【コラム】親権について8 子の引き渡しを求める4つの方法

質問

離婚した夫に子どもを連れ去られました。引き渡しを求めるにはどのような方法があるのでしょうか。

 

回答

連れ去られた子供を取り戻す手続きには、家庭裁判所の「子の引渡し」手続きがありますが、適切な手順でスムーズに手続きをする必要があります。

 

解説

子の引き渡しを求めるには、どのような方法があるのでしょうか。以下、詳しく見ていきましょう。

 

(1)子の引渡しの調停・審判

離婚後、自分が親権者となって養育していた子どもを親権者ではない親が連れ去ったような場合に、その子どもを取り戻すために家庭裁判所に調停又は審判の申立てをすることができます。ただし、親権者でない親が、親権者に対して子どもの引渡しを求めるためには,原則として親権者変更の申立てを併せて行う必要があります。また、離婚前にこの手続きを利用する場合は、原則として子の監護者の指定の申立てをする必要もあります。

調停手続では、子どもの年齢・性別・就学の有無・生活環境等を考えて、子どもに精神的な負担をかけることのないように十分配慮して話合いが進められます。

なお、話し合いがまとまらず調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始されます。

 

(2)子の引渡しの審判前の保全処分(仮の引渡し)

子の引渡しの審判は、離婚訴訟よりは早く進みますが、それでもある程度の時間がかかります。また、家庭裁判所の判断に不服をもって高等裁判所に不服申し立てをされると、高等裁判所が判断をするまで審判は確定しません。

そこで、審判前の保全処分を申し立て、審判が出る前に仮の監護者の地位の指定等を求めることになります。

 

(3)強制執行

審判で親権者や監護権者と指定されて確定した後も、負けた方の親が子どもを引き渡さない、ということもあります。このような場合、審判が確定していれば、裁判所に強制執行の申立てをすることが可能です。

具体的には、履行しない親に対し、間接強制金の支払を命じる間接執行による方法と、裁判所の執行官が現地に赴き、直接子どもを引き取る直接強制による方法です。

 

(4)その他の方法

自らの意思によらないで拘束されている子どもを救済するために、人身保護法に基づき高等裁判所または地方裁判所に保護を請求するという手段も考えられます。しかし、請求が認められるための要件が厳格化され、特に別居中の夫婦間での人身保護請求が認められにくくなっているという難点があります。

また、実力行使で強引に連れ去ったという状況であれば、警察へ被害届を出して子の捜索・保護をしてもらうか、刑事事件として告訴することも可能です。

 

まとめ

子の連れ去りが発生した場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。子どもを奪い合うことで、大切な子どもを傷つけてしまう可能性もあります。話し合いで解決を目指す場合も弁護士であれば、代理人として交渉することができます。また家庭裁判所に申し立てを行う場合も、スムーズに手続きを進めることができます。

茨城県で弁護士をお探しの場合は、ぜひ当事務所にご連絡ください。

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