【コラム】親権について11 子の引き渡しを拒否した場合の3つの留意点

質問

裁判所から子どもの引き渡しを命ずる審判決定が出たのですが、相手がそれに従わない場合、どう対処すれば良いのでしょうか?

 

回答

強制執行手続き(間接強制・直接強制)といった手続きをとることが可能です。

 

解説

1 強制執行手続きとは

強制執行手続きとは、判決で勝訴したり裁判上の和解が成立したりしているにもかかわらず、相手方がするべきことをしてくれない場合に、申立てに基づいて裁判所が強制的に実現する手続きです。

相手方が子の引き渡しを拒否した場合の強制執行における留意点をご説明致します。

 

2 留意点1:子の引き渡しにおける間接強制

間接強制は、一種の罰金のようなイメージで、引き渡しをしない親に対して、間接強制金の支払いを命じるという強制執行です。間接強制金を支払わない場合は、財産の差押えをすることができます。

ただ、間接強制をしなければならないような相手の場合、ここでも引き渡しを拒むことがあり、子の引き渡しが実現しないこともあります。

 

3 留意点2:子の引き渡しにおける直接強制

直接強制とは、裁判所の執行官が、現に子どもと共にいる親のところに出向き、子どもを実際に引き渡してもらう手続きです。子の引渡しの直接強制には、条文がなく、「動産」の引渡しの条文(民事執行法第169条第1項)を類推適用して、子の引渡しを行います。

直接強制には、「子どもにも人格があるので、強引な引き渡しは子どもの福祉に反する。」「子どもを物と同様に扱うことになり、福祉に反する。」のような意見もあり、従来はほとんどが間接強制でしたが、少子化が進み子どもの親権争いが激化していることや直接強制を認めないと強引に子どもを連れ去る等の自力救済を助長することになりかねないため、最近では直接強制がなされることも増えてきました。

 

4 留意点3:その他の方法について

1.2.の方法でも子の引き渡しの実現が難しい場合は、最終手段として地方裁判所での手続きになる「人身保護請求の裁判」を利用するという方法もあります。ただし、人身保護請求の判断基準が非常に厳しく、必ず弁護士を代理人として請求をしなければならないということもあり、この手段を使うのは簡単ではないといえます。

 

5 まとめ

子の引き渡しについてお困りのことがあれば、早めに弁護士に相談するようにしましょう。裁判所での手続きは専門知識が必要なものも多く自分一人で行うのは大変です。離婚問題にまつわる問題に詳しい弁護士に依頼をすると安心して手続きをすることができます。

茨城県で弁護士をお探しであればぜひ当事務所にご連絡ください。

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