以上に述べたように、民事裁判の手続きによって解決することにもメリットがありますが、デメリットもあります。
1 時間的・経済的・精神的な負担
2 解決内容が硬直的な面があること
1 時間的・経済的・精神的負担
(1)時間的な負担
裁判の手続は慎重さが要求されるため、それに伴い、解決するまでに時間がかかることは否定できません。
裁判が行なわれるペースは基本的に月に1回程度であり、しかも通常は3回、4回と期日が続行されます。そのため、訴えられてから裁判が解決するまでに半年から1年以上を要することも珍しくありません。
さらに、毎回の期日ごとに、提出する準備書面の内容について弁護士との打合せが必要となるため、その時間的負担も生じます。
また、証人尋問・本人尋問が行われるときには、たとえ弁護士に依頼していた場合であっても、ご本人も直接、裁判所に出頭する必要があります。裁判は平日の日中に行なわれるため、多くの方はその日は仕事を休む等の対応が必要となります。
(2)経済的な負担
裁判官が判決を書く場合、きちんとした証拠に基づいて判断することが必要です。そのため、裁判の手続では、裁判官を説得できるだけの証拠を提出することが必要となってきます。
場合によっては追加調査等が必要となり、証拠を用意するために相当の費用がかかる場合があるといえます。
(3)精神的な負担
裁判を提起されると、被告という立場に置かれることになります。
「被告」というのは、単に裁判を提起された人という意味に過ぎないのですが、刑事事件の「被告人」と言葉が似ていることから、裁判を起こされて自分が被告となっている、というだけで、なんだか気が重くなってしまうという方も少なくありません。
2 解決内容が硬直的な面があること
民事裁判において、判決によって慰謝料の支払いを命じられる場合には、全額の一括での支払いを命じられることになり、分割払い等は認められません。
また、判決で判断されることは、あくまでも慰謝料の有無およびその金額であり、それ以外の事項について判断されることはありません。
このように、判決による解決には、硬直的な面があることは否定できないといえます。
3 まとめ
以上のように、示談交渉にせよ、民事裁判にせよ、解決の方法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
そして、ご自身で問題となっているケースにおいて、どちらの方法による解決がベストなのかを判断することは容易ではありません。
この判断のためには、豊富な経験を持つ弁護士に相談することが一番の近道といえます。
スピーディーな解決を図るために、ぜひ、すみやかに弁護士に相談することをおすすめいたします。
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