Archive for the ‘婚費分担について’ Category

双方が子どもを監護している場合の婚姻費用の算定方法

2021-06-23

相談

私も子どもを監護していますが、夫も子どもを監護しています。このような場合、婚姻費用の算定はどのようになるのでしょうか。

回答

いくつか方法はありますが、標準的な生活指標を用いて算出する方法について、ご説明致します。

解説

婚姻費用算定表

婚姻費用の算定にあたって基準になるのが、婚姻費用算定表です。婚姻費用算表は、夫婦の年収を当てはめて算出する簡易的なものになるため、妻、夫のいずれか一方が子ども全員を監護しているという前提で作成されています。

そのため、夫婦の両方が、それぞれ子どもを監護しているような場合には、この算定表をそのまま使うことができなくなるため、総収入に対する標準的な割合を用いて基礎収入を算出し、標準的な生活費指数を用いて算定します。

婚姻費用の標準的な算定方法

婚姻費用の支払いにおける義務者・権利者双方の実際の収入金額を基礎(※2)とし、義務者・権利者及び子どもが同居しているものと仮定して算出します。具体的には、義務者・権利者の「基礎収入」の合計額を世帯収入とみなし、その世帯収入を権利者及び子どもの生活費指数(※2)で按分し、義務者が権利者に支払う婚姻費用を算出します。

(※1)基礎収入とは、総収入のうち自由に使える金額のことです。給与所得者の基礎収入は、総収入の概ね34~42%の範囲、自営業者の基礎収入は、総収入の概ね47~52%の範囲です。

(※2)生活費指数とは、世帯の収入を、世帯を構成するメンバーに、どのように割り振るべきかを示す指数のことです。親は100、0歳から14歳の子どもは55、15歳~19歳の子どもは90です。

夫婦双方がそれぞれ子どもと同居している場合の婚姻費用の算定方法

例えば、夫(義務者)の年収が700万円、妻(権利者)の年収が300万円、子どもA(16歳)を夫が、子どもB(10歳)を妻が、それぞれ監護している場合の婚姻費用については以下のとおりです。

それぞれの基礎年収

義務者の基礎収入:700万円× 0.37=259万円

権利者の基礎収入:300万円× 0.39=78万円

権利者である妻世帯に割り振られる婚姻費用

(259万円+78万円)×(100+55)/(100+100+55+90)≒ 151.4万円

義務者から権利者に支払うべき婚姻費用の分担額

上記結果から権利者である妻の基礎収入を控除して、義務者が支払うべき婚姻費用を算出します。

(151.4万円−78万円)÷ 12か月= 6.1万円

まとめ

婚姻費用分担については、一応算出が可能ですが、個別の事案によって状況も違いますので、早めに弁護士に相談することをお勧め致します。

茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご相談ください。当事務所には、婚姻費用分担の解決について、経験豊富な弁護士が多数在籍しています。安心してお任せください。

高所得者の場合の婚姻費用の算定方法

2021-06-22

相談

夫が高所得者のため、収入が婚姻費用算定表の上限を超えています。その場合、婚姻費用の算定はどのように行われるのでしょうか。

回答

年収が婚姻費用算定表の上限を超える場合の考え方はいくつかあり、事例に応じてどの場合にどの考え方によるのかの基準は明確ではありません。以下で説明致します。

解説

婚姻費用算定表の上限について

婚姻費用の額は、当事者が合意によって決めることができます。当事者同士での合意ができない場合には家庭裁判所の調停や審判で決定することになります。

その際の基準となるのが、婚姻費用算定表です。ただし、婚姻費用算定表は、簡易版であるため、給与所得者については上限が年収2,000万円、自営業者については上限が所得1,409万円となっています。

高額所得者の場合の算定方法

上限頭打ち方式

この見解は、高所得者であっても、算定表の上限である年収2,000万円(自 営業者は所得1,409万円)で婚姻費用を算定すべきというものです。

基礎収入割合修正方式

標準的算定方式の枠組みは維持した上で、その中で使う基礎収入割合だけ修正するという計算方法です。

標準的算定方式では、総収入のうち自由に使える金額(基礎収入)を元にして婚姻費用の金額を計算します。

基礎収入の計算は、総収入に、一定割合(基礎収入割合)を掛けて算出します。

基礎収入割合は収入が増えるほど低下する仕組みになっているので、基礎収入割合を修正して、標準的算定方式が使うというのが基礎収入割合修正方式の考え方です。

貯蓄率控除方式

高額所得者の特徴として、貯蓄に回す金額が多いということがあります。そこで、自由に使える金額(基礎収入)を算出する際に、貯蓄に回す金額を差し引き、それ以降の計算は標準的算定方式をそのまま使うというのが、貯蓄率控除方式になります。

裁量での算定方式(フリーハンド方式)

同居中の生活レベル・生活費支出状況、現在の生活費支出状況等を個別具体的に検討し、相当な婚姻費用を裁量で算定する方式です。

まとめ

婚姻費用の分担でお困りのことがあれば、弁護士に相談しましょう。特に高額所得者の婚姻費用分担では、総収入が算定表の上限を超えるので、専門家でなければ判断をするのが難しいと言えます。

茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。離婚や婚姻費用分担に精通した弁護士が、多数所属しています。ご相談者様のご意向に沿った解決ができるよう、安心・丁寧にサポート致します。

自営業者の場合の婚姻費用の算定方法

2021-06-21

相談

夫と別居するにあたり、婚姻費用を請求しようと思っています。参考として婚姻費用算定表を見てみたのですが、よくわかりません。夫が自営業者の場合は、どのように婚姻費用が算定されるのでしょうか。

回答

確定申告書を参照して算定することになりますが、以下で詳しくご説明します。

解説

自営業者の年収(基礎収入)額とは

自営業者の年収、すなわち養育費算定表にあてはめる収入の計算については、確定申告書右上の「課税される所得金額」に「実際に支出していない費用」を加算することとされています。

「実際に支出していない費用」を具体的に説明すると、税法上の控除項目(現実に支出されているわけではない)である青色申告特別控除、雑損控除、寡婦寡夫控除、勤労学生障害者控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除があげられます。また、専従者給与については、計上されていても実際には支払われていない場合もあります。

医療費控除、生命保険料控除等については、算定表で収入に応じた標準額が既に考慮されていますので、こちらも加算する必要があります。

さらに、小規模企業共済掛金控除 寄附金控除という養育費・婚姻費用の支払いに優先しない支出項目といえる所得控除も加算する必要があります。

計算方法

考え方は上記のとおりですが、実際には、確定申告書の「所得金額」の「合計」金額から、社会保険料控除額を差し引き、次に青色申告決算書・白色申告収支内訳書のうち、実際に支出していない費用を加算する方法が簡単です。

算定表へのあてはめ

自営業者の年収が確定できたら、婚姻費用算定表を使用して金額を算定します。

子どもの人数と年齢から利用すべき婚姻費用算定表を選び、婚姻費用を支払う側の年収を縦軸で確定し、婚姻費用をもらう側の年収を横軸で確定します。縦軸と横軸が交差する金額が婚姻費用の金額となります。

まとめ

婚姻費用の算定についてお困りのことがあれば、弁護士にご相談ください。婚姻費用については、算定表を利用してある程度の目安をつけることができますが、実際にどれくらいになるのかは経験豊富な弁護士に相談してみましょう。

相手方との交渉が決裂した場合でも解決に向けた支援を受けることができます。

茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。離婚や婚姻費用の分担に精通した弁護士が、安心・丁寧にサポート致します。

子どもが私立学校に進学する場合には婚姻費用は影響される?

2021-06-19

相談

別居後、妻と同居している子どもが私立高校に進学することになったのですが、私立高校進学にかかる費用は婚姻費用に加算されるのでしょうか。

回答

婚姻費用の算定にあたっては、算定表を用いますが、こちらで想定しているのは、公立の中学・高校を想定しています。そのため、私立学校への進学について、両親が納得しておいる場合には増額する必要があります。

 解説

婚姻費用の分担

婚姻費用とは、夫婦が婚姻生活を維持するために必要な費用のことで、具体的には、居住費や生活費、子どもの生活費や学費をいいます。夫婦は、その収入や財産、社会的地位に応じて、それぞれが婚姻費用を分担する義務があり、この義務は夫婦である間はずっと継続します。

そのため、夫婦が別居する際には、収入の高い方が、低い方に婚姻費用の支払いをします。

婚姻費用の決め方

婚姻費用は、お互いに合意できるのであれば、夫婦で話しあって決めることができます。話し合っても合意できない場合やそもそも話し合いができないような場合は、家庭裁判所での調停や審判で決めることになります。家庭裁判所では、婚姻費用算定表を用いて算出します。

婚姻費用算定表の見方は、子どもの人数と年齢から利用すべき婚姻費用算定表を選び、婚姻費用を支払う側の年収を縦軸で確定し、婚姻費用をもらう側の年収を横軸で確定します。縦軸と横軸が交差する金額が婚姻費用の金額となります。

増額と減額について

夫婦の合意によって婚姻費用の分担を決めていた場合、夫婦で改めて減額や増額に合意できれば、婚姻費用の額を変更することができます。

婚姻費用の分担が、家庭裁判所の調停や審判で決まった場合、減額や増額を請求するには、婚姻費用の減額・増額の調停・審判を申し立てる必要があり、家庭裁判所での判断基準は、①事情の変化とその予測可能性、②婚姻費用を減額・増額することの必要性となります。

子どもの私立学校への入学

今回の事例を検討すると、子どもの私立学校への進学について、両親ともに了承していた場合には増額が認められる可能性があります。

一方で、夫は公立高校に進学させる意向を持っていたにもかかわらず、妻側が無断で子どもを私立学校に入れようとしているということであれば、増額が認められるのは難しいと言えます。

まとめ

婚姻費用の分担でお困りのことがあれば、弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、代理人としての交渉から、裁判所での手続きまで、一貫してサポートが可能です。

茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご連絡ください。離婚や婚姻費用に精通した弁護士が、納得の解決を目指して丁寧に対応致します。

住宅ローンがある場合の婚姻費用はどうなる?

2021-06-18

相談

妻と別居を検討しています。私が家を出ていくことになりそうなのですが、住宅ローンがある場合の婚姻費用の分担についてはどうなるのでしょうか。

回答

基本的には、婚姻費用を算定する際にローンの支払いについて考慮するのが公平だといえます。①住宅ローンの支払額を特別経費として控除する方法、②算定表による算定結果から一定額を控除する方法など、いくつかの方法ががあります。

解説

婚姻費用の分担について

夫婦が共同生活を営む上で、必要になる生活費のことを婚姻費用といいます。民法第760条にも「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と、定められており、通常は、収入の多い方が収入の少ない方に生活費の支払いをします。

婚姻費用の算定について

婚姻費用の分担について、夫婦で協議ができる場合は、別居前の生活水準を踏まえて生活費の支払い額を決定するのが通常です。しかし、夫婦の協議が調わない場合やそもそも協議ができない場合には、家庭裁判所に調停・審判を申し立てる方法で生活費の額などを定めることになります。

家庭裁判所では夫婦間における生活費の負担を決める際に、「婚姻費用算定表」を用いて算出し、分担額を決定することになります。

住宅ローンがある場合の婚姻費用の考え方

婚姻費用は生活費のことになりますので、衣食住に関する一切の費用が含まれ、「住」に関する費用である住宅ローンも、その中に含まれるように思われます。

しかし、このように形式的に考えると、妻側がもらえる婚姻費用の額が少なくなりすぎたり、逆に婚姻費用として全く考慮しないとなると、夫が多額の支出を強いられることになったりします。

そのため、以下のようなポイントに注意して婚姻費用を算定する必要があります。

適正な婚姻費用を算定する

住宅ローンを支払っている場合の婚姻費用の事案では、婚姻費用支払い義務者の年収から住宅ローンの年間負担額を控除して、婚姻費用を算定する手法を取る調停や審判例が多いようです。そのため、まずは適正額での婚姻費用の算定が必要になります。

相手への説明を明確に行う

婚姻費用の額を一方的に決めてしまうと、相手方が納得せずに、婚姻費用の分担調停を申立てられる可能性があります。そのため、協議をする場合には、根拠を明確に出して、相手が納得できるように話を進める必要があります。

まとめ

婚姻費用の分担についてお困りのことがあれば、弁護士に相談しましょう。

特に住宅ローンがある場合などは、婚姻費用の算定そのものも素人では難しいと言えます。相手方との協議が決裂して解決が困難になる可能性もありますし、経験豊富な弁護士に相談しながら進めるのが得策です。

茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご相談ください。離婚や婚姻費用分担に精通した弁護士が多数在籍しています。経験豊富な弁護士が丁寧にサポートしますので、安心してお任せください。

妻が不貞(不倫)をした上、子どもを連れて別居した場合にも、生活費(婚姻費用)は支払わなくてはならない?(子どもがいる場合)

2021-06-17

相談

妻が不倫をしたことにより夫婦仲が悪くなり、妻が子どもを連れて家を出ていきました。妻から生活費の請求をされているのですが、払わなくてはならないのでしょうか。

回答

婚姻費用のうち、少なくとも子どもの生活費(いわゆる養育費)相当部分は支払う必要があります。

解説

婚姻費用の分担について

民法第760条によると、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と定められており、夫婦が一緒に生活をする上で必要な費用は、お互いに負担しなくてはなりません。

通常は、収入の多い方が、収入の少ない方に婚姻費用を支払います。

有責配偶者からの婚姻費用請求

夫婦である以上、婚姻費用は分担する必要がありますので、原則としては、有責配偶者であっても請求することが可能です。つまり、不貞行為等の有責性については、婚姻費用ではなく慰謝料で考慮されるべき事項ということになります。

しかし、裁判所の見解では、主として妻の側に別居の責任があるといえるような場合には、婚姻費用は減額されるとされています。

また、子どもがいる場合には、子どもの生活費相当部分については、減額をすることができません。婚姻費用の中には子どもの生活費も含まれますが、子どもには何の罪もありませんので、子どもの生活費は支払う必要があるのです。

不貞事案の婚姻費用の留意点

不貞行為の認定は容易でない

不貞行為は、本人が認めないことが多く、客観的に証明することが難しいため、不貞行為を認定することは難しいと言えます。興信所を利用したり、写真やSNS等を確認したり、ICレコーダー等で音声を録音するなどして、証拠を集める必要があります。

婚姻費用の適正な算定

婚姻費用の算定は、双方の年収をもとに行います。そのためには源泉徴収票や所得証明書で年収を確認する必要があります。

年収が確認できたら、裁判所の婚姻費用算定表を使うと婚姻費用の目安がわかります。

まとめ

有責配偶者からの婚姻費用請求でお困りのことがあれば、弁護士に相談しましょう。分担額の算定や相手の有責性によりどれくらい減額されるかについては、専門知識が必要になりますので、専門家である弁護士に相談することが早期解決の糸口になります。

茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。離婚や婚姻費用の分担に関する問題に精通した弁護士が多数在籍しています。安心してお任せください。

妻が不貞(不倫)をして別居している場合にも、生活費(婚姻費用)は支払わなくてはならない?(子どもがいない場合)

2021-06-16

相談

妻が不倫をしたことにより夫婦仲が悪くなり、別居することになりました。妻が生活費の請求をしてきたのですが、支払わなくてはならないのでしょうか。

回答

判例によると、不貞行為を行った有責配偶者からの婚姻費用分担請求については、信義則ないし権利濫用の見地から請求を認めないとされています。

ただし、ケースにもよるので注意が必要です。

解説

婚姻費用の分担について

民法第760条によると、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と定められており、夫婦が一緒に生活をする上で必要な費用は、お互いに負担しなくてはなりません。

通常は、収入の多い方が、収入の少ない方に婚姻費用を支払います。

有責配偶者からの婚姻費用請求

婚姻費用については、婚姻を継続している限り、分担して負担しなくてはならないのが原則です。つまり、収入が多い方が、収入が少ない方に払い続ける必要があります。

ただし、裁判所の判例によると、不貞行為を行った有責配偶者からの婚姻費用分担請求については、信義則ないし権利濫用の見地から請求を認めないとされたものがあります。

有責配偶者からの婚姻費用請求における留意点

責任の程度や双方の責任を考慮する

婚姻費用の請求を認められないほどの責任があるかどうか、というのは慎重に検討する必要があります。つまり、別居の原因が、専ら婚姻費用分担を請求する側にあるのかどうか、という点を検討することになります。

双方に責任を認められる場合や婚姻費用分担を請求する側の責任が軽いような場合にまで、婚姻費用の支払いを免れることができるわけではありませんので、注意しましょう。

不倫の証明について

また、不倫については大抵の場合本人が認めませんので、そもそも不倫を証明することはかなり困難であると言えます。不倫を証明するためには、確固たる証拠を集めるようにしましょう。

まとめ

婚姻費用を分担しなくてはならないとしても、相手が不貞行為を行っての別居である場合には、請求された側としては納得がいかないのは当然です。婚姻費用の分担についてお困りのことがあれば、早めに弁護士に相談しましょう。

弁護士であれば、豊富な知識と経験で早期に解決することが見込めます。茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。離婚や婚姻費用分担に精通した弁護士が、丁寧にサポート致します。

配偶者と別居中に支払ってもらうことができる生活費の金額はいくら?

2021-06-15

相談

離婚を前提に、夫と別居することを考えています。私は専業主婦なのですが、生活費はどれくらい払ってもらえるのでしょうか。

回答

実務上は、婚姻費用算定表を使用して金額を決めることになります。

解説

婚姻費用とは

夫婦が共同生活を営む上で、必要になる生活費のことを婚姻費用といいます。

民法第760条にも「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と、定められており、通常は、収入の多い方が収入の少ない方に生活費の支払いをします。

たとえ夫婦が別居しても、法律上の婚姻が続く限り、原則は夫婦間において生活費を分担する義務は消滅せず、収入が少ない方は収入が多い方に生活費を請求することが可能です。

婚姻費用の決め方

夫婦の合意によって別居するときは、別居を始める前までに、別居中の生活費の分担について夫婦間で協議をします。協議により決定する場合は、別居前の生活水準を踏まえて生活費の支払い額を決めるのが通常です。

夫婦の協議で婚姻費用を決まることができない場合は、家庭裁判所に調停・審判を申し立てて生活費の金額を決めることになります。家庭裁判所では夫婦間における生活費の負担を決めるときに「婚姻費用算定表」が利用されています。

婚姻費用算定表の見方

婚姻費用算定表を見る

家庭裁判所のホームページ等から算定表を確認することができます。表は、養育費と婚姻費用に分かれていますので、該当の表を参照します。

子どもの人数に合わせて表を参照する

婚姻費用の算定表は、未成年の子どもの人数及び年齢ごとに複数用意されています。算定表は、縦軸に「義務者」(婚姻費用を支払う人)の年収、横軸に「権利者」(婚姻費用を受け取る人)の年収が割り振られています。

未成年の子どもがいない場合は、収入が多い人が「義務者」、収入が少ない人が「権利者」となります。

年収を当てはめて金額を割り出す

自分と配偶者の年収を確認し、縦軸と横軸の金額を見て、婚姻費用の算定を行います。

まとめ

専業主婦やパートでほとんど収入がない場合や子どもを抱えて別居するような場合には、別居中の生活費の請求をすることをおすすめいたします。

夫婦で協議して払ってもらえるようであれば問題ありませんが、協議ができない場合や協議しても合意できない場合には、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

弁護士であれば、代理人として相手方と交渉することも可能ですし、裁判所での手続きスムーズに行うこともできます。茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。

離婚や婚姻費用請求に精通した弁護士が多数在籍しています。安心してお任せください。

夫が生活費を支払ってくれない場合、生活費を支払わせることはできる?

2021-06-14

相談

夫との関係が悪くなり、最近生活費を支払ってくれなくなりました。どうやったら支払ってくれるのでしょうか。

回答

夫婦には婚姻費用を分担する義務があります。以下のような手順で請求するようにしましょう。

解説

婚姻費用の分担

民法第760条によると、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と定められており、夫婦が一緒に生活をする上で必要な費用は、お互いに負担しなくてはなりません。

通常は、収入の多い方が、収入の少ない方に婚姻費用を支払います。

支払ってもらうための方法

協議(話し合い)

夫婦間で話し合って解決できるのが一番なので、まずは話し合いをしてみましょう。二人だけで協議するのが難しければ、親戚や友人等の第三者を入れて話し合ってみるのも良いでしょう。 

内容証明郵便の送付

内容証明郵便とは、郵便局が、いつ、誰が、誰宛に、どの様内容の手紙を出したのかを公的に証明してくれる郵便です。通常は、離婚や別居をしている相手に送りますが、同居している場合でも、請求の証拠として残すために送付することが可能です。

婚姻費用分担請求

夫婦で協議しても合意できない場合やそもそも協議に応じてくれない場合には、家庭裁判所に対して婚姻費用分担請求の調停を申し立てましょう。調停でも合意することができず不調に終わった場合は審判に移行することになります。 

履行勧告・履行命令

調停・審判を経ても、生活費を支払ってくれないような場合は、調停・審判で決定した内容に従い支払ってもらえるよう、履行勧告・履行命令の手続きを進めることができます。

強制執行

調停・審判で下された婚姻費用の支払い命令にも従わない場合、強制執行で財産を差し押さえることができます。すぐに差し押さえられる財産がなければ、給料の差し押さえをすることも可能です。

ただし、給与の場合は、全額差し押さえられるわけではなく、上限50%までとなっていることに注意が必要です。

「悪意の遺棄」による離婚

生活費を渡さないことは、離婚原因となる「悪意の遺棄」にあたる可能性があります。

悪意の遺棄は、法定離婚事由の1つとなりますので、悪意の遺棄をされたら、離婚訴訟を起こして離婚することができます。裁判で認められれば、相手の同意がなくても離婚することが可能です。

また、悪意の遺棄で離婚に至った場合には、200万円~400万円の慰謝料請求が認められることもあります。

まとめ

婚姻費用は、日々の生活にかかる大事なお金です。貰えなければ生活が立ち行かなくなってしまう可能性があります。そのため、早めに専門家である弁護士に相談し、生活費を払ってもらえるようにしましょう。

弁護士であれば、知識も経験もありますので、自分だけで対応するより早期に解決することができます。

茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。離婚や夫婦間のトラブルに精通した弁護士が、丁寧にアドバイス致します。

過去分の婚姻費用の請求はできる?

2021-06-12

質問

別居する前までは、夫が生活費を払ってくれていたのですが、別居してからは生活費を支払ってくれなくなりました。別居時まで遡って生活費の請求をすることはできるのでしょうか。

回答

当事者同士で協議し合意できれば支払ってもらうことができますが、調停等で支払いが確定した場合には、請求時からしか支払い請求が認められないのが通常です。

解説

婚姻費用とは

婚姻費用とは、衣食住にかかる費用、交際費、医療費、子どもの教育費といった夫婦やその子どもが共同生活を送るうえで必要な費用の総称です。

夫婦は婚姻生活を送るうえで、お互いに同等レベルの生活を相手にもさせなければなりません。実際には、収入の多い方が収入の少ない方に支払うことになります。

もし、相手が婚姻費用を支払ってくれないようなら、相手方に婚姻費用の分担を請求することが可能です。

婚姻費用の算定

協議により自由に決めることができる

婚姻費用は、法律等で決まっているものではありませんので、夫婦で協議して自由に決めることができます。

協議で決められない場合には

夫婦の協議で婚姻費用の決定ができない場合は、家庭裁判所の調停・審判で決定することになります。その際、家庭裁判所では、「婚姻費用算定表」を基準に算定を行います。

「婚姻費用算定表」から算定する場合、まずは子どもの人数と年齢から利用すべき婚姻費用算定表を選びます。そして、支払う側の年収ともらう側の年収を確認して、両者の年収(2本の線)が交差するポイントが婚姻費用の金額ということになります。

いつから請求できるか

婚姻費用は、相手方に対して、請求の意思を明確に通知したときから支払い義務が発生すると考えられます。つまり、別居してから数年経ってから請求した場合、遡って支払いを請求しても認められない可能性が高いです。

支払ってもらうためには、請求したという履歴を残すため、メール、メッセージの記録、通話の録音をしたり、内容証明郵便を利用するようにしましょう。

まとめ

婚姻費用の請求について、お困りのことがあれば、早めに弁護士に相談しましょう。婚姻費用を支払ってもらえなければ、生活が立ち行かなくなってしまう可能性がありますので、なるべく早い解決が望まれます。

弁護士であれば、相手との交渉、合意内容の書面化、家庭裁判所での手続きまで一貫してお願いすることができます。当事務所には、離婚や婚姻費用の請求に精通した弁護士が多数在籍しており、ご相談者様のお気持ちに寄り添った解決をサポートすることが可能です。

茨城県で弁護士をお探しの場合には、当事務所にご連絡ください。

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