認められるケースはあまりありません。認められ得るケースとしては、子どもが親権者から虐待などを受けているケースや親権者が死亡・行方不明のケースなどがあげられます。 

 

2 親権者変更の手続きについて

親権者の変更は、当事者の合意だけで認められるわけではなく、親権者変更調停・審判という家庭裁判所の手続きを必ず経なければなりません。

親権者を変更するには、現在の親権者の住所地の家庭裁判所か、当事者の合意で決定した家庭裁判所に調停を申し立てます。

申立てには以下の書類が必要です。

  • 申立書とその写し1通
  • 申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 相手方の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)

また、申立てにかかる費用は、子ども1人につき1200円分の収入印紙代と連絡用の郵便切手代になります。

なお、親権者変更の調停の場合は、子どもの福祉への配慮が必要になることから家庭裁判所調査官の調査が入ることに注意が必要です。

調停で話し合いが調わなかった場合は、自動的に審判に移行し、裁判官があらゆる事情を考慮して、親権者変更を認めるべきかどうか判断を下します。

 

3 まとめ

親権者変更に関する調停・審判については一人で行うことも可能ですが、専門知識も必要になりますので、弁護士に相談されることをお勧め致します。

茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。離婚問題・親権問題に精通した弁護士がサポート致します。

【コラム】親権について11 子の引き渡しを拒否した場合の3つの留意点

2020-07-09

質問

裁判所から子どもの引き渡しを命ずる審判決定が出たのですが、相手がそれに従わない場合、どう対処すれば良いのでしょうか?

 

回答

強制執行手続き(間接強制・直接強制)といった手続きをとることが可能です。

 

解説

1 強制執行手続きとは

強制執行手続きとは、判決で勝訴したり裁判上の和解が成立したりしているにもかかわらず、相手方がするべきことをしてくれない場合に、申立てに基づいて裁判所が強制的に実現する手続きです。

相手方が子の引き渡しを拒否した場合の強制執行における留意点をご説明致します。

 

2 留意点1:子の引き渡しにおける間接強制

間接強制は、一種の罰金のようなイメージで、引き渡しをしない親に対して、間接強制金の支払いを命じるという強制執行です。間接強制金を支払わない場合は、財産の差押えをすることができます。

ただ、間接強制をしなければならないような相手の場合、ここでも引き渡しを拒むことがあり、子の引き渡しが実現しないこともあります。

 

3 留意点2:子の引き渡しにおける直接強制

直接強制とは、裁判所の執行官が、現に子どもと共にいる親のところに出向き、子どもを実際に引き渡してもらう手続きです。子の引渡しの直接強制には、条文がなく、「動産」の引渡しの条文(民事執行法第169条第1項)を類推適用して、子の引渡しを行います。

直接強制には、「子どもにも人格があるので、強引な引き渡しは子どもの福祉に反する。」「子どもを物と同様に扱うことになり、福祉に反する。」のような意見もあり、従来はほとんどが間接強制でしたが、少子化が進み子どもの親権争いが激化していることや直接強制を認めないと強引に子どもを連れ去る等の自力救済を助長することになりかねないため、最近では直接強制がなされることも増えてきました。

 

4 留意点3:その他の方法について

1.2.の方法でも子の引き渡しの実現が難しい場合は、最終手段として地方裁判所での手続きになる「人身保護請求の裁判」を利用するという方法もあります。ただし、人身保護請求の判断基準が非常に厳しく、必ず弁護士を代理人として請求をしなければならないということもあり、この手段を使うのは簡単ではないといえます。

 

5 まとめ

子の引き渡しについてお困りのことがあれば、早めに弁護士に相談するようにしましょう。裁判所での手続きは専門知識が必要なものも多く自分一人で行うのは大変です。離婚問題にまつわる問題に詳しい弁護士に依頼をすると安心して手続きをすることができます。

茨城県で弁護士をお探しであればぜひ当事務所にご連絡ください。

【コラム】親権について10 親権と監護権をわけることはあり得る?

2020-07-09

質問

妻との離婚を考えていますが、子どもの親権についてもめています。親権は父親である自分が取得し、子どもの日常のお世話等を妻に任せることはできるのでしょうか。

 

回答

親権と監護権を分けることは可能ですが、分けることが認められるのは例外的な場合に限られます。以下、詳しく見ていきましょう。

 

解説

1 親権と監護権

(1)親権とは

未成年者の子どもを監護・養育し、その財産を管理し、その子どもの代理人として法律行為をする権利や義務のことをいいます。具体的には、財産管理権(包括的な財産の管理権、子どもの法律行為に対する同意権)と身上監護権(身分行為の代理権、居所指定権、懲戒権、職業許可権など)を言います。

 

(2)監護権とは

親権の中の身上監護権を指していいます。つまり、親権のうち子どもの世話や教育をする親の権利義務ということになります。

 

2 どのような場合に親権と監護権を分けるのか

親権と監護権は、原則として同一の親に帰属しますが、例外的にこれらを別々に定めることも可能です。具体的には、以下のような場合が考えられます。

  • 親権者としては父親の方が適してるが、監護者としては、子どもが幼いため母親の方が適している。
  • 親権者である父親は、海外への出張が多く子どもの世話や教育がまったくできない。
  • 夫婦の間でどちらが親権者になるかで争いが長引いていて、子どもに良い影響を与えられないので親権者と監護権者を分けたい。

 

3 親権と監護権を分けることの問題点

監護権だけ取得しても、子どもの法律行為の代理人になれない為、不都合が出てくる場合があります。例えば、子どもと一緒に生活して監護しているのは母親である場合に、各種手当の受給については親権者である父親の協力が必要になることや、子どもの氏を監護権者である母の氏にしたいと思っても、親権者である父親の協力が必要になることがあります。父親と母親の関係が良好であればそれほど問題になることはないかもしれませんが、そうではない場合はトラブルになることが予想されます。

 

4 まとめ

子どもの親権や監護権についてお悩みのことがあれば、早めに弁護士に相談しましょう。子どもを思いやる親の気持ちを考えると、手元に子どもをおいておきたいということもとてもよくわかりますが、子どもの幸せを一番に考えるのであれば早めにどうしたらよいのか答えを出す必要があります。

茨城県内で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。離婚問題の様々な分野に精通した弁護士が丁寧にサポート致します。

【コラム】親権について9 外国人と離婚する場合の親権者を決める2つのケース

2020-07-09

質問

外国人の夫と離婚を考えています。未成年の子どももいるのですが、親権はどのように決められるのでしょうか。

 

回答

夫婦の一方が外国人のときは、離婚について日本法が適用されるのかどうか、離婚の手続はどうすればよいのかなど、様々な問題が発生します。

ここでは、国際離婚についての大まかな説明と、日本の裁判所で手続を行う場合の2つのケースをご説明致します。

 

解説

1 国際離婚について

国際離婚の場合は、まずどちらの国の法律が適用されるかが問題となります。

 

  1. 配偶者が日本にいる場合
    外国人の配偶者が日本にいて、日本で離婚するケースでは、日本の法律が適用されます。
  2. 配偶者が外国にいる場合
    配偶者が外国にいるケースのうち、日本人と外国人の夫婦が第三国(それぞれの国籍以外の国)に住んでいる場合は、その夫婦が住んでいる国の法律が適用されます。また、日本人が日本に住み、外国人が日本以外の国に住んでいる夫婦の場合は、日本の法律が適用されます。

 

日本法が適用される場合であれば、日本人同士の夫婦と同じように離婚手続きを進めることになります。双方の話し合いて合意ができれば、協議離婚が可能ですし、合意ができなければ調停、裁判での離婚ということになります。

では、次に、日本の裁判所で手続きを行う場合の親権の判断について、ケースを2つに分けてご説明致します。

 

2 子の本国法が父母の一方の本国法と同一の場合

子の本国法が父母の一方の本国法と同一の場合は、子の本国法が適用されます。たとえは、父・アメリカ国籍、母・日本国籍、子・日本国籍のときは日本法が適用されます。

つまり、親権の判断においては、日本人同士の夫婦の場合と同様に、監護の実績、監護に対する意欲と能力、健康状態、経済的・精神的家庭環境、教育環境、居住環境、親族等からの支援の可能性、子どもの年齢・性別・兄弟姉妹関係などから判断されることになります。

 

3 子の本国法が父母の一方の本国法と同一の場合でない場合

子の本国法が父母の一方の本国法と同一の場合でない場合は、子の常居所地法が適用されます。たとえば、父・日本国籍、母・アメリカ国籍、子・フランス国籍、子の常居所地:日本の場合は、日本法が適用されます。

 

4 まとめ

国際離婚は、日本人同士の夫婦の離婚に比べて複雑で、専門的な知識が必要になります。国際離婚や親権についてお悩みのことがあれば、専門家である弁護士に相談するようにしましょう。

茨城県で弁護士をお探しであれば当事務所にご連絡ください。国際離婚にも精通した弁護士が多数所属しています。些細なことにも丁寧にお答えしますので、安心してご相談ください。

【コラム】親権について8 子の引き渡しを求める4つの方法

2020-07-09

質問

離婚した夫に子どもを連れ去られました。引き渡しを求めるにはどのような方法があるのでしょうか。

 

回答

連れ去られた子供を取り戻す手続きには、家庭裁判所の「子の引渡し」手続きがありますが、適切な手順でスムーズに手続きをする必要があります。

 

解説

子の引き渡しを求めるには、どのような方法があるのでしょうか。以下、詳しく見ていきましょう。

 

(1)子の引渡しの調停・審判

離婚後、自分が親権者となって養育していた子どもを親権者ではない親が連れ去ったような場合に、その子どもを取り戻すために家庭裁判所に調停又は審判の申立てをすることができます。ただし、親権者でない親が、親権者に対して子どもの引渡しを求めるためには,原則として親権者変更の申立てを併せて行う必要があります。また、離婚前にこの手続きを利用する場合は、原則として子の監護者の指定の申立てをする必要もあります。

調停手続では、子どもの年齢・性別・就学の有無・生活環境等を考えて、子どもに精神的な負担をかけることのないように十分配慮して話合いが進められます。

なお、話し合いがまとまらず調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始されます。

 

(2)子の引渡しの審判前の保全処分(仮の引渡し)

子の引渡しの審判は、離婚訴訟よりは早く進みますが、それでもある程度の時間がかかります。また、家庭裁判所の判断に不服をもって高等裁判所に不服申し立てをされると、高等裁判所が判断をするまで審判は確定しません。

そこで、審判前の保全処分を申し立て、審判が出る前に仮の監護者の地位の指定等を求めることになります。

 

(3)強制執行

審判で親権者や監護権者と指定されて確定した後も、負けた方の親が子どもを引き渡さない、ということもあります。このような場合、審判が確定していれば、裁判所に強制執行の申立てをすることが可能です。

具体的には、履行しない親に対し、間接強制金の支払を命じる間接執行による方法と、裁判所の執行官が現地に赴き、直接子どもを引き取る直接強制による方法です。

 

(4)その他の方法

自らの意思によらないで拘束されている子どもを救済するために、人身保護法に基づき高等裁判所または地方裁判所に保護を請求するという手段も考えられます。しかし、請求が認められるための要件が厳格化され、特に別居中の夫婦間での人身保護請求が認められにくくなっているという難点があります。

また、実力行使で強引に連れ去ったという状況であれば、警察へ被害届を出して子の捜索・保護をしてもらうか、刑事事件として告訴することも可能です。

 

まとめ

子の連れ去りが発生した場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。子どもを奪い合うことで、大切な子どもを傷つけてしまう可能性もあります。話し合いで解決を目指す場合も弁護士であれば、代理人として交渉することができます。また家庭裁判所に申し立てを行う場合も、スムーズに手続きを進めることができます。

茨城県で弁護士をお探しの場合は、ぜひ当事務所にご連絡ください。

【コラム】親権について7 男性が親権を取得する場合の6つのポイント

2020-07-09

質問

父親でも親権を取得することはできるのでしょうか。

 

回答

もちろん可能です。ここでは父親が親権を取得する場合のポイントを解説していきます。

 

解説

1 父親が親権を取得するための6つのポイント

一般に親権の取得は母親の方が有利だと考えられていますが、父親も親権を取得できないわけではありません。

 

(1)養育の実績

子どもを愛情深く育てられることを示すには、これまでの養育の実績が何よりも重要です。実際に子どもの面倒を一生懸命に見てきたという、普段からの行動が大切なのです。子どもと一緒に遊んだり出かけたりしている様子を、日頃から見かけている近所の人たちや、送迎で会う保育園や幼稚園の先生たちから「陳述書」を書いてもらうことが有効です。

 

(2)子どもの意思

子どもが母親より父親との生活を望んでいることが明確であれば、父親の親権取得に有利に働きます。原則として、それが認められるのは、子供が15歳以上の場合ですが、15歳未満でも、小学校高学年くらいまで成長していれば、どちらの親と暮らしたいか、子どもの意見が尊重されるようになります。

 

(3)現状維持の原則

生活環境の変化は、子どもの成長にはあまり良くないため、離婚後にもし引っ越しや転校を検討しているのであれば、現状維持ができないと考えられる場合もあります。

 

(4)母親の監護能力に問題がある

母親が心身ともに健康ではない場合や、浪費癖浮気癖がひどく、子どもの養育に適していないと判断されるような場合は、父親が親権者として認められやすくなります。ただし、一方的に母親のことを悪く言うのではなく、冷静に証拠を出して対応するなど注意が必要になります。

 

(5)面会交流させる意思を明確にする

面接交流とは、離婚の際に親権者とならず、子を監護していない親が子どもと会うなどして交流することです。母親に原因があって離婚した場合であっても、子どもにとって母親であることには変わりありませんので、子どもと合わせる意思があることを明確にしましょう。

 

(6)家庭裁判所の調査官への接し方に注意

離婚裁判中に家庭裁判所の調査官が調査にくることがあります。その場合は、礼儀正しく常識的な態度で接するようにしましょう。また、伝えたい内容はできるだけ具体的に話すようにしましょう。

 

2 まとめ

親権を取得したいなど、離婚にまつわる問題でお困りの場合は、お一人で悩まずに弁護士にご相談ください。茨城県で弁護士をお探しの場合は、ぜひ当事務所にご相談ください。離婚問題で経験豊富な弁護士が丁寧にサポート致します。

【コラム】親権について6 親権の取得と収入の高低の関係?

2020-07-09

質問

現在パートで働いていますが、収入は多くはありません。収入が少なくても親権者となることができますか?

 

回答

収入のみで親権者が決まるわけではありません。

 

解説

親権者を決定する際に、専業主婦やパートだったりすると母親側としては、親権が貰えないのではないかと不安になる方も少なくありません。ここでは、どのような判断基準で親権者を決定していくのかご説明致します。

 

1 判断の基準について

(1)離婚後の子ども家庭環境はどうなるか

離婚後、子どもがどのように育てられるか、ということが重要です。働きながら親一人で子育てをすると子どもと接する時間が短くなりますが、接する時間が短いことと家庭環境の悪化が直ちに結びつくわけでもありません。常に子どもに目をかけ、おいしい食事を用意するなど接し方を工夫することもできます。

また、どのようなところに住むかということも重要です。これまでの住居から離れて引っ越しをして新たな場所に済む場合には、実家や知人を頼れる場所なのかどうか、何かあった場合に一緒に子どもの成長を見守ってくれる人がいるかどうかも子どもの成長のためには大切な要素になります。

 

(2)親に子どもの面倒をみる意欲・能力はあるか

子育てをするためには、基本的な生活能力が必要になります。日常生活を維持し、子どもを育てていくためには、炊事・洗濯等が一通りできることが必要になります。また、子どもの養育にあたって「経済力」も非常に重要ですが、父親が子どもの養育費を払うことも多いため、母親の経済力がそのまま親権の判断に直結するということはありません。生活に必要な最低レベルの収入を得ることができれば、養育していくことは可能でしょう。

 

(3)親の生活態度はどうか

親が子どもを養育するのに適した生活を送ることができるかどうかも重要な判断要素です。ギャンブルや買い物に依存するような生活を送っているようでは、子どもを安心して任せることはできません。

 

2 経済力が低い場合の支援制度

「自分ひとりで子どもを育てていけるのか」という経済的な不安を持たれる方も少なくありませんが、以下のような支援制度もあります。

(1)児童扶養手当

いわゆる母子家庭・父子家庭などのひとり親家庭のために設けられた手当で、地方自治体から支給されます。

 

(2)児童手当

児童手当はひとり親家庭に限って支給される助成金ではなく、支給対象となる子どものいる全家庭を対象としたもので、国が行っている支援制度です。

 

(3)自治体ごとの支援

自治体独自にひとり親世帯へ手当を支給している場合もありますし、医療費や保育料の減免を行っている場合もあります。具体的な支援や給付手続きについては各自治体に問い合わせてみましょう。

 

3 まとめ

親権の取得についてお悩みのことがあれば、離婚問題等に精通している弁護士に早めに相談しましょう。茨城県内で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。離婚問題で経験豊富な弁護士が丁寧にサポート致します。

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