離婚を理由に解雇することの可否

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離婚を理由に解雇することの可否

中小企業の多い日本では、会社の経営者が自分の配偶者を役員に任命し、または従業員として雇用しているケースは多く見られます。離婚後に、元夫婦が同じ会社にいるのは当事者同士のみならず他の従業員も気まずくなることでしょう。このような夫婦が離婚した場合、経営者はそれを理由に元配偶者を解任または解雇できるでしょうか?

元配偶者が従業員である場合

元配偶者が従業員であった場合、結論から言って、離婚を理由とする解雇はできません

これは、労働法と絡む問題ですが、離婚は雇用契約とは別個の問題であると考えられています。解雇には合理的な理由及び社会通念上の相当性が必要であり(労働契約法16条)、合理的な理由の有無の判断の一要素とはなりますが、それのみを理由とする解雇は許されないと言えます。

したがって、このような場合、無理な解雇をしてしまうと損害賠償を請求される恐れがあります。元配偶者の勤務成績・態度などを入念に検討した上で、雇用の今後についてよく話し合うことが必要でしょう。

元配偶者が役員である場合

次に、元配偶者が役員である場合、解任するには、会社法の手続きに則る必要があります

すなわち、株主総会の解任決議(会社法339条1項)をするか、任期満了まで待ち再任決議をしないという過程が必要になります。これらの方法によらずに元配偶者を経営から排除してしまうと、やはり損害賠償請求(339条2項)の理由となってしまいますので注意して下さい。

(解任)
第339条 役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。

また、配偶者が株式や会社持分を有している場合、財産分与についても複雑な問題が生じます。このようなケースの場合、当事者同士では双方の納得いく話合いは難しいでしょう。

少しでも悩ましくお感じになられた場合、後の憂いを残さないためにも、まずは専門家にご相談下さい。

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