審判に対する異議申立の効力

【質問】

妻との離婚を決意し,これまで離婚調停で争ってきました。

1年以上にわたって離婚調停が続いていましたが,ついに調停に代わる審判によって,①夫婦は離婚する,②私が子どもの親権者となる,③専業主婦である妻には養育費を負担させない,④妻が慰謝料100万円を支払う,という命令が出ました。

ところが,妻はこの審判に不満があったらしく,その直後に私に相続で遺産が入ったこともあり,異議申立をしてきました。

 

この場合,審判は無効になってしまうのでしょうか。

 

【回答】

家事審判法24条1項の「調停に代わる審判」に対して不服のある当事者又は利害関係人は,審判の告知を受けた日から2週間以内に家庭裁判所に異議を申し立てることができます。

そして,異議申立があったときには,審判は効力を失うとされています。

 

本件では,異議を申し立てた妻の不服が金銭面のみで,調停段階から離婚することと親権者をあなたとすることに実質的な争いがなかったのであれば,争いのない離婚と親権者の指定については審判の効力を維持させ,実質的に不服ある養育費と慰謝料についてのみ審判を無効とする解決も考えられます。

実際,このように判断した審判例も見受けられます。

 

但し,異議申立を一部却下できるか否かなどの問題もあり,実務上確定した扱いとまでは言えません。

この点については,個別の事案によって異なるでしょう。

 

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