財産分与の対象財産ー退職金

退職金は、給料として支払われるべきものが退職の際に現実化するという性質を持ちます。

したがって、給料と同様に夫婦の協力により築かれたものと考えられ、原則として共有財産となります。

 

退職金が既に支払われている場合、夫婦の一方が他方の勤労にいつから貢献したのか、その期間の割合(寄与の割合)を計算して分与を行います。

しかし、退職金の支払いから相当に期間が経過し、既に退職金が費消されてしまっていた場合は、分与の請求はできません。

 

退職金が未だ支払われていない場合、分与はややこしくなります。

この場合の退職金の扱いについては、裁判例は2つの考え方に分かれます。

 

1つは、退職金の支払いは将来の財産であると考え、それが支払われる高度の確実性がある場合に分与を認めるという考え方です。

裁判例の多数はこの方法によっています。

一般論として、近い将来に退職することが考えられる場合に限り分与の対象とすることとなっています。

ここで、近い将来とはどこまでの事なのか、判断が難しいものがあります。

まだ若い方は、1~2年以内に確実に退職する予定がある場合でなければ認められがたいと言えます。また、中小企業に勤務される方は、定年まであと数年という状況である必要があります。

一方、公務員や大企業に勤める方は勤労を続け退職金を受けられる可能性が高いため、退職が間近でなくとも分与の対象とされる傾向があります。

裁判例では、公務員の方で定年まで13年あった場合でも退職金の分与を認めたものがあります。

この考え方に立つ場合、将来得られる利益を現在において支払を受けようとするものであるので、「中間利息控除」による調整を行います。

 

もう1つの考え方は、仮に現在退職したとしたらいくらの退職金がもらえるのか、という仮定を行い退職金を計算する方法です。

この考え方に立つならば、まだ退職まで長い若い夫婦の離婚においても退職金を分与の対象とすることができます。

この考え方に立つ裁判例も多くあります。

 

まだ裁判所の運用は固まっているとはいえない状況ですので、夫婦それぞれの立場において自己に有利な主張をしていくべきでしょう。

 

 

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