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【コラム】離婚原因とうつ病3 障害年金の受給要件
1 障害年金の審査
障害年金は書面審査です。そのため、提出した書類の内容ですべてが決まってしまいます。面接官とは一度も会わずに審査されるため、どんなに症状が重くても、提出した書類でそれが伝わらなければ不支給になってしまうこともありえます。
2 申請に必要な書面
ここでは申請に必要な2つの書面についてご説明いたします。
(1)診断書
障害年金では、傷病によって、障害の程度に応じた等級を認定するための基準が定められており、等級判定ガイドラインでは診断書の記載事項を元に等級の目安が定められています。
そのため、診断書にどれだけ詳細に病状、日常生活の状況や就労の状況等を書いてもらえるかが重要になってきます。
① 診断書作成を依頼するにあたってのポイント
1 受診前に日常生活状況についてまとめておく
うつ病の等級判定においては日常生活能力の程度が重視されています。
そのため、実際に診断書を作成する医師に対して、自分の日常生活の状況や仕事の状況、何に困っているのか等を十分に伝える必要があります。
受診の際に、正確に伝えられるよう、事前に内容をまとめておくと良いでしょう。
2 病歴・就労状況等申立書
病歴・就労状況等申立書は、日常生活や就労の状況について、障害年金の請求者が自分で作成する書類になります。
こちらも簡単に済ませるのではなく、日常生活の状況、就労状況、困っていること等について、自分の言葉で詳細に書くようにしましょう。
具体的には、(ア)初診日から現在までの状況を3~5年に分けて記載する(イ)具体的に記載する、ということが必要になります。
(ア)初診日から現在までの状況を3~5年に分けて記載する。
病気のために初めて病院を受診した日から現在までの日常生活や就労の状況について、3~5年にわけて記載する必要があります。
(イ)具体的に記載する。
例えば、周囲の人との人間関係でトラブルになったこと、症状の頻度、日常生活で困っていること、自殺未遂や自傷行為の有無、家庭や職場での援助の内容、どのような支障が出ているか、入院歴やその際の様子を記載します。
3 受給のための要件
障害年金受給のための要件は、以下のとおりです。
(1)初診日を特定する
障害年金の受給にあたっては、初診日を特定することが重要です。初診日を特定しなければ保険料納付要件の確認ができません。
また、初診日に加入していた年金によって、年金の内容も異なります。さらには、障害の程度を判断する日である「障害認定日」(初診日から1年6か月後)も決まりません。
ここでいう初診日とは、今回請求しようとしている障害の原因となった傷病について、初めて医師の診療を受けた日をいいます。
うつ病の場合は、まずは体の不調と捉えて内科等を受診する場合もあります。その場合は、内科受診日が初診日となります。
(2)年金保険料を一定程度以上、納付していること。
① 年金に加入している
あくまでも年金制度の一つなので、年金に加入していないと受け取ることができません。
具体的には、今回請求しようとしている障害の原因となった傷病について、初めて医師の診療を受けた日(初診日)に国民年金、厚生年金、共済年金に加入していることが必要です。
② 年金保険料をしっかり支払っていること
障害年金を受給するには、初診日月の前々月までの被保険者期間のうち3分の1を超える保険料の未納がないことが要件となります。
※学生など年金保険料の支払いを免除されている場合の「保険料免除期間」については未納扱いにはなりません。
(3)等級の認定基準を満たすこと。
「障害認定日」(初診日から1年6か月後)の時点で、障害の程度に応じて1~3級に認定されると障害年金が支給されます。なお、うつ病の場合の認定要領は以下のとおりです。
【1級】
気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の介護が必要なもの
【2級】
気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの。
【3級】
気分(感情)障害よるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障 害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの。
4 まとめ
離婚問題からのうつ病という辛い状況から日常生活を立て直すためにも、金銭的な不安をなくして十分な休養に専念することは非常に大切なことです。
受給には要件もあり、一定の手続きも必要になりますので、申請等でわからないことがれば専門家に相談するようにしましょう。
茨城県という地域に根差した弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご連絡ください。経験豊富な弁護士が、離婚やその後に続く問題についても親身になってサポート致します。
【コラム】離婚問題とうつ病2 障害年金の内容等
1 障害年金について
障害年金とは公的年金の一つです。障害年金は、障害によって生活に支障が出てしまった場合に支払われる年金のことです。
障害年金は、障害の程度によって、1級(重度)から3級(軽度)の認定があり、 障害の状態が重いほど受給できる年金額も多くなります。
2 障害年金の受給資格
病気等で生活や仕事などが制限され、以下の条件を満たしている場合には受給対象になります。
(1)初診日に国民年金、厚生年金、共済年金に加入している。
初診時の年齢、加入している公的年金によってもらう障害年金の種類や金額が変わります。
(2)初診日までに一定以上保険料を払っている。
病気やけがになった前日の時点で3分の2以上の期間、公的年金を納めている必要があります。
(3)障害の程度が条件を満たしている。
病気やケガによって、国が定めた基準以上の重い障害が残ってしまった場合に障害年金の対象となります。
(4)20歳以上65歳未満である(初診日当時)
(5)20歳未満でも先天性の障害と20歳前に障害を発症した方
3 障害等級について
障害年金の対象となる病気は幅広いため、障害ごとに基準が設けられています。うつ病や総合失調症の精神的な病気ついての基準は以下のようになっています。
(1)障害等級 1級
精神疾患が原因で、常に他人の援助がなければ自分の身の回りのことがほとんどできない状態の方が該当する等級。
(2)障害等級 2級
精神疾患が原因で、自分の身の回りの多くのことが、他人の援助が必要な状態の方や家庭内での簡単なことはできるが、時々援助が必要な方も症状により該当する等級。
(3)障害等級 3級
精神疾患が原因で、日常生活では時に援助が必要な程度であり、短時間就労可能な状態でも認定される可能性はありますが、フルタイム就労可能な状態での認定は困難な等級。
4 年金の種類
障害年金には、障害基礎年金(受給対象者すべて)、障害厚生年金(会社員の場合は障害基礎年金に上乗せされる)、障害共済年金(公務員の場合は障害基礎年金に上乗せされる)という3つの種類があります。
どの障害年金を受け取れるかについては、障害状態になった人の職業によって異なり、等級によっても受け取れる金額が異なります。
(1)障害基礎年金
自営業者や専業主婦、学生などが加入する国民年金の期間中に初診日がある病気やケガによって障害の状態になった場合に受給できる年金です。
年金額は、平成30年4月分から、
【1級】 779,300円×1.25+子の加算
【2級】 779,300円+子の加算
子の加算とは、第1子・第2子は各224,300円、第3子以降は各74,800円となります。
(2)障害厚生年金、障害共済年金
一般の会社員などが加入する厚生年金の期間中に初診日がある病気やケガによって障害の状態になった場合に受給できる年金です。
3級に該当する場合でも対象となります。障害厚生年金、障害共済年金の場合、加入歴やもらっていた給与額などによって変化します。
また、1級または2級に該当する場合は、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金、障害共済年金が支給されます。
年金額は、平成30年4月から、
【1級】
(報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕※
【2級】
(報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕※
【3級】
(報酬比例の年金額) 最低保障額 584,500円
※その方に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算されます。
5 まとめ
離婚による精神的なダメージにより日常生活もままならなくなった場合、この過酷な状況から抜けだすためには、金銭的な不安を解消していくこともとても重要になります。
受給には要件もありますし、専門的な知識も必要になりますので、一人で手続きをするには不安がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その場合でもご安心ください。茨城県全域に対応しておりますので、身近な場所でご依頼いただいた方に寄り添ったサポートをすることが可能です。不安なことがあれば、ぜひ一度ご連絡ください。
【コラム】離婚問題とうつ病1 離婚によるうつ病と障害年金
1 離婚問題とうつ病
離婚問題に直面すると、配偶者の不貞、DVやモラハラ、子どもの奪い合いなど、精神的に大きなストレスがかかり、うつ病になってしますことがあります。
うつ病になると、仕事もできずに自宅療養となり、収入も途絶え、日常生活もままならなくなってしまいます。そのような場合には、一定の要件を満たすと障害年金を受給できることがあります。
2 うつ病とは
うつ病とは、心や身体のストレスが重なるといった複数の原因から、脳に機能障害が起きることで生じる状態のことです。うつ病になると、自己を肯定することが難しくなり、ものの見方もネガティブになるため、ちょっとしたことでも落ち込んで、さらに状態を悪化させるというサイクルに陥ります。
そうなると、眠れなくなったり、食欲がなくなったり、何をしても楽しいと思えなくなったり、更に症状が進むと生きていることすら辛くなったりします。
3 うつ病になる原因
強いストレスを感じるとうつ病になることがありますが、他の要因としてうつ病になる原因は以下のようなものがあります。
① 脳の機能障害
脳の中では神経細胞から神経細胞へさまざまな情報が伝達されます。その伝達を担うのが「神経伝達物質」というものです。
なかでも「セロトニン」や「ノルアドレナリン」といわれるものは、人の感情に関する情報を伝達する物質ですが、うつ病になるとこれらの「セロトニン」や「ノルアドレナリン」が減少するといわれています。
② うつ病を発症しやすい性質(個人の性格)
うつ病になるかどうかは個人の性格的な面も影響します。
- 相手の気持ちを敏感に察する
- 周囲への気づかいや配慮をする
- きまじめ・几帳面
- 仕事熱心
- 責任感が強い
4 うつ病の症状
以下のような症状が2週間以上続くとうつ病の可能性が高いといえます。
① 精神的な症状
- 気分の落ち込み
- 興味や意欲の低下、喜びを感じなくなる
- 集中力、思考力の低下
- 口数が減る
- 自分を否定的に考えるようになる
- 死んだ方がよいと考えるようになる
② 身体的な症状
- 倦怠感や疲労感
- 眠れなくなる
- 食べれなくなる、食べ過ぎる
- 頭や体の痛み
- 生理的機能の低下
5 うつ病の治療
うつ病の治療には、大きくわけて「休養」、「薬物療法」、「精神療法・カウンセリング゙」という方法があります。
(1)休養
うつ病は脳のエネルギー欠乏によるものですので、脳をしっかり休ませるということが治療の基本になります。
今までフル回転させていた脳を休ませ、新たに自分のペースを作っていくための時間を十分にとることが大切になります。
自宅でゆっくりできればよいのですが、それでも仕事や家事に追われるということであれば、一時的に入院をすることを考えた方がよい場合もあります。
(2)薬物療法
うつの状態によって、以下のような薬物を使って治療をすることがあります。効果も期待できますが、副作用があることもあります。
① 抗うつ薬
薬物療法の中心となるものです。脳の中のセロトニンやノルアドレナリンという物質の働きを高める作用があります。
② 抗不安薬
不安を静める働きがあります。症状の中で、不安や焦燥が強い場合に抗うつ薬と一緒に飲むことがあります。
③ 睡眠薬
睡眠障害の症状がある時に処方されます。
(3)精神療法・カウンセリング
医師との対話を通じて、客観的にうつ病になった原因を探り、今後はより柔軟な考え方や対応ができるようにしていく治療方法になります。
6 まとめ
前述のように、一旦うつ病になってしまうと、症状にもよりますが、回復するまでには長い時間がかかることが多く、収入が途絶えてしまうこともあります。
そのような場合に、一定の要件を満たすと障害年金を受給できる可能性があります。離婚という精神的なダメージから、自分自身の生活自体が立ち行かなくなってしまうのはとてもつらいことです。
話をするだけでも心が軽くなることもありますし、不安があれば早めに専門家に相談してみましょう。
茨城県全域に渡って幅広く対応している当事務所では、経験豊富な弁護士も所属しておりますし、その他の分野の専門家とも深いつながりがあります。不安を一人で抱えこまず、一度ご相談ください。
【コラム】離婚の動機・事由2 不貞行為の定義と種類
1 不貞行為とは
不貞行為とは、配偶者のある者が自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を持つことをいいます。一般的には、「浮気」や「不倫」と呼ばれる行為のことです。
不貞行為と「浮気」「不倫」の違いは、不貞行為が民法770条第1項第1号に定められている法律用語であるのに対して、不倫・浮気はそうではないといった点です。
また、その他の点での違いは、例えば、異性と食事をした程度でも「浮気」「不倫」と捉えられることもありますが、不貞行為は性的関係を持っていることが前提になります。
従って、配偶者が自分以外の異性と手をつないだ、ハグをしたというだけでは不貞行為にはあたらないことになります。
2 種類
不貞行為にはどんな種類があるのでしょうか。以下、具体的にご説明いたします。
(1)酔った勢いでの性的関係
酔った勢いで一度だけ配偶者以外の異性と肉体関係を持っただけでも、不貞行為となります。恋愛感情を持つことなく、お酒の勢いで行為に及んだとしても、貞操義務に反した行為をしていることには違いがないからです。
ただし、裁判で不貞行為を離婚理由として認めてもらうには、ある程度継続的に不貞行為を行っている事実がなければ難しく、1回のみの不貞行為を理由に、離婚が認められたケースはほとんどありません。
(2)風俗店での性的関係
風俗店での性的関係も不貞行為にあたりますが、酔った勢いでの性的関係と同様に1回のみで、離婚が認められることはほとんどありません。
ただし、何度話し合っても風俗通いをやめてもらえない場合などには「婚姻を継続し難い事由」になり離婚請求ができる可能性があります。
(3)肉体的な関係を伴わない異性との関係
配偶者が自分以外の異性と肉体関係を伴わずに精神的な結びつきを築いているような場合は不貞行為にはあたりません。
このような関係の方が、受けるダメージは大きいかもしれませんが、肉体関係を伴わない異性との関係は、不貞行為が対象としている範囲には含まれないので、不貞行為を理由とした救済はされないということになります。
しかし、「悪意の遺棄」や「婚姻を継続しがたい事由」として、救済の可能性があります。
(4)同性愛の場合
同性愛の場合は、不貞行為にはあたりません。不貞行為はあくまで異性間での性的行為が対象になっており、「性交」を行うことができない同性間での性的行為は不貞行為に該当しないということになります。
ただし、この場合も他の理由で救済を受けられる可能性があります。
(5)強姦の場合
強姦された場合については不貞行為とはなりませんが、強姦した場合は、不貞行為になります。
なお、強姦ではありませんが、強引に誘われて断りきれずに性的関係を持ってしまったような場合は、強要されたとは言えず不貞行為にあたる可能性があります。
(6)同棲中に浮気した場合
原則として不貞行為にはあたりません。不貞行為は、婚姻関係にある男女の貞操義務に違反する行為を指しますので、単に交際中の男女の場合には、不貞行為は発生しないことになります。
ただし、その男女関係が、婚姻届を提出していないだけで、実質的に婚姻関係と同様の関係(内縁関係)となっていた場合は別です。
このような内縁関係が成立している場合は、法律上、婚姻同様の権利・義務が課されますので、貞操義務も課され、不貞行為となります。
(7)別居後の性的関係
別居後の性的関係は、不貞行為になる場合とならない場合があります。
夫婦関係が完全に破綻して別居に至っている場合は、別居後に不貞行為をしたとしても離婚原因となることはありません。
しかし、夫婦関係が完全に破綻しているとは言えない場合、例えば相手がまだやり直せると考えて夫婦関係を修復しようとしていた場合などは、不貞行為だと判断されることになります。
尚、関連条文は以下のとおりです。
|
民法第770条(裁判上の離婚) ①夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
②裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。 |
3 まとめ
実際に不貞行為に該当するかどうかの判断が自分だけはできない場合もありますし、不貞行為該当するとなった場合、次にどうのようなアクションを起こせばいいのかわからないこともあると思います。
また、裁判になった場合に、不貞行為を証明するためには「性行為の存在を確認ないし推認出来る証拠」を確保する必要がありますが、何をどのように収集したらかわからないこともあるでしょう。
そのような場合、一人で悩まずにまずは弁護士にご相談ください。
当事務所では茨城県全域に渡り対応しております。安心して地域の弁護士にお任せください。
【コラム】離婚の動機・事由1 典型的な離婚理由
1 離婚になる理由
仲の良かった夫婦が離婚を決意するには、何らかの理由があります。統計によっては多少の男女差はあるものの大体が以下のような理由になります。
(1)性格の不一致
一番多いのは、性格の不一致になります。
相手が何か悪いことをしたわけではないけれど、どこか許せない、趣味も合わず会話も面白くなく、一緒にいることが苦痛である等、性格が合わないと感じる要因は様々です。
恋人同士でいる間は楽しかったけれど、いざ家庭を作り一緒に暮らしてみたら、金銭感覚、教育方針、親族づきあい等の感覚や意見が合わないことがわかったということもあります。
こういった感覚や意見のずれがあると喧嘩が多くなり、夫婦間の溝がどんどん深くなる恐れがあります。
(2)配偶者からの暴力(肉体的な暴力、精神的な暴力)
日常的に繰り返される暴力はもちろん、たった一度であっても離婚の理由になることがあります。
裁判になった場合には、暴力の程度や動機、その他の言動など様々な要素を考慮して判断していきます。
なお、暴力とは、殴る蹴る等の肉体的な暴力だけはありません。相手の心に深い傷を負わせるような言葉の暴力(モラルハラスメント)や、その他の手段で相手に対して精神的なダメージを与える場合も含まれます。
(3)配偶者以外の異性との関係
浮気や不倫など、配偶者以外の異性との関係も離婚の理由として挙げられます。
配偶者が自分以外の異性と性的な関係を結んでいたような場合は、相手のことが信じられなくなりますし、どうしても許せないとなると婚姻を継続していくことが難しくなってしまいます。
そのため、浮気や不倫が夫婦の一方にあったことが発覚すると、その夫婦関係を破綻させかねない重大な問題になります。
(4)お金の問題(生活費を入れてくれない、配偶者の借金問題、浪費癖等)
夫婦の場合、財布が一つになっている場合もありますし、妻側が専業主婦である場合などは夫が生活費を入れてくれないということは死活問題になってしまいます。
また、配偶者が度重なる借金をしているような場合、払いきれずに取り立て屋に追い回されたりして自分自身の生活も脅かされることがあります。
配偶者の責任で最低限の生活すらできないとなると、夫婦関係も悪化し、婚姻生活の継続も困難になります。
(5)親族関係
嫁姑関係など、配偶者の親族との折り合いが悪いということも、よく聞く問題です。
はじめは配偶者の親族とだけうまくいかなくても、配偶者がこの問題に無関心であったり、自分の親族の話だけを聞くような姿勢だったりすると、円満な夫婦関係を継続することができず、離婚の理由になったりします。
2 裁判で認められる離婚原因
お互いに話し合って円満に夫婦関係を解消する協議離婚の場合は、当事者同士の合意によるものになりますので、理由が何であれ離婚をすることができます。
相手が離婚を受け入れてくれない場合には、家庭裁判所での調停を経たうえで裁判により解決していくことになります。
では、裁判になった場合に認められる離婚原因としては、どのようなものがあるのでしょうか。
(1)法定離婚事由
民法第770条第1項によると、裁判所で離婚が認められるためには、下記の事由(法定離婚原因)が必要とされています。
- 配偶者に不貞行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
(2)各事由について
1 不貞行為
不貞行為とは、配偶者のある者が自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶことを言います。
不貞行為は、配偶者に秘密に行われることが多いので、立証は容易ではありません。証拠収集作業としては、写真、録音、メール、電話の履歴の収集がありますが、方法によってはプライバシーの侵害にあたったり、違法な証拠収集となったりしますので、注意が必要になります。
2 悪意の遺棄
悪意の遺棄とは、正当な理由なく、同居・協力・扶助義務を履行しないことをいいます。
正当な理由は、別居した目的、相手方の生活状況、送金状況、別居の期間等を総合的に考慮して判断されることになります。
3 3年以上の生死不明
3年以上の生死不明とは、3年以上ずっと生きているか死んでいるのかわからない状態が続いていることをいいます。
4 強度の精神病
強度の精神病とは、その精神障害の程度が夫婦の相互協力義務を果たせないのほどに達している場合をいいます。
5 その他の重大事由
婚姻関係が破綻して、夫婦としての共同生活の回復の見込みがないことを意味しますが、具体的には以下のような場合が挙げられます。
- 暴行・虐待等
- 重大な病気・障害
- 宗教活動
- 勤労意欲の欠如・借金等
- 犯罪行為等
- 性交不能等
- 親族との不和
- 性格の不一致等
いずれの場合であっても、状況や程度、回復の見込みの有無等、様々な要素を総合的に考慮して判断されることになります。
3 まとめ
「まだ、離婚するかどうかはわからない」「自分たちで円満に解決したい」とお考えであっても、不安なことがあれば一度ご相談ください。早めに弁護士に相談することで、正しい知識と安心を手に入れることができます。離婚手続だけはなく、話し合いや証拠収集についてもアドバイスすることが可能です。
離婚は人生の中でも大きな問題になりますので、安易な解決をして後々後悔しないよう、落ち着いて適切な方策をとっていくことが重要です。
また、些細なことでも相談できるよう身近な法律事務所を選択することをお勧めします。茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご連絡ください。
弁護士と他士業の違い
「離婚問題の相談について、弁護士、司法書士、行政書士、どれに相談すれば良いのかよく分からない」
「同じ『士業』だし、広告を見てもどれも同じように見えるし、違いがよく分からなくて……」
という方が大勢いらっしゃいます。そのような方に向けて、今回は、離婚問題の相談は誰にしたらよいの?という点についてお答えいたします。
3つの士業の違い
まず、弁護士、司法書士、行政書士の3者についての違いを簡単にご説明します。
- 弁護士:紛争が起きた場合に、裁判の対応をします
- 司法書士:不動産等の登記を行うことができます
- 行政書士:書類作成の代行を行うことができます
それでは、離婚でお悩みの方は、このうち誰に相談すべきでしょうか。
「弁護士は、紛争が起きた場合に裁判の対応をするということなら、紛争になっている場合には弁護士に相談することにして、まだ紛争になっていない場合には、弁護士以外の司法書士や行政書士に相談すれば良いんじゃないの?」と思った方がいらっしゃるかも知れません。
しかし、結論から言えば、紛争になっているか否かを問わず、まず弁護士に相談してみることをおすすめします。
離婚問題を弁護士に相談する理由
行政書士や司法書士の場合、書類を本人に代わって行うことや、登記の手続きを行うことは可能ですが、本人の代理人として交渉等を行うことは法律で禁止されています。
そのため、離婚でお悩みの方が行政書士に相談をした場合、相手方と離婚の条件面で話し合いになったときに、自分の代理人として相手方と交渉してもらうことができません。
そのほかにも、養育費の支払い、お子様の親権など、離婚の過程で生じる問題は、交渉が必要な場面がほとんどです。現時点では紛争にはなっていないように見えても、後になって「そこはしっかりと主張しておかなくてはいけなかった」ということが数多く見られます。
弁護士は交渉のプロフェッショナルです
弁護士は、本人の代理人として、相手方との交渉を行うことができます。
顔を合わせたくない相手や、見るだけでストレスのかかる出来事、考えることも話し合うことも大変な今後の生活や子供のことなど、人生に関わる大きな転換点である離婚問題の交渉は、多くのストレスがかかることかと思われます。そのような交渉を、交渉のプロである弁護士が行うメリットは非常に大きいといえます。
また、弁護士は、これまでの経験から、離婚に伴う様々な問題について、落とし所・ツボを押さえたアドバイス行うことが可能です。
弁護士に相談すると「大ごと」になりそうで抵抗がある
弁護士に依頼して交渉をすると「大ごと」になりそうで抵抗があるという方もいらっしゃいます。しかし、そのようなことはありません。
むしろ、弁護士に相談することによって、スムースかつ早期の解決が可能となるケースが圧倒的に多いといえます。また、DV被害でお悩みの方の場合も、個人情報の管理を徹底し、相談者様の安全を守ります。
費用について
当事務所は、初回相談無料です。離婚問題でお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
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