1 離婚問題とうつ病
離婚問題に直面すると、配偶者の不貞、DVやモラハラ、子どもの奪い合いなど、精神的に大きなストレスがかかり、うつ病になってしますことがあります。
うつ病になると、仕事もできずに自宅療養となり、収入も途絶え、日常生活もままならなくなってしまいます。そのような場合には、一定の要件を満たすと障害年金を受給できることがあります。
2 うつ病とは
うつ病とは、心や身体のストレスが重なるといった複数の原因から、脳に機能障害が起きることで生じる状態のことです。うつ病になると、自己を肯定することが難しくなり、ものの見方もネガティブになるため、ちょっとしたことでも落ち込んで、さらに状態を悪化させるというサイクルに陥ります。
そうなると、眠れなくなったり、食欲がなくなったり、何をしても楽しいと思えなくなったり、更に症状が進むと生きていることすら辛くなったりします。
3 うつ病になる原因
強いストレスを感じるとうつ病になることがありますが、他の要因としてうつ病になる原因は以下のようなものがあります。
① 脳の機能障害
脳の中では神経細胞から神経細胞へさまざまな情報が伝達されます。その伝達を担うのが「神経伝達物質」というものです。
なかでも「セロトニン」や「ノルアドレナリン」といわれるものは、人の感情に関する情報を伝達する物質ですが、うつ病になるとこれらの「セロトニン」や「ノルアドレナリン」が減少するといわれています。
② うつ病を発症しやすい性質(個人の性格)
うつ病になるかどうかは個人の性格的な面も影響します。
- 相手の気持ちを敏感に察する
- 周囲への気づかいや配慮をする
- きまじめ・几帳面
- 仕事熱心
- 責任感が強い
4 うつ病の症状
以下のような症状が2週間以上続くとうつ病の可能性が高いといえます。
① 精神的な症状
- 気分の落ち込み
- 興味や意欲の低下、喜びを感じなくなる
- 集中力、思考力の低下
- 口数が減る
- 自分を否定的に考えるようになる
- 死んだ方がよいと考えるようになる
② 身体的な症状
- 倦怠感や疲労感
- 眠れなくなる
- 食べれなくなる、食べ過ぎる
- 頭や体の痛み
- 生理的機能の低下
5 うつ病の治療
うつ病の治療には、大きくわけて「休養」、「薬物療法」、「精神療法・カウンセリング゙」という方法があります。
(1)休養
うつ病は脳のエネルギー欠乏によるものですので、脳をしっかり休ませるということが治療の基本になります。
今までフル回転させていた脳を休ませ、新たに自分のペースを作っていくための時間を十分にとることが大切になります。
自宅でゆっくりできればよいのですが、それでも仕事や家事に追われるということであれば、一時的に入院をすることを考えた方がよい場合もあります。
(2)薬物療法
うつの状態によって、以下のような薬物を使って治療をすることがあります。効果も期待できますが、副作用があることもあります。
① 抗うつ薬
薬物療法の中心となるものです。脳の中のセロトニンやノルアドレナリンという物質の働きを高める作用があります。
② 抗不安薬
不安を静める働きがあります。症状の中で、不安や焦燥が強い場合に抗うつ薬と一緒に飲むことがあります。
③ 睡眠薬
睡眠障害の症状がある時に処方されます。
(3)精神療法・カウンセリング
医師との対話を通じて、客観的にうつ病になった原因を探り、今後はより柔軟な考え方や対応ができるようにしていく治療方法になります。
6 まとめ
前述のように、一旦うつ病になってしまうと、症状にもよりますが、回復するまでには長い時間がかかることが多く、収入が途絶えてしまうこともあります。
そのような場合に、一定の要件を満たすと障害年金を受給できる可能性があります。離婚という精神的なダメージから、自分自身の生活自体が立ち行かなくなってしまうのはとてもつらいことです。
話をするだけでも心が軽くなることもありますし、不安があれば早めに専門家に相談してみましょう。
茨城県全域に渡って幅広く対応している当事務所では、経験豊富な弁護士も所属しておりますし、その他の分野の専門家とも深いつながりがあります。不安を一人で抱えこまず、一度ご相談ください。