【コラム】年金分割等6 清算条項を定めたら

1 清算条項とは               

離婚の際には、夫婦で話し合って決定した財産分与、慰謝料などの離婚に関する条件を整理してまとめ離婚協議書を作成します。後々のトラブルを避けるため、離婚時に協議した内容を証拠として書面に残しておくのです。

離婚協議書では夫婦の権利関係を確定させるために、「清算条項」を記載します。たとえば、「本件離婚に関して、以上をもってすべて解決したものとし、以後、財産分与、慰謝料など名目の如何を問わず互いに何らの財産上の請求をしない。」というものが清算条項になります。

この清算条項により権利関係が確定すると、その後請求し忘れていた金銭を思い出したとしても、相手方に請求をすることはできなくなります。

 

2 清算条項を定めたら

一度清算条項を定めたら、以降は年金分割の請求もすることができなくなるのでしょうか。

結論から言うと、離婚協議書に清算条項が入っているに過ぎない場合は、合意分割も3号分割も請求することができます。なぜなら、年金分割請求権は、権利の性質上、当事者が自由に処分できない公法上の権利(厚生労働大臣への請求権)なので、清算条項が対象としている債権債務には含まれないと考えられるからです。

なお、合意分割とは、夫婦が合意によって行うことが必要になる年金分割であり、3号分割とは、3号被保険者(専業主婦など)に適用される年金分割方法で、相手の了承なしに当然に分割請求できる年金分割です。

ただ、年金分割請求は、離婚をした日の翌日から2年以内にしなければならないので、離婚後に年金分割請求をする場合には期限にも留意する必要があります。

※関連条文

【厚生年金保険法 第78条の2】

第1号改定者(略)又は第2号改定者(略)は、離婚等(略)をした場合であつて、次の各号のいずれかに該当するときは、厚生労働大臣に対し、当該離婚等について対象期間(略)に係る被保険者期間の標準報酬(略)の改定又は決定を請求することができる。

 

3 まとめ

当事務所は水戸市、牛久市、日立市を中心に茨城県全域にお住まいの皆様から相談をお受けしています。

慰謝料、親権、養育費を含めた離婚問題から遺言・相続に関する問題、借金・損害賠償等金銭に関わる問題まで皆様の暮らしにまつわる法律相談に幅広く対応しております。

年金分割についても、知識と経験豊富な弁護士が丁寧にアドバイス致しますので、ぜひ一度当事務所にご連絡ください。

 

keyboard_arrow_up

0298756812 LINEで予約 問い合わせ