はじめに
DV(ドメスティック・バイオレンス)被害から逃れようとする際、避難場所や生活支援が欠かせません。特に強い身体的暴力を振るう加害者から身を守るためには、一刻も早く安全な場所へ避難するのが最優先です。そのために、多くの自治体やNPOがDVシェルターを提供し、被害者や子どもを保護しています。しかし、「シェルターとはどこにあり、どうすれば利用できるのか」「利用中の生活費や仕事はどうなるのか」など、実際に利用する段階での疑問は多いでしょう。
本稿では、DVシェルターや公的支援サービスの利用方法を中心に、DV被害者がどのように安全を確保しつつ離婚手続きを進められるのかを解説します。保護命令との組み合わせや弁護士との連携も含め、ポイントを整理いたしました。
Q&A
Q1:DVシェルターに入るにはどうすればいいですか?
市区町村の配偶者暴力相談支援センターやDV相談窓口、あるいはNPOのDV相談ラインに連絡すると、シェルター利用を案内してもらえることが多いです。緊急時は警察を通してシェルターに保護されるケースもあります。子どもを連れて逃げる場合でも受け入れが可能な施設が存在します。
Q2:シェルターに行くと、どのくらいの期間滞在できるのでしょうか?
公的機関の一時保護シェルターでは2週間程度が目安とされますが、状況によって延長が認められる場合もあります。NPOが運営する民間シェルターでは、数か月以上滞在できるケースもあり、施設によって異なります。
Q3:シェルターに入ると仕事はどうなりますか?
被害の深刻さにもよりますが、加害者から職場に連絡が入るなど危険があるなら、一時的に休職するケースが多いです。シェルターの所在地は秘密が原則であり、通勤が難しい場合もあります。弁護士や支援センターと相談し、職場への説明や転職支援などの策を探ります。
Q4:公的支援サービスとして、他にどんなものが利用できますか?
DV被害者向けの保護命令(接近禁止・退去命令など)をはじめ、弁護士費用補助、カウンセリング、生活保護などの福祉制度を組み合わせることも可能です。地方自治体が独自に家賃補助や緊急支援金を用意していることもあるため、DV相談窓口で情報を収集しましょう。
Q5:シェルターで生活している間に離婚手続きをどう進めればいいのでしょうか?
シェルター滞在中でも、弁護士と連絡を取りながら、保護命令申立や離婚調停・裁判手続きを進められます。子どもを連れている場合は児童相談所や学校との連携も必要です。シェルターの職員や弁護士がサポートしてくれるケースが多いです。
解説
DVシェルターとは
公的・民間シェルターの違い
- 公的シェルター:自治体や配偶者暴力相談支援センターが運営する一時保護所。滞在期間は2週間程度が目安。
- 民間シェルター:NPOや慈善団体が運営。公的より比較的長期滞在が可能な場合も。場所や受け入れ状況は施設ごとに異なる。
所在地の秘匿と安全管理
- シェルターの場所は外部に秘密にされ、被害者が追跡されないように配慮される。
- 関係者以外は立ち入り禁止で、24時間体制のセキュリティが整っているところも多い。
シェルター生活の実態
- 家具・食料品など最低限の生活環境が用意されているが、集団生活形式でプライバシーが限られる場合もある。
- 子どもを連れての入所も可能な施設が多いが、部屋数に限りがあるため早めの相談が重要。
公的支援サービスの活用
配偶者暴力相談支援センター
- DV防止法に基づき、都道府県や一部市区町村が設置。DVに関する相談対応、シェルター手配、保護命令手続き案内など総合的なサポート。
- 24時間相談窓口を設けている地域もあるので、緊急時に活用しやすい。
保護命令
- DV被害者が家庭裁判所に申し立てると、6か月間の接近禁止命令や退去命令などが発令される場合がある。
- 命令に違反すれば加害者は刑事罰を受けるリスクがあるため、身体的な安全を確保できる。
カウンセリング・メンタルヘルス支援
- DV被害者や子どもの心理的ケアのため、公共のカウンセリングや民間の心理療法機関を案内してもらえる。
- PTSDや不安障害を訴える被害者も多く、専門家の関与が重要。
生活保護や福祉制度
- DVで緊急避難し収入がない場合、生活保護や一時金支給などの公的援助が認められることがある。
- 母子父子寡婦福祉貸付制度、児童扶養手当など、ひとり親向けの経済支援制度も同時に活用する。
シェルター滞在中に離婚手続きを進める流れ
弁護士との連絡方法
- シェルターにいる間でも電話やメールで弁護士とコミュニケーションをとり、調停準備や保護命令申立を進める。
- 面会が可能なシェルターでは弁護士が直接訪問することもあるが、セキュリティ上の規定に従う必要がある。
相手との接触回避
- 住所が秘密のため、加害者が調停や裁判の書類を被害者の住所へ送ることは基本的にできない。
- 裁判所も被害者の安全を配慮し、書類送達先を弁護士事務所にするなど配慮することが多い。
離婚成立後の住まいと生活
- シェルターはあくまでも緊急避難先なので、長期間住み続けるのは難しい。
- 弁護士や支援センターと連携しつつ、公営住宅や民間賃貸への移行、子どもの学校手続きなどを段取りしていく。
弁護士に相談するメリット
保護命令や警察対応の手続き支援
- 弁護士がDVの証拠を整理し、保護命令申立書を的確に作成。家庭裁判所への申立てを代行する場合も多い。
- 警察対応においても弁護士が被害者の代理人として同席し、適切に対話できる。
シェルター滞在中の離婚調停・裁判手続き
- 弁護士が離婚調停・裁判を全面的に代理し、被害者が裁判所に出頭しなければならない場合も安全に配慮したスケジュールを組める。
- 必要に応じて書面作成や証拠提出も全て弁護士が行うため、被害者はシェルターで落ち着いて過ごしやすい。
慰謝料・財産分与の確保
- 弁護士がDV加害者に対して慰謝料請求や財産分与交渉を行い、被害者に適正な補償を得させる。
- 不動産や預金などの把握を行い、隠し財産を防ぎながら交渉で最大限有利な条件を引き出す。
離婚後の安全策もアドバイス
- 住所の秘匿、子どもとの面会交流制限、再度の保護命令など、離婚後に加害者が再び接触してくる場合を想定してプランを作成。
- 公的支援(母子手当、生活保護など)を受けながら自立するために必要な役所手続きを案内する。
まとめ
- DV被害者が離婚を考えるなら、まずシェルターや保護命令などで身を守ることが最優先。配偶者暴力相談支援センターやNPOシェルターを通じて一時避難しながら、弁護士と連携して離婚手続きと慰謝料請求を進めるのが有効
- シェルターは公的・民間で運営され、緊急時は警察を経由して保護される例もある。自宅に戻らず生活保護やひとり親支援を受けながら調停・裁判を行うことも可能
- DV離婚で慰謝料請求を検討する場合、診断書・録音・写真などの証拠を確保し、弁護士が保護命令申立や離婚調停・裁判でDV被害の深刻性を立証して相応の賠償を得る方法が望ましい
DV被害者は恐怖の中で正常な判断をすることが難しく、離婚手続きを進める余裕も乏しいものです。シェルターや公的支援を遠慮なく利用しつつ、弁護士の助力で保護命令や裁判手続きを行えば、安全を確保しながら離婚と慰謝料請求を進められます。周囲の支援を受けることは決して恥ではなく、新しい人生への大切な一歩になります。
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