養育費と税金

離婚にともなう財産関係の精算では,養育費が問題となります。

以下では,養育費と税金の問題を解説いたします。

1 養育費をもらったら税金が発生するのか

【質問】

私は夫と離婚するときに,養育費として月10万円を支払ってもらうことになりました。

この養育費10万円に税金は発生するのでしょうか。

【回答】

養育費に対しては,原則として課税されないため,税金は発生しないことになります。

【解説】

養育費は原則として課税されません。

扶養義務者相互間において,生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち,通常必要と認められる財産の価額は贈与税の課税価格には算入されないとされているため,贈与税は発生しません。(相続税法21の3条1項2号)。

また,「学資に充てるため給付される金品(給与その他対価の性質を有するもの(給与所得を有する者がその使用者から受けるものにあつては、通常の給与に加算して受けるものであつて、次に掲げる場合に該当するもの以外のものを除く。)を除く。)及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品」については,所得税を課さないと規定されています(所得税法9条1項15号)。

 

2 養育費に対して税金が発生する場合

【質問】

夫と離婚する際,養育費として一括して1億円を支払ってもらうことになりました。

養育費に対しては課税されないと聞いたのですが,この場合でも大丈夫でしょうか。

【回答】

養育費に対しては原則として課税されませんが,「通常必要と認められるもの」を超えたと認められる場合には課税されることになります。

養育費として一括して1億円ももらった場合には,「通常必要と認められるもの」を超えていると判断され,課税されることが考えられます。

【解説】

慰謝料については原則として非課税とされています。

生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち,通常必要と認められる財産の価額は,贈与税の課税価格には算入されないとされているためです。

もっとも,養育費を一括してもらう場合には,「通常必要と認められるもの」を超えているとして,贈与税を課される可能性があります。

このようにして考えると,養育費は一括ではなく,毎月ごとに分割して受け取るほうが得策のようにも思われます。

一方,相手方がいつリストラなどに遭って減給されるかはわかりません。

数年先も変わらず,確実に養育費が支払われるかわからないというリスクもありますので,養育費を一括して支払ってもらうことができるのであれば,十分に検討する価値はあるといえます。

この点は,課税されるリスクと,養育費を一括払いで受け取るメリットを天秤にかけて検討する必要があります。

 場面別 離婚と税金の問題

1 慰謝料と税金

2 財産分与と税金

3 養育費と税金

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