離婚後の公的扶助 ②離婚後における戸籍と姓の変更

1 離婚後における戸籍と姓の変更

離婚後の姓をどうするか、戸籍をどうするかについては、婚姻により姓を変更した当事者にとっては重要な問題になります。ここでは、離婚後の姓と戸籍についてご説明いたします。

 

2 離婚後の姓について

(1)婚姻後も同じ姓だった人の場合

民法750条により、夫婦は婚姻のとき、夫または妻のどちらかの姓を称することになります。婚姻後も婚姻前と同じ姓だった方は、離婚をしてもそのままの姓を名乗ることになります。

 

(2)婚姻により姓が変わった人の場合

婚姻により姓が変わったは、離婚をすると婚姻前の姓に当然戻ります(復氏)。ただし、離婚後も離婚前の姓を名乗りたい場合は、離婚の日から3ヵ月以内に、「離婚のときに称していた氏を称する旨の届」を夫婦の本籍地または届け出人の所在地の役所に提出することによって離婚前の姓を名乗り続けていくことができます(婚氏続称制度)。なお、この3ヶ月の期間ですが、離婚後の姓は速やかに確定すべきとの観点から延長することはできないと考えられています。ただし、離婚して3ヶ月以上経過してから離婚前の姓を名乗りたいと思ったときには、家庭裁判所に「氏の変更許可の申立て」(戸籍法第107条第1項)を行うことになります。

家庭裁判所により「氏の変更」が認められるためには、社会生活上で不利益・不便が生じているなどの「やむを得ない事由」がなければならないとされています。

 

3 離婚後の戸籍について

婚姻後も婚姻前と同じ姓を名乗っていた方は、離婚後も戸籍に変動はなく、そのままの戸籍にとどまります。一方、離婚によって旧姓に戻った人は、原則として婚姻前の戸籍に戻ります(復籍)。ただし、次の場合には、新しい戸籍を作ってそちらに入ることになります。

① 婚姻前の戸籍が除籍されている場合
② 婚姻前の姓(氏)に戻った人が新戸籍編製の申し出をする場合
③ 婚姻時の姓(氏)を名乗りたいとして婚氏続称の届け出を行った場合

 

4 子どもの姓と戸籍

(1)子どもの姓について

両親が離婚しても、子どもの姓は変わりません。たとえ、親権者が旧姓に戻った場合であっても、当然に子どもの姓も変わるわけではないのです。

また、親が婚氏続称の届け出をした場合であっても、婚姻中の姓と続称の手続をとった姓は、法律上別の姓とされます。つまり、呼び方は同じであってもその親と子の姓は異なるということになります。

 

(2)子どもの戸籍について

子どもの戸籍については、従前のままであり、自動的に親権者である親の戸籍に移動することはありません。また、姓が異なる場合は、親の戸籍にその子を入れることができませんので、婚姻により姓が変わった人が子どもの親権者になった場合で、自分と同じ戸籍に入れたい場合は、子どもに自分と同じ姓を名乗らせる必要があります。なお、子どもの姓を自分の姓と同じにするには、家庭裁判所に対して「子の氏の変更許可(民法791条)」の申立てをすることになります。

 

(3)子どもの入籍手続

「子の氏の変更許可審判書」を添付して、入籍届を出すことにより、元夫婦の戸籍にいた子どもが、自分の戸籍に異動して同じ姓を名乗ることになります。このとき、自分が親の戸籍に入っている場合は、子どもが同じ戸籍に入れませんので、入籍届で新しい戸籍を作ることになります。

 

5 まとめ

姓や戸籍に関する手続きには期限が設定されいていることがあります。そのため、可能であれば離婚前にどうしていくのかを決めて、離婚後速やかに手続きをする必要があります。手続きをするタイミングや、どういった手続きをする必要があるかについて迷った場合には、早めに弁護士に相談しましょう。

茨城県内で、離婚に精通した弁護士をお探しの場合は、ぜひ当事務所にご連絡ください。どんなご相談でも丁寧にサポート致します。

 

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