【コラム】親権について15 子どもが嫌がっても親権者には引き渡さなければならない?

質問

離婚判決で母親を親権者とすることが決まりましたが、子どもが母親を嫌っていて母親のところには行きたくないと言っています。それでも引き渡さなくてはならないのでしょうか。

 

回答

判決が出ている以上は、引き渡す必要があります。

 

解説

1 親権者の決定

未成年の子どもがいる場合、離婚後の親権者を父親と母親のどちらにするのかを決めなければ離婚することができません。婚姻中は夫婦は子どもに対して共同親権を持ちますが、離婚する場合には一人に決定する(単独親権)必要があるからです。

まずは夫婦間で話し合いをしますが、夫婦間で合意できない場合は、調停や裁判で親権者を定めることになります。調停や裁判で親権者を定める場合の判断基準としては、乳幼児の母性優先、今まで子どもを養育監護していたか、子どもの意思、兄弟姉妹関係、経済力等があげられます。

 

2 子どもが親権者を拒否するケース

1.のように決まった親権者ですが、決定した後に、子どもに拒否されることがあります。たとえば、それは、母親の不貞行為を多感な年齢の子どもが知ってしまったような場合です。母親が不貞行為をしたとしても、監護状況に問題が無ければ親権者になることができますが、子どもにとっては、悪い母親だと感じられて、母親を拒否することが少なくありません。

 

3 どのように対応したら良いか

子どもが親権者のもとに行くことを嫌がっているからと、いつまでも親権者に引き渡さない場合には、人身保護法違反により、釈放を命じられる可能性あります。では、どのように対応したら良いのでしょうか。

このような場合は、親権者変更の申立てをするのも一つの手段です。親権者変更は一度決定した親権者を変更するものであり、なかなか認められにくいものではありますが、全く認められないものでもありません。実際、離婚判決で母親が親権者に指定されたものの、子どもの拒絶が強かったため父親が親権者変更を申し立てて認められた判例もあります(大阪高裁平成12年4月19日決定)。

 

4 まとめ

子どもの親権についてお悩みのことがあれば、早めに弁護士に相談しましょう。親権は親側の権利義務ではありますが、子どもの福祉・利益の保護を一番に考える必要があります。子どもが親権者を嫌っているような場合、一旦は判決に従って親権者のもとへ行くことを説得すべきですが、どうしても拒絶するような場合は子どものためにも親権者変更の検討をするのも手段の一つです。

親権者変更の問題でお悩みの方は、親権の問題に詳しい当事務所の弁護士にご相談ください。

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