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1.離婚における財産分与とは
財産分与とは、婚姻生活中に夫婦で共に築き上げてきた財産は、離婚の際に分配することです。法律では、財産分与の請求が、民法第761条第1項で定められています。
離婚を急ぐと、財産の分配についてはしっかりと話し合うことなく別れてしまいがちですが、法律上定められている権利になりますので、後々そちらかが損をしないよう離婚の際には何等かの取り決めをすることが重要になります。
2.財産分与の種類
財産分与には、①清算的財産分与②不要的財産分与③慰謝料的財産分与の3つの種類があります。以下、詳しく見ていきましょう。
(1)清算的財産分与
夫婦が婚姻中に形成した財産の清算で、言い換えると、結婚している間に夫婦間で協力して築いた財産については、どちらの名義になっているかにかかわらず、離婚の際にはそれを合算した上で、それぞれの貢献度に応じて公平に分配しよう、という考えに基づくものです。
(2)扶養的財産分与
離婚により、経済的に困窮してしまう配偶者に対して、経済的に強い立場の配偶者が、離婚後もその者を扶養するための一定額を定期的に支払うといった内容の財産分与になります。
(3)慰謝料的財産分与
本来、財産分与は、慰謝料(精神的な被害に対する損害賠償)とは性質が異なるため、両者は別々に算出・請求するのが原則です。しかし、いずれも金銭での支払いになりますので、両者を区別せずにまとめて財産分与として請求することがあります。そのような場合は、慰謝料的財産分与と呼ばれることがあります。
3.財産分与の対象となる財産
財産分与の対象となるのはどのような財産なのでしょうか。財産分与の対象となるのは、夫婦で共同して築き上げた財産ですが、単純に財産の名義で決まるわけではなく、実質的に判断されることになります。具体的には、夫婦で購入した不動産、家財道具、車、それぞれの預貯金、有価証券等は、名義の如何を問わずすべて共有財産として、財産分与の対象となる可能性があります。
また、借金等マイナスの財産についても、夫婦の共同生活を営むために生じたものであれば、夫婦共同の債務として財産分与に組み入れられることになります。ただし、配偶者のどちらかが、もっぱら自分のために借り入れた借金は、財産分与において考慮されないと考えられています。
4.再婚における注意点
扶養的財産分与を受けている者が再婚した場合、新しい配偶者が扶養の義務を負いますので、前に配偶者に再婚を知らせる必要があります。扶養的財産分与は生活が困窮する場合に限って認められるものになりますので、再婚したことを前の配偶者に告げずに扶養的財産分与を受け取り続けることはできません。
5.まとめ
財産分与は離婚した後に請求することも可能ですが、離婚成立後2年以内に請求しなければ無効になってしまいます。離婚が成立した後では、相手方が話し合いに応じてくれるかどうかもわかりませんし、分与すべき財産を処分されてしまう恐れもありますので、できるだけ離婚と同時に請求することをお勧めします。
財産分与について不安なことがある場合は、早めに弁護士に相談しましょう。離婚・再婚について経験豊富な弁護士が数多く所属しておりますので、将来を見据えてのアドバイスが可能です。ご相談者様のご意向を最大限に尊重しながら、丁寧にサポートさせていただきます。