【離婚問題コラム】再婚と相続3 再婚における祭祀財産の承継

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1.祭祀財産について

(1)祭祀財産とは

祭祀財産とは、祖先を祀るためのお墓や仏壇などの、通常の相続財産とは区別される財産のことです。民法には、祭祀財産の種類として「系譜」「祭具」「墳墓の所有権」の3種類が挙げられています。

「系譜」とは、祖先以来の系統を示すもので、家系図や過去帳などがあります。

「祭具」とは、位牌、仏像、仏壇など、祭祀や礼拝に使用する器具や道具のことです。

「墳墓」とは、墓石、墓碑のほか、その所在する土地の所有権等も含まれます。

 

(2)相続財産と祭祀財産の違い

相続財産を受け継ぐときには相続税がかかりますが、祭祀財産を継承する際は税金はかかりません。また、相続財産は複数の相続人の間で分割して遺産相続しますが、祭祀財産は基本的に1人に受け継がれます。この祭祀財産を受け継ぐ人を「祭祀継承者」と呼びます。

 

2.祭祀財産の承継者

祭祀を承継できる者の資格には、特に制限がなく、相続人である必要もありません。第一に、被相続人が指定した者がなりますが、指定の方法にも特別の制限がありませんので、書面でも、口頭でも可能であり、明示だけではなく、黙示の方法でも認められることがあります。ただし、相続人等の関係当事者が多い場合は、明示の指定をしておかないと後々トラブルになる可能性が高いので、注意が必要です。

なお、被相続人による指定がないときは、地域の慣習により決まり、慣習も明らかでないときは、家庭裁判所が指定した者が祭祀主宰者になります。家庭裁判所が祭祀主宰者を決定する基準としては、以下のようなものが挙げられます。

・承継候補者と被相続人との間の身分関係や事実上の生活関係

・祭具等の取得の目的や管理等の経緯

・承継候補者の祭祀主宰の意思や能力

・その他一切の事情(利害関係人等の生活状況・意見など)

 

3.離婚による復氏の際の権利の承継

民法第769条第1項、第771条では、婚姻によって氏を改めた者が、祭祀財産を承継した後に離婚した場合は、当事者その他利害関係人の協議により、祭祀財産の承継人を定めなければならないとしています。

もし、当事者その他の関係人の協議が調わない場合は、家庭裁判所が祭祀財産の承継者を定めます。

 

4.まとめ

祭祀財産については、明示の上、祭祀承継者を定めておかないと後々トラブルになることが予想されます。また、せっかく祭祀承継者を定めても、離婚による復氏で、再度協議必要になることもあります。未然にトラブルを防ぐためにも、祭祀財産の承継でわからないことがあれば、早めに弁護士に相談するようにしましょう。弁護士であれば、ご相談者様のご意向に沿った解決に向けてアドバイスすることが可能です。

茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご相談ください。離婚・再婚・相続事件で経験を積んだ弁護士がサポート致します。

 

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