【コラム】養育費について14 再婚相手と子どもが養子縁組した場合の元配偶者への養育費の請求の可否

質問

再婚することになったのですが、再婚相手と前夫との子どもとの間で、養子縁組をする予定です。再婚相手の収入がそれほど多くないので、前夫に養育費を支払って欲しいのですが、請求は可能でしょうか。

 

回答

養子縁組をした場合、第一次的な扶養義務を負うのは養親ですが、前夫は子の実親であるため、第二次的な扶養義務を負います。そのため、養親の収入だけでまかないきれない場合は、前夫にも養育費の請求をすることができます。

 

解説

1 養子縁組をした場合

民法第877条第1項により「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。」と定められており、実親は子どもを扶養する義務があります。そのため、親が離婚したとしても、実親である以上、子どもに対する扶養義務はなくなりません。

ただし、再婚相手と子どもとの間で養子縁組をした場合には、第一次的には、養親となった再婚相手が子どもに対して扶養義務を負うことになります。そして、実親は、養親に資力がなく扶養することができない等の理由によって、充分に扶養義務を履行できない場合に限り、実親は扶養義務を負うことになります。

 

2 養子縁組をしない場合

親が再婚しても、養子縁組をしなかった場合、再婚相手に子どもを扶養する義務はありませんので、養育費を負担する必要もありません。したがって、再婚相手に十分な収入があったとしても、実親が養育費の負担をしなければならないことになります。

ただし、実際は再婚相手の収入で子どもを養育できるにも関わらず、実親である離婚相手への養育費請求を目的として、あえて再婚相手と養子縁組をしないなどの事情があると後々トラブルになる可能性があります。

 

3 その他の問題点

その他、再婚と養育費にまつわる問題として、再婚する際に、養育費をもらっていることを再婚相手に伝えるかどうかという問題があります。相手によっては、前夫から養育費を貰っていることをよく思わない場合もあるかもしれませんが、後で事実が発覚して気まずくなるよりは、はじめに伝える方が良いでしょう。

また、前夫との関係では、再婚について知らせるべきかどうかという問題もあります。知らせる義務はありませんが、後々再婚が発覚した場合に快く思わない場合もあると思われます。前夫に再婚を知らせることについては、メリットもデメリットもあり得ますので、前夫の性格、離婚の経緯、子どもの状況等を慎重に検討して行動しましょう。

 

4 まとめ

再婚と養育費について、いかがでしたでしょうか。離婚したとしても、子どもに対する扶養義務がなくなることはありません。適切な養育費の算定については、知識や経験が必要になりますので、お困りのことがあれば弁護士に相談しましょう。

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