DV・モラハラを公務員配偶者に主張する際の注意点

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はじめに

夫婦間のトラブルで最も深刻なのがDV(ドメスティック・バイオレンス)やモラハラ(モラルハラスメント)です。公務員配偶者が暴力や精神的支配を行っている場合、被害者は離婚を考えると同時に身の安全公務員としての懲戒処分への影響など、複雑な問題を抱えます。一方で、DVやモラハラを「でっち上げ」として利用されるリスクも現実には存在し、公務員の立場が悪用される場合もあり得ます。

本稿では、DV・モラハラを公務員配偶者に主張する際の注意点を解説し、どのような証拠や手続きが必要なのか、被害者が離婚・保護命令を求める場合の具体的な流れをまとめました。公務員としての懲戒リスクも視野に入れ、両者が安全・公正に問題解決するためのポイントを探っていきます。

Q&A

Q1:公務員の配偶者によるDVやモラハラが発覚した場合、職場に通報すれば懲戒処分が下るのでしょうか?

DVやモラハラ自体が懲戒処分の直接原因になるかは、職務上の立場悪用や公務員法上の信用失墜行為とみなされるかによります。ただし、実際に逮捕や有罪判決が出るほどの暴行や傷害であれば、懲戒免職を含む重い処分が下る可能性が高いです。

Q2:DVやモラハラを受けた際、まずどこに相談すればいいでしょうか?

警察配偶者暴力相談支援センター市区町村のDV相談窓口に通報・相談するのが最初のステップです。緊急性が高いなら110番を最優先し、安全確保を図りましょう。弁護士への相談も早期に行うと、保護命令申立てなどスムーズに進められます。

Q3:モラハラが長期的に続いているが、決定的な証拠がない場合、どのように立証すればいいですか?

日々の暴言や嫌がらせを日記やボイスレコーダーで記録しておく方法があります。また、第三者(親族や友人)が目撃した証言も有力です。民事裁判や離婚調停では、「継続的なモラハラ行為の蓄積」が重要なので、日常の記録を積み重ねて立証するのが効果的です。

Q4:DVやモラハラが理由で離婚する場合、財産分与や慰謝料に影響はありますか?

DVやモラハラが法律上の不法行為と認められれば、慰謝料が発生します。財産分与においても、DVの程度や婚姻破綻の原因を考慮して分与割合を調整する可能性があります。弁護士を通じて証拠を固め、相応の請求を行うのが有効です。

Q5:DVやモラハラを主張している側が、実は誇張や嘘をついている場合、加害者扱いされた公務員はどう対処すればいいでしょうか?

捏造されたDV・モラハラの疑いがあるなら、自分の行動記録周囲の証言を集め、弁護士に相談して反証の準備をする必要があります。必要に応じて専門家(カウンセラー、医師など)からの意見を得るなど、無実を示す具体的な証拠を提示し、不当な主張を退けることが大切です。

解説

DV・モラハラの実態と公務員懲戒

DV(ドメスティック・バイオレンス)とは

  • 配偶者や同居するパートナーへの身体的・精神的・性的暴力を指す。
  • 公務員がDVで刑事事件化すると、信用失墜行為として懲戒処分の対象になる可能性が非常に高い。

モラハラ(モラルハラスメント)の広がり

  • 言葉の暴力、人格否定、無視、経済的支配など、身体的暴力がなくても、相手に継続的な精神的苦痛を与える行為を指す。
  • 法律上は直接的な定義が無いが、離婚裁判では精神的苦痛による慰謝料の根拠として認められる場合がある。

公務員の懲戒リスク

  • DVやモラハラが職務遂行に影響すると、職務上のパワハラや不祥事と合わせて信用失墜行為と見なされることがある。
  • 逮捕や起訴に至れば、懲戒免職や停職等の重い処分が下され、退職金や共済年金にも影響が及ぶ。

DV・モラハラを公務員配偶者に主張する際の注意点

証拠の具体性と継続性

  • 長期にわたる暴言・暴力であっても、録音・写真・診断書・日記など具体的証拠がないと裁判所での立証が難しい。
  • 周囲の証言(近所の人、親族、友人)やLINE・メール履歴、会話の録音など、多角的に揃える。

保護命令の活用

  • 身体的・精神的な危険が迫る場合、配偶者暴力防止法に基づく保護命令を家庭裁判所に申し立てる。
  • 公務員の立場がある相手でも、法的には暴力から身を守る仕組みを活用できる点に違いはない。

虚偽申告のリスク

  • DV・モラハラを悪用して配偶者を有責扱いし、離婚協議を優位に進めようとする事例も存在。
  • 弁護士は客観的な証拠を精査し、事実に基づいた主張を組み立てる必要がある。

離婚手続きと公務員の視点

調停・裁判での主張

  • DV・モラハラを理由に離婚を求める場合、法定離婚事由(その他婚姻を継続しがたい重大な事由)として立証を図る。
  • 調停委員や裁判官に対して具体的エピソード・証拠を提示するため、弁護士の書面作成力が大きく影響。

子どもへの影響

  • DV・モラハラが子どもにも及んでいる場合、親権争いや面会交流の制限が強く考慮される。
  • 公務員としての信用問題と併せ、子どもの福祉が最優先されるため、適切な保護を行う。

年金・退職金への影響

  • DV・モラハラの有責度が高ければ、加害側が慰謝料を支払う形となり、共済年金分割退職金で大きな支出を強いられる場合がある。
  • 被害者側が十分な老後生活を確保するため、財産分与の交渉においてDV・モラハラの深刻度を主張する戦略が重要。

弁護士に相談するメリット

DV・モラハラの確実な証拠収集

  • 弁護士が警察やDV支援センターとも連携し、録音や日記などの立証を的確に導く。
  • 証拠に基づいた主張を行うことで、離婚時の慰謝料や親権交渉を有利に進められる。

公務員懲戒リスクと人権救済の両立

  • DV・モラハラ被害者の安全確保と加害者側への適切な法的処分をバランスよく図る。
  • 加害者側が公務員の場合でも、正当な手続きで懲戒処分を受けるかどうかを見極め、慰謝料請求と併せて離婚を進める。

保護命令や一時保護

  • 急を要する場面では弁護士が保護命令の申立てや、施設入所(シェルター)の調整をフォロー。
  • 公務員という社会的立場があっても、DVを防止するための措置を迅速に適用できる。

離婚後の支援体制整備

  • DV・モラハラ被害者が公務員配偶者と離婚した後も、年金分割や財産分与の実施、慰謝料の取り立てなど長期的支援を受けられる。
  • 子どもの養育費や面会交流の条件づくりを弁護士が包括的に提案。

まとめ

  • 公務員配偶者のDVやモラハラが原因で離婚を考える場合、身体的・精神的安全を最優先しつつ、懲戒リスクや年金・退職金の財産問題も視野に入れる必要がある
  • DV・モラハラは不法行為として慰謝料の対象となり、公務員としての信用失墜行為が認定されれば職務上も重大な処分が下る可能性
  • 証拠がなければ立証が難しいが、日記や録音、第三者証言など継続的な収集を行い、離婚裁判・調停で適切に主張すれば被害救済を得られる
  • 弁護士に相談すれば、DV・モラハラの証拠収集とともに、公務員懲戒リスク管理や離婚後の生活支援体制を総合的に設計できる

DV・モラハラは、夫婦間の深刻なトラブルであり、当事者だけでは解決が困難になりがちです。公務員という立場なら、さらに懲戒リスクや社会的信用の問題も加わり、一層複雑化します。専門家である弁護士に早期相談し、安全確保と離婚手続きを同時に行いつつ、公務員としての社会的地位や年金・財産分与を保護する戦略を立てることが望ましいでしょう。

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