DV離婚に強い弁護士の選び方とは?実態と対処法、保護命令から慰謝料請求まで

ホーム » コラム » DV離婚の実態と対処法:保護命令から慰謝料請求まで » DV離婚に強い弁護士の選び方とは?実態と対処法、保護命令から慰謝料請求まで

はじめに

家庭内暴力(DV)は、被害者の心身に深刻な傷を残すだけでなく、生命の危険さえ伴う重大な問題です。「パートナーが怖い」「逃げ出したいけれど、報復が恐ろしくて動けない」「経済的に支配されており、離婚後の生活が不安」――このような悩みを抱えている方は、決して少なくありません。

DV事案における離婚は、通常の性格の不一致による離婚とは異なり、被害者の安全確保が最優先事項となります。加害者は支配欲が強く、別れ話を切り出すことで逆上し、暴力がエスカレートする危険性が高いためです。そのため、当事者同士の話し合いで解決することは極めて困難であり、法律の専門家である弁護士の介入が不可欠なケースが大半を占めます。

しかし、すべての弁護士がDV事案に精通しているわけではありません。DV特有の精神構造の理解、緊急時の安全確保のノウハウ、裁判所を用いた保護命令の申し立て手続きなど、専門的な知識と経験が求められます。

本記事では、DV被害に苦しむ方が、安全かつ有利に離婚を進めるために、どのようにして「DV離婚に強い弁護士」を探し、選べばよいのかを解説します。

Q&A

Q1. DVの相談を弁護士にするタイミングはいつが良いのでしょうか?

可能な限り「早い段階」、できれば別居や離婚を具体的に決意する前が理想的です。

DV事案では、家を出る(別居する)タイミングが最も危険を伴います。事前に弁護士に相談することで、安全な別居の方法、証拠の集め方、警察や行政機関との連携についてアドバイスを受けることができます。もちろん、すでに別居した後や、トラブルが深刻化した後でも相談は可能ですが、早期に方針を立てることで、身体的・精神的な安全をより確実に守ることができます。

Q2. DVに強い弁護士と、そうでない弁護士にはどのような違いがありますか?

最大の違いは「被害者の安全確保に対する意識とノウハウ」および「迅速な対応力」です。

DVに強い弁護士は、加害者の行動パターンを熟知しており、住所を知られないための手続き(住民票の閲覧制限や裁判書類の秘匿措置など)を検討します。また、保護命令の申し立てを迅速に行い、被害者が法的に守られた状態で交渉を進めることができます。一方、不慣れな弁護士の場合、通常の離婚交渉と同じ感覚で相手方に連絡を取ってしまい、かえって被害者を危険に晒してしまうリスクがあります。

Q3. 証拠がなくても弁護士に依頼できますか?

はい、依頼可能です。

確かに、診断書や録音データなどの客観的な証拠があれば、裁判所での手続き(保護命令や離婚訴訟)はスムーズに進みます。しかし、恐怖で支配されている状況下では、証拠を集める余裕がないことも珍しくありません。専門知識を持つ弁護士であれば、詳細な陳述書の作成や、日記、友人への相談メール、警察への相談履歴などを組み合わせることで、DVの事実を立証していく戦略を立てることができます。まずは手元にある情報だけで構いませんので、ご相談ください。

解説

1. DV離婚における弁護士の役割と重要性

DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、配偶者やパートナーから振るわれる暴力の総称です。これには身体的な暴力(殴る・蹴る)だけでなく、精神的な暴力(暴言・無視・モラハラ)、経済的な暴力(生活費を渡さない)、性的暴力などが含まれます。

DV事案において弁護士が果たす役割は、単なる「離婚手続きの代行」にとどまりません。

被害者の「盾」となる

DV加害者は、被害者に対して執着し、直接の接触を求めようとします。弁護士が代理人となることで、相手方に対して「今後の連絡は弁護士を通すこと」を通告できます。これにより、被害者は加害者と直接話す必要がなくなり、精神的な負担と恐怖から解放されます。

物理的な安全の確保(保護命令の活用)

身の危険が差し迫っている場合、弁護士は裁判所に対して「保護命令」の申し立てを行います。これは、DV防止法に基づき、加害者に対して被害者への接近禁止や電話等の禁止、退去命令などを命じるものです。違反した場合には刑事罰が科される命令であり、これを迅速かつ的確に申し立てられるかどうかが、弁護士の力量にかかっています。

住所の秘匿

離婚調停や裁判を行う際、通常であれば申立人の住所は相手方に知らされます。しかし、DV事案では住所を知られることが新たな暴力の引き金になりかねません。DVに詳しい弁護士は、裁判所に対して「秘匿決定」の手続きを行い、被害者の現住所が相手方に知られないよう徹底した配慮を行います。

2. DV離婚に強い弁護士を見極めるポイント

インターネットで検索すれば数多くの法律事務所が見つかりますが、その中からDV事案に真に強い弁護士を見極めるには、以下のポイントに着目してください。

① DV事案・保護命令の解決実績が豊富か

法律事務所のウェブサイトを確認し、DV離婚の解決事例や、保護命令の獲得実績が具体的に掲載されているかを確認しましょう。DV事案はスピード勝負の側面があります。経験豊富な弁護士であれば、迅速に保護命令の申し立て準備に入ることができます。

② 被害者の心理に寄り添う姿勢

DV被害者は、長期間の支配関係により「自分が悪いのではないか」という自責の念や、重度のトラウマ(PTSD)を抱えていることが少なくありません。

優れた弁護士は、法律的な判断だけでなく、被害者の心情を深く理解し、精神的なサポートも意識しながら話を聞きます。初回の法律相談で、「高圧的でないか」「話を遮らずに聞いてくれるか」「恐怖心に共感してくれるか」を確認してください。あなた自身が「この人なら安心して任せられる」と感じる直感は重要です。

③ リスク管理への具体的提案があるか

相談時に、「もし相手が職場に来たらどうすればいいか」「実家に危害が及ぶ可能性はないか」といった具体的な不安に対して、明確な対処法を提示できる弁護士は信頼できます。

例えば、「受任通知(弁護士が介入したことを知らせる手紙)を送るタイミングは、あなたが安全な場所に避難した後にしましょう」といったように、安全を最優先した戦略を提案してくれるかどうかが判断基準となります。

④ 離婚条件(慰謝料・養育費)に対する強気な交渉力

DV加害者は、外面が良く、社会的な地位があるケースも多々あります。また、自分を正当化することに長けているため、調停や裁判では「暴力など振るっていない」「妻(夫)の狂言だ」と主張し、慰謝料の支払いを拒否することがあります。

こうした相手に対し、証拠を積み上げ、裁判官を説得し、適正な慰謝料や養育費、財産分与を勝ち取るためには、粘り強く論理的な交渉力が求められます。

3. 証拠収集と準備について

弁護士に依頼する際、証拠があるに越したことはありませんが、無理に集めようとして加害者に気づかれることは絶対に避けてください。安全な範囲で、以下のようなものが証拠となります。

  • 医師の診断書: 外傷の写真や、精神科・心療内科の診断書(「夫の暴力による」「PTSD」などの記載があると有力)。
  • 写真: 怪我をした部位、壊された家具や壁の写真。
  • 録音・録画: 暴力を振るわれている最中や、暴言を吐かれている時の音声・動画。
  • 日記・メモ: 「いつ、どこで、何をされたか、どんなことを言われたか」を具体的に記録したもの。手帳やスマートフォンのカレンダーアプリの履歴も有効です。
  • 警察・相談機関への相談実績: 警察に相談した際の「相談カード」の番号や、配偶者暴力相談支援センターへの相談記録。
  • LINEやメール: 相手からの脅迫的なメッセージや、友人に相談している内容。

これらの証拠が手元になくても、弁護士が陳述書の作成をサポートすることで、裁判所にDVの事実を認めてもらえるケースは多々あります。「証拠がないから無理だ」と諦めず、まずは状況を話すことから始めてください。

弁護士に相談するメリット

DV離婚において、弁護士に相談・依頼することには、単なる法的手続き以上の大きなメリットがあります。

1. 安全と精神的平穏の確保

    弁護士が窓口となることで、加害者からの連絡や接触を遮断することが期待できます。「いつ怒鳴られるか分からない」という恐怖から解放され、安心して新しい生活の基盤を整えることに専念できます。また、弁護士が法的な盾となることで、加害者による職場や実家への嫌がらせを抑制する効果も期待できます。

    2. 適切な保護命令の獲得

      接近禁止命令や退去命令など、裁判所による保護命令を迅速に獲得するためには、要件を満たす証拠と申立書の作成が必要です。専門家のサポートにより、却下されるリスクを減らし、確実に身を守る法的措置を講じることができます。

      3. 慰謝料・養育費の最大化

        DVは重大な不法行為であり、離婚原因を作った有責配偶者に対して慰謝料を請求できます。弁護士は、被害の深刻さ、期間、頻度などを法的に構成し、相場よりも高額な慰謝料や、確実な養育費の支払いを求めて徹底的に戦います。また、財産分与においても、相手が財産を隠す前に保全処分を行うなど、経済的な不利益を被らないよう対策を講じます。

        4. 離婚成立までの期間短縮

          DV加害者は執着心が強く、離婚を拒否したり、理不尽な条件を突きつけてきたりすることがあります。当事者同士では何年も決着がつかないようなケースでも、弁護士が法的手続き(調停・裁判)を主導することで、無駄なやり取りを省き、最短ルートでの離婚成立を目指すことができます。

          まとめ

          DV(家庭内暴力)は、被害者の尊厳を踏みにじり、人生をコントロールしようとする許されざる行為です。そこから抜け出し、離婚を決意することは、とても勇気のいることだと思います。

          しかし、どうか一人で抱え込まないでください。DV離婚は、相手が感情的になりやすく、安全確保の観点からも専門的な知識と経験が必要な分野です。「DVに強い弁護士」を選ぶことは、あなたと、そして大切なお子様の命と未来を守るための最初の、そして重要なステップです。

          弁護士法人長瀬総合法律事務所は、これまで数多くのDV離婚問題に取り組み、被害者の方の再出発を支援してきました。

          秘密は厳守されます。まずは一度、当事務所にご相談ください。あなたが平穏な日常を取り戻すその日まで、私たちが共に戦います。

          次のステップ

          「今すぐ離婚したいわけではないが、将来のために準備をしておきたい」「今の状況がDVにあたるのか確認したい」といった段階でのご相談も歓迎しております。まずは弁護士法人長瀬総合法律事務所の初回法律相談(オンライン対応可)をご利用いただき、あなたの状況に合わせた具体的なアドバイスをお受けください。

          その他の離婚問題コラムはこちらから


          離婚問題について解説した動画を公開中!
          離婚問題にお悩みの方はこちらの動画もご参照ください。

          リーガルメディアTV|長瀬総合YouTubeチャンネル

          初回無料|お問い合わせはお気軽に

          keyboard_arrow_up

          0298756812 LINEで予約 問い合わせ