【コラム】養育費について7 養育費にも消滅時効は適用される?

質問

相手が養育費を払わなくなって4年経ちます。養育費にも消滅時効は適用されるのでしょうか。

 

回答

養育費にも消滅時効が適用されます。

 

解説

1 養育費の時効

養育費を請求する権利も、長期間行使していないと、時効にかかることがあります。離婚時に養育費に関する取り決めをしていて、すでに養育費が具体的に発生している場合、養育費の時効期間は5年です。

養育費は、毎月定額を支払うことが普通(定額給付債権)に該当し、民法第169条によって、定期給付債権の時効は5年と定められています。つまり、養育費は発生すると、その後5年で消滅します。

ただし、離婚調停や養育費調停・審判、離婚訴訟などの裁判所の手続きによって養育費が決定された場合は、確定判決で認められる時効期間が適用され、時効期間は10年となります。

 

2 時効の中断

では、一旦時効期間が始まると、時効をとめることはできないのでしょうか。時効援用によって不利益を被ることになる側の人の対抗手段として,時効の中断という制度があります。

時効の中断とは、時効期間の進行を中断させることができるという制度です。時効が中断すると、それまで進行してきた時効期間はリセットされます。養育費の時効が完成しそうになっていても、時効の中断事由が発生すると、時効期間がゼロに戻り、時効は完成しなくなります。

時効の中断事由には、債務承認や裁判上の請求、仮差押や差押などの手続きがあります。以下ご説明致します。

① 債務承認

債務承認とは、支払い義務者が「支払い義務があります」ということを認めることです。

② 裁判上の請求

訴訟や調停などをすると、時効を中断させることができます。

③ 仮差押、差押

仮差押や差押えの手続きにも時効中断の効果があります。中断します。

 

3 時効完成目前になったら・・・

養育費の時効完成が目前に迫ってきたら、まずは内容証明郵便によって滞納している養育費についての支払い請求書を送ります。

このことにより、半年間養育費の時効完成が遅られせることができます。

しかし、これだけでは養育費の時効が中断しないため、その半年間の間に、具体的な裁判手続きをとる必要があります。

 

4 まとめ

養育費は子どものための大切なお金です。一度約束したのであれば、支払う側としては、きちんと約束を守って子どもの成人まで支払いを続けることが大切です。

養育費支払い義務者が養育費を長期間支払ってくれず、困ったときや対処方法がわからない場合には、弁護士に相談するようにしましょう。

茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。離婚や養育費にまつわる問題について精通している弁護士が親身になってサポート致します。

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