熟年離婚とお金

熟年離婚ののち、高齢であるため再就職が困難となってしまう方は多くいらっしゃいます。

離婚後に安定的な収入が得られるかどうかはとても大きな問題です。熟年離婚を考えている方は、「年金分割制度」と「財産分与」について理解しておきましょう。

まず、年金分割制度です。年金分割制度とは、婚姻期間中に夫の名義で納付した厚生・共済年金のうち、最大で2分の1の納付実績を妻のものとすることができる制度です。2007年に年金分割制度が改正され、専業主婦の方もより安定した収入を得やすくなりました。年金分割では、2008年以前に納めた部分とそれ以降に納めた部分について分けて分割割合が決まります。

2008年4月以前に納付した年金については、厚生・共済年金の報酬比例の部分のみが分割できます。国民年金や国民・厚生年金基金については分割の対象となりませんのでご注意下さい。この割合はお互いの合意により自由に定めることができます。

合意がまとまらない場合、家庭裁判所に年金分割の割合を定める調停・審判を申立てることができます(厚生年金保険法78条の2)。この調停・審判は離婚から2年以内にしなければなりません。調停・審判では、納付について各当事者の寄与の程度などあらゆるの事情を考慮して按分割合が定められます。

2008年4月以降に納付した年金は、夫の厚生・共済年金の納付実績を自動的に2分の1に分割することができます。ただし、妻が第3号被保険者(いわゆる専業主婦)であった期間に限られます。

次に、財産分与です。再就職が困難な熟年の方の離婚では、財産分与でいくら受け取ることができるのかが、そもそも離婚するべきかどうかという判断にかかってくると言ってしまっても良いくらいに重要です。司法統計では、熟年離婚における財産分与では600万円を超える分与が半数以上となっており、若年離婚と比して当然に高額になっています。20年以上共に生活を営んできただけあって、揉めることが多いです。

注意点として、以下の事を頭に入れておきましょう。

・割合は原則2分の1である。

・婚姻期間中に共同して築いた財産が分与の対象となる。

・生命保険、退職金も含まれる。

・各種ローン等のマイナスの財産も、共同生活のためのものであれば、分与の対象となる。

以上のようなお金に関することをしっかり理解して、離婚後の生活設計が成り立っていくかよく検討しましょう。

年金分割制度や分割比率の引き上げ、財産分与の対象財産の範囲、調査の仕方などについてお悩みがあればどうぞお気軽に当事務所にご相談下さい。

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