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【コラム】養育費について15 再婚や養子縁組による養育費の増減の可否

2020-08-06

質問

数年前に離婚した前妻との間に8歳の子どもがあり、前妻と協議のうえ月額5万円の養育費を支払っています。その後、私は連れ子のいる再婚相手と再婚し、連れ子とも養子縁組をしました。

私の収入で、前妻の子も連れ子も扶養しているのですが、このような場合、前妻の子どもの養育費を減額してもらうことはできないのでしょうか。

 

回答

相談者の方が支払う養育費を減額できる可能性があります。

 

解説

1 養育費の算定について

養育費とは、子どもが社会人として独立自活ができるまでに必要とされる費用です。養育費には、子どもの衣食住の為の費用・健康保持のための医療費・教育費が含まれます。

養育費の範囲は、養育費支払義務者である親の生活水準と同等の生活水準を、子どもが維持するために必要な範囲とされています。具体的な基準としては、裁判所の養育費算定表を使います。

養育費の支払い条件に合意のできた後に双方の事情がかわり、負担が不公平なものになった場合は、父母双方の事情を踏まえて平等な負担となるように養育費の月額を見直しできるとしています。

 

2 事情変更があるとして合意内容等を変更するための要件

では、養育費変更の「必要があると認めるとき」とは具体的にどのような場合なのでしょうか。具体的には、①合意した内容等を維持することができないような事情の変更があること②養育費変更の必要性③養育費変更の相当性がある場合に養育費変更が認められることになります。

 

3 実際の計算方法はどのようになるのでしょうか。

【ケース】

  • 養育費支払義務者(相談者)が再婚/再婚相手の連れ子と養子縁組/再婚相手は無収入

① 前妻の子どもも、養育費支払義務者、再婚相手、養子と同居しているという前提で前妻の子どもの生活費を算出する。

② ①で算出した生活費を、養育費支払義務者と養育費請求者の基礎収入の割合で按分し、養育費支払義務者が分担すべき前妻との子どもの養育費を算出する。

 

4 結論

今回の相談のように、再婚して同時に再婚相手の連れ子と養子縁組をした場合には、前妻の子どもに対する養育費が減額される可能性があります。

ただし、実際にどの程度まで減額できる見込みがあるのか、どのように進めていくのが良いのかについては、弁護士に相談しながら進めていきましょう。

 

5 まとめ

養育費についての判断は、知識や経験が必要になりますので、早めに弁護士に相談しましょう。

当事務所では、離婚相談や養育費についての相談を多く手掛ける弁護士が、相談者のお話を丁寧に伺い、状況に最も適合するアドバイスを差し上げています。茨城県で弁護士をお探しの場合には、ぜひ当事務所にご連絡ください。

【コラム】養育費について14 再婚相手と子どもが養子縁組した場合の元配偶者への養育費の請求の可否

2020-08-05

質問

再婚することになったのですが、再婚相手と前夫との子どもとの間で、養子縁組をする予定です。再婚相手の収入がそれほど多くないので、前夫に養育費を支払って欲しいのですが、請求は可能でしょうか。

 

回答

養子縁組をした場合、第一次的な扶養義務を負うのは養親ですが、前夫は子の実親であるため、第二次的な扶養義務を負います。そのため、養親の収入だけでまかないきれない場合は、前夫にも養育費の請求をすることができます。

 

解説

1 養子縁組をした場合

民法第877条第1項により「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。」と定められており、実親は子どもを扶養する義務があります。そのため、親が離婚したとしても、実親である以上、子どもに対する扶養義務はなくなりません。

ただし、再婚相手と子どもとの間で養子縁組をした場合には、第一次的には、養親となった再婚相手が子どもに対して扶養義務を負うことになります。そして、実親は、養親に資力がなく扶養することができない等の理由によって、充分に扶養義務を履行できない場合に限り、実親は扶養義務を負うことになります。

 

2 養子縁組をしない場合

親が再婚しても、養子縁組をしなかった場合、再婚相手に子どもを扶養する義務はありませんので、養育費を負担する必要もありません。したがって、再婚相手に十分な収入があったとしても、実親が養育費の負担をしなければならないことになります。

ただし、実際は再婚相手の収入で子どもを養育できるにも関わらず、実親である離婚相手への養育費請求を目的として、あえて再婚相手と養子縁組をしないなどの事情があると後々トラブルになる可能性があります。

 

3 その他の問題点

その他、再婚と養育費にまつわる問題として、再婚する際に、養育費をもらっていることを再婚相手に伝えるかどうかという問題があります。相手によっては、前夫から養育費を貰っていることをよく思わない場合もあるかもしれませんが、後で事実が発覚して気まずくなるよりは、はじめに伝える方が良いでしょう。

また、前夫との関係では、再婚について知らせるべきかどうかという問題もあります。知らせる義務はありませんが、後々再婚が発覚した場合に快く思わない場合もあると思われます。前夫に再婚を知らせることについては、メリットもデメリットもあり得ますので、前夫の性格、離婚の経緯、子どもの状況等を慎重に検討して行動しましょう。

 

4 まとめ

再婚と養育費について、いかがでしたでしょうか。離婚したとしても、子どもに対する扶養義務がなくなることはありません。適切な養育費の算定については、知識や経験が必要になりますので、お困りのことがあれば弁護士に相談しましょう。

茨城県で弁護士をお探しの場合は、当事務所にご連絡ください。経験豊富な弁護士が、ご相談様が納得できる内容での解決を目指します。まずは気軽にご相談ください。

【コラム】養育費について13 生活保護費・児童手当等と養育費の算定方法

2020-08-04

質問

養育費の算定にあたり、生活保護費や児童扶養手当は収入として考慮されるのでしょうか。

 

回答

生活保護費や児童扶養手当等は、養育費の算定に当たり、収入として考慮されません。

 

解説

1 生活保護とは

生活に困窮する人に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とした制度です。

厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。

具体的には、日常生活に必要な費用、アパート等の家賃、義務教育を受けるために必要な学用品費、医療サービスの費用などが支給されることになります。

 

2 児童扶養手当とは

父母が離婚するなどして父又は母の一方からしか養育を受けられない一人親家庭などの児童のために、地方自治体から支給される手当です。

手当は、基本の額と、所得に応じてそれに対する支給停止額から決定され、基本の額は、児童扶養手当法第5条と児童扶養手当法施行令第2条の2に定められており、毎年改定されます。

 

3 児童手当とは

児童手当法に基づき、家庭生活の安定と健全育成及び資質の向上を目的とし、養育者に現金給付されるもので、所得が一定額以上の場合支給されません。

 

4 養育費の算定について

(1)生活保護費と養育費について

生活保護は養育費を支払ってもらっても足りない分を補充するものなので、生活保護の支給額を収入として養育費を算定することはできません。

 

(2)児童扶養手当と養育費について

養育費を算定した後に、児童扶養手当がもらえる額が決まるという構造になっており、生活保護費と同様、補充的な性質を持つものになります。

 

(3)児童手当と養育費について

児童手当については、広島高裁平成22年6月24日により、『民法上の扶養義務に淵源を有する養育費の支払いに影響を与えるものではない』との判断がなされています。

したがって、生活保護費や児童扶養手当等は、養育費の算定に当たり、収入としては考慮されないということになります。

 

4 まとめ

養育費の算定には、経験やノウハウが必要です。何かお困りのことがある場合は、専門家である弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、知識と経験に基づき適切なアドバイスをすることが可能です。

茨城県で弁護士をお探しの場合は、当事務所にご連絡ください。離婚や養育費にまつわる問題解決において、経験豊富な弁護士が多数在籍しております。些細なことでもお気軽にご相談ください。

【コラム】養育費について12 双方が子どもを養育している場合の養育費の算定方法

2020-08-03

質問

子どもをそれぞれが引き取り、別々に養育しています。その場合の養育費はどのように計算されるのでしょうか。

 

回答

いくつかの計算方法がありますが、ここでは、養育費算定表と生活費指数を使いながら計算する簡易な方法をご紹介いたします。

 

解説

1 養育費の算定

養育費の算定には、裁判所が基準として使っている算定表が用いられます。

この算定表は、夫婦双方の所得を当てはめて養育費の適正額を算出するものですが、早見表であるため、妻か夫のいずれか一方が子ども全員を監護しているという一般的なケースにしか対応していません。

そのため、夫婦それぞれが子どもを引き取っているような場合には、別途計算する必要があります。

 

2 養育費算定表と生活費指数を使いながら計算する方法

【ケース】

養育費支払い義務者の年収300万円/養育費請求者の年収0円

14歳未満の子どもを一人ずつそれぞれが育てている場合。

 

(1)養育費請求者が子どもたち全員と暮らしている場合を算定表で計算

まず、養育費請求者が子どもたちを養育していると仮定して養育費算定表を確認すると、養育費の額は月4~6万円となります。

 

(2)養育費請求者が養育している子の生活費指数割合をかける

14歳未満の2人の子どもの生活費指数は55+55で110です。

養育費支払義務者は、養育費請求者が養育している1人分の生活費を支払えばいいので、55/110、つまり1/2を支払えば良いことになります。

ケースにあてはめて計算すると、養育費は(4~6万円)×(1/2)=2~3万円となります。

 

3 共同監護の場合

養育費の算定表は、養育費請求者が子どもの監護権を有していることを前提としていますが、通常の面会交流時の食費等は養育費の算定では考慮されていません。

しかし、面会交流が柔軟かつ頻繁になされている場合には、養育費支払義務者も自分自身が子どものために食費など相当の費用を使うようになりますので、養育費の負担金額を調整する必要が出てきます。この場合には、監護の負担割合や監護時間等を考えて養育費の金額を調整していきます。

なお、面会交流と養育費の問題で、親同士の関係が悪く、面会交流できないので、養育費も払いたくないという相談もあります。しかし、面会交流と養育費は別の問題になりますので、面会交流ができていなくとも、親の義務として養育費は支払わなければなりません。

 

4 まとめ

養育費の算定については、知識と実務を通じてのノウハウが必要になります。算定にあたってお困りのことがあれば早めに弁護士に相談するようにしましょう。

茨城県で弁護士をお探しであれば当事務所にご連絡ください。離婚や養育費に精通した弁護士が丁寧にサポート致します。お気軽にご相談ください。

【コラム】養育費について11 子どもが4人以上の場合の養育費の算定方法

2020-08-01

質問

子どもが4人いるのですが、養育費はどのように算定されるのでしょうか。

 

回答

養育費の算定には、「算定表」という簡易的な早見表を使っておよその額を算定します。ただし、子ども4人には対応しておりませんので、別途計算が必要になります。以下、ご説明いたします。

 

解説

1 子どもが4人以上の場合の養育費の算定方法

この場合の養育費の算定方法としては、裁判所の養育費算定表作成の基になった考え方に立ち戻って最初から計算する方法や裁判所の養育費算定表を使いながら計算する方法などがありますが、一般的によく使われる方法として、ここでは、標準的な生活指標を用いて算出する方法をご説明いたします。

 

2 生活指標を用いて算出する方法

(1)生活指標

大人と子どもでは必要な生活費が異なりますので、大人である親の必要とする標準的な生活費と子どもの必要とする標準的な生活費を考慮して、養育費の計算がなされます。具体的な生活指標は、以下のとおりです。

親=大人 100
0歳から14歳までの子 55
15歳から19歳までの子 90

 

(2)算定表で子ども一人の場合の額を調べる

たとえば、養育費支払い義務者の年収が300万円、養育費請求者の年収が0円で、14歳以下の子どもが1人の場合、算定表によると養育費は月2~4万円となります。

 

(3)子供の人数分の配分割合をかける

14歳以下の子どもが4人いる場合、1人分の養育費をそのまま4倍してしまうと、養育費を支払った親の生活レベルが子どもよりも低くなってしまいます。

そのため、自分(=生活指標100)の生活費を取っておいた上で、子ども4人(一人あたりの生活指標はそれぞれ55)養育費を支払うべきことになります。

計算方法は、生活費指数合計に占める子どもの生活費指数の割合に養育費の額が比例するものとして養育費の額を算出します。

 

3 相手方の年収の調べ方

相手方がサラリーマンの場合は、源泉徴収表に「支払金額」と記載されている欄があり、そこに記載されている金額が年収です。相手方の源泉徴収票がない場合、弁護士に依頼して相手方に開示を求めることも可能です。

相手方が自営業者の場合は、確定申告書の控えを確認するか、事業用の通帳等を見て売り上げを確認することになります。

 

4 まとめ

算定表に当てはまらない養育費の算定は複雑で、計算が難しいことがあります。養育費は子どもを養育するための大切な費用です。

養育費については、相手方とトラブルになることもありますし、そもそも協議に応じてくれないこともあります。

少しでもお困りのことがあれば、専門家である弁護士に相談しましょう。

茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。離婚や養育費に精通した弁護士が丁寧にサポート致します。

【コラム】養育費について10 高所得者の場合の養育費の算定方法

2020-07-31

質問

養育費算定の際には、裁判所の一般的な基準である「養育費算定表」を用いると聞きました。

「養育費算定表」を超える高所得者の場合にはどのように養育費を決定するのでしょうか。

 

回答

「養育費算定表」を超える高所得者の場合の養育費算定方法は、4つあります。以下、詳しく説明いたします。

 

解説

1 そもそも「算定表」とは

養育費を決定する際、双方の協議により合意できる金額であればいくらでも構いませんが、合意で決定できなかった場合には、裁判所の調停や審判で決定することになります。

裁判所の調停や審判では、「養育費算定表」に年収(基礎収入)をあてはめて、簡易に養育費・婚姻費用が算定されます。

ただし、この「養育費算定表」には、給与所得者の場合、源泉徴収票の支払金額で2000万円、自営業者の場合、確定申告書の課税される所得金額で1409万円という上限があります。

そのため、これらの上限を超える高所得者の養育費は別の方法での算定が必要になります。

 

2 高所得者の養育費算定方法

では、高所得者の養育費の算定はどのように行うのでしょう。ここでは4つの方法についてご説明いたします。

(1)上限頭打ち方式

所得が「養育費算定表」の上限を超える場合であっても、「養育費算定表」の枠組みを使い、「養育費算定表」の上限年収により算定される費用を適用します。

 

(2)基礎収入割合修正方式

所得が「養育費算定表」の上限を超える場合は、所得の中から貯蓄・資産形成にあてる部分が生じ、消費に充てられる基礎収入の割合は低下します。

算定自体は「養育費算定表」の枠組みを使いますが、「養育費算定表」の上限を基礎収入の割合で修正して算定します。

 

(3)貯蓄率控除方式

所得が「養育費算定表」の上限を超える場合は、所得の中から貯蓄・資産形成にあてる部分が生じ、消費に充てられる基礎収入の割合は低下します。

算定自体は「養育費算定表」の枠組みを使いますが、基礎収入を計算する際に貯蓄率を控除して算定します。

 

(4)類型的な算定方法を用いない方法

所得が「養育費算定表」の上限を超える場合に、「養育費算定表」を用いず、個別的な事情から相当な費用を裁量で算定します。

具体的には、同居中の生活レベルや生活費支出状況、現在の生活費支出状況等を考慮して決定されることになります。

 

3 まとめ

「養育費算定表」を超える高所得者と言っても、実際の所得、生活状況や子どもに関する状況などはケースによって異なるため、一括りにすることはできません。

養育費は子どもを育てるための大切な費用になりますので、慎重に対応する必要があります。養育費についてお困りのことがあれば弁護士に相談しましょう。

茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご相談ください。

当事務所の弁護士は離婚問題にも精通しており、高所得者の養育費問題についても多くの経験、ノウハウを有しています。まずはお気軽にご相談ください。

【コラム】養育費について9 子どもが離婚後に大学進学をした場合に養育費は変更できる?

2020-07-30

質問

子どもの大学進学が決まる前に養育費について取り決め、毎月支払ってもらっています。子どもの大学進学が決まったのですが、養育費を増額してもらうことができるのでしょうか。

 

回答

大学進学による養育費の増額ができるかできないかはケースバイケースになりますので、場合をわけてご説明いたします。

 

解説

1 離婚の際に、大学費用を相手方(養育費支払義務者)が負担することが決まっていた場合

お互いが合意できるのであれば、何の問題もなく相手方に負担してもらうことができます。大学費用についても、事前に合意しておくことで、支払ってもらうことができます。

 

2 離婚時には、大学費用の負担までは決まっていなかった場合

結論から言うと、増額してもらうのは難しい場合が多いです。

そもそも養育費は、一度その額が決まったとしても、双方の事情が変わったときには、額を変更することが可能です。つまり、父母双方の事情を踏まえて平等な負担となるように養育費の月額を見直しすることができるのです。

では、どのような場合に、事情が変わったといえるのかというと、例えば、養育費支払義務者の失業、養育費請求者の就職、子供の病気の治療等、養育費を決めた当時には予想できなかった事情の変更をいいます。

では、大学進学が事情の変更にあたるかどうかですが、将来大学に進学するかどうかは、現代の一般的な子どもの大学進学状況や親の学歴等を勘案することにより、比較的検討しやすい内容になっており、大学進学をしたということが直ちに事情の変更にあたるとは言い難いと思われます。

 

3 養育費増額のために

前述のように、大学進学による養育費の増額はなかなか難しい場合が多いのですが、不可能というわけではありませんので、子どものためにも、養育費を増額してもらえるよう工夫してみましょう。

(1)親同士の良好な関係を築く、進路の相談をする

たとえ離婚しても、双方が子どもの親であることには変わりありません。子どものためにも、離婚後もできるだけ良好な関係を築くようにしましょう。

また、養育費支払義務者に気持ちよく負担してもらうためにも、進路については自分(養育請求者)と子どもだけで決めるのではなく、相手方とも相談して決めるようにしましょう。

 

(2)子供のために支出している費用を開示する

子どもを育てていくには、思った以上にお金がかかるものです。日ごろ子育てをしていない親は、それがわかりにくいので、突然養育費の増額を要求されても、金額に驚き、使い込みをされるのではないか、と不安な気持ちになることもあります。そのため、子育てにかかる費用を整理し、相手に開示するようにしましょう。

 

4 まとめ

養育費の増額請求をするには、相手との交渉が非常に重要になってきます。

もともと交渉が苦手、または相手と話すことが難しいという事情がある場合は、法律のプロである弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、相手も納得するようは理由を提示し、有利に交渉を進めていくことができます。

茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご連絡ください。

【コラム】養育費について8 過去の養育費をまとめて請求することの可否

2020-07-29

質問

離婚時より子どもも大きくなってきて生活費や教育費がかかるようになってきました。養育費が欲しいのですが、過去に遡って支払ってもらうことはできるのでしょうか。

 

回答

養育費は、養育費請求権を具体化したあと、つまり請求した時を基準として払ってもらうことができます。そのため、過去に遡って支払ってもらうことができる場合があります。

 

解説

1 養育費の取り決めが既になされている場合

事前に養育費の取り決めがなされていたにもかかわらず養育費の支払いをしてもらえない場合には、過去に遡って未払い養育費の請求をすることが可能です。

 

2 養育費の取り決めがなされていない場合

問題は、事前に養育費の取り決めがなされていない場合です。離婚を急ぐあまり、養育費などについて十分な取り決めをしないまま離婚してしまうことがあります。

もちろん、養育費について、あとから決めることも可能ですので、まずは当事者で話し合いをして決めるようにします。当事者で話し合っても合意できない場合は、裁判所の調停や審判で決まることになります。

では、養育費の取り決めがなされるまでの過去の分について、遡って請求することができるのでしょうか。この点、裁判所は、養育費が定期的に発生するものであること、これまで養育費請求をしなくとも生活できていたこと、扶養が必要な状態にあったか否かの判断が難しいこと等の理由から、遡っての請求を認めないことがほとんどです。

もっともすべての場合に認められないわけではなく、過去に遡っての養育費の請求が認められる場合もあります。いずれにせよ、裁判所が両親双方の資力・財産・収入の状況、両親双方の現在の生活状態、子どもの年齢、人数、養育状況などを総合的に考慮して判断することになります。

 

3 養育費請求権と消滅時効について

養育費請求権も、長期間行使していないと時効にかかることがあります。では、養育費の時効期間は何年なのでしょうか。

これについては、離婚時に養育費の取り決めをしていたかどうか、で異なります。離婚時に取り決めをしていて、すでに養育費が具体的に発生している場合、養育費の時効期間は基本的に5年です(民法第169条、提起給付債権)。ただし、離婚調停や養育費調停・審判、離婚訴訟などの裁判所の手続きによって養育費が決定された場合は、時効期間は10年となります。

いずれにせよ、未払い状態を放置してしまうと、消滅時効により養育費請求権が消滅する可能性がありますので注意が必要です。

 

4 まとめ

未払いの養育費についてお困りのことがあれば、弁護士に相談するようにしましょう。前述のように、養育費請求権には消滅時効もありますし、早めに対処する必要があります。弁護士であれば、相手との交渉から調停・審判の手続きまですべて任せることができます。

茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。離婚にまつわる問題に精通した弁護士が丁寧に対応いたします。

【コラム】養育費について7 養育費にも消滅時効は適用される?

2020-07-28

質問

相手が養育費を払わなくなって4年経ちます。養育費にも消滅時効は適用されるのでしょうか。

 

回答

養育費にも消滅時効が適用されます。

 

解説

1 養育費の時効

養育費を請求する権利も、長期間行使していないと、時効にかかることがあります。離婚時に養育費に関する取り決めをしていて、すでに養育費が具体的に発生している場合、養育費の時効期間は5年です。

養育費は、毎月定額を支払うことが普通(定額給付債権)に該当し、民法第169条によって、定期給付債権の時効は5年と定められています。つまり、養育費は発生すると、その後5年で消滅します。

ただし、離婚調停や養育費調停・審判、離婚訴訟などの裁判所の手続きによって養育費が決定された場合は、確定判決で認められる時効期間が適用され、時効期間は10年となります。

 

2 時効の中断

では、一旦時効期間が始まると、時効をとめることはできないのでしょうか。時効援用によって不利益を被ることになる側の人の対抗手段として,時効の中断という制度があります。

時効の中断とは、時効期間の進行を中断させることができるという制度です。時効が中断すると、それまで進行してきた時効期間はリセットされます。養育費の時効が完成しそうになっていても、時効の中断事由が発生すると、時効期間がゼロに戻り、時効は完成しなくなります。

時効の中断事由には、債務承認や裁判上の請求、仮差押や差押などの手続きがあります。以下ご説明致します。

① 債務承認

債務承認とは、支払い義務者が「支払い義務があります」ということを認めることです。

② 裁判上の請求

訴訟や調停などをすると、時効を中断させることができます。

③ 仮差押、差押

仮差押や差押えの手続きにも時効中断の効果があります。中断します。

 

3 時効完成目前になったら・・・

養育費の時効完成が目前に迫ってきたら、まずは内容証明郵便によって滞納している養育費についての支払い請求書を送ります。

このことにより、半年間養育費の時効完成が遅られせることができます。

しかし、これだけでは養育費の時効が中断しないため、その半年間の間に、具体的な裁判手続きをとる必要があります。

 

4 まとめ

養育費は子どものための大切なお金です。一度約束したのであれば、支払う側としては、きちんと約束を守って子どもの成人まで支払いを続けることが大切です。

養育費支払い義務者が養育費を長期間支払ってくれず、困ったときや対処方法がわからない場合には、弁護士に相談するようにしましょう。

茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。離婚や養育費にまつわる問題について精通している弁護士が親身になってサポート致します。

【コラム】養育費について6 養育費を変更できる場合とは?

2020-07-27

質問

養育費を変更できる場合があるそうですが、それはどのような場合なのでしょうか。

 

回答

一度決めた養育費を変更するのは簡単ではありますが、変更できる場合もあります。以下、詳しく説明致します。

 

解説

1 養育費の額の決め方

養育費は、未成熟の子どもを養育するために必要な費用になりますので、法律等で一律に額が決まっているわけではなく、当事者同士の話し合いにより、金額や支払い時期等について、話し合って決めるのが基本です。しかし、協議で決定できなかった場合は、家庭裁判所の調停や審判で決定されることになります。

調停では、家庭裁判所が選任した調停委員が当事者の話を聞き、中立な立場から調停案が提案されます。ここで双方が納得できればそれで養育費は確定しますが、調停が不調に終われば、自動的に審判に移行します。

 

2 養育費の算定方法

養育費は、子どもが成長して自立するまでの、子どもが生活するために必要な費用です。そのため、養育費支払い義務者である親と同程度の生活は保障されてしかるべきです。

この点を考慮し、実務上は、「養育費算定表」が基準として養育費を算定されることになります。

もちろん、養育費算定表だけで計算できない特別な事情があることもありますので、それぞれのケースに応じた金額が養育費として算定されます。

 

3 養育費はあとから変更できるか

養育費について一度合意すれば、後で簡単に変更することはできません。ただし、養育費は子どもが自立するまでの長い期間支払い続けるものになりますので、その間に状況が変化していくことがあります。

たとえば、子どもが急に病気になってしまったり、進学にあたってさらに教育費がかかったりすることがあります。また、逆に、養育費を受け取る側の収入が大幅に増え、養育費を貰わなくても良くなったという場合もあります。

このように、養育費における合意後に双方の事情が変わったときには、養育費の負担が不平等な状況になっていることもありますので、これを公平な負担に是正するために、養育費の変更が認められる場合があるのです。

ただし、いくら状況に変化があったとしても、養育費の条件に合意をしたときに予想できた範囲内の変化であれば、養育費の金額を変更することは容易に認められないとされます。

養育費の合意をした時点では想定していなかった事情が発生したときのみ、再度父母間で協議をしたうえで、養育費の金額を見直す余地が出てきます。

 

4 まとめ

養育費変更が認められるかどうかについては専門家でなければなかなか判断がつきません。養育費の変更については、お悩みのことがあれば早めに弁護士に相談しましょう。

弁護士であれば、豊富な知識と経験により的確なアドバイスをすすることが可能です。また、調停や審判に発展した場合も代理人として対応してもらうことが可能です。

茨城県で弁護士をお探しであればぜひ当事務所にご連絡ください。

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