1 障害年金の審査
障害年金は書面審査です。そのため、提出した書類の内容ですべてが決まってしまいます。面接官とは一度も会わずに審査されるため、どんなに症状が重くても、提出した書類でそれが伝わらなければ不支給になってしまうこともありえます。
2 申請に必要な書面
ここでは申請に必要な2つの書面についてご説明いたします。
(1)診断書
障害年金では、傷病によって、障害の程度に応じた等級を認定するための基準が定められており、等級判定ガイドラインでは診断書の記載事項を元に等級の目安が定められています。
そのため、診断書にどれだけ詳細に病状、日常生活の状況や就労の状況等を書いてもらえるかが重要になってきます。
① 診断書作成を依頼するにあたってのポイント
1 受診前に日常生活状況についてまとめておく
うつ病の等級判定においては日常生活能力の程度が重視されています。
そのため、実際に診断書を作成する医師に対して、自分の日常生活の状況や仕事の状況、何に困っているのか等を十分に伝える必要があります。
受診の際に、正確に伝えられるよう、事前に内容をまとめておくと良いでしょう。
2 病歴・就労状況等申立書
病歴・就労状況等申立書は、日常生活や就労の状況について、障害年金の請求者が自分で作成する書類になります。
こちらも簡単に済ませるのではなく、日常生活の状況、就労状況、困っていること等について、自分の言葉で詳細に書くようにしましょう。
具体的には、(ア)初診日から現在までの状況を3~5年に分けて記載する(イ)具体的に記載する、ということが必要になります。
(ア)初診日から現在までの状況を3~5年に分けて記載する。
病気のために初めて病院を受診した日から現在までの日常生活や就労の状況について、3~5年にわけて記載する必要があります。
(イ)具体的に記載する。
例えば、周囲の人との人間関係でトラブルになったこと、症状の頻度、日常生活で困っていること、自殺未遂や自傷行為の有無、家庭や職場での援助の内容、どのような支障が出ているか、入院歴やその際の様子を記載します。
3 受給のための要件
障害年金受給のための要件は、以下のとおりです。
(1)初診日を特定する
障害年金の受給にあたっては、初診日を特定することが重要です。初診日を特定しなければ保険料納付要件の確認ができません。
また、初診日に加入していた年金によって、年金の内容も異なります。さらには、障害の程度を判断する日である「障害認定日」(初診日から1年6か月後)も決まりません。
ここでいう初診日とは、今回請求しようとしている障害の原因となった傷病について、初めて医師の診療を受けた日をいいます。
うつ病の場合は、まずは体の不調と捉えて内科等を受診する場合もあります。その場合は、内科受診日が初診日となります。
(2)年金保険料を一定程度以上、納付していること。
① 年金に加入している
あくまでも年金制度の一つなので、年金に加入していないと受け取ることができません。
具体的には、今回請求しようとしている障害の原因となった傷病について、初めて医師の診療を受けた日(初診日)に国民年金、厚生年金、共済年金に加入していることが必要です。
② 年金保険料をしっかり支払っていること
障害年金を受給するには、初診日月の前々月までの被保険者期間のうち3分の1を超える保険料の未納がないことが要件となります。
※学生など年金保険料の支払いを免除されている場合の「保険料免除期間」については未納扱いにはなりません。
(3)等級の認定基準を満たすこと。
「障害認定日」(初診日から1年6か月後)の時点で、障害の程度に応じて1~3級に認定されると障害年金が支給されます。なお、うつ病の場合の認定要領は以下のとおりです。
【1級】
気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の介護が必要なもの
【2級】
気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの。
【3級】
気分(感情)障害よるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障 害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの。
4 まとめ
離婚問題からのうつ病という辛い状況から日常生活を立て直すためにも、金銭的な不安をなくして十分な休養に専念することは非常に大切なことです。
受給には要件もあり、一定の手続きも必要になりますので、申請等でわからないことがれば専門家に相談するようにしましょう。
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