Archive for the ‘再婚と相続’ Category

【離婚問題コラム】再婚と相続3 再婚における祭祀財産の承継

2019-07-03

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1.祭祀財産について

(1)祭祀財産とは

祭祀財産とは、祖先を祀るためのお墓や仏壇などの、通常の相続財産とは区別される財産のことです。民法には、祭祀財産の種類として「系譜」「祭具」「墳墓の所有権」の3種類が挙げられています。

「系譜」とは、祖先以来の系統を示すもので、家系図や過去帳などがあります。

「祭具」とは、位牌、仏像、仏壇など、祭祀や礼拝に使用する器具や道具のことです。

「墳墓」とは、墓石、墓碑のほか、その所在する土地の所有権等も含まれます。

 

(2)相続財産と祭祀財産の違い

相続財産を受け継ぐときには相続税がかかりますが、祭祀財産を継承する際は税金はかかりません。また、相続財産は複数の相続人の間で分割して遺産相続しますが、祭祀財産は基本的に1人に受け継がれます。この祭祀財産を受け継ぐ人を「祭祀継承者」と呼びます。

 

2.祭祀財産の承継者

祭祀を承継できる者の資格には、特に制限がなく、相続人である必要もありません。第一に、被相続人が指定した者がなりますが、指定の方法にも特別の制限がありませんので、書面でも、口頭でも可能であり、明示だけではなく、黙示の方法でも認められることがあります。ただし、相続人等の関係当事者が多い場合は、明示の指定をしておかないと後々トラブルになる可能性が高いので、注意が必要です。

なお、被相続人による指定がないときは、地域の慣習により決まり、慣習も明らかでないときは、家庭裁判所が指定した者が祭祀主宰者になります。家庭裁判所が祭祀主宰者を決定する基準としては、以下のようなものが挙げられます。

・承継候補者と被相続人との間の身分関係や事実上の生活関係

・祭具等の取得の目的や管理等の経緯

・承継候補者の祭祀主宰の意思や能力

・その他一切の事情(利害関係人等の生活状況・意見など)

 

3.離婚による復氏の際の権利の承継

民法第769条第1項、第771条では、婚姻によって氏を改めた者が、祭祀財産を承継した後に離婚した場合は、当事者その他利害関係人の協議により、祭祀財産の承継人を定めなければならないとしています。

もし、当事者その他の関係人の協議が調わない場合は、家庭裁判所が祭祀財産の承継者を定めます。

 

4.まとめ

祭祀財産については、明示の上、祭祀承継者を定めておかないと後々トラブルになることが予想されます。また、せっかく祭祀承継者を定めても、離婚による復氏で、再度協議必要になることもあります。未然にトラブルを防ぐためにも、祭祀財産の承継でわからないことがあれば、早めに弁護士に相談するようにしましょう。弁護士であれば、ご相談者様のご意向に沿った解決に向けてアドバイスすることが可能です。

茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご相談ください。離婚・再婚・相続事件で経験を積んだ弁護士がサポート致します。

 

【離婚問題コラム】再婚と相続2 再婚と遺言・遺留分

2019-07-02

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1.再婚と遺言

遺言がある場合、遺言のほうが法定相続に優先します。被相続人が遺言書で遺産の引き継ぎについて定めていない場合に,はじめて民法の法定相続の規定が適用されます。そのため、法定相続ではなく、少しでも有利に自分の希望どおりに相続したい場合には、遺言を書いてもらうようにしましょう。

遺言には、普通方式の遺言と特別方式の遺言があります。普通方式の遺言には、①「自筆証書遺言」(民法第968条)、②「公正証書遺言」(民法第969条)、③「秘密証書遺言」(民法第970条)の3種類があります。

特別方式の遺言は、特別な状況でやむをえない場合にのみ使われる遺言で、①死亡危急者の遺言(民法第976条)、②船舶遭難者の遺言(民法第979条)、③在船者の遺言(民法第978条)、④伝染病隔離者の遺言(民法第977条)の4種類があります。

 

2.再婚と遺留分

(1)遺留分に注意して遺言を作成する

民法では、遺言によって相続人の相続割合を自由に決定することを認めていますが(民法第902条第1項)、但し書きにおいて「ただし、遺留分に関する規定に違反することができない」と明示しています。

遺留分とは、一定の範囲の法定相続人に認められる、最低限の遺産取得分のことで、遺留分が認められるのは、基本的には、配偶者と子どもと親(兄弟姉妹以外の法定相続人)です。

遺言によって、自由な内容で相続を決めたとしても、民法上遺留分が認められる者からは、遺留分について請求(遺留分減殺請求)をされることがあります。このように遺留分は、相続人にとっては重要な権利になりますので、遺言を書く場合には、後々の争いを防ぐために、各相続人の遺留分相当額を計算しておき、これを下回らないようにうまく配分しておくのがよいでしょう。

 

(2)遺留分の放棄

遺留分は、遺留分権利者に認められた「権利」になりますので、原則からいうと、自らこの権利を放棄することもできるはずです。しかし、遺留分の放棄を無制限に認めてしまうと、被相続人が、遺留分権利者に対して、遺留分放棄を強要するというような事態が起こる可能性があります。そこで民法では、相続開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を得なければできないとしており、遺留分権利者であっても相続開始前には自由に遺留分の放棄は行えないことになっています。

 

3.まとめ

争いを防ぐために遺言書を作っても、遺留分を侵害する遺言書を作ってしまうと、争いに発展します。そのため、遺留分についても十分に考慮して遺言書を作る必要があります。再婚後の遺言や遺留分についてご不明点があれば、弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、専門家としてのアドバイスも可能ですし、万が一争いが起きた場合も代理人として紛争解決に向けた活動をすることが可能です。

茨城県で弁護士をお探しであれば当事務所にご連絡ください。当事務所には、離婚・再婚に関連しての相続問題に詳しい弁護士が多数在籍しております。経験豊富な弁護士が親身になってサポート致します。

 

【離婚問題コラム】再婚と相続1 再婚後の法定相続

2019-07-01

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1.法定相続人と法定相続分

まずは法定相続について詳しく見ていきます。

 

(1)法定相続人

相続は、人が死亡することによって発生します。亡くなった人を被相続人、相続する人を相続人といいます。また、法定相続とは、民法で定められた相続人とその相続分をいいます。

法定相続人の範囲と順位は以下のように決まっています

① 第1順位:被相続人の子ども(子どもが先に亡くなっている場合は孫、曾孫といった直系卑属)

② 第2順位:被相続人の父母(父母が先に亡くなっている場合は祖父母、曽祖父母といった直系尊属)

③ 第3順位:被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は甥姪)

なお、被相続人の配偶者は必ず相続人になるため、遺産相続順位は関係ありません。

 

(2)法定相続分

法定相続分は、民法第900条で以下のように決められています。

① 配偶者と子どもが相続人:配偶者に2分の1 子どもに2分の1

② 配偶者と直系尊属が相続人:配偶者に3分の2 直系尊属に2分の1

③ 配偶者と兄弟姉妹が相続人:配偶者に4分の3 兄弟姉妹に4分の1

なお、配偶者がすでに亡くなっていたからと言って、遺産相続順位にまで影響を与えることはありません。

 

(3)特別受益・寄与分

特別受益とは、共同相続人の中に、被相続人から遺贈又は一定の目的での贈与を受けた者がいる場合に、相続人間の公平のため、相続分の調整を行うものです。寄与分とは、共同相続人の中に、被相続人の財産の維持又は増加に特別な貢献をした相続人がいる場合に、相続人間の公平のために、相続分の調整を行うものです。

 

2.再婚と相続

(1)前婚の子と後婚の子で相続分は違うのか

子ども(養子を含む)は、第一順位の相続人になり、前婚時に生まれた子と再婚後に生まれた子に相続分の差はありません。配偶者がいる場合の子の法定相続分は、相続財産の1/2を子の数で割ったものとなります。

 

(2)養子縁組によって連れ子の相続権の有無が変わる

被相続人の再婚相手の子ども(連れ子)は、再婚により当然に親子関係が生じるわけではありません。そのため、被相続人の財産を当該連れ子に相続させたい場合、養子縁組を行う必要があります。言い換えると、養子縁組をしていない連れ子については、被相続人の相続権はないということになります。

 

3.生命保険金の受取人の変更

生命保険とは、被保険者に万が一のことがあった場合に死亡保険金受取人に指定された人にあらかじめ決めておいた保険金が下りる保険です。被相続人が死亡した際に支払われる保険金の請求権は、受取人の固有財産であり、相続財産にはなりません。

離婚後に再婚した場合、保険金の受取人を前の配偶者のままにしておくと、再婚後の配偶者は保険金を受け取ることができませんので注意が必要です。

 

4.まとめ

相続については、親族内でトラブルになることが多くあります。想定しうるトラブルを未然に防ぐため、あるいは発生してしまったトラブルを早急に解決するため、再婚後の法定相続についてお困りのことがあれば早めに弁護士に相談しましょう。茨城県内で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご相談ください。離婚・再婚・相続事件で経験を積んだ弁護士が丁寧にサポート致します。

 

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