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DV離婚に強い弁護士の選び方とは?実態と対処法、保護命令から慰謝料請求まで

2026-01-10
ホーム » コラム » DV離婚の実態と対処法:保護命令から慰謝料請求まで

はじめに

家庭内暴力(DV)は、被害者の心身に深刻な傷を残すだけでなく、生命の危険さえ伴う重大な問題です。「パートナーが怖い」「逃げ出したいけれど、報復が恐ろしくて動けない」「経済的に支配されており、離婚後の生活が不安」――このような悩みを抱えている方は、決して少なくありません。

DV事案における離婚は、通常の性格の不一致による離婚とは異なり、被害者の安全確保が最優先事項となります。加害者は支配欲が強く、別れ話を切り出すことで逆上し、暴力がエスカレートする危険性が高いためです。そのため、当事者同士の話し合いで解決することは極めて困難であり、法律の専門家である弁護士の介入が不可欠なケースが大半を占めます。

しかし、すべての弁護士がDV事案に精通しているわけではありません。DV特有の精神構造の理解、緊急時の安全確保のノウハウ、裁判所を用いた保護命令の申し立て手続きなど、専門的な知識と経験が求められます。

本記事では、DV被害に苦しむ方が、安全かつ有利に離婚を進めるために、どのようにして「DV離婚に強い弁護士」を探し、選べばよいのかを解説します。

Q&A

Q1. DVの相談を弁護士にするタイミングはいつが良いのでしょうか?

可能な限り「早い段階」、できれば別居や離婚を具体的に決意する前が理想的です。

DV事案では、家を出る(別居する)タイミングが最も危険を伴います。事前に弁護士に相談することで、安全な別居の方法、証拠の集め方、警察や行政機関との連携についてアドバイスを受けることができます。もちろん、すでに別居した後や、トラブルが深刻化した後でも相談は可能ですが、早期に方針を立てることで、身体的・精神的な安全をより確実に守ることができます。

Q2. DVに強い弁護士と、そうでない弁護士にはどのような違いがありますか?

最大の違いは「被害者の安全確保に対する意識とノウハウ」および「迅速な対応力」です。

DVに強い弁護士は、加害者の行動パターンを熟知しており、住所を知られないための手続き(住民票の閲覧制限や裁判書類の秘匿措置など)を検討します。また、保護命令の申し立てを迅速に行い、被害者が法的に守られた状態で交渉を進めることができます。一方、不慣れな弁護士の場合、通常の離婚交渉と同じ感覚で相手方に連絡を取ってしまい、かえって被害者を危険に晒してしまうリスクがあります。

Q3. 証拠がなくても弁護士に依頼できますか?

はい、依頼可能です。

確かに、診断書や録音データなどの客観的な証拠があれば、裁判所での手続き(保護命令や離婚訴訟)はスムーズに進みます。しかし、恐怖で支配されている状況下では、証拠を集める余裕がないことも珍しくありません。専門知識を持つ弁護士であれば、詳細な陳述書の作成や、日記、友人への相談メール、警察への相談履歴などを組み合わせることで、DVの事実を立証していく戦略を立てることができます。まずは手元にある情報だけで構いませんので、ご相談ください。

解説

1. DV離婚における弁護士の役割と重要性

DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、配偶者やパートナーから振るわれる暴力の総称です。これには身体的な暴力(殴る・蹴る)だけでなく、精神的な暴力(暴言・無視・モラハラ)、経済的な暴力(生活費を渡さない)、性的暴力などが含まれます。

DV事案において弁護士が果たす役割は、単なる「離婚手続きの代行」にとどまりません。

被害者の「盾」となる

DV加害者は、被害者に対して執着し、直接の接触を求めようとします。弁護士が代理人となることで、相手方に対して「今後の連絡は弁護士を通すこと」を通告できます。これにより、被害者は加害者と直接話す必要がなくなり、精神的な負担と恐怖から解放されます。

物理的な安全の確保(保護命令の活用)

身の危険が差し迫っている場合、弁護士は裁判所に対して「保護命令」の申し立てを行います。これは、DV防止法に基づき、加害者に対して被害者への接近禁止や電話等の禁止、退去命令などを命じるものです。違反した場合には刑事罰が科される命令であり、これを迅速かつ的確に申し立てられるかどうかが、弁護士の力量にかかっています。

住所の秘匿

離婚調停や裁判を行う際、通常であれば申立人の住所は相手方に知らされます。しかし、DV事案では住所を知られることが新たな暴力の引き金になりかねません。DVに詳しい弁護士は、裁判所に対して「秘匿決定」の手続きを行い、被害者の現住所が相手方に知られないよう徹底した配慮を行います。

2. DV離婚に強い弁護士を見極めるポイント

インターネットで検索すれば数多くの法律事務所が見つかりますが、その中からDV事案に真に強い弁護士を見極めるには、以下のポイントに着目してください。

① DV事案・保護命令の解決実績が豊富か

法律事務所のウェブサイトを確認し、DV離婚の解決事例や、保護命令の獲得実績が具体的に掲載されているかを確認しましょう。DV事案はスピード勝負の側面があります。経験豊富な弁護士であれば、迅速に保護命令の申し立て準備に入ることができます。

② 被害者の心理に寄り添う姿勢

DV被害者は、長期間の支配関係により「自分が悪いのではないか」という自責の念や、重度のトラウマ(PTSD)を抱えていることが少なくありません。

優れた弁護士は、法律的な判断だけでなく、被害者の心情を深く理解し、精神的なサポートも意識しながら話を聞きます。初回の法律相談で、「高圧的でないか」「話を遮らずに聞いてくれるか」「恐怖心に共感してくれるか」を確認してください。あなた自身が「この人なら安心して任せられる」と感じる直感は重要です。

③ リスク管理への具体的提案があるか

相談時に、「もし相手が職場に来たらどうすればいいか」「実家に危害が及ぶ可能性はないか」といった具体的な不安に対して、明確な対処法を提示できる弁護士は信頼できます。

例えば、「受任通知(弁護士が介入したことを知らせる手紙)を送るタイミングは、あなたが安全な場所に避難した後にしましょう」といったように、安全を最優先した戦略を提案してくれるかどうかが判断基準となります。

④ 離婚条件(慰謝料・養育費)に対する強気な交渉力

DV加害者は、外面が良く、社会的な地位があるケースも多々あります。また、自分を正当化することに長けているため、調停や裁判では「暴力など振るっていない」「妻(夫)の狂言だ」と主張し、慰謝料の支払いを拒否することがあります。

こうした相手に対し、証拠を積み上げ、裁判官を説得し、適正な慰謝料や養育費、財産分与を勝ち取るためには、粘り強く論理的な交渉力が求められます。

3. 証拠収集と準備について

弁護士に依頼する際、証拠があるに越したことはありませんが、無理に集めようとして加害者に気づかれることは絶対に避けてください。安全な範囲で、以下のようなものが証拠となります。

  • 医師の診断書: 外傷の写真や、精神科・心療内科の診断書(「夫の暴力による」「PTSD」などの記載があると有力)。
  • 写真: 怪我をした部位、壊された家具や壁の写真。
  • 録音・録画: 暴力を振るわれている最中や、暴言を吐かれている時の音声・動画。
  • 日記・メモ: 「いつ、どこで、何をされたか、どんなことを言われたか」を具体的に記録したもの。手帳やスマートフォンのカレンダーアプリの履歴も有効です。
  • 警察・相談機関への相談実績: 警察に相談した際の「相談カード」の番号や、配偶者暴力相談支援センターへの相談記録。
  • LINEやメール: 相手からの脅迫的なメッセージや、友人に相談している内容。

これらの証拠が手元になくても、弁護士が陳述書の作成をサポートすることで、裁判所にDVの事実を認めてもらえるケースは多々あります。「証拠がないから無理だ」と諦めず、まずは状況を話すことから始めてください。

弁護士に相談するメリット

DV離婚において、弁護士に相談・依頼することには、単なる法的手続き以上の大きなメリットがあります。

1. 安全と精神的平穏の確保

    弁護士が窓口となることで、加害者からの連絡や接触を遮断することが期待できます。「いつ怒鳴られるか分からない」という恐怖から解放され、安心して新しい生活の基盤を整えることに専念できます。また、弁護士が法的な盾となることで、加害者による職場や実家への嫌がらせを抑制する効果も期待できます。

    2. 適切な保護命令の獲得

      接近禁止命令や退去命令など、裁判所による保護命令を迅速に獲得するためには、要件を満たす証拠と申立書の作成が必要です。専門家のサポートにより、却下されるリスクを減らし、確実に身を守る法的措置を講じることができます。

      3. 慰謝料・養育費の最大化

        DVは重大な不法行為であり、離婚原因を作った有責配偶者に対して慰謝料を請求できます。弁護士は、被害の深刻さ、期間、頻度などを法的に構成し、相場よりも高額な慰謝料や、確実な養育費の支払いを求めて徹底的に戦います。また、財産分与においても、相手が財産を隠す前に保全処分を行うなど、経済的な不利益を被らないよう対策を講じます。

        4. 離婚成立までの期間短縮

          DV加害者は執着心が強く、離婚を拒否したり、理不尽な条件を突きつけてきたりすることがあります。当事者同士では何年も決着がつかないようなケースでも、弁護士が法的手続き(調停・裁判)を主導することで、無駄なやり取りを省き、最短ルートでの離婚成立を目指すことができます。

          まとめ

          DV(家庭内暴力)は、被害者の尊厳を踏みにじり、人生をコントロールしようとする許されざる行為です。そこから抜け出し、離婚を決意することは、とても勇気のいることだと思います。

          しかし、どうか一人で抱え込まないでください。DV離婚は、相手が感情的になりやすく、安全確保の観点からも専門的な知識と経験が必要な分野です。「DVに強い弁護士」を選ぶことは、あなたと、そして大切なお子様の命と未来を守るための最初の、そして重要なステップです。

          弁護士法人長瀬総合法律事務所は、これまで数多くのDV離婚問題に取り組み、被害者の方の再出発を支援してきました。

          秘密は厳守されます。まずは一度、当事務所にご相談ください。あなたが平穏な日常を取り戻すその日まで、私たちが共に戦います。

          次のステップ

          「今すぐ離婚したいわけではないが、将来のために準備をしておきたい」「今の状況がDVにあたるのか確認したい」といった段階でのご相談も歓迎しております。まずは弁護士法人長瀬総合法律事務所の初回法律相談(オンライン対応可)をご利用いただき、あなたの状況に合わせた具体的なアドバイスをお受けください。

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          保護命令の概要と申立手続き

          2026-01-09
          ホーム » コラム » DV離婚の実態と対処法:保護命令から慰謝料請求まで

          はじめに

          DV(ドメスティック・バイオレンス)に苦しむ被害者を、法律上の仕組みで直接保護する重要な手段が「保護命令」です。DV被害者が加害者と同居していたり、離婚を検討していても身の危険を感じて逃げられないケースでは、保護命令が有効に機能する可能性があります。保護命令があれば、一時的に加害者が被害者に近づくことを禁止し、安全を確保しながら離婚手続きを進めやすくなります。

          本稿では、保護命令の概要、具体的な申立手続きの流れ、そして発令条件や注意点を解説します。DV離婚を目指す被害者が安全と法的手続きを両立させるうえで、どう活用すればよいかをまとめました

          Q&A

          Q1:保護命令とは何ですか?

          保護命令は、DV防止法に基づき、家庭裁判所がDV被害者の申立てを受けて発令する命令です。加害者に対して1年間の接近禁止退去命令などを課し、被害者の身の安全を図ります。違反すると加害者には刑事罰が科される可能性があります。

          Q2:保護命令にはどんな種類があるのでしょうか?

          主に以下の種類があります。

          • 接近禁止命令:加害者が被害者の住居や勤務先などに近づくことを禁止(6か月間)。
          • 退去命令:加害者が被害者と同居する住居から退去し、その住居付近への接近を禁止(2か月間)。
          • 電話やメールなどの禁止:身体だけでなく電話・メール・SNSでの連絡やつきまといも禁じるもの。また、子どもへの接近禁止命令が追加される場合もあります。

          Q3:保護命令を申し立てるには、どのような証拠が必要ですか?

          身体的暴力脅迫の事実を示す証拠(診断書、写真、録音、警察通報記録など)が求められます。強度な精神的暴力も対象になる場合がありますが、身体的暴力のほうが認められやすい傾向にあります。家庭裁判所は緊急性も考慮して発令を判断します。

          Q4:保護命令が発令されても加害者が従わない場合、どうなるのですか?

          加害者が命令に違反して被害者や子どもに接近したり連絡したりすると、DV防止法違反2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金などの刑事罰が科される可能性があります。被害者は警察に通報し、違反を記録してもらうことで加害者が逮捕される場合もあります。

          Q5:保護命令中に離婚手続きを進めるにはどうすればいいでしょうか?

          弁護士を通じて離婚調停や裁判を行うことで、加害者からの妨害なく安全に手続きを進めやすくなります。保護命令期間は一時的なので、シェルターや親族宅での避難も併用しつつ、離婚協議・調停へと移行し、慰謝料や財産分与なども含めて早期解決を目指すのが通例です。

          解説

          保護命令の種類と要件

          接近禁止命令

          • 加害者が被害者の身辺に近づくこと、住居や勤務先、通学先など半径数百メートル以内に立ち入ることを1年間禁止。
          • 電話・メール・SNSでの連絡も禁止される場合がある(附帯命令として)。
          • 被害者側がDVの具体的危険を示す必要があり、証拠(診断書、目撃証言など)の提出が求められる。

          退去命令

          • 加害者が被害者と同居する住居から2か月間退去し、住居周辺に近づくことを禁止。
          • 被害者がその家に安全に留まり、加害者のみが別の場所へ退避する仕組み。
          • 加害者が帰宅して荷物を持ち出す際にも、被害者の安全を確保できるよう配慮される。

          子どもへの接近禁止

          • 被害者だけでなく、子どもへの危険がある場合、子どもへの接近や学校付近への立ち入りを禁止する命令も追加で発令可能。
          • 加害者が子どもを連れ去る恐れや児童虐待のリスクを防ぐため重要。

          保護命令の申立手続き

          申立先と費用

          • 家庭裁判所に「保護命令申立書」を提出し、収入印紙と郵便切手が必要。
          • 相手方、申立人、または暴力行為地を管轄する地方裁判所のいずれかです。家庭裁判所ではなく地方裁判所であることにご注意ください。

          要件

          • 申立には、身体的暴力や脅迫を受けた「緊急性」が必要。精神的DVのみでも深刻な危険がある場合は認められる可能性があるが、ハードルはやや高い。
          • 継続的な暴力過去に警察への相談などがあれば、有利な判断材料。

          審理の流れ

          • 裁判官が申立書や証拠を検討し、必要に応じて被害者の口頭陳述を聞く。加害者の意見も確認する場合がある。
          • 決定が出るまで数日程度(緊急の場合は即日)で結論が出る場合が多い。発令されたら速やかに加害者に命令が告知される。

          保護命令の活用と離婚手続き

          一時的な安全を確保

          • 保護命令の有効期間内は加害者が接近・連絡できないので、被害者は調停や裁判の準備に専念しやすい。
          • シェルターや親族宅へ避難している場合でも、加害者の行動範囲が制限されるため安心度が上がる。

          離婚調停・裁判でDVを立証

          • 保護命令が発令された事実自体がDVの深刻さを裏付ける証拠となり、離婚調停や裁判で被害者側を有利にする。
          • 慰謝料請求にも影響し、相手が否認しづらくなる。

          命令期限切れと再発防止

          • 接近禁止は1年間、退去は2か月と限られた期間。期限切れ後のトラブルに注意。
          • 離婚までに時間がかかる場合は、再申立てや追加措置(警察・ストーカー規制法等)を検討する必要がある。

          弁護士に相談するメリット

          保護命令申立書の作成と証拠整理

          • 弁護士がDV事実を整理し、必要証拠(診断書、録音、写真)を効果的に添付して書面を作成。
          • 不備があれば補正に時間を要する可能性があるが、弁護士のサポートで迅速化。

          DV調停・裁判での安全管理

          • 弁護士が代理人として調停や裁判に出席し、被害者が直接加害者と対峙しないよう配慮。
          • 裁判所の審理方法(同室・別室)などを調整し、被害者が安全に発言できる環境を確保。

          離婚全体の戦略設計

          • 保護命令を基盤に、慰謝料請求財産分与子どもの親権などを一括で交渉。
          • 長期戦になりそうな場合も、弁護士が強制執行の確保シェルター連携など対策を講じる。

          離婚後の再被害防止

          • 離婚後も接近禁止命令期間が切れれば加害者が再びつきまとう可能性あり。弁護士がストーカー規制法など他の法的手段も検討し、被害者を継続保護。

          まとめ

          • DV防止法に基づく保護命令は、DV被害者が加害者の接近や連絡を一定期間禁止させる制度で、違反時は加害者に刑事罰が科されるため安全確保に有効
          • 保護命令には「接近禁止命令」「退去命令」「子どもへの接近禁止」などがあり、発令にはDV被害の証拠(診断書、録音、警察通報記録など)と緊急性が求められる
          • 保護命令発令後、加害者の影響が少ない環境で離婚調停・裁判を進めやすくなり、DVによる慰謝料や親権争いも被害者に有利になりやすい
          • 弁護士に依頼すれば、保護命令申立の書面作成や証拠整理、離婚手続き全般の代理人対応、安全確保策まで総合的にサポートが受けられ、DV被害者が安心して離婚に踏み切れる

          DV被害者にとって命や心の安全は最優先事項です。保護命令を活用すれば、加害者から距離を置いた状態で離婚手続きを進められ、慰謝料請求など被害回復を狙いやすくなります。弁護士の力を借りながら、証拠確保や書面作成を行い、二次被害を防止しつつ新しい生活へと踏み出しましょう。

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          シェルターや公的支援サービスの利用

          2026-01-08
          ホーム » コラム » DV離婚の実態と対処法:保護命令から慰謝料請求まで

          はじめに

          DV(ドメスティック・バイオレンス)被害から逃れようとする際、避難場所生活支援が欠かせません。特に強い身体的暴力を振るう加害者から身を守るためには、一刻も早く安全な場所へ避難するのが最優先です。そのために、多くの自治体やNPOがDVシェルターを提供し、被害者や子どもを保護しています。しかし、「シェルターとはどこにあり、どうすれば利用できるのか」「利用中の生活費や仕事はどうなるのか」など、実際に利用する段階での疑問は多いでしょう。

          本稿では、DVシェルターや公的支援サービスの利用方法を中心に、DV被害者がどのように安全を確保しつつ離婚手続きを進められるのかを解説します。保護命令との組み合わせや弁護士との連携も含め、ポイントを整理いたしました。

          Q&A

          Q1:DVシェルターに入るにはどうすればいいですか?

          市区町村の配偶者暴力相談支援センターDV相談窓口、あるいはNPOのDV相談ラインに連絡すると、シェルター利用を案内してもらえることが多いです。緊急時は警察を通してシェルターに保護されるケースもあります。子どもを連れて逃げる場合でも受け入れが可能な施設が存在します。

          Q2:シェルターに行くと、どのくらいの期間滞在できるのでしょうか?

          公的機関の一時保護シェルターでは2週間程度が目安とされますが、状況によって延長が認められる場合もあります。NPOが運営する民間シェルターでは、数か月以上滞在できるケースもあり、施設によって異なります。

          Q3:シェルターに入ると仕事はどうなりますか?

          被害の深刻さにもよりますが、加害者から職場に連絡が入るなど危険があるなら、一時的に休職するケースが多いです。シェルターの所在地は秘密が原則であり、通勤が難しい場合もあります。弁護士や支援センターと相談し、職場への説明や転職支援などの策を探ります。

          Q4:公的支援サービスとして、他にどんなものが利用できますか?

          DV被害者向けの保護命令(接近禁止・退去命令など)をはじめ、弁護士費用補助、カウンセリング、生活保護などの福祉制度を組み合わせることも可能です。地方自治体が独自に家賃補助緊急支援金を用意していることもあるため、DV相談窓口で情報を収集しましょう。

          Q5:シェルターで生活している間に離婚手続きをどう進めればいいのでしょうか?

          シェルター滞在中でも、弁護士と連絡を取りながら、保護命令申立や離婚調停・裁判手続きを進められます。子どもを連れている場合は児童相談所学校との連携も必要です。シェルターの職員や弁護士がサポートしてくれるケースが多いです。

          解説

          DVシェルターとは

          公的・民間シェルターの違い

          • 公的シェルター:自治体や配偶者暴力相談支援センターが運営する一時保護所。滞在期間は2週間程度が目安。
          • 民間シェルター:NPOや慈善団体が運営。公的より比較的長期滞在が可能な場合も。場所や受け入れ状況は施設ごとに異なる。

          所在地の秘匿と安全管理

          • シェルターの場所は外部に秘密にされ、被害者が追跡されないように配慮される。
          • 関係者以外は立ち入り禁止で、24時間体制のセキュリティが整っているところも多い。

          シェルター生活の実態

          • 家具・食料品など最低限の生活環境が用意されているが、集団生活形式でプライバシーが限られる場合もある。
          • 子どもを連れての入所も可能な施設が多いが、部屋数に限りがあるため早めの相談が重要。

          公的支援サービスの活用

          配偶者暴力相談支援センター

          • DV防止法に基づき、都道府県や一部市区町村が設置。DVに関する相談対応、シェルター手配、保護命令手続き案内など総合的なサポート。
          • 24時間相談窓口を設けている地域もあるので、緊急時に活用しやすい。

          保護命令

          • DV被害者が家庭裁判所に申し立てると、6か月間の接近禁止命令退去命令などが発令される場合がある。
          • 命令に違反すれば加害者は刑事罰を受けるリスクがあるため、身体的な安全を確保できる。

          カウンセリング・メンタルヘルス支援

          • DV被害者や子どもの心理的ケアのため、公共のカウンセリングや民間の心理療法機関を案内してもらえる。
          • PTSDや不安障害を訴える被害者も多く、専門家の関与が重要。

          生活保護や福祉制度

          • DVで緊急避難し収入がない場合、生活保護や一時金支給などの公的援助が認められることがある。
          • 母子父子寡婦福祉貸付制度、児童扶養手当など、ひとり親向けの経済支援制度も同時に活用する。

          シェルター滞在中に離婚手続きを進める流れ

          弁護士との連絡方法

          • シェルターにいる間でも電話やメールで弁護士とコミュニケーションをとり、調停準備や保護命令申立を進める。
          • 面会が可能なシェルターでは弁護士が直接訪問することもあるが、セキュリティ上の規定に従う必要がある。

          相手との接触回避

          • 住所が秘密のため、加害者が調停や裁判の書類を被害者の住所へ送ることは基本的にできない。
          • 裁判所も被害者の安全を配慮し、書類送達先を弁護士事務所にするなど配慮することが多い。

          離婚成立後の住まいと生活

          • シェルターはあくまでも緊急避難先なので、長期間住み続けるのは難しい。
          • 弁護士や支援センターと連携しつつ、公営住宅や民間賃貸への移行、子どもの学校手続きなどを段取りしていく。

          弁護士に相談するメリット

          保護命令や警察対応の手続き支援

          • 弁護士がDVの証拠を整理し、保護命令申立書を的確に作成。家庭裁判所への申立てを代行する場合も多い。
          • 警察対応においても弁護士が被害者の代理人として同席し、適切に対話できる。

          シェルター滞在中の離婚調停・裁判手続き

          • 弁護士が離婚調停・裁判を全面的に代理し、被害者が裁判所に出頭しなければならない場合も安全に配慮したスケジュールを組める。
          • 必要に応じて書面作成や証拠提出も全て弁護士が行うため、被害者はシェルターで落ち着いて過ごしやすい。

          慰謝料・財産分与の確保

          • 弁護士がDV加害者に対して慰謝料請求や財産分与交渉を行い、被害者に適正な補償を得させる。
          • 不動産や預金などの把握を行い、隠し財産を防ぎながら交渉で最大限有利な条件を引き出す。

          離婚後の安全策もアドバイス

          • 住所の秘匿、子どもとの面会交流制限、再度の保護命令など、離婚後に加害者が再び接触してくる場合を想定してプランを作成。
          • 公的支援(母子手当、生活保護など)を受けながら自立するために必要な役所手続きを案内する。

          まとめ

          • DV被害者が離婚を考えるなら、まずシェルターや保護命令などで身を守ることが最優先。配偶者暴力相談支援センターやNPOシェルターを通じて一時避難しながら、弁護士と連携して離婚手続きと慰謝料請求を進めるのが有効
          • シェルターは公的・民間で運営され、緊急時は警察を経由して保護される例もある。自宅に戻らず生活保護やひとり親支援を受けながら調停・裁判を行うことも可能
          • DV離婚で慰謝料請求を検討する場合、診断書・録音・写真などの証拠を確保し、弁護士が保護命令申立や離婚調停・裁判でDV被害の深刻性を立証して相応の賠償を得る方法が望ましい

          DV被害者は恐怖の中で正常な判断をすることが難しく、離婚手続きを進める余裕も乏しいものです。シェルターや公的支援を遠慮なく利用しつつ、弁護士の助力で保護命令や裁判手続きを行えば、安全を確保しながら離婚と慰謝料請求を進められます。周囲の支援を受けることは決して恥ではなく、新しい人生への大切な一歩になります。

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          DV被害者がまず取るべき行動と証拠収集

          2026-01-07
          ホーム » コラム » DV離婚の実態と対処法:保護命令から慰謝料請求まで

          はじめに

          離婚の原因において「DV(ドメスティック・バイオレンス)」が占める割合は年々高まり、その被害を受けて離婚を検討する方が少なくありません。DV被害者は、加害者からの威圧や危険が迫っている状況下で、冷静に行動することが難しい場合が多いです。しかし、離婚を進めるうえでは証拠が非常に重要であり、早期の段階で適切な行動を取れば被害者の安全とスムーズな離婚が実現しやすくなります。

          本稿では、DV被害者がまず取るべき行動と、証拠収集のポイントを中心に解説します。夫や妻からの暴力に苦しむ方が離婚保護命令を検討する際、どのように身を守りつつ法的手続きを進めればよいか、アドバイスをまとめます。

          Q&A

          Q1:DV被害に遭ったら、最初にどこへ相談すればいいでしょうか?

          まず安全確保が最優先です。身体的暴力の場合は警察へ緊急通報し、その後、配偶者暴力相談支援センター自治体のDV相談窓口に連絡しましょう。明確な暴力の危険があれば、シェルターを利用する選択肢もあります。並行して弁護士に相談することで、保護命令申立や離婚手続きへ進めやすくなります。

          Q2:警察に被害を届け出た場合、どんな対応をしてもらえるのでしょうか?

          警察は被害届や相談内容を記録し、状況次第では加害者への警告逮捕を検討します。ただし、警察が動くには明確な暴行・脅迫がある程度立証できる状況が必要です。相談実績が残ることで後日、保護命令や離婚調停での証拠にもなります。

          Q3:DVの証拠収集は具体的にどう進めればいいでしょうか?

          診断書写真(暴行傷害の痕、壊された物)、録音(暴言・脅迫)、メールやLINEでのメッセージなどを可能な範囲で確保してください。警察への通報記録児童相談所への相談記録も有力な証拠になります。安全を確保できる範囲で行い、違法な手段(盗撮など)には注意しましょう。

          Q4:DV被害で離婚したいのですが、相手が激怒して離婚に応じない場合は?

          安全を確保するために、保護命令を申し立てつつ、調停離婚裁判離婚の手続きを行います。加害者が拒否しても、裁判所が「DVは離婚事由」と認定すれば離婚が可能です。むしろ暴力が激化しやすいため、弁護士のサポートやシェルター避難などと併用してください。

          Q5:DV被害で精神的ダメージを受けているのですが、慰謝料は請求できますか?

          はい。DVは不法行為(民法上の)として認められ、精神的苦痛に対する慰謝料請求が可能です。長期間・悪質な暴力なら数百万円単位の例もあり、証拠と被害状況を丁寧に立証することで適正額を勝ち取れる可能性が高まります。

          解説

          DV被害者がまず取るべき行動

          安全確保を最優先

          • 暴力がある場合は、すぐに110番通報自治体の緊急連絡先へ連絡。
          • “自分が悪いから殴られる”と考え込まず、DVは加害者の責任です。身の危険を感じるならシェルターや親族宅へ避難。

          公的相談窓口の活用

          • 配偶者暴力相談支援センター婦人相談所などで、DV防止法に基づく支援を受けられる。
          • 子どもがいる場合は、児童相談所への相談や学校への協力要請も。

          証拠確保

          • 診断書(受診時に「配偶者からの暴力」と明記してもらう)、写真(傷や壊された物)、録音(スマホの録音機能で脅迫等)を集める。
          • 警察への相談実績(被害届)やメール・LINEスクショも有用。

          DV事案で離婚手続きを進めるステップ

          保護命令申立

          • DVが深刻なら、家庭裁判所に保護命令(接近禁止命令など)を申し立て、一定期間、加害者を被害者から遠ざける。
          • 同居からの退去命令、子どもへの接近禁止も加害者の暴力から守る対策。

          調停離婚の申し立て

          • 加害者が離婚に応じない・話し合いが困難な場合、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てる。
          • DV被害を具体的に説明し、証拠を提示して調停委員の理解を得る。

          裁判離婚へ

          • 調停で合意できなければ、裁判離婚を提起。DVを離婚理由として立証すれば、裁判所が離婚を認める可能性が高い。
          • 慰謝料や財産分与についても裁判所が判断し、DVによる損害を考慮して金額を決定。

          DV離婚における証拠収集のコツ

          診断書を取得

          • 物理的暴力があれば、病院受診し「DVによる負傷」と医師に伝えて診断書を発行してもらう。
          • 精神的な不調も心療内科・精神科に通院し、DVが原因のストレスなどを診断書で明確化。

          録音・メモ・日記

          • DV加害者の脅迫や暴言をスマホで録音。可視化された暴言証拠は裁判で強力。
          • 毎回の暴力や暴言の日時・内容を日記に記録。警察や弁護士に提出し、信憑性を高める。

          第三者の証言

          • 近所の方や親族が暴力の現場を目撃していれば、証言をとれる可能性がある。
          • DVに苦しむ姿を見ていた友人・同僚の証言も参考になる。

          弁護士に相談するメリット

          被害者の安全確保と法的手続きの両立

          • 弁護士が保護命令警察との連携を指示し、シェルター利用など具体的な安全策を提案。
          • 離婚調停・裁判でのDV立証をサポートし、慰謝料請求や財産分与を有利に進める。

          DVの悪質性を証拠で示す

          • 弁護士が診断書・写真・録音などの証拠を整理し、調停委員や裁判官に理解しやすい形で提出。
          • DV被害の深刻度を具体的に示すことで、相応の金額(慰謝料)や厳しい接近禁止を実現。

          離婚後のリスク対策

          • 離婚成立後もストーカー行為や報復が懸念される場合、弁護士が再度保護命令や警察への手続きを行い、継続的に被害者を守る。
          • DV加害者の面会交流を制限するなど、子どもを安全に育てる環境を築く。

          精神的負担の軽減

          • DV被害者が自分で相手と交渉すると、さらなる暴言・暴力でトラウマが深まる恐れ。
          • 弁護士が代理で交渉・書面作成・裁判手続きまで行うため、被害者は安全な場所で必要最低限の対応だけで済む。

          まとめ

          • DVは身体的暴力だけでなく、精神的・経済的な支配行為も含まれ、被害者は自分が悪いと錯覚して逃げられないケースが多いが、離婚を決意したらまず安全確保と証拠収集を優先する
          • DV離婚では保護命令制度を活用し、警察や配偶者暴力相談支援センターの力を借りながら、同時に弁護士を通じて離婚調停・裁判でDVを立証し、適切な慰謝料や財産分与を得る道を探る
          • DVの証拠として診断書・録音・写真・日記・警察通報記録などが重要であり、長期間・悪質なDVほど数百万レベルの慰謝料が認められる事例もある
          • 弁護士がサポートすれば、DV被害者が逃げる際のシェルター利用や保護命令取得、離婚後のストーカー対策までトータルで対応でき、子どもの安全や面会交流の制限なども含めた総合的保護を受けられる

          DV被害者は加害者の支配や恐怖により離婚への第一歩が踏み出しにくい状況にあるものの、正しい手順と支援を得れば安全に離婚を実現し、慰謝料財産分与を受け取りながら新生活を始めることが可能です。弁護士と相談し、法的手続きや支援機関も助けも得ながら、DVの連鎖から抜け出すための具体的行動を検討しましょう。

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          DV加害者が離婚に応じない場合の法的戦略

          2025-12-30
          ホーム » コラム » DV離婚の実態と対処法:保護命令から慰謝料請求まで

          はじめに

          ドメスティック・バイオレンス(DV)の加害者は、被害者からの離婚の申し出を断固として拒絶し、暴力や脅迫によって支配を強めようとする傾向があります。勇気を振り絞って「離婚したい」と告げた被害者に対し、「離婚するなら殺す」「家族に危害を加える」などと威圧し、あるいは執拗につきまとうケースも後を絶ちません。

          このような状況下では、被害者は「離婚を切り出せば命が危ない」と恐怖し、現状から逃げ出せないまま耐え続けてしまうことが少なくありません。

          しかし、法的な観点から申し上げれば、加害者がどれほど離婚を拒否しようとも、DVの事実が認められれば離婚が成立する可能性は極めて高いと言えます。

          本稿では、離婚に応じないDV加害者への対処法を中心に解説します。2024年4月に施行された改正DV防止法による保護命令の拡充など、最新の法制度も踏まえ、安全を確保しながら離婚を成立させるための具体的な手順をご紹介します。

          Q&A

          Q1:DV加害者が「絶対に離婚しない」と言っている場合でも、離婚は強制できるのでしょうか?

          可能です。離婚の方法は当事者の話し合い(協議)だけではありません。家庭裁判所での調停や裁判において、配偶者からの暴力(身体的・精神的DVを含む)が「婚姻を継続し難い重大な事由」と認定されれば、相手方の同意がなくとも判決によって離婚を成立させることができます。

          Q2:別居したいのですが、加害者の報復が怖くて家を出られません。安全を確保する方法はありますか?

          まずは身の安全が最優先です。警察や配偶者暴力相談支援センターへ相談し、一時保護シェルターや親族宅への避難を検討してください。また、裁判所に「保護命令」を申し立てることで、加害者の接近や電話連絡等を法的に禁止することが可能です。接近禁止命令や退去命令が発令されれば、警察とも連携して安全を確保しつつ離婚手続きを進められます。

          Q3:相手が「自分は家を出ない」と主張しています。被害者である私が出て行くしかないのでしょうか?

          基本的には被害者が避難する方が、物理的な安全確保は容易です。しかし、事情により転居が困難な場合は、保護命令の一種である「退去命令」を申し立てる選択肢があります。これが認められれば、一定期間、加害者を住居から退去させ、その間の接近を禁止させることができます。

          Q4:相手が話し合いに応じない場合、すぐに離婚裁判を起こすべきですか?

          日本の法制度では「調停前置主義」が採用されており、原則として訴訟の前に離婚調停を経る必要があります。相手方が調停を欠席したり、話し合いにならない場合でも、調停不成立の手続きを経ることで、速やかに離婚裁判(訴訟)へ移行することが可能です。安全のため、弁護士を代理人に立てて直接接触を避けることを推奨します。

          Q5:離婚成立後もストーカーのようにつきまとわれないか不安です。

          離婚後であってもストーカー規制法やDV防止法による保護が可能です。離婚成立後も加害者の執着が続く場合は、警察への被害届の提出や、新たな保護命令の申立等の法的措置を講じます。また、住民基本台帳の閲覧制限措置(DV等支援措置)を利用し、新住所を知られないようにする対策も必須です。

          解説

          離婚を阻むDV加害者の心理と特徴

          支配欲と所有意識

          DV加害者は配偶者を「対等なパートナー」ではなく「自分の所有物」と認識している傾向があります。「離婚=自分の所有物を奪われる」と捉えるため、理不尽な理由で離婚を拒否します。

          サイクルの存在(ハネムーン期と爆発期)

          暴力を振るった後に泣いて謝罪し、優しくなる「ハネムーン期」と、些細なことで暴力を振るう「爆発期」を繰り返します。被害者は「いつか変わってくれるかもしれない」という期待と恐怖の間で判断力を奪われ、離婚の決断を鈍らされてしまいます。

          外面の良さと被害者の孤立化

          加害者は社会的地位が高かったり、周囲には「良き夫・妻」として振る舞うことが多くあります。「妻(夫)が精神的に不安定だ」などと吹聴し、被害者を孤立させる巧妙さも特徴の一つです。

          安全に離婚手続きを進めるステップ

          1. 物理的な安全確保と証拠の保全
            加害者の同意を得ようとせず、まずは別居を強行することが第一歩です。この際、医師の診断書、怪我の写真、暴言の録音、破壊された家具の写真など、DVの証拠を可能な限り収集・保全します。
          2. 保護命令の活用(改正法への対応)
            2024年の改正DV防止法施行により、身体的暴力だけでなく、精神的な自由を著しく害する脅迫(「殺す」などの言葉による暴力)についても保護命令の対象となりました。また、接近禁止命令違反の罰則も厳格化されています。これらを活用し、加害者を法的に遠ざけます。
          3. 弁護士を介した調停申立
            被害者が直接交渉することは危険です。弁護士を代理人に立て、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。裁判所内でも鉢合わせしないよう配慮を求めることが可能です。

          離婚裁判による解決

          調停が不成立となった場合、離婚訴訟を提起します。収集した証拠に基づきDV事実を立証し、判決による離婚、慰謝料、財産分与を勝ち取ります。

          離婚後の生活を守るために

          住民票の閲覧制限(DV等支援措置)

          役所に「DV等支援措置」を申請することで、加害者が住民票や戸籍の附票を取得し、被害者の新住所を特定することを防ぎます。

          学校や職場との連携

          子どもの学校や自身の職場に対し、事情を説明して加害者の来訪に対応しないよう協力を求めます。情報の漏洩を防ぐための根回しが重要です。

          弁護士に相談するメリット

          1. 迅速な保護命令の取得と安全確保
            弁護士は、証拠の選別から申立書の作成、裁判官との面接までを迅速に行います。特に保護命令はスピードが命であり、専門家の介入により発令までの時間を短縮し、直ちに身の安全を図ることができます。
          2. 加害者との直接交渉の遮断
            弁護士が代理人となることで、加害者からの連絡はすべて弁護士宛となります。被害者は加害者の威圧的な言動に直接晒されることがなくなり、精神的な平穏を取り戻しながら生活再建に専念できます。
          3. 「逃げ得」を許さない解決
            DV事案では、加害者が財産を隠したり、慰謝料の支払いを拒むケースがあります。弁護士は法的手続きを通じて財産の開示を求め、DV慰謝料を含めた正当な条件での離婚成立を目指します。また、将来的な養育費の不払いリスクに備えた公正証書の作成や、履行確保の手続きも見据えて交渉します。

          まとめ

          DV加害者が強硬に離婚を拒否しても、法は被害者の味方です。

          適切な証拠を揃え、法的手続き(調停・訴訟)を踏めば、加害者の同意なく離婚を成立させることは可能です。

          ・まずは物理的に離れること(別居・シェルター)を優先してください。
          ・改正DV防止法による保護命令など、あなたを守る強力な武器が存在します。
          ・加害者の「離婚しない」という言葉に縛られる必要はありません。

          恐怖で動けなくなっている時こそ、弁護士にご相談ください。私たちは、あなたの安全を確保し、新しい人生への一歩を踏み出すための盾となり、矛となります。法律の力で、DVという支配から解放される道は開けます。

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          加害者側への接近禁止命令と連絡手段

          2025-12-29
          ホーム » コラム » DV離婚の実態と対処法:保護命令から慰謝料請求まで

          はじめに

          DV(ドメスティック・バイオレンス)から逃れたい被害者にとって、加害者との物理的・精神的接触をどのように遮断できるかは非常に重要なテーマです。DV防止法に基づく保護命令には、「接近禁止命令」等が存在し、一定期間、加害者が被害者に近づいたり連絡をすることが禁じられます。違反すれば加害者は刑事罰を科される可能性があり、被害者にとって有効な防御手段です。

          2024年4月の法改正により、命令の期間や対象範囲が拡大され、罰則も強化されました。しかし、実際には「接近禁止命令があっても、メールやSNSで連絡が届いてしまうのでは」「子どもがいる場合の連絡手段をどうするか」など、さまざまな疑問・問題が浮上します。本稿では、DV加害者への接近禁止命令と連絡手段の制限をテーマに、最新の法改正を踏まえてどのように実務上運用されるのか解説します。DV離婚を目指す被害者が、最終的に加害者と安全に距離を置きながら法的手続きを完遂するうえでの参考としてください。

          Q&A

          Q1:接近禁止命令は具体的にどんな効力を持ちますか?

          DV防止法の保護命令の一種として、発令から1年間、加害者が被害者の自宅や勤務先、学校など一定の場所へ近づくこと(接近禁止命令)や、被害者に対し電話・メール・SNSなどで連絡すること(電話等禁止命令)を禁止します。違反すると2年以下の懲役または200万円以下の罰金といった重い刑事罰が科される可能性があります。

          Q2:接近禁止命令があっても、実際に加害者が違反する例はあるのでしょうか?

          残念ながら存在します。命令を破って接近したり、連絡を続ける加害者もいますが、警察や裁判所に即時報告すれば刑事事件化される場合があり、加害者は逮捕される可能性が高まります。法改正により罰則が強化されたため、命令を破ることのリスクは加害者にとって従来以上に大きくなっています。

          Q3:子どもがいる場合、連絡手段を完全に断つのは難しいのではないですか?

          そういったケースでは監視付き連絡や親権者以外の第三者を介した連絡方法などが検討されます。面会交流が必要な場合、弁護士や調停委員を通じて連絡調整を行ったり、子どもの生活に支障のない範囲で限定的に連絡を許可する仕組みがあり得ます。被害者の安全が最優先なので、危険があれば直接の連絡を遮断するのが基本です。

          Q4:加害者がSNSや新しい電話番号で連絡してきたらどうすればいいですか?

          電話等禁止命令が出ている場合、緊急時以外の連続した連絡や、どう喝的な内容の送信等は禁止されています。手段を問わず、被害者に義務のない行為を強要するような連絡は違反となりえます。違反があったら警察に通報し、証拠(通話履歴やSNSメッセージ画面)を保存しておきましょう。

          Q5:接近禁止命令の期間が切れた後、再度申し立てることはできますか?

          DV防止法上、期間満了後の「自動延長」はありませんが、期間終了後も引き続き加害行為の危険(身体的暴力または生命・身体への脅迫等)がある場合には、再度申立てを行うこと(再度の申立て)が可能です。接近禁止期間が1年間に延びたことで長期的な安全確保が可能になりましたが、継続的なリスク回避には離婚成立や転居なども併用が望ましいです。

          解説

          接近禁止命令の仕組みと要件

          保護命令の種類

          • DV防止法に基づく保護命令には、被害者への接近禁止命令、退去命令、電話等禁止命令、被害者の子どもや親族への接近禁止命令、そしてGPS機器等を用いた位置情報の取得禁止命令などがある。
          • 接近禁止命令は1年間という期限付きで、加害者が被害者の身辺につきまとったり、住居等の付近をはいかいすることを禁ずる。

          発令要件

          • 身体的暴力があった場合、または生命・身体に対する脅迫があった場合に加え、法改正により「自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫」し、被害者の心身に重大な危害を受けるおそれが大きい場合(精神的暴力)も対象となった。
          • 確実な証拠(診断書、録音、LINE履歴など)に基づき、「DVの具体的危険」を裁判所が判断できる資料が必要。

          違反時のペナルティ

          • 加害者が命令に反して被害者に接触・連絡すると、DV防止法違反で2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科される可能性がある。
          • 以前よりも厳罰化されており、警察が現行犯逮捕する場合もあるため、加害者にとってリスクが非常に高い。

          連絡手段の制限

          電話・メール・SNS禁止

          • 電話等禁止命令が発令されると、面会の要求、行動の監視、無言電話、連続した電話・FAX・メール・SNS送信、緊急時以外の深夜早朝の連絡などが禁じられる。
          • 被害者に対してはLINEブロックやアプリの削除を推奨する場合もあるが、違反の証拠として確保したいならログを保全しつつ通報する方法を考える必要がある。

          GPS等による監視の禁止

          • 法改正により、承諾なくGPS機器等の位置情報を取得することや、GPS機器を取り付ける行為の禁止も明文化された。アプリ等で位置情報を監視する行為も対象となる。
          • 新たなSNSアカウントや電話番号からの接触
          • 加害者が別の番号や偽名で連絡してくる事例も多いが、保護命令の内容によっては、手段を問わず禁止行為に該当すれば違反となる。
          • 被害者はその証拠を保存し警察に通報。裁判所にも報告し、加害者を刑事罰に問う可能性がある。

          実務上の対処と離婚手続き

          弁護士代理での交渉

          • 接近禁止命令中でも、離婚協議や財産分与で連絡が不可欠な場合があるが、すべて弁護士を窓口にすれば直接の連絡は不要。
          • 被害者が精神的負担なく手続きを進められるのが大きなメリット。

          調停・裁判

          • DVがあると調停委員が別室調停や時間差出頭を用意するなど安全配慮が取られる。
          • 加害者が出頭せずとも、DV被害を立証できれば離婚が認められ、慰謝料も大きく取れる可能性がある。

          離婚後のリスク管理

          • 接近禁止命令の期限(1年)が切れた後、加害者がストーカー化するリスクもある。
          • 弁護士や警察との連携を継続し、再度の保護命令申立やストーカー規制法の活用、さらに引っ越し・住所非公開などの対策が欠かせない。

          弁護士に相談するメリット

          保護命令申立手続きの迅速化

          • 弁護士が必要書類(申立書、陳述書、証拠資料)を作成し、裁判所への提出をスムーズに進める。
          • 改正法により精神的暴力も対象となったため、どのような言動が要件を満たすか、弁護士が法的根拠を示して発令を得やすくする。

          加害者との連絡遮断

          • 弁護士が窓口となることで被害者が加害者と直接やり取りしなくて済み、接近禁止命令も合わせて安全を強化。
          • メールやSNSで加害者が違反連絡をしてきた場合、弁護士が警察への通報や証拠化を支援。

          慰謝料・財産分与での有利な解決

          • DVの悪質性をアピールし、慰謝料額を増やす交渉を展開。加害者が拒否すれば裁判で立証可能。
          • 財産分与や養育費についても、弁護士が「DVの責任」を加味した形で有利な条件を引き出す。

          離婚後の安全措置のフォロー

          • 命令期限切れ後に新たなDV行為があれば、弁護士が警察や裁判所対応を迅速化し被害者を守る。
          • 子どもの面会交流で不要な接触を避けたい場合、弁護士が第三者同席や面会禁止を家庭裁判所に求める。

          まとめ

          DV防止法の保護命令である「接近禁止命令」を活用すれば、加害者が被害者に近づくことを一定期間(1年間)禁止でき、電話やSNSでの連続連絡やGPS監視なども制限できる。違反時には2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金という重い刑事罰が科されるため、DV被害者が安全に離婚手続きを進めるための強力な盾となる。

          命令中は直接の連絡が禁じられるが、子どもがいるケースなど必要最低限の連絡は弁護士や第三者を介して対応する工夫がされる。

          接近禁止命令はあくまで期限付きであり、離婚までに時間がかかる場合や離婚後の再発防止には、再度の保護命令やストーカー規制法、住所非開示など総合的対策が求められる。

          弁護士に依頼すれば、保護命令の申立書作成やDV証拠整理、加害者との連絡遮断、慰謝料や財産分与の交渉、さらには離婚後の安全措置まで幅広くサポートでき、被害者が落ち着いて離婚を完結させやすくなる。

          DV被害者が離婚を志す際、接近禁止命令は強力な防御手段となり、加害者の威嚇や復讐を恐れずに離婚調停・裁判を進めやすくなります。名義を変えての連絡やストーカー化を防ぐには弁護士の助力が重要であり、不履行時の対処も含めて安全な離婚を実現しましょう。

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          DV離婚で高額になりやすい慰謝料の算定ポイント

          2025-12-28
          ホーム » コラム » DV離婚の実態と対処法:保護命令から慰謝料請求まで

          はじめに

          DV(ドメスティック・バイオレンス)による離婚では、慰謝料が高額になる傾向があることが知られています。身体的暴力はもちろん、長期にわたる精神的DV(モラハラ)でも、被害者が受けた心的外傷や日常生活の破壊を考慮すると、数百万円以上の慰謝料が認められる事例が存在します。しかし、それを勝ち取るためには、暴力の証拠加害行為の悪質性をしっかり立証しなければなりません。

          本稿では、DV離婚で慰謝料が高額となりやすい要因と、そのためにどのような証拠を確保すれば有利に交渉・調停・裁判を進められるのかを解説します。DV被害者が適正な賠償を得て、新しい生活を安定させるための具体的なヒントを提供します。

          Q&A

          Q1:DV離婚では、通常どのくらいの慰謝料が認められるのでしょうか?

          事案によりますが、身体的暴力が長期間かつ悪質な場合は300万~500万円以上になることもあります。逆に短期間・軽度なら100万円前後の例もあります。

          Q2:慰謝料が高額になるポイントは何ですか?

          暴力の頻度・期間・深刻度(傷害や入院の有無など)や加害者の反省の有無、被害者が精神科に通院している場合などが考慮要因です。子どもにも悪影響を与えた「面前DV」や、警察沙汰が複数回あったなど悪質性が高いほど増額が認められやすいです。

          Q3:慰謝料を高額にするにはどんな証拠が有効でしょうか?

          診断書(DVによる外傷や精神的ダメージを示す)、写真(傷跡や壊された物)、録音(暴言・脅迫)、警察への通報記録日記(暴力の日時・内容を継続的に記録)などです。また、実際に家庭裁判所の保護命令が発令された事実も、DVが深刻と裏付ける証拠になります。

          Q4:相手がDVを否定して「傷は自分で作った」「言いがかりだ」と主張してきた場合、どう対抗すればいいのでしょうか?

          弁護士に相談しながら、第三者の証言(近隣住民や親族がDV現場を目撃)、通院記録(暴力の説明が医師にされているか)など、客観的根拠を集めるのが重要です。可能なら録音やメールで相手の暴言・脅迫を明確に示す証拠を揃えましょう。

          Q5:離婚後にDV被害が判明した場合、慰謝料請求はできるのですか?

          離婚後でも、不法行為としての時効以内であれば、慰謝料請求が可能です。しかし、離婚を理由に時効が停止するわけではないため、早めに証拠を固めて請求することが望ましいです。

          解説

          DV離婚で慰謝料が高額になる背景

          身体的暴力の悪質性

          • DVは配偶者に対する身体的暴行として不法行為が成立し、離婚事由としても認められる。
          • 夫婦間トラブルだからといって暴力が軽視されるわけではなく、加害者の故意・継続性が認定されれば厳しく評価されやすい。

          精神的苦痛の深刻さ

          • DVは身体への直接的暴力だけでなく、心的外傷を長期的に与える(PTSD、うつ状態など)。
          • 被害者が治療費やカウンセリングを必要とするほどの苦痛なら、慰謝料算定で大きく考慮される。

          子どもへの影響

          • DVの面前暴力による子どもの精神被害や、子どもにも暴力が及んでいるケースでは、さらに悪質性が増して高額化要因となる。

          証拠収集の重要ポイント

          診断書と医療記録

          • 身体的暴力でけがをしたら速やかに病院受診し、DV被害である旨を医師に伝えて診断書を取得。
          • 心療内科の通院やカウンセリングの記録も、精神的苦痛の証明に有効。

          写真・録音・日記

          • 受傷部位や壊れた家具、血痕などをスマホで写真に収めておく。
          • 暴力・脅迫の録音(できれば会話の前後も含める)や、日時・内容を克明に綴った日記が裁判で重要な証拠となる。

          警察や保護命令の文書

          • DVで警察に通報し、被害届相談記録があるなら、それも確実な証拠。
          • 保護命令が発令された事実も「DVが公的に認められた」として裁判で強い証拠力を持つ。

          慰謝料請求の実務手順

          離婚協議・調停で交渉

          • 被害者が離婚を望む場合、弁護士を通じてDVの証拠を相手側に示し、慰謝料額を交渉する。
          • 同時に財産分与養育費も交渉し、不利な条件で妥協しないよう注意。

          裁判での請求

          • 加害者がDVを否定し協議が難航するなら、離婚裁判を起こしてDVを立証し、慰謝料を判決で認めてもらう。
          • 民事裁判(不法行為損害賠償)を別途提起する方法もある。

          合意や判決後の回収

          • 慰謝料の支払いを公正証書調停調書に落とし込んでおけば、不払い時に強制執行(給料差押えなど)を行える。
          • 一括払いが難しいなら分割払いを設定し、加害者の不払いリスクに備える必要がある。

          弁護士に相談するメリット

          DVの深刻性を立証

          • 弁護士が診断書や録音、写真を効果的に整理し、被害者の苦痛を明確に示すことで、高額慰謝料を目指せる。
          • “軽い暴力”として矮小化しようとする加害者に対して反論し、裁判所の理解を得やすい。

          交渉段階での優位

          • 証拠がしっかりそろっている場合、加害者側は裁判での不利を意識し、示談交渉で相応の金額に応じる可能性が高い。
          • 弁護士が不在だと軽視される恐れもあり、適正額を得にくい。

          保護命令・安全確保と併用

          • 慰謝料請求と同時に、保護命令シェルターなどを活用し、安全を優先した離婚手続きを進めることができる。
          • 弁護士が警察や支援機関との連携を調整し、被害者のストレスとリスクを低減。

          長期的フォロー

          • 慰謝料の支払いが滞れば、弁護士が強制執行手続きを行い、回収をサポート。
          • 離婚後に加害者が接近してくる場合も、再度保護命令や刑事告訴を検討でき、被害者を総合的に支援可能。

          まとめ

          • DV離婚での慰謝料は、DVの悪質性や長期性、被害者の受傷や精神的ダメージの深刻度などによって数百万円程度まで上がるケースがあり、一般的な不貞慰謝料よりも高額になる傾向が強い
          • 高額な慰謝料を得るには、診断書・写真・録音・保護命令記録などの証拠収集が必須で、暴力や脅迫、面前DVによる子どもへの影響も大きな考慮要素となる
          • 加害者がDVを否定し協議が難航すれば裁判で立証する流れとなり、弁護士のサポートを受けることで証拠整理と主張が的確に行われ、判決で適切な賠償を認めてもらえる可能性が高まる
          • 身体的安全確保(保護命令、シェルター)と慰謝料請求を両立させるには、弁護士の力が有益であり、加害者の反論や不払いリスクにも対応できるよう公正証書化や強制執行手段を確保しておくべき

          DV被害者にとって、暴力だけでなく精神的苦痛も多大なものであり、慰謝料は被害回復の一端として重要です。適切な証拠を揃え、弁護士の協力を得て法的手続きを進めれば、高額慰謝料を獲得しながら安全に離婚を成立させ、新たな人生をスタートできる可能性が大いにあります。

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          DV加害者更生プログラムの実態

          2025-12-27
          ホーム » コラム » DV離婚の実態と対処法:保護命令から慰謝料請求まで

          はじめに

          DV(ドメスティック・バイオレンス)という言葉が社会に定着して久しく、被害者が離婚に踏み切る流れも以前よりは認知されていますが、DV加害者の側の「更生」という視点はまだまだ認知不足な部分があります。DV被害者を守るために保護命令慰謝料請求などの手段を講じる一方、加害者が暴力行為を反省・改善し、再び同じ過ちを繰り返さないためのプログラムが存在するのをご存じでしょうか。これを一般に「DV加害者更生プログラム」と呼びます。

          本稿では、このDV加害者更生プログラムの実態や目的、実際にどのような効果があるのかなどを解説します。離婚を検討しているDV被害者にとっては、「加害者が変わる可能性があるのか」という点は大きな関心事かもしれませんし、一部のケースでは被害者自身が「夫(妻)を更生させられるなら離婚を回避したい」と願うこともあるでしょう。しかし、現実には加害者更生プログラムがどの程度機能し、どうすれば安全を確保しながら加害者の変容を促せるのか、簡単にはわからない部分があります。

          DV加害者更生プログラムの概要と注意点を示し、被害者や家族がこの制度をどのように捉え、活用できるかを考察します。DVは深刻な人権侵害であり、加害者が自発的に改心しない限り再犯リスクは常に残るため、更生プログラムを過信せず、被害者の安全を最優先に考える姿勢が欠かせません。

          Q&A

          Q1:DV加害者更生プログラムとは何ですか?

          主に公的機関や民間の更生支援団体が実施する、DV加害者向けのカウンセリングや講習プログラムのことです。暴力行為の背景にある思考パターン感情コントロールの問題を修正し、再発防止を目指す取組みです。

          Q2:加害者更生プログラムに参加すると、DVは本当に治るのでしょうか?

          更生プログラムを受けることで再発率が低下するとの報告もありますが、100%DVがなくなる保証はありません。加害者本人の強い意欲と協力が前提であり、プログラム自体は動機づけやモラル再教育のサポートをするにとどまります。

          Q3:加害者がプログラムを受ける場合、被害者の許可や協力は必要ですか?

          加害者更生プログラムへの参加は本人の意志が重要であり、被害者が参加を強制することは難しいです。調停や裁判で、「プログラムを受けることを合意条件にする」事例もありますが、最終的には加害者自身の意思が問われます。

          Q4:DV加害者更生プログラムの内容はどのようなものですか?

          一般的には、認知行動療法をベースにしたグループセッションや個人カウンセリングが中心です。加害者が感情コントロールの方法を学び、暴力につながる思考パターン(パートナーを支配しようとする考え方)を変えていくための教育を行います。

          Q5:離婚を検討している被害者が、加害者更生プログラムを進めるメリットは何でしょうか?

          もし加害者が本気で更生に取り組めば、子どものために離婚回避を試みることも選択肢となるかもしれません。しかし、プログラムを受けても再発のリスクはゼロではないため、被害者は常に安全を優先すべきです。離婚に踏み切るなら、慰謝料保護命令など適切な手続きを講じつつ、加害者の更生を見守る形もあるでしょう。

          解説

          DV加害者更生プログラムの概要

          法的背景と実施団体

          • 国内では、DV防止法や都道府県の施策を背景に、公的機関や民間NPOが更生プログラムを運営している。
          • 裁判所からの指示で受講させるケースもあるが、多くは加害者が自主的に参加する形を取る。

          目的

          • 最大の目的は再発防止被害者の安全。加害者がDVを引き起こす背景支配欲といった思考を自覚し、改善する。
          • 暴力の原因を相手に責任転嫁するクセ(「殴りたくなるほど○○された」など)を修正し、自己責任を認めさせる。

          内容

          • グループセッション
            同様のDV加害経験を持つ参加者同士で体験談や感情を共有し、共通の問題構造を認識する。
          • 個別カウンセリング
            • 専門のカウンセラーが認知行動療法の手法を用い、加害者の思考や感情コントロールを訓練する。
            • 宿題やレポート提出が課される場合もあり、暴力抑止につなげる具体的技術を習得していく。

          実際の効果と課題

          効果的な面

          • 参加者が自己の暴力性を自覚し、怒りのコントロール方法を学ぶことで、DV再発率が下がったという研究もある。
          • 適切な感情表現やコミュニケーション技術を学ぶことで、人間関係全般が改善する加害者も存在する。

          課題

          • 強制力が弱く、加害者が自主的に離脱してしまう場合がある。裁判所が指示したプログラムの場合でも、徹底した監視は難しい。
          • DVの根底には権力意識支配欲があり、短期間の講習で劇的に変わるわけではない。そのため、長期フォローが求められる。

          離婚と加害者更生プログラムの関連性

          離婚回避を求めるケース

          • 被害者が「子どものために離婚を避けたい」「加害者が本当に更生するなら結婚生活を続けたい」と考える場合、プログラム受講を離婚回避の条件にすることがある。
          • ただし、加害者が言葉だけ「受ける」と言って実行しないケースもあり得るため、実効性の確保が難しい。

          離婚手続き中の適用

          • DV加害者が裁判所から勧告される形でプログラム参加する例もあるが、これはあくまで改善を期待するものであり、被害者の離婚条件と直接結びつくわけではない。
          • 被害者が離婚調停・裁判でDVを立証すれば、慰謝料増額親権取得に有利となり、加害者がプログラム参加をアピールしても「既に行われた暴力」の責任を免れるわけではない。

          離婚後の再発防止

          • 離婚後も加害者が子どもとの面会交流を求める場合、プログラム受講を条件にすることがある。
          • とはいえ、プログラム終了後も加害者が元どおり暴力的言動をするリスクもあり、被害者は保護命令やストーカー規制法など追加的な対策を意識する必要がある。

          弁護士に相談するメリット

          安全と離婚手続きの両立

          • 弁護士が被害者の身体的安全を確保するための保護命令やシェルター活用などを助言しつつ、同時に離婚調停・慰謝料請求など法的手続きを進められる。
          • 加害者が更生プログラムを受けると言っても、被害者の意志で離婚を選択できるようサポート。

          DV立証と慰謝料の増額

          • DV加害行為を認定させるために、診断書・録音・写真などの証拠を整理・提出し、裁判所にDVの深刻さを印象づける。
          • 更生プログラム参加の加害者が言い逃れできないよう、過去の暴力責任を追及して慰謝料を獲得。

          親権・面会交流の制限

          • DV加害者が子どもに接近する危険がある場合、親権者を被害者に、もしくは面会交流を完全禁止・制限付きにすることを裁判所に求められる。
          • 弁護士が適切な主張と証拠(面前DVなど)を提示して、子どもを守る条件を確保。

          離婚後の再発対策

          • DV加害者が更生プログラムを受けても再度暴力を振るう恐れがある場合、弁護士と連携し、保護命令更新ストーカー規制法の適用、刑事告訴など段階的対策を用意。
          • 被害者と子どもが安全に暮らせるよう、長期的フォローを行う。

          まとめ

          • DV加害者更生プログラムは加害者が自発的に参加し、暴力に至る思考パターンや感情コントロールを学習する取り組みだが、必ずしも100%改善が保障されるものではなく、再発リスクが残る場合も多い
          • 被害者が離婚を考えるなら、安全確保が最優先であり、加害者がプログラム受講を約束しても被害者の負担や不安は続くため、保護命令やシェルターなどを活用しつつ、弁護士とともに離婚手続きを進めることが重要
          • 更生プログラムはあくまでDV再発を低減させる一つの手段であって、暴力を免罪したり法的責任(慰謝料など)を免れるわけではないため、加害者が受講しても被害者が離婚を回避するかは慎重に判断する
          • 弁護士に依頼すれば、保護命令やシェルター連携、慰謝料請求や親権争いにおいてDV被害を立証しつつ手続きを円滑に進められ、離婚後の再発防止策を含めた総合的なサポートが受けられる

          DV被害者にとって、加害者更生プログラムの存在は希望にも思える一方、実際に加害者が真摯に取り組むかどうかは大きな不確定要素です。大切なのは、被害者と子どもの安全であり、被害者が安心して暮らせる環境を最優先に確保することです。弁護士や各種支援機関と連携し、適切な法的手段を講じながら、DVの再発を防ぎ、被害者自身の人生を取り戻す道筋を検討しましょう。

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          子どもの安全確保と監護をめぐる問題

          2025-12-23
          ホーム » コラム » DV離婚の実態と対処法:保護命令から慰謝料請求まで

          はじめに

          DV(ドメスティック・バイオレンス)離婚では、子どもの安全が大きな懸念となります。暴力的な環境に置かれると、子ども自体が身体的・心理的なダメージを受けるだけでなく、親権面会交流に関しても複雑な問題を引き起こします。とりわけ、DV加害者が子どもを利用して被害者を支配しようとするケースもあり、DV被害者が離婚したいと思っていても、「子どもを連れ去られるかもしれない」「暴力から子どもを守りきれるか」といった不安で行動に移れないことがあります。

          本稿では、子どもの安全確保監護をめぐる問題を中心に、DVが絡む離婚でどのように子どもを保護し、適切な親権・監護権の決定を導き出すかを解説します。DV被害者が弁護士や児童相談所などの協力を得て、安心して離婚に踏み切るための具体的な視点をまとめます。

          Q&A

          Q1:DV加害者から逃げる際、子どもを連れていくにはどうすればいいでしょうか?

          子どもに危険が及ぶ可能性が高いなら、児童相談所配偶者暴力相談支援センターと連携して一時保護を受けるか、シェルターに入る選択肢が考えられます。弁護士に相談して保護命令(子どもへの接近禁止)を申し立てることで、加害者からの連れ去りや接近を防ぐ方法も有効です。

          Q2:DV加害者が「子どもを渡さない」と言っている場合、どう対応すればいいですか?

          子どもへの暴力リスクがあれば、児童相談所に通報し、一時保護を要請するのが最優先です。加害者が子どもを人質にしているような場合、警察が介入しないケースもあるため、弁護士と協力して親権者指定の仮処分など手続きを検討することがあります。保護命令でも子どもへの接近禁止を発令可能です。

          Q3:DV離婚で親権は被害者側が優先されるのでしょうか?

          DV加害者は子どもの安全を脅かす恐れがあるため、一般的には被害者側が有利になります。ただし、DVの証拠が不明確だと、裁判所や調停委員がDVの深刻度を認定せずに中立的判断をすることも。しっかりと暴力の実態を立証することが大切です。

          Q4:子どもがDVを目撃しているだけで、DV加害者が直接子どもに暴力を振るっていない場合でも、監護権に影響ありますか?

          子どもの前で親が暴力を受ける「面前DV」は、子どもの心に深い傷を与えるとされています。たとえ直接暴力されていなくても、環境要因として子どもの福祉を害するとみなされ、親権・監護権の判断で加害者は不利になりやすいです。

          Q5:離婚後、DV加害者が子どもへの面会交流を求めてきた場合、断れますか?

          子どもの安全・福祉を最優先すれば、DV加害者との面会交流は制限や禁止が認められる可能性があります。調停・裁判で「子どもの心身に危険がある」と主張し、監視付き面会一切の面会禁止を求めることも可能です。弁護士と相談し、保護命令と併用するケースもあります。

          解説

          子どもの安全確保の手段

          児童相談所の一時保護

          • 子どもが加害者のDVを受けたり、面前DVで心理的ダメージを負っている場合、児童相談所が一時保護する制度がある。
          • 親権者や同居人の同意がなくても、子どもの安全確保が優先されると判断されれば実施される。

          シェルターでの避難

          • DV被害者と子どもが同居加害者から逃れる場合、公的・民間シェルターへ入所し、一時的に子どもともども身を隠す。
          • 学校や保育園への影響があるが、安全を最優先するための臨時措置として用いられる。

          保護命令(子への接近禁止)

          • DV防止法に基づく保護命令は、被害者だけでなく子どもへの接近も禁止することができる。
          • 加害者が連れ去りを狙っているなら、裁判所に子への接近禁止命令の発令を求める。

          親権・監護権の決定への影響

          DV加害者は親権取得が極めて困難

          • 加害者が子どもにも暴力を振るっていた、または母親への暴力を子どもの前で行っていた(面前DV)などの場合、子どもの福祉を著しく害すると判断される。
          • 裁判所はDV加害者に親権や監護権を与えることを極慎重に扱う。

          面前DVの深刻さ

          • 子どもがDVを目撃するだけでも心理的外傷が大きく、長期的なトラウマを抱えがち。
          • 親権判断で面前DVの事実があると、被害者側(DVを受けた親)が有利に働くのが実務上の傾向。

          面会交流の制限

          • 離婚後に加害者が子どもとの面会交流を求める場合、DVの危険があれば制限または禁止が判断されることがある。
          • 子どもの安全を守るために第三者立会い公的施設での面会など特別な形態が必要になるケースもある。

          DV離婚後の子どもの監護問題

          離婚後の住居と学校

          • 被害者が子どもを引き取り、新居転校を考える場合、自治体のひとり親支援住宅支援を活用。
          • DV加害者が子どもの学校に押しかけないよう、住所非開示や学校との情報共有も必要。

          再度の加害行為やストーカー化

          • 離婚後も加害者が子どもをダシに接触を図ったり、ストーカー行為に及ぶ事例がある。
          • 弁護士や支援センターと相談し、別の保護命令ストーカー規制法などを駆使し、再発を防ぐ措置を講じる。

          子の心のケア

          • DV家庭で育った子どもは、PTSDや不安障害を抱えることがあり、カウンセリングが重要。
          • 離婚後も定期的に子どもの心理状態をフォローし、必要に応じて専門機関を利用するのが望ましい。

          弁護士に相談するメリット

          安全第一の離婚手続きをコーディネート

          • 弁護士がDV事例を把握し、保護命令シェルターなどを組み合わせて被害者と子どもの安全を確保しながら、同時に親権や慰謝料の法的手続きを進行。
          • 当事者が自分で加害者と交渉せずに済み、身体的・精神的リスクを軽減。

          児童相談所・警察との連携

          • 弁護士が児童相談所や警察へ状況を正確に伝え、一時保護や捜査をスムーズに実施できるよう調整。
          • 書類の不備や連携ミスを防ぎ、被害者が混乱しないよう導く。

          親権・監護権でのDV立証

          • 弁護士がDVの証拠(診断書・写真・録音など)を整理し、調停・裁判で「加害者が子どもの福祉を害する恐れ」を具体的に説得。
          • 結果的に被害者が親権や監護権を得やすくなり、加害者側の面会交流を制限する根拠となる。

          離婚後も総合サポート

          • 離婚が成立してもDV加害者の脅迫やストーキングが続く場合、弁護士が追加の保護命令刑事告訴を迅速に行える。
          • 子どもの心のケアや生活支援(母子手当など公的制度利用)についても、アドバイスを行うことが可能。

          まとめ

          • DV離婚で最も憂慮すべきは子どもの安全確保であり、児童相談所の一時保護やシェルター、保護命令(子への接近禁止)などを組み合わせることで加害者から逃れつつ離婚手続きを進める必要がある
          • DV加害者が直接子どもを殴らなくても、面前DVによる子どもの心的外傷が重大視され、親権争いで加害者は不利になりやすい
          • 離婚後も加害者からストーカー的接触や連れ去りリスクが残る場合、弁護士と連携して再度の保護命令や警察対応を行い、子どもと共に安全な環境を保つ
          • 弁護士に相談すれば、DV証拠の収集から保護命令手続き、親権・監護権の主張まで包括的にサポートを受けられ、子どものケアや行政支援の情報も得られる

          DV被害者が離婚を検討するとき、子どもの安全対策が最重要課題となります。弁護士公的機関(児童相談所・警察・支援センター)の力を借りながら、シェルターなどを利用し、安全を確保した上で離婚調停や裁判で親権・監護権を取得する流れが理想です。子どもの心を守り、DV連鎖を断ち切るためにも、積極的な相談と法的手段を活用しましょう。

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          「これってDV?」身体的・精神的・経済的DVの具体例と、離婚に向けた正しい対処法

          2025-12-14
          ホーム » コラム » DV離婚の実態と対処法:保護命令から慰謝料請求まで

          はじめに

          「夫に殴られたことはないけれど、毎日怒鳴られて怖い」
          「生活費をまったく渡してもらえず、自分の貯金を切り崩して生活している」

          このような状況にある場合、あなたはすでにDV(ドメスティック・バイオレンス)の被害者かもしれません。

          DVとは、配偶者やパートナーからの暴力全般を指します。しかし、多くの被害者の方は「あざができるほどの暴力ではないから」「私が我慢すればいいから」と考え、自分が被害を受けていることに気づかないケースが少なくありません。

          DVは、放置すればエスカレートする傾向があり、被害者の心身に深刻なダメージを与えます。また、民法上の「離婚事由」としても認められる重大な行為です。

          本記事では、「身体的DV」「精神的DV」「経済的DV」の具体的な事例を挙げながら、自分が置かれている状況を客観的に判断するための基準と、保護命令や慰謝料請求を含めた解決策について、弁護士法人長瀬総合法律事務所が解説します。

          DV離婚に関するQ&A

          Q1. 夫から直接暴力を振るわれたことはありませんが、言葉の暴力がひどいです。これはDVとして認められますか?

          はい、精神的DV(モラル・ハラスメント)として認められます。

          「誰のおかげで飯が食えるんだ」と罵倒したり、無視を続けたり、行動を過度に監視したりする行為は、精神的な暴力です。これらが原因で婚姻関係が破綻し、修復不可能となれば、裁判でも離婚が認められる可能性があります。

          Q2. 生活費を渡さない「経済的DV」の場合、どのような証拠が必要ですか?

          家計の実態がわかる記録が重要です。

          預金通帳の履歴(生活費の入金がないこと)、家計簿(自分で生活費を負担している記録)、夫に生活費を求めた際のLINEやメールのやり取りなどが証拠になります。「生活費を渡さない」という行為は、民法上の「悪意の遺棄」に該当する可能性があります。

          Q3. 夫が怖くて別れ話を切り出せません。どうすればいいですか?

          無理に二人だけで話し合おうとせず、まずは別居して身の安全を確保してください。

          DV加害者は、別れ話をすると逆上し、暴力が激化するリスクがあります。まずは警察や配偶者暴力相談支援センターに相談し、シェルターへの避難や「保護命令」の申し立てを検討しましょう。弁護士を代理人に立てれば、夫と直接顔を合わせずに離婚協議を進めることができます。

          解説:あなたのケースはどれ?DVの3つの種類と具体例

          DVには大きく分けて「身体的」「精神的」「経済的」の3つの種類があります。これらは単独で起きることもあれば、複合的に行われることもあります。

          1. 身体的DV(フィジカル・バイオレンス)

          身体に対する直接的な暴力行為です。命の危険に直結するため、最も緊急度が高い状態です。

          具体的な行為

          • 平手打ちをする、拳で殴る、足で蹴る。
          • 髪の毛を引っ張る、首を絞める。
          • 物を投げつける(たとえ当たらなくても、恐怖を与えれば暴力に該当します)。
          • 刃物を突きつける、振り回す。
          • 引きずり回す、突き飛ばす。

          【ポイント】
          「一度だけだから」「酒に酔っていたから」というのは言い訳になりません。たった一度の暴力でも、信頼関係を破壊する十分な離婚事由となります。怪我をした場合は、必ず病院で診断書を取得し、患部の写真を撮ってください。

          2. 精神的DV(モラル・ハラスメント)

          言葉や態度によって相手の心を傷つけ、精神的に追い詰める暴力です。外傷が見えないため、周囲に理解されにくい特徴があります。

          具体的な行為

          • 暴言・侮辱: 「役立たず」「死ね」「誰のおかげで生活できているんだ」と大声で怒鳴る。
          • 無視: 何週間も口をきかない、存在を無視する。
          • 束縛・監視: スマホの履歴を勝手にチェックする、外出先から何度も連絡を強要する、GPSで行動を監視する。
          • 交友関係の制限: 実家への帰省を禁じる、友人との付き合いを制限し、社会的に孤立させる。
          • 責任転嫁: 「お前が俺を怒らせるのが悪い」と、暴力の原因を被害者のせいにする。

          【ポイント】
          精神的DVを受け続けると、被害者は「私が悪いんだ」と洗脳された状態(学習性無力感)になり、逃げる気力を奪われてしまいます。これは支配の手段であり、あなたの責任ではありません。日々の暴言を録音したり、日記に詳細を記録したりすることが有効な証拠となります。

          3. 経済的DV

          生活費を渡さない、お金の自由を奪うなどして、配偶者を経済的に追い詰める行為です。

          具体的な行為

          • 夫に十分な収入があるのに、生活費を渡さない。
          • 生活費をごく少額(1日数百円など)しか渡さず、レシートの提出を厳しく求める。
          • 妻の給与や貯金をすべて管理し、自由に使わせない。
          • 「外で働くな」と就労を禁止し、経済的に自立させない。
          • 借金を重ね、妻に尻拭いをさせる。

          【ポイント】
          夫婦には、互いの資産や収入に応じて生活レベルを同等に保つ「婚姻費用分担義務」があります。経済的DVは、この義務に違反する行為であり、法的な支払い請求(婚姻費用分担請求)が可能です。

          ※性的DVについて
          上記に加え、嫌がっているのに性行為を強要する、避妊に協力しない、中絶を強要するといった行為も「性的DV」にあたります。これも重大な人権侵害であり、離婚事由となります。

          DVのサイクルと「逃げられない」心理

          DVには「サイクル」があると言われています。

          1. 蓄積期: 加害者のイライラが募り、些細なことで不機嫌になる時期。
          2. 爆発期: 激しい暴力(身体的・精神的)が振るわれる時期。
          3. ハネムーン期: 暴力の後、急に優しくなり「もう二度としない」「愛している」と謝罪する時期。

          この「ハネムーン期」の優しさにほだされ、「本当は優しい人なんだ」「私が支えてあげなきゃ」と思い込んでしまい、離婚や別居の決意が鈍ってしまうのがDVの恐ろしさです。しかし、専門的なプログラムを受けない限り、DVが自然になくなることは極めて稀です。サイクルは繰り返され、徐々に暴力の程度がひどくなっていくのが一般的です。

          DV被害者が取るべき対処法:保護命令から慰謝料請求まで

          DV加害者との離婚は、通常の離婚協議とは異なるアプローチが必要です。

          1. 身の安全を確保する(別居・シェルター)

          同居したままの話し合いは危険です。まずは別居を最優先してください。行き先がない場合は、配偶者暴力相談支援センターや警察に相談し、一時保護シェルターを利用することも検討しましょう。

          2. 「保護命令」を申し立てる

          身体的暴力や生命に対する脅迫があり、今後も暴力振るわれるおそれがある場合、裁判所に「保護命令」を申し立てることができます。

          • 接近禁止命令: 被害者の住居や勤務先への接近を6ヶ月間禁止する。
          • 退去命令: 加害者を家から2ヶ月間退去させる。
          • 電話等禁止命令: 面会の要求や深夜の電話などを禁止する。

          これに違反すると刑罰が科されるため、強力な防波堤となります。

          3. 離婚手続きと慰謝料請求

          DV事案では、当事者同士の話し合い(協議離婚)は困難かつ危険です。弁護士を代理人に立てて交渉するか、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てます。

          調停では、相手と顔を合わせないよう配慮(到着時間をずらす、別室で待機するなど)がなされます。

          また、DVは不法行為ですので、慰謝料を請求できます。

          DV慰謝料の相場: 50万円〜300万円程度

          暴力の期間、頻度、怪我の程度、精神疾患の有無(うつ病やPTSDの診断書)などによって金額は変動します。証拠がどれだけ揃っているかが、適正な慰謝料を獲得するカギとなります。

          弁護士に相談するメリット

          DV問題を弁護士に依頼することは、単なる法的手続き以上の意味を持ちます。

          1. 物理的・精神的な「盾」になる
            弁護士が代理人になると、加害者からの連絡はすべて弁護士が窓口となります。加害者と直接話す必要がなくなり、恐怖から解放されます。
          2. 保護命令の迅速な申し立て
            保護命令はスピードが命です。弁護士は、陳述書の作成や証拠の整理を迅速に行い、裁判所への申し立てをサポートします。
          3. 有利な条件での離婚成立
            恐怖心から「とにかく離婚できればいい」と、財産分与や慰謝料を放棄してしまう被害者の方がいます。弁護士は、あなたが受け取るべき正当な権利(親権、養育費、慰謝料、財産分与)を主張し、離婚後の生活基盤を確保します。

          まとめ

          DV(ドメスティック・バイオレンス)の実態と対処法について解説しました。

          • DVの種類: 身体的暴力だけでなく、精神的暴力(モラハラ)や経済的暴力もDVです。
          • DVのサイクル: 「ハネムーン期(優しくなる時期)」に騙されず、暴力が繰り返される構造を理解してください。
          • 対処法: まずは安全確保(別居)。そして証拠を集め、保護命令や法的手段を用います。

          「私が我慢すれば家庭はうまくいく」

          そう思って耐えている間にも、あなたの心と体は傷ついていきます。そして、それはお子様にとっても健全な環境とは言えません。

          弁護士法人長瀬総合法律事務所は、DV被害に苦しむ方の味方です。私たちは、あなたの安全を最優先に考え、警察や行政とも連携しながら、新しい人生への第一歩をサポートします。

          相談内容は厳守されます。相手に知られることはありません。まずは勇気を出して、当事務所にご相談ください。

          【次のステップ】

          もし今、身の危険を感じている場合は、警察(110番)に通報することもご検討ください。

          今後の離婚や安全確保について相談したい方は、怪我の写真、医師の診断書、暴言の録音、日記など、手元にある証拠を持って当事務所の法律相談をご予約ください。証拠がなくても、まずは状況をお話しいただくだけで構いません。

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