Archive for the ‘離婚問題コラム’ Category

過去分の婚姻費用の請求はできる?

2021-06-12

質問

別居する前までは、夫が生活費を払ってくれていたのですが、別居してからは生活費を支払ってくれなくなりました。別居時まで遡って生活費の請求をすることはできるのでしょうか。

回答

当事者同士で協議し合意できれば支払ってもらうことができますが、調停等で支払いが確定した場合には、請求時からしか支払い請求が認められないのが通常です。

解説

婚姻費用とは

婚姻費用とは、衣食住にかかる費用、交際費、医療費、子どもの教育費といった夫婦やその子どもが共同生活を送るうえで必要な費用の総称です。

夫婦は婚姻生活を送るうえで、お互いに同等レベルの生活を相手にもさせなければなりません。実際には、収入の多い方が収入の少ない方に支払うことになります。

もし、相手が婚姻費用を支払ってくれないようなら、相手方に婚姻費用の分担を請求することが可能です。

婚姻費用の算定

協議により自由に決めることができる

婚姻費用は、法律等で決まっているものではありませんので、夫婦で協議して自由に決めることができます。

協議で決められない場合には

夫婦の協議で婚姻費用の決定ができない場合は、家庭裁判所の調停・審判で決定することになります。その際、家庭裁判所では、「婚姻費用算定表」を基準に算定を行います。

「婚姻費用算定表」から算定する場合、まずは子どもの人数と年齢から利用すべき婚姻費用算定表を選びます。そして、支払う側の年収ともらう側の年収を確認して、両者の年収(2本の線)が交差するポイントが婚姻費用の金額ということになります。

いつから請求できるか

婚姻費用は、相手方に対して、請求の意思を明確に通知したときから支払い義務が発生すると考えられます。つまり、別居してから数年経ってから請求した場合、遡って支払いを請求しても認められない可能性が高いです。

支払ってもらうためには、請求したという履歴を残すため、メール、メッセージの記録、通話の録音をしたり、内容証明郵便を利用するようにしましょう。

まとめ

婚姻費用の請求について、お困りのことがあれば、早めに弁護士に相談しましょう。婚姻費用を支払ってもらえなければ、生活が立ち行かなくなってしまう可能性がありますので、なるべく早い解決が望まれます。

弁護士であれば、相手との交渉、合意内容の書面化、家庭裁判所での手続きまで一貫してお願いすることができます。当事務所には、離婚や婚姻費用の請求に精通した弁護士が多数在籍しており、ご相談者様のお気持ちに寄り添った解決をサポートすることが可能です。

茨城県で弁護士をお探しの場合には、当事務所にご連絡ください。

別居中の配偶者に対して、生活費は請求することはできる?

2021-06-11

相談

現在、夫と別居しているのですが、同居していたときのように生活費を支払ってもらうことはできるのでしょうか。

回答

はい、可能です。別居中の生活費も、夫婦で分担します。

解説

別居中の生活費について

婚姻中の夫婦であれば、原則として同居義務があります。

結婚生活には、食事、住居、その他の生活費用が発生しますが、夫婦には、これらの費用をそれぞれの収入・資産に応じて分担する義務があります。このような夫婦の結婚生活に必要となる費用のことを法律上、婚姻費用と言います。

これは、別居中であっても変わらず、互いに、自分の生活と同レベルの生活を相手も送ることができるようにしなければならないという義務(生活保持義務)があります。そのため、一方が生活費に困っているときは、他方に対して生活費の支払を請求することができます。

生活費の請求時期

生活費は、毎月必要なものですが、別居した途端、それまで払ってくれていた生活費を払ってくれなくなることがあります。そのような場合は、なるべく早く相手に請求するようにしましょう。

とはいえ、相手方も、別居に納得していない、こちらの支出に不満がある、請求された金額に納得できないなどの理由から、すぐには払ってくれないこともあります。その場合には、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停の申立てをしましょう。

支払ってもらうには、この方法が確実性が高いですが、裁判所では、申立てをした月から婚姻費用の分担請求を認めることが多いので、その場合は申立て前の分については支払ってもらうことが難しくなります。

生活費の分担額

別居前に、別居中の生活費について夫婦で協議ができる場合は、別居前の生活水準を踏まえて生活費の支払い額を決定するのが通常です。

しかし、夫婦の一方が勝手に家を飛び出てしまったような場合は、夫婦間での話し合いによる整理が難しくなります。

そのようなときは、家庭裁判所に調停・審判を申し立てる方法で別居中に支払う生活費の額などを定めることになります。

家庭裁判所では夫婦間における生活費の負担を決める際に、「算定表」を用いて算出し、分担額を決定することになります。

まとめ

別居中の生活費でお困りのことがあれば、早めに弁護士に相談しましょう。生活するための費用になりますので、なるべく早く解決することが望ましいと言えます。

弁護士であれば、ご本人に代わって相手方と交渉することも可能ですし、調停の申し立てをする場合にも、代理人としてスムーズに手続きを行うことが可能です。

茨城県で、離婚や生活費の分担について詳しい弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。経験豊富な弁護士が丁寧にサポート致します。

【コラム】面会交流など19 離婚後数年してから面会交流を再開することはできる?

2020-09-05

質問

3年前に離婚した元妻が子どもを育てています。離婚当時は、感情的に対立していたこともあり、早く離婚したい一心で、養育費についても面会交流についても何も定めませんでした。今となって子どもに会いたいと思うことがあるのですが、改めて面会交流を始めることはできるのでしょうか。

 

回答

子どもの都合や感情、様々なことを検討しながら、面会交流ができるように進めていくことは可能です。

 

解説

1 面会交流とは

面会交流とは、親の離婚により、離れて暮らすことになった親と子どもが、一時的に会ったりして交流することです。両親が離婚したとしても、子どもにとって親であることに変わりはないため、子どもが親の愛情を感じながら成長する上でも、面会交流は大切なものになります。

一般的には、離婚時に、面会交流の頻度、おおよその日時、場所、外出や宿泊の有無等について、取り決めを行います。これらの取り決めは、第一に子どもの利益や福祉を考え、子どもに負担がないようによくよく話し合って決めることになります。

面会交流は原則として実施した方が良いと考えられていますが、次のような場合は、拒否・制限されることがあります。

  1. 非監護親による連れ去りの恐れ
  2. 非監護親による虐待の恐れ
  3. 非監護親の監護親に対する虐待等
  4. 子の拒絶

 

2 離婚後数年たってから面会交流を実施することについて

(1)状況の確認

面会交流は子どもの福祉を最大限尊重して行う必要がありますので、離婚時の子どもの年齢と現在の子どもの年齢、子どもが現在、どのような環境で暮らしているのか、子どもの意思等をよく検討する必要があります。

(2)協議等による決定

次に一緒に暮らしている親と話し合いをします。当事者同士で話し合って合意できるのが一番ですが、話し合いで決まらない場合には、家庭裁判所の調停・審判で解決を図っていくことになります。

 

3 まとめ

面会交流についてお悩みのことがあれば、早めに弁護士に相談しましょう。子どもを第一に考えると、面会交流についてのご相談は早めに解決するのが望ましいと言えます。弁護士であれば、ご相談者様に代わって相手と交渉することもできますし、面会交流の条件について合意ができずに家庭裁判所の調停・審判が必要になった場合でもスムーズに対応することが可能です。

茨城県で弁護士をお探しであればぜひ当事務所にご連絡ください。離婚や面会交流に精通した弁護士が、安心・丁寧なサポートを致します。

【コラム】面会交流など18 面会交流を兄弟姉妹で別々に行うことの可否

2020-09-04

質問

離婚した妻が二人の子どもを養育しています。兄弟一緒なら面会交流をしても良いとのことですが、別々に会うことはできないのでしょうか。

 

回答

子どもの年齢や事情を考慮し、同時に行うことも別々に行うこともあり得ます。

 

解説

1 面会交流とは

面会交流とは、父母の離婚により、離れて暮らすことになった親と子どもが、一時的に面会したり一緒に過ごしたりすることです。面会交流権は、民法第766条に定められた権利であり、父母が離婚するときには、父または母と子との面会及びその他の交流を協議によって定めるべきとされています。面会交流権は、親の権利でもありますが、子どもの福祉の観点から、子どものための権利であるとも言えます。

 

2 面会交流について決めておくべきこと

面会交流については、どのような内容の取り決めを行うべきなのでしょうか。

(1)どんな方法で面会交流を行うか。

子どもの都合も考慮しながら、どのような方法で面会するかを決めます。

(2)面会交流の頻度はどうするか。

面会交流の頻度についても、子どもの都合や年齢を考慮して、決定する必要があります。

(3)いつ面会交流をするのか。

いつ面会交流するのかについても可能な限り事前に決めておくと安心です。

(4)面会場所はどこにするか。

面会場所についてもある程度事前に把握できていた方がお互い安心です。直前に変更になることがあったとしても、可能な限り事前に決めておくようにしましょう。

 

3 面会交流の制限について

面会交流は、子どもの福祉からも大切な権利になりますので、一方の親の都合や感情だけで面会を拒否・制限することはできません。ただし、以下のような場合には、面会交流を拒否・制限できる場合があります。

  1. 子どもに暴力を振るう
  2. 子どもに悪影響を与えるようなことをさせる
  3. 子ども連れ去る可能性がある
  4. 子どもに金銭を要求する等

 

4 面会交流を兄弟姉妹で別々に行うことの可否

一般的に、兄弟姉妹は同一の日時に一緒に面会交流をすることが多いですが、それは、子どもの送迎や事前調整など親の労力を考慮してそのようにしているケースが多いようです。面会交流は子どものためのものでもありますので子どもが複数人いる場合には、それぞれの子どもにとって何が良いのかを検討して取り決めが行われ、別々の機会に面会交流が実施されることもあります。

 

5 まとめ

面会交流についてお困りのことがあれば、弁護士に相談しましょう。前述のように、面会交流は親の権利でもありますが、子どものことを第一に考えて行う必要があります。面会できない期間が長期化しないよう、早期解決が望ましいと言えます。弁護士であれば、代理人としての交渉から、何かあった場合の裁判所での手続きまで一貫して依頼することが可能です。

茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご連絡ください。離婚や面会交流について経験豊富な弁護士が丁寧にサポート致します。

【コラム】面会交流など17 面会交流のルールの変更の可否

2020-09-03

質問

離婚時に、元夫と子どもとの面会交流について取り決めを行いました。

子どもが成長するにつれ、部活や習い事などの都合もあり、面会交流のルールを変更したいのですが、可能でしょうか。

 

回答

話し合いで合意ができればルールの変更が可能ですし、合意できない場合には、家庭裁判所の面会交流調停か審判によって解決を図ることになります。

 

解説

1 面会交流とそのルール

面会交流とは、父母の離婚により、一緒に暮らせなくなった親と子どもが一時的に会ったりして交流することを言います。面会交流は、親の権利でもありますが、「子どもの利益・福祉」が最も重視されます。

面会交流に関してのルールは、基本的には離婚の際に両親の協議で決めます。面会交流は離婚後に問題になることが多いので、離婚前にきちんと取り決めをし、公正証書を作成しておくのが良いでしょう。取り決めるべき内容は、面会の頻度(月に何回など)、連絡方法、日数、面会時間、場所、宿泊の有無、子どもの受け渡しの方法等です。

面会交流に関して話し合いで決まらなければ、家庭裁判所へ面会交流の調停申立てを行います。調停が不成立であれば、自動的に審判手続へと移行し、審判によって結論が示されることになります。

 

2 面会交流のルール変更がなされる場合

今回のご相談のように、一緒に暮らしている親からの申出がある場合もあれば、ルールどおりに面会交流をさせてもらえない等の理由から、一緒に暮らしていない親からの申出がある場合もあります。

どちらの親からの申出であっても、まずは当事者同士で話し合いをします。当事者同士の話し合いで解決できない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。

家庭裁判所に申立てを行うと、1ヶ月以内に初回の調停の日時を決めるための連絡があり、期日が決まります。面会交流については、子どもの福祉を考慮に入れて検討しなければならないため、家庭裁判所調査官が同席して調停が行われます。調停でも合意が形成できない場合には、審判に移行するという流れになります。

 

3 まとめ

面会交流についてお困りのことがあれば、早めに弁護士に相談しましょう。面会交流については、子どものためにも当事者同士で話し合って解決した方が良いということはわかっていても、感情の対立からうまく解決できないこともしばしばです。そのような場合、専門家である弁護士が間に立つことによって、スムーズに解決できることもあります。また、家庭裁判所での手続きが必要になった場合であっても、そのまま代理人として対応してもらうことが可能です。

茨城県で弁護士をお探しの場合には、ぜひ当事務所にご連絡ください。離婚や面会交流で経験を積んだ弁護士が丁寧にサポート致します。

【コラム】面会交流など16 面会交流において親が守るべきルールとは

2020-09-02

質問

面会交流において親が守るべきルールはあるのでしょうか。

 

回答

子どもの状況に配慮しルールを決め、そのルールを守るようにしましょう。

 

解説

1 面会交流とは

面会交流とは、両親の別居や離婚によって、離れて暮らすことになった親と子どもが、一時的に交流することです。夫婦が離婚したとしても、子どもにとってはどちらも大切な両親です。円満な面会交流は子どもが両親から愛されていると感じる重要な機会になります。

面会交流の内容について、まずは当事者同士で話し合って決めることになりますが、当事者同士で合意できない場合には、家庭裁判所の調停や審判で解決を図ることになります。

 

2 面会交流の取り決めについて

面会交流の円滑な実施をする為には、きちんとルールを決めておきましょう。取り決めるべきルールの内容は以下のような内容です。

  1. 面会の頻度
  2. 1回あたりの面会時間
  3. 子どもの受け渡し方法
  4. 費用の負担について
  5. 連絡方法
  6. 宿泊の可否
  7. 学校行事への参加、誕生日などの過ごし方

 

3 面会交流の心得

(1)別居している親の場合

  • 子どもの気持ちやペースを尊重しましょう。
  • 楽しい時間を一緒にすごせるように配慮しましょう。
  • 感情的にはならないようにしましょう。
  • 面会中に気がかりなことがあった場合は同居している親に伝えましょう。
  • 同居している親の了承を得ずに何かを約束するのはやめましょう。
  • 面会交流の取り決めは厳守しましょう。

(2)同居している親の場合

  • 子どもの気持ちを大切にしましょう。
  • 普段から相手の悪口を言わないようにしましょう。
  • 子どもの様子を相手に伝えるようにしましょう。
  • 子どもが面会交流に出かけるときは、笑顔で送り出し、笑顔で迎えましょう。

 

4 まとめ

面会交流について困っていることやわからないことがあれば、弁護士に相談しましょう。面会交流を円滑に行うことは、親のためにもなりますが、子どもの福祉の観点からもとても大切です。トラブルを防いで、スムーズに面会交流を行うためには、条件や内容の取り決めをしっかり行うことも重要ですが、当事者だけでの話し合いでは感情の対立が起こることもあります。そのため、専門家である弁護士に相談しながら行うのが良いでしょう。

茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご相談ください。離婚や面会交流に精通した弁護士が、ご相談者様のお気持ちにそった解決のお手伝いを致します。

【コラム】面会交流など15 試行的面会交流とは

2020-09-01

質問

試行的面会交流とは、どのような場合に行われるのでしょうか。

 

回答

調停や審判で面会交流を決める場合に、家庭裁判所が必要な調査を行いますが、その一つが試行的面会交流です。以下、詳しく見ていきましょう。

 

解説

1 面会交流とは

離婚により、離れて暮らすことになった親と子が、一時的に会ったりして交流することを言います。面会交流は親の権利でもありますが、子どもの福祉を最大限尊重して、その内容を決める必要があります。

面会交流については、両親が話し合って決定するのが一番ですが、内容や条件について合意できない場合には、家庭裁判所の調停・審判によって解決を図っていくことになります。

 

2 試行的面会交流とは

調停や審判で面会交流を決める場合、家庭裁判所が子どもの心情、生活状況、親子関係などについての必要な調査を行いますが、その一つが試行的面会交流です。

調停などで面会交流を拒否し話が円滑に進められないとき、家庭裁判所内で試行的に面会交流を行うことの提案がなされます。試行的面会交流が実施される場所は、家庭裁判所内にあるプレイルームで、おもちゃ等がたくさん置かれている部屋になります。プレイルームの中には、マジックミラーやカメラが設置されており、面会交流している親子の様子を外部からも確認できるようになっています。

 

3 試行的面会交流の実施方法

子どもと一緒に暮らしている親が家庭裁判所に子どもを連れてきたら、家庭裁判所調査官が、子どもと一緒にプレイルームに行きます。子どもが場所にも慣れて遊び始めたら、面会交流をする親に部屋に入ってもらい、少しずつ子どもとの遊びに加わってもらいます。

交流時間については、事前に決めていることが一般的ですが、状況に応じて終了になります。その後、子どもが落ち着いたら、一緒に暮らしている親と帰宅することになります。

 

4 試行的面会交流実施の後について

試行的面会交流の実施後は、家庭裁判所調査官によって交流の結果が報告書にまとめ、次の調停で、交流場面で見られた課題や問題が指摘されます。それを踏まえて、調停委員会が交流の取り決めに向けた調整を図ります。

 

5 まとめ

面会交流についてお困りのことがあれば、専門家である弁護士に相談しましょう。面会交流の内容や条件について、当事者同士で合意できるのが一番ですが、離婚時の感情のもつれなどで相手方と対立してしまい、なかなか合意ができないこともあります。そのような場合、弁護士であれば、代理人として相手方と交渉することもできますし、家庭裁判所の調停・審判にスムーズに対応することもできます。

茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご連絡ください。面会交流について知識と経験を積んだ弁護士が親身になってサポート致します。

【コラム】面会交流など14 養育費を支払わない夫への面会交流の制限の可否

2020-08-31

質問

元夫が養育費を払ってくれません。それでも子どもと面会交流させなくてはならないのでしょうか。

 

回答

お気持ちは理解できますが、養育費の支払いと面会交流とは別の問題として扱われています。

 

解説

1 養育費について

養育費とは、子どもを監護・教育するために必要な費用で、未成熟子(経済的・社会的に自立していない子)が自立するまで要する費用です。具体的には、生活に必要な経費、教育費、医療費などが含まれます。

養育費の支払いが滞った場合には、相手に督促して、払って貰えれば問題はありませんが、それでも払ってもらえないときは、改めて家庭裁判所に養育費請求の調停・審判の申立てをし、養育費の支払いを決め直すことになります。また、調停・審判等で養育費の支払いが決まっている場合には、家庭裁判所に履行勧告の申し出をすることができます。更に、履行勧告でも支払われない場合には、強制執行の申立てをすることができます。

 

2 面会交流権について

面会交流権とは、離婚などによって、別々に暮らすことになった親と子どもがお互いに面会をする権利のことです。面会交流権というと、親側の権利だという考えられがちですが、面会交流権は親だけではなく子どものための権利でもあります。面会交流を定める場合には、親同士が話し合いをして、具体的な子どもとの面会方法、頻度、日時・場所などについて決定します。

面会交流は子どもの健全な成長のために必要であるという考えから、面会交流を禁止・制限すべき事由がない限り、面会交流は認めるべきとの考え方が主流です。面会交流を禁止・制限すべき事由として、具体的には、非監護親による子の連れ去りのおそれがある場合や非監護親による子の虐待のおそれ等がある場合などが挙げられます。

 

3 面会交流を制限することができるか

養育費を支払わない元夫と子どもを会わせたくない、という気持ちが生じるのは当然のことかもしれませんが、法的には、養育費の未払いと面会交流権は別物です。そのため、養育費が未払いであるからといって、直ちに面会交流をさせないとすることはできません。また、面会交流をさせずに、非監護親と子どもを会わせないことにより、親であるという自覚が薄れ、ますます養育費を払ってもらえないという悪循環になる可能性もあります。子どものためにも、面会交流は継続することをお勧め致します。

 

4 まとめ

養育費を支払ってもらうことと面会交流は別の問題です。子どものためにも、面会交流は継続するのが良いでしょう。もちろん、子どものために必要な養育費を支払ってもらえないのは困りますので、支払ってもらうための手続きを平行して行う必要があります。自分だけで対応するのが難しい場合は、弁護士に相談しましょう。

茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご相談ください。些細な質問や相談でも、親身になって対応致します。

【コラム】面会交流など13 DV夫への面会交流の制限の可否

2020-08-29

質問

夫とは現在別居中で、子どもは私が育てています。同居中、夫の私への暴力がひどかったため、夫と連絡をとることに抵抗があり、子どもとの面会交流もさせたくありません。面会交流を制限することは可能でしょうか。

 

回答

面会交流は原則実施ですが、制限され得る場合があります。

 

解説

1 面会交流権とは

面会交流権とは、離婚等で親と子どもが別居している場合に、親子が面会するという権利です。子どもは、両親が離婚した後は、片方の親と一緒に暮らせないことになりますが、子どもの健全な成長のためには、一緒に暮らせない親とも交流して愛情を感じることが望ましいと考えられています。面会交流は親の権利でもありますが、子どもの利益・福祉の観点から、子どもの権利でもあります。

面会交流の取り決めを行う際は、①面会の方法②面会の頻度③面会の日時④面会の場所等について、両親で話し合って決めます。両親の話し合いで決めることができない場合は、家庭裁判所の調停や審判で決定することになります。

 

2 面会交流が制限される場合

前述のように、面会交流は子どものための権利でもあるため、面会交流を禁止・制限すべき事由がない限り、面会交流は実施する必要があります。

以下、面会交流を禁止・制限すべき事由を具体的に見ていきます。

(1)非監護親による子の連れ去りのおそれがある場合や過去にあった場合

子どもを一方的に連れ去るおそれがある場合には、子どもの心理的な負担も大きいため面会を制限される可能性があります。但し、第三者の立ち合いや場所を限定するなどの条件を付けることにより、面会交流が認められることもあります。

 

(2)非監護親による子の虐待のおそれ等がある場合

過去に子どもに対して虐待を加えていた事実があり、子どもが現に非監護親に対して恐怖心を抱いている場合や、面会交流の際に虐待をするおそれがある場合には面会交流を制限される可能性があります。

 

(3)非監護親の監護親に対する暴力等

親がもう一方の親に対して、子どもの目の前で暴力的な態度をとることにより、子どもが精神的ダメージを受けているような場合には、面会交流を制限される可能性があります。ただし、監護親の感情的反発から、非監護親との面会交流を拒否している場合は面会交流を制限することができないと考えられます。

 

(4)子の拒絶

大人の言うことを理解でき、自分で考えて話ができる年齢になれば、子どもの拒絶も面会交流を制限する理由になり得ます。

 

(5)監護親又は非監護親の再婚等

監護親が再婚しても、非監護親と子どもの親子関係は変わりませんので、監護親が再婚したからといって、当然に非監護親と子どもが面会交流できなくなるわけではありません。ただし、子どもが監護者の再婚相手と新しい人間関係を形成していく過程で、非監護親との面会交流することがプラスにはならないと判断されるような場合には、面会交流が制限されることがあります。

 

4 まとめ

面会交流でお悩みの場合は、早めに専門家である弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、豊富な経験からご相談者様のお気持ちに寄り添った解決方法を提案することが可能です。

茨城県で、離婚や面会交流について詳しい弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご相談ください。経験豊富な弁護士が安心・丁寧なサポートを致します。

【コラム】面会交流など12 面会交流の間接強制

2020-08-28

質問

離婚して、元妻が子どもの監護権を持っています。私は子どもと面会交流をしたいのですが、元妻が拒否しています。面会交流で間接強制をすることはできるのでしょうか。

 

回答

一定の条件を満たせば面会交流の間接強制をすることは可能です。

 

解説

1 面会交流権とは

面会交流権とは、親と子どもが別居している場合に親子が面会をする権利のことです。夫婦が離婚する場合、どちらか一方にしか親権が認められず、子どもは親権者(もしくは監護権者)となった方の親と生活をすることになります。そうなると、もう一方の親とは一緒に暮らせなくなり、親と子どもは交流が持てなくなってしまいます。たとえ親が離婚していても、子どもにとっては親のままですので、子どもの健全な成長のためには、親と子どもは面会交流するほうが良いと考えられています。

 

2 面会交流は拒否できるか

子どもの健全な発達のためには、面会交流をした方が良いという観点から、基本的には親の都合で面会交流を禁止したり制限したりすることはできません。

例外的に、子どもを連れ去る危険性がある場合、暴行等の危害を加えられる可能性がある場合や子どもの拒絶が強い場合などには制限される可能性があります。

 

3 間接強制について

両親が、子どもの面会交流の方法について話し合いができない場合には、家庭裁判所の調停や審判で決定することになります。これらの手続きで決まった内容を守られない場合には、強制執行の手続きをすることが可能です。

ただし、実力行使するなどの無理強いはできませんので、調停や審判に違反して会わせないような場合には制裁金を課する、という命令を裁判所に出してもらう間接強制という手続をとることになります。

間接強制が認められるためには、違反したか否かが明確に判別できるような調停や審判が存在している必要があります。この点について、平成25年3月28日に、基準となる判例が最高裁で出ています。

判例によると、『面会交流の日時又は頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合は、監護親に対し間接強制決定をすることができると解するのが相当である』とされています。

 

4 まとめ

面会交流に関する約束が守られない場合は、間接強制を行うことができる場合があります。早期解決を図るためにも、面会交流でお困りの場合は、弁護士に相談するようにしましょう。弁護士に相談すると、ケースに応じた交渉のアドバイスをしてもらうこともできますし、家庭裁判所での手続きをする場合に代理人になってもらうこともできます。

茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。離婚や面会交流について経験豊富な弁護士が、丁寧にサポート致します。

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