【コラム】面会交流など14 養育費を支払わない夫への面会交流の制限の可否

質問

元夫が養育費を払ってくれません。それでも子どもと面会交流させなくてはならないのでしょうか。

 

回答

お気持ちは理解できますが、養育費の支払いと面会交流とは別の問題として扱われています。

 

解説

1 養育費について

養育費とは、子どもを監護・教育するために必要な費用で、未成熟子(経済的・社会的に自立していない子)が自立するまで要する費用です。具体的には、生活に必要な経費、教育費、医療費などが含まれます。

養育費の支払いが滞った場合には、相手に督促して、払って貰えれば問題はありませんが、それでも払ってもらえないときは、改めて家庭裁判所に養育費請求の調停・審判の申立てをし、養育費の支払いを決め直すことになります。また、調停・審判等で養育費の支払いが決まっている場合には、家庭裁判所に履行勧告の申し出をすることができます。更に、履行勧告でも支払われない場合には、強制執行の申立てをすることができます。

 

2 面会交流権について

面会交流権とは、離婚などによって、別々に暮らすことになった親と子どもがお互いに面会をする権利のことです。面会交流権というと、親側の権利だという考えられがちですが、面会交流権は親だけではなく子どものための権利でもあります。面会交流を定める場合には、親同士が話し合いをして、具体的な子どもとの面会方法、頻度、日時・場所などについて決定します。

面会交流は子どもの健全な成長のために必要であるという考えから、面会交流を禁止・制限すべき事由がない限り、面会交流は認めるべきとの考え方が主流です。面会交流を禁止・制限すべき事由として、具体的には、非監護親による子の連れ去りのおそれがある場合や非監護親による子の虐待のおそれ等がある場合などが挙げられます。

 

3 面会交流を制限することができるか

養育費を支払わない元夫と子どもを会わせたくない、という気持ちが生じるのは当然のことかもしれませんが、法的には、養育費の未払いと面会交流権は別物です。そのため、養育費が未払いであるからといって、直ちに面会交流をさせないとすることはできません。また、面会交流をさせずに、非監護親と子どもを会わせないことにより、親であるという自覚が薄れ、ますます養育費を払ってもらえないという悪循環になる可能性もあります。子どものためにも、面会交流は継続することをお勧め致します。

 

4 まとめ

養育費を支払ってもらうことと面会交流は別の問題です。子どものためにも、面会交流は継続するのが良いでしょう。もちろん、子どものために必要な養育費を支払ってもらえないのは困りますので、支払ってもらうための手続きを平行して行う必要があります。自分だけで対応するのが難しい場合は、弁護士に相談しましょう。

茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご相談ください。些細な質問や相談でも、親身になって対応致します。

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