面会交流は、別居に至った親子が関係を継続する重要な場面に関する権利関係の問題です。
面会交流の性質
面接交流権とは、父又は母が子と面接し、もしくはそれ以外の方法で親子として交渉する権利をいいます。面接交流権は、親権・監護権の一部であると考えられています。
離婚にあたっては、この面接交流権をどのように決めるかが争点となることがあります。
面会交流の決定方法
離婚の際には、親権者は必ず決める必要があります(民法819条)。
一方、面接交流については必ずしも決める必要はありません。
ですが、非親権者側(親権を相手に譲る親)においては、今後、親権者側と面接交渉について話し合う機会があるとは限りません。
むしろ、離婚後は、お互いに連絡を取り合いたくないケースの方が多く見られます。
このような場合、離婚後に面接交渉を具体的に決めることは困難です。その結果、離婚後はお子様と容易に連絡がとれず、親子関係が疎遠になってしまうということも往々にして見られます。
やはり、離婚にあたり、お子様との面接交渉の条件は決めておくべきでしょう。
面会交流の判断基準
面会交流は「子の福祉に合致するか否か」という観点から、どの程度面接交渉が認められるかを決めています。
「子の福祉に合致するか否か」は、様々な事情を総合考慮して判断することになります。過去の裁判例を参考にすると、以下の要素を基準にしていると考えられます。
面会交流の判断要素
- 子に関する要素(子の意思、子の年齢、子の生活環境に及ぼす影響)
- 監護親に関する要素(監護親の意思、監護親の養育監護への影響、監護親の生活状況)
- 非監護親に関する要素(非監護親の生活状況、非監護親に問題がある場合
- 両親の関係に関する要素(別居・離婚に至った経緯、現在の両親の関係)
- 子と非監護親の関係に関する要素
面会交流の合意に違反した場合の効力
調停や審判で合意した面会交流が実施されない場合、非監護親は、家庭裁判所から監護親に対し、面会交流の履行勧告をしてもらうことができます(家事事件手続法289条)。
履行勧告によっても面会交流を実施しない場合には、強制執行を検討することになります。
もっとも、面会交流の履行は、その性質上、直接強制や代替執行になじまないとされていることから、間接強制を試みることになります。
なお、間接強制を試みる場合、調停や審判の条項の表現が、債務名義としての要件を備えているかどうかを慎重に確認する必要があります。