【離婚問題コラム】再婚までの準備⑧ 戸籍と氏

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1.氏・戸籍の変更について

離婚や再婚によって氏が変更になることがありますが、変わる側(及びその子ども)にとっては、様々なところへの届出等もあり重要な問題です。離婚等によって氏や戸籍はどのように変わるのでしょうか。

 

2.離婚後に氏について

(1)婚姻のときに氏を改めなかった者の場合

夫婦は婚姻のとき、夫または妻の氏のどちらかの氏を称することになります(民法第750条)。婚姻により氏を改めなかった者は、離婚をしてもそのままの氏を名乗ることになります。

 

(2)婚姻により氏を改めた者の場合

婚姻により氏を改めた者は、離婚をすると婚姻前の氏に当然戻ることになります(「復氏」)。ただし、婚姻期間中の姓を離婚後もそのまま名乗りたい場合は、離婚の日から3ヶ月以内に、「離婚のときに称していた氏を称する旨の届」(戸籍法第77条の2)を出せば、婚姻していたときの氏を名乗ることができます。

 

3.再婚の離婚・再婚相手の死亡の際における氏の選択

(1)前婚の配偶者が死亡した場合

前述のように、婚姻により姓を改めた者は、離婚によって婚姻前の氏に復するのが原則ですが、後婚の離婚の場合、「婚姻前の氏」とは何を指すのでしょうか。この点については、後婚の離婚によって前婚の氏に復することになります。ただし、婚姻によって氏を改めた者は、配偶者の死亡後はいつでも復氏の届出(戸籍法第95条)をすることで婚姻前の氏(実家の氏)に復することができます。つまり、前婚での氏にするか、実家の氏にするか自由に選択することができます。

 

(2)前婚の配偶者と離婚した場合

前婚の配偶者が死亡した場合ではなく、離婚した場合はどのようになるのでしょうか。前婚の離婚の際に、前婚期間中の氏を選択した場合は、再婚の離婚後に復する氏も前婚期間中の氏になります。ただし、戸籍法第107条第1項の「やむを得ない事由」があるときに限り、家庭裁判所の許可を得て氏を変更することが認められますので、当該条項に該当する場合には、実家の姓に変更することもできます。

 

(3)再婚相手が死亡した場合

では、再婚相手が死亡した場合の氏はどのようになるのでしょうか。もちろん、婚姻によって氏を改めた者は、配偶者の死亡後もその氏を名乗ることができます。

また、この場合も、戸籍法第107条第1項の「やむを得ない事由」があるときに限り、家庭裁判所の許可を得て氏を変更することが認められます。

 

4.離婚と戸籍

離婚すると戸籍がどうなるかについては、以下のパターンがあります。

 

(1)婚姻前に入っていた戸籍に戻る

離婚をした場合には原則として、婚姻前に入っていた戸籍に戻ることになります。ただし、元の戸籍が除籍されている場合(戸籍内の全員が死亡している場合など)には、戻る戸籍が無くなっているので、新戸籍を編製することとなります。

 

(2)結婚時の氏を継続使用し新しく戸籍をつくる

離婚から3ヶ月以内に市区長村役場に届け出をすると、婚姻時の氏を使い続けることができます。この場合には、新たな戸籍を作成することとなります。

 

5.子どもの戸籍と氏

離婚する夫婦に子供がいる場合、離婚後の子どもの戸籍や氏はどうなるのでしょうか。まず、戸籍については変更がありません。戸籍に変動がないのですから、子どもの氏についても、離婚により変わることはありません。したがって、たとえば、父が戸籍の筆頭者である場合に、母が元の戸籍に戻れば、母と子の氏は違うものになります。これは、母親が親権者となった場合でも、変わることはありません。 もし、親権者である母と子の氏を同じにしようとするのであれば、子を母親の戸籍に入籍させる手続きが必要となります。

また、離婚後の母が婚姻中の氏を名乗る場合には、母と子の氏は同じになりますが、このような場合であっても、母と子の戸籍を同じにしたい場合は、やはり子の氏の変更の手続きをしなければなりません。このようなケースでの母の氏と子の氏は、形式的には同じでも、法律的には異なるものとされるためです。

 

6.まとめ

離婚・再婚による氏や戸籍の変更は、内容によっては家庭裁判所での手続きが必要になりますので、一人では不安なこともあるのではないでしょうか。専門家である弁護士にご相談をお考えの場合、当事務所にご連絡ください。

当事務所は茨城県全域にリーガルサービスを提供しており、経験豊富な弁護士が多数在籍しております。ぜひ当事務所の弁護士にお任せください。

 

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