質問
養育費算定の際には、裁判所の一般的な基準である「養育費算定表」を用いると聞きました。
「養育費算定表」を超える高所得者の場合にはどのように養育費を決定するのでしょうか。
回答
「養育費算定表」を超える高所得者の場合の養育費算定方法は、4つあります。以下、詳しく説明いたします。
解説
1 そもそも「算定表」とは
養育費を決定する際、双方の協議により合意できる金額であればいくらでも構いませんが、合意で決定できなかった場合には、裁判所の調停や審判で決定することになります。
裁判所の調停や審判では、「養育費算定表」に年収(基礎収入)をあてはめて、簡易に養育費・婚姻費用が算定されます。
ただし、この「養育費算定表」には、給与所得者の場合、源泉徴収票の支払金額で2000万円、自営業者の場合、確定申告書の課税される所得金額で1409万円という上限があります。
そのため、これらの上限を超える高所得者の養育費は別の方法での算定が必要になります。
2 高所得者の養育費算定方法
では、高所得者の養育費の算定はどのように行うのでしょう。ここでは4つの方法についてご説明いたします。
(1)上限頭打ち方式
所得が「養育費算定表」の上限を超える場合であっても、「養育費算定表」の枠組みを使い、「養育費算定表」の上限年収により算定される費用を適用します。
(2)基礎収入割合修正方式
所得が「養育費算定表」の上限を超える場合は、所得の中から貯蓄・資産形成にあてる部分が生じ、消費に充てられる基礎収入の割合は低下します。
算定自体は「養育費算定表」の枠組みを使いますが、「養育費算定表」の上限を基礎収入の割合で修正して算定します。
(3)貯蓄率控除方式
所得が「養育費算定表」の上限を超える場合は、所得の中から貯蓄・資産形成にあてる部分が生じ、消費に充てられる基礎収入の割合は低下します。
算定自体は「養育費算定表」の枠組みを使いますが、基礎収入を計算する際に貯蓄率を控除して算定します。
(4)類型的な算定方法を用いない方法
所得が「養育費算定表」の上限を超える場合に、「養育費算定表」を用いず、個別的な事情から相当な費用を裁量で算定します。
具体的には、同居中の生活レベルや生活費支出状況、現在の生活費支出状況等を考慮して決定されることになります。
3 まとめ
「養育費算定表」を超える高所得者と言っても、実際の所得、生活状況や子どもに関する状況などはケースによって異なるため、一括りにすることはできません。
養育費は子どもを育てるための大切な費用になりますので、慎重に対応する必要があります。養育費についてお困りのことがあれば弁護士に相談しましょう。
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当事務所の弁護士は離婚問題にも精通しており、高所得者の養育費問題についても多くの経験、ノウハウを有しています。まずはお気軽にご相談ください。