Archive for the ‘養育費について’ Category

【コラム】養育費について5 一度決まった養育費を変更することはできない?

2020-07-25

質問

一度決まった養育費を減額したり増額したりすることはできないのでしょうか。

 

回答

養育費は決定後に、減額や増額をすることができます。

 

解説

1 どのような場合に増額または減額が認められるか。

養育費とは、子どもを監護・教育するために必要な費用です。もっと具体的に言うと、未成熟子(経済的・社会的に自立していない子)が自立するまで要する費用で、生活に必要な経費、教育費、医療費などのいことです。

子どもが自立するまで必要な費用になりますので、長い期間払い続けるものになります。

その間に、養育費支払い義務者の収入が著しく減った、養育費支払い義務者が再婚して新しい家庭をもった、あるいは養育費を受け取っている親が再婚して子どもが再婚相手の扶養に入ったこと等の理由により、養育費を減額できる可能性があります。逆に、養育費支払い義務者の収入が著しく増えたこと等の理由により、養育費を増額できる可能性もあります。

 

2 養育費の減額について

養育費支払い義務者の経済状況などが変わって養育費を払うのが困難になってしまった場合などは、減額請求をすることができます。

たとえば、養育費支払い義務者の退職や給料の減額により大幅に年収が変わってしまった場合、養育費支払い義務者が再婚して扶養する家族が増えた場合にも認められる可能性があります。

また、養育費を受け取る側の親が再婚して子どもも再婚相手の扶養に入り、裕福な生活をするようになった場合も養育費は減額される可能性があります。

 

3 養育費の増額について

一度養育費の額を定めると、その合意には拘束力があり、一方の当事者側の事情で増減を認めることはできませんが、合意の前提になっていた事情自体に変化があった場合には、合意の変更が認められます。

たとえば、子どもが病気になり相当の医療費がかかるようになった場合や、子どもの進学により教育費が増加した場合もこれに当たることもあります。

 

4 まとめ

以上のように、養育費の増額・減額が認められるかどうかは、事情の変更があったと言えるかどうかにかかっています。養育費の変更は簡単に認められるものではありませんので、変更があった事情については、証拠をそろえた上で主張する必要があり、慎重な対応が求められます。

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【コラム】養育費について4 子どもが私立の学校に進学を希望している場合でも養育費は算定表通り?

2020-07-24

質問

子どもが私立学校に通う場合でも、養育費は通常認められる額しかもらえないのでしょうか?

 

回答

私立学校に通う場合は、養育費を加算してもらえる可能性があります。

 

解説

1 養育費の算出方法

夫婦間で協議のうえ養育費を決定する場合には、合意した金額が養育費になりますが、裁判所の調停・審判では、「養育費算定表」を基準にして養育費が算定されています。

「養育費算定表」を見ると、簡単に養育費の算出が可能なのですが、実際の事例では、養育費算定表を見てもどのように計算したらいいのか分からない場合があります。

以下、特別な場合の養育費算定方法について見ていきましょう。

 

2 養育費算定表では分からない養育費の計算方法

(1)私立学校に通う場合

養育費算定表は、公立学校に通うことを前提に子どもの養育費用を見込んでいますが、状況により加算が認められることがあります。

例えば、養育費支払い義務者である親も子どもが私立学校へ進学することを予め承諾していたような場合は加算が認められることがあります。

裁判での基準は明確にはわかりませんが、離婚時に既に私立の学校に進学していたのかどうか、進路について予め話があったのか(予測できたか)や、夫婦の経済状況等を総合的に考慮し、加算が認められるかどうかが決まるようです。

 

(2)その他のケース

(1)以外のケースだと、大学や大学院に進学する場合や浪人する場合は、その子どもが育ってきた家庭の経済的・教育的水準に照して、進学等が相当な場合には、大学生・浪人の間の養育費が認められることがあります。

一方、塾・習い事等に行っている場合に養育費が加算されるかどうかは、かなり厳しい基準で判断されるため、認められない可能性が高いと言えます。

 

3 まとめ

養育費は、「養育費算定表」を基準に算定されますが、教育費や医療費に特別な事情がある場合には、当該事情等を考慮して加算が認められることがあります。どのような場合に加算が認められるかどうかは、自分ひとりではなかなか判断ができないことがありますので、不安なことがあれば弁護士に相談しましょう。

専門家である弁護士であれば、これまでの経験から加算が見込めそうな場合やそうではない場合について判断することができ、どうすれば特別な事情を考慮して養育費を貰うことができるかアドバイスをすることができます。

茨城県で離婚にまつわる問題について詳しい弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご連絡ください。

【コラム】養育費について3 相手が無職の場合は養育費を請求できない?

2020-07-23

質問

元夫が無職なのですが、養育費の請求をすることはできないのでしょうか。

 

回答

無職の場合、養育費の支払いをさせるのは難しいですが、例外的にできる場合もあります。

 

解説

1 養育費支払い義務者が無職の場合の養育費について

養育費とは未成熟子が社会に出て独立できるようになるまでに必要となる費用のことです。子どもは民法第877条第1項の「直系血族」に当たりますから、親は子を扶養する法律上の義務があり、離婚が成立しても親子関係はなくならない以上、親の子に対する扶養義務はなくなりません。つまり、養育費の支払い義務者となっている親は、自分の生活レベルを落としてでも養育費は支払わなければなりません。

養育費の金額を決定する際、当事者の合意で如何様にでも決められますが、裁判所を通して算定する場合には、「養育費算定表」を基準に決定されます。最終的には、子どもの年齢や人数、両親の年収など様々な要素を総合的に勘案して金額が決められます。

養育費算定表の金額は目安に過ぎませんが、養育費算定表の額を大きく超えて養育費を請求することは実際上は難しいでしょう。養育費算定表によると、養育費支払い義務者が無職の場合の養育費の相場は、月々0~1万円となっているため、養育費を請求するのは非常に難しいといえます。

 

2 無職であっても養育費の支払いを請求できる場合 

無職であっても、養育費の請求ができる場合があります。以下、詳しく見ていきましょう。

(1)不労所得や高額な資産を持っている場合

現在無職であっても、株の配当や家賃収入などの不労所得がある場合は支払いの義務が生じます。また、不動産や高額の預貯金等の資産がある場合も、その資産から養育費の支払いを請求できる場合があります。

 

(2)潜在的稼働能力がある場合

離婚時に無職であっても、健康状態、職歴、保有資格などから、潜在的な稼働能力があると判断されれば、養育費を請求することができる可能性があります。

 

(3)今後働いて養育費を払うことに同意してもらう

元夫と協議し、今後は働いて養育を確実に支払うことに同意してもらえば養育費の請求が可能になります。このときは、協議のうえ合意した内容を公正証書に残すようにしましょう。収入ができても払わないようなことがあれば、給与等を差し押さえて養育費を強制的に支払わせること等ができます。

 

3 まとめ

養育費支払い義務者が無職の場合でも、上記のように養育費を支払ってもらう手段はあります。ただ、潜在的稼働能力を証明する場合も、強制執行をする場合も、専門的な知識や経験が必要になりますので、自分ひとりだけで解決するのは困難です。早めに弁護士に相談するようにしましょう。

茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。養育費の請求について豊富な経験を持った弁護士がサポート致します。安心してお任せください。

【コラム】養育費について2 調停で決まった養育費の支払いをしてくれない場合の3つの対処法

2020-07-22

質問

前夫が離婚時に決まった養育費を払ってくれません。きちんと支払ってもらうための対処法にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

回答

養育費を払ってもらうための対象法として、①履行勧告②履行命令③強制執行という方法があります。以下詳しく説明致します。

 

解説

1 履行勧告

履行勧告とは、家庭裁判所で決めた調停や審判などの取決めを守らない人に対して、それを守らせるため制度です。相手方が取決めを守らないときに、家庭裁判所に対して履行勧告の申出をすると、家庭裁判所は、相手方に取決めを守るように説得したり、勧告したりします。

履行勧告の手続に費用はかかりませんが、義務者が勧告に応じない場合に、支払を強制することはできません。

 

2 履行命令

履行命令とは、履行勧告と同じように家庭裁判所の調停証書や審判調書、あるいは判決の内容に記載された内容を、相手が適切に守らない場合に、それを守らせるための制度です。履行勧告の場合は罰則規定はありませんが、履行命令を無視した場合は、10万円以下の罰金の支払いを課される可能性があります。

ただし、この罰金は、申し立てをした人物に払われるわけではありません。このため、養育費の支払いが滞っているような場合は、罰金が一層の負担になり、ますます支払いが遠退く可能性があります。

 

3 強制執行

相手がどうしても支払をしないときに、強制的に養育費を支払わせる方法が

養育費の強制執行(「差し押さえ」)です。差し押さえは、債務者(義務者)が任意で支払いをしないときに、債務者の財産や資産を差し押さえて、強制的に支払いをさせる方法になります。

差し押さえの対象となるものは、相手の所有物であればたいていのものを差し押さえることができます。具体的には、預貯金、積立金、生命保険、株券、投資信託、給料、売掛金などがあげられます。

差し押さえには、債務名義という「強制執行をしてもよい」というお墨付きが必要になりますので、債務名義がない場合には、差し押さえをすることができません。養育費調停の調停調書、離婚審判の審判書、養育費審判の審判書などが債務名義にあたり、養育費を決めた際の合意書(公正証書にしていないもの)などは債務名義にはあたりませんので注意が必要です。

債務名義は、養育費調停をすることにより、差し押さえに必要な債務名義を得ることができますので、債務名義がない場合であってもあきらめずに対処しましょう。

 

4 まとめ

養育費が貰えないと子どもを養育することが困難になってしまいますので、確実に払ってもらう必要がありますが、自分ひとりだけで対応するのは大変です。

養育費の請求には、知識や経験が必要になりますので、少しでもスムーズに養育費を払ってもらうために、弁護士に相談しましょう。

茨城県で弁護士をお探しであれば、離婚にまつわる問題に精通した弁護士が多数在籍している当事務所にご連絡ください。

【コラム】養育費について1 養育費の変更を拒まれた場合の3つの対処法

2020-07-21

質問

養育費減額の請求をしているのですが、相手方が応じてくれません。どのように対処したらよいのでしょうか。

 

回答

養育費の額の変更を認めるのが相当だといえる場合には養育費の減額が認められることがありますので、以下を参考に対処するようにしましょう。

 

解説

1 養育費の減額が認められる場合とは

一旦決まった養育費は簡単に変えることができませんが、様々な状況の変化により、変更を認めるが相当である場合には養育費の減額が認められることがあります。では、そもそも養育費はどのように決まるのでしょうか。

養育費は、実際に子どもを育てる親(監護親)がもう一方の親に請求しますが、その金額については法律で制限されているわけではありませんので、当事者の協議により自由に決めることが可能です。しかし、当事者の協議が調わず、話し合いが難航することもあります。

当事者間の協議が整わない場合は、調停等で金額を決めることになりますが、養育費については、子どもが養育費を支払う者と同居していると仮定した場合に子どものために使われる生活費を計算し、これを養育費を支払う者と請求者の基礎収入の割合で案分するのが基本的な考え方です。ただし、算定にあたっては、少々複雑な計算をしなくてはなりませんので、実務上は「算定表」を用いて算出されることになります。

このように算出された養育費ですが、離婚時に比較して養育費を支払う者の年収が下がった場合や逆に養育費を請求する者の年収が増えた場合には、養育費の減額を認めるべきと判断される傾向にあります。

 

2 養育費の減額方法について

(1)協議

まずは当事者同士で養育費の減額について話し合います。電話でも対面でもいいので、合意できるかどうか話し合います。

 

(2)養育費減額請求調停

協議で合意ができない場合は、養育費減額調停の申立てをしましょう。調停では、当事者が出席し状況を調停委員や裁判官と話し合うことで解決策や落とし所を探っていきます。収入状況の変化を証明できる証拠を用意しておくことが大切です。

 

(3)養育費減額請求審判

養育費請求調停が不調で終わった場合には、自動的に審判手続が開始されます。

審判は、裁判官が一切の事情を考慮して養育費の減額を認めるべきか否かを判断します。

 

3 まとめ

養育費の減額請求をしたい場合の対処方法について、いかがでしたでしょうか。一度決まった養育費であってもその後の状況の変化により、減額が認められることがあります。

減額請求についてお困りのことがあれば弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、協議についてのアドバイスもできますし、調停や審判の対応を依頼することもできます。

茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご連絡ください。離婚問題に精通した弁護士が丁寧にサポート致します。

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