相談者
夫のDVに悩まされてきた女性からの相談
相談の概要
相談者の女性は、些細なことがきっかけで暴力を振るったり、暴言を吐いたりする夫からのDVに長年にわたって悩まされ続けてきました。
それでも女性は、子どもたちが成人するまでは両親がいなければ子どもたちに申し訳ないと思い、ずっと耐え続けてきていました。子どもたちが成人になると、ようやく夫と離婚する決意ができました。
もっとも、女性が夫に対して離婚を切り出しても、夫は激昂するばかりで話し合いになりませんでした。
女性は、やっとの思いで夫から離婚届にサインをもらうことはできたものの、その他の財産関係等の精算は一切できませんでした。
当事務所の対応
当事務所でお話をうかがい、まずは夫のDVに関する証拠を集めることから開始しました。
女性は長年にわたって夫からの暴力を受け続けていましたが、病院に通院しては事が表に出てしまい、子どもたちにも迷惑がかかってしまうと考え、病院の受診記録はありませんでした。
もっとも、女性は、夫のDVについて親友に相談したりしていたほか、女性が夫から暴力を受けていた現場を見続けていた子どもたちも協力してくれることになりました。
そこで、当時の事情を知る関係者からの証言を集めることにしました。
そして、証拠の収集・整理をした後、当事務所から夫に対し、慰謝料を請求する旨の交渉を開始しました。
夫は、当初から一切に支払に応じようとしない頑なな態度に終止していたため、交渉では埒が明かないと判断し、訴訟へ移行しました。
そして、訴訟で期日を重ねた結果、最終的に慰謝料約100万円を認める旨の判決を得ることができました。
なお、本件では、夫は判決が出ても支払に応じない可能性があったため、事前に夫の財産に対して仮差押えを行っていました。
弁護士からのコメント
本件では、慰謝料請求が大きな争点となりました。
慰謝料を認めるに足りる客観的な証拠(診断書、写真等)が乏しいために、立証をどのように行うかが悩ましい問題でしたが、間接証拠を積み重ねることでクリアしていきました。
また、本件では夫からの回収可能性をどのように担保するかという問題もあったため、事前に仮差押えを行ったところ、これが功を奏しました。
慰謝料請求が問題となる場合、単に慰謝料が認められるかどうかということだけではなく、慰謝料が認められた場合にどのようにして回収するかということも見据えて方針を立てていく必要があります。