女性が知っておきたい離婚のポイント:DV・モラハラへの具体的対処法

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はじめに

配偶者からの暴力(DV)や精神的虐待(モラハラ)は、離婚を考える上で最も深刻な理由のひとつです。暴力や激しい言葉による攻撃を継続的に受けると、被害者は心身ともに大きなダメージを負います。また、子どもがいる場合は、その安全と精神的ケアも重要な課題となります。

本稿では、DV・モラハラへの具体的対処法に焦点を当て、被害者がまず取るべき行動や証拠収集、法的な手続き(保護命令など)、離婚手続きの進め方を解説します。自分や子どもの身を守りながら、離婚によって新たな人生を切り開くにはどうすればいいのか、ご参考になれば幸いです。

DV・モラハラは個々のケースによって状況が大きく異なりますが、共通して言えることは、お一人で抱え込まず、専門家にお早めに相談することが解決への一助となります。

Q&A

DV・モラハラの定義はどのようにされていますか?

一般的に、身体的暴力(殴る、蹴る、物を投げるなど)をDVと呼び、言葉や態度で相手を長期間にわたって追い詰める行為(人格否定や脅迫、過度な束縛など)をモラハラと言います。ただし、両者はしばしば並行して行われるため、区別が曖昧なことも少なくありません。

夫がDVやモラハラをしている証拠をどのように集めればいいですか?

録音や写真、メール・SNSの画面キャプチャ、医師の診断書など、客観的に暴力や虐待を示す資料が重要です。日記やメモに日付・状況を記録しておくのも有効です。安全を確保したうえで無理のない範囲で証拠を集めましょう。

DVから逃れるためには具体的にどこに相談すればいいですか?

まずは警察や配偶者暴力相談支援センターに連絡して、緊急時に備えましょう。自治体の女性相談センターや一時保護シェルターも利用できます。子どもがいる場合は児童相談所への相談も視野に入れてください。

保護命令とは何ですか?

家庭裁判所が発令する命令で、被害者の身体や生命を守るために、加害者に対して一定期間の接近禁止や住居からの退去などを命じるものです。身体的DVが認められると比較的発令されやすい傾向にありますが、モラハラの場合は証拠のハードルが高くなることがあります。

DV・モラハラが原因の離婚では慰謝料が高くなると聞きました。本当ですか?

実際にDVやモラハラの事実が立証されれば、加害者の有責度合いが高いと判断され、結果的に慰謝料が高額になる可能性があります。しかし、それにはしっかりとした証拠が必要です。必ずしもすべてのDV事例で高額慰謝料が認められるわけではない点には注意しましょう。

解説

DV・モラハラ被害者がまず取るべき行動

  1. 安全確保
    何よりも身の安全を最優先に考えてください。暴力を受けている場合は警察に通報し、緊急性があれば避難場所(親族宅、シェルター)へ避難しましょう。モラハラだけの場合でも、エスカレートして身体的暴力につながる危険があるため、油断は禁物です。
  2. 証拠収集
    録音や録画、メッセージの保存、診断書の取得など、客観的に「被害があった」ことを証明できる資料を集めます。DVは証拠の取得が難しいケースが多いですが、日々の言動を記録するだけでも効果的です。
  3. 専門家・相談機関への連絡
    • 警察(緊急時)
    • 配偶者暴力相談支援センター
    • 弁護士や自治体の法律相談
    • 女性相談センター、一時保護施設

保護命令と法的手続き

  1. 保護命令の種類
    • 接近禁止命令:被害者への接触、電話やメールなどの連絡を禁止
    • 退去命令:加害者を一定期間住居から退去させる
    • 子どもへの接近禁止命令:子どもへの接触や学校への近寄りを禁止
  2. 申立の手順
    被害者本人または代理人(弁護士)が家庭裁判所に申し立てます。身体的DVがある場合は診断書などの証拠が重視されます。
  3. 離婚手続きとの関係
    保護命令はあくまで「被害者の安全を守るため」の措置であり、その後の離婚協議や裁判でDV・モラハラの事実を立証する材料にもなります。保護命令が出るほどのDVがあったという事実は、加害者の有責性を強く示すものとなり、慰謝料や財産分与の交渉にも影響を及ぼすでしょう。

DV・モラハラ離婚でのポイント

  1. 有責配偶者としての認定
    DVやモラハラは民法上の不法行為に該当し、「離婚原因」となる可能性が高いといえます。加害者側から離婚を請求する際は、原則として認められにくい(有責配偶者からの離婚請求は制限される)という考え方もあります。
  2. 慰謝料と財産分与
    DVやモラハラが認定されれば慰謝料が増額される傾向にあります。また、被害者が専業主婦だった場合でも、財産分与の際に夫婦共有財産を取り分ける権利があります。
  3. 子どもの親権・監護権
    加害者が子どもに対して暴力や脅迫を行っていた場合、親権を得るのは難しくなります。子どもの安全が最重要視されるため、DVを行った親が親権・監護権を持つことは望ましくないと判断されるケースもあります

弁護士に相談するメリット

  1. 緊急時の保護命令申立サポート
    身体的DVがある場合、緊急性が高いので保護命令が急を要します。弁護士がいれば手続きに必要な書類作成や証拠整理を迅速に行え、スムーズに申立できます。
  2. DV・モラハラの立証に必要な証拠収集のノウハウ
    専門家はどのような証拠が有効かを把握しており、不十分な証拠で裁判所に認められない事態を防げます。違法にならない範囲での録音や録画の方法など、詳細なアドバイスを受けられます。
  3. 離婚調停・裁判での代理人
    DVやモラハラがあると、加害者との直接交渉は精神的にも危険を伴います。弁護士が代理人となって進めれば、被害者は安全と心理的負担の軽減を得られます。
  4. 財産分与・養育費・慰謝料の適正化
    DV・モラハラ離婚では、法的に加害者の責任が重いと認められれば、慰謝料も増額が期待できます。弁護士に相談することで適正な請求が可能になります。

まとめ

  • DV・モラハラ被害に遭っている場合は、安全確保が優先
  • 録音や写真、診断書などの証拠を集め、配偶者暴力相談支援センターや警察など専門機関に早めに相談
  • 保護命令は身体的DVで特に有効。離婚手続きにも影響を与える
  • 弁護士に依頼すれば、法的手続き・証拠収集・精神的サポートなど、多角的な支援を受けられる

DVやモラハラを受けながら「自分にも悪いところがあるのでは?」と自責の念にかられる被害者もいますが、どんな理由があろうと暴力や精神的支配は正当化されません。子どもが巻き込まれている場合はなおさら早急な対処が必要です。ご自分や子どもの人生を守るためにも、専門家や公的機関に相談し、安全な環境を取り戻すことをご検討ください。


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