1 アスペルガー症候群について
アスペルガー症候群とは、脳の前頭葉の下前頭回などの社会的な活動をするための部分に機能障害があるものをいいます。
症状としては「コミュニケーションの問題」「対人関係の障害」「限定された物事への興味やこだわり」の3つがあります。
夫もしくは妻がアスペルガー症候群またはその可能性がある場合、本人はもちろん、支える側にとっても苦労が多く大変な思いをされている方も多いと思います。
2 子どもの頃の特徴
アスペルガー症候群の子どもの特徴には以下のようなものがあります。
- 想像力が乏しい
- コミュニケーションを取ることが苦手(相手の目を見て話すことができない、会話がかみ合わない、抑揚がない)
- 運動が苦手
- 手順にこだわる
- 相手の気持ちが分からない
- 特定のものに対して強い関心を示す
- 数字や描画について独特な才能を持っている場合がある
3 大人になってからの特徴
アスペルガー症候群は子どもの間には気づかず、大人になってから気づくこともあります。以下の大人になってからの特徴になります。
(1)社会的に適切にふるまうことが難しい
- 相手との距離感がうまくつかめない
- 相手の気持ちを察することができず不適切な発言をしてしまう
(2)コミュニケーションを円滑にとることが難しい
- 質問にうまく答えられない
- 冗談が通じない
(3)こだわりが強く、柔軟にものごとを捉えることが難しい
- 物事の優先順位がつけられない
- 自分の興味のあることにはのめり込む
4 結婚生活で問題になりがちなこと
(1)相手の気持ちを察することが難しい
円満な夫婦生活を送るためには、言葉でのコミュニケーションに限られず、相手の表情を見て感情を汲みながら、相手に配慮してコミュニケーションをとることが必要になります。
相手が発言する際の声のトーンや口調から相手の喜怒哀楽までを察したりすることが、アスペルガー症候群の人には難しかったりします。
(2)不適切な表現や言動で相手を傷つけてしまうことがある
アスペルガー症候群の人は、自分の思ったことをその場面や状況に関係なく発してしまうことがあります。
そのため、本人は悪気がなくても相手を傷つけてしまうことがあります。また、傷ついている相手を見ても、どうして相手がそのような気持ちになっているのかが理解できずに悩んでしまうこともあります。
(3)言葉どおりに受け取ってしまい夫婦の関係に支障が出る
相手の言葉の裏を理解することが難しいため、なんでも言葉どおりに受け取ってしまい、配慮に欠けた言動や行動に出てしまったり、相手が本当は望んでいないことをしてしまったりすることがあります。
5 アスペルガー症候群の原因
アスペルガー症候群の原因はまだ特定されていませんが、多くの遺伝的な要因が複雑に関与して起こる、先天性の脳の機能障害が原因と考えられています。胎内環境や周産期のトラブルなども、関係している可能性があるとも考えられています。
原因を根本的に治療することは難しいですが、本人の努力と周りの支援、医師による治療によって症状を軽減していくことは可能です。
6 まとめ
前述のように、治療により症状を軽減していくことは可能ですが、本人の努力と周りの支援が不可欠になります。
夫婦で支え合って病気と向かい合えることが理想ですが、現実は厳しく、支える側としては疲弊してしまい、離婚を考えることもあるかもしれません。そんなときは一人で悩まずに専門家にご相談ください。
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