医師の婚姻費用・養育費の算定

【2026年4月1日施行の改正法について】
同日以後に養育費を取り決めずに離婚又は認知をした場合、主として未成年の子を監護する父母は、取決めまでの暫定的・補充的なものとして、子1人当たり月額2万円の法定養育費を請求できます。この金額は標準額ではないため、父母の収入や子の事情を踏まえ、協議又は家庭裁判所の手続で適正額を取り決める必要があります。本ページの職業別説明は一般論です。勤務医、開業医、医療法人役員等で収入資料と評価方法が異なるため、個別資料を確認します。

医師の場合、婚姻費用・養育費の算定に際して通常の世帯とは異なる問題が生じます。

医師でない側の方の問題から見てみます。

まず、財産の調査です。医師の収入形態によっては、勤務先給与のほか、非常勤収入、事業所得、不動産所得、配当等がある場合があります。例えば、不動産を賃貸したことによる収入、株の配当金、他院で行ったアルバイト収入などです。婚姻費用・養育費の算定にはこのような収入もないか調査していかなければなりません。

次に、算定の計算方法です。婚姻費用・養育費は、夫婦双方の収入に応じて行われます。家庭裁判所は収入に対応した算定表というものを作成しており、一般的にこれに基づいて算定が行われます。ところがこの算定表には年収2000万円以上のケースについては記載がありません。医師の場合、年収2000万円を超える方もいらっしゃるかと思います。

算定表の上限を超える高額所得の場合は、標準算定方式、従前の生活水準、実際の支出その他の事情を踏まえて個別に検討されます。上限額に固定するか、外挿するか等は事案により異なります。したがって、この場合、適切な婚姻費用・養育費の主張を通すためには離婚問題についての専門知識が必要となります。

そして、子どもの学費の問題があります。医師は、子どもを私立学校に通わせていることが多くあります。しかし、上述の家庭裁判所の算定表の金額は公立学校の学費を基に算定されたものです。したがって、医師の夫婦が離婚時に子どもを私立学校に通わせていたか、又は通わせる予定であった場合は、算定表の額に加えて、私立学校の学費分を必要な婚姻費用・養育費として請求できることがあります。

この請求ができるかどうかは、相手方が私立学校進学を承諾していたかどうか、相手方の収入の程度などの事情によって変わります。請求できるとしても、私立学校の学費の何割まで請求できるかはまた事案によります。

収入認定や特別費用に争いがある場合は、資料と計算根拠を整理して主張する必要があります。

では、医師の側の注意点に移りましょう。

婚姻費用が高額となる可能性がある事案では、離婚手続の進行中に生じる支払総額も踏まえて方針を検討する必要があります。ここで婚姻費用の請求は離婚までの相互扶助義務に基づくものですから、離婚成立までの婚姻費用が多額になってしまうことが考えられます。離婚は調停、裁判を経て完全に終結するものですが、調停・訴訟に要する期間は、争点、証拠、裁判所の進行等により大きく異なります。最新の司法統計は裁判所公表資料をご確認ください。

婚姻費用の累計額は、月額と支払期間により変わります。仮定的なモデル額だけで判断せず、実際の収入資料と支払開始時期を確認して試算する必要があります。

次に、養育費の問題です。勤務医の方は所得税などが高くなり支払額に対する手取額の割合が一般的な労働者より低くなりがちです。しかし、養育費は収入の手取額ではなく支払額に対して算出されるものであります。したがって、勤務医の方の場合、手取額からするととても支払えないような養育費額を請求されてしまうこともあります。このような場合、弁護士を入れて調停・裁判で現実的な養育費を主張していきましょう。

養育費の終期は、子の成熟・進学状況や父母の合意等により定めます。成年年齢が18歳となったことだけで一律に終期が決まるものではありません。子どもの成長に悔いの残るものとならないよう、是非私たちにご相談ください。


初回無料|お問い合わせはお気軽に

keyboard_arrow_up

0298756812 LINEで予約 問い合わせ