質問
親権者の決定にあたり、子どものうち、兄を父親、妹を母親にしたいと考えていますが可能でしょうか。
回答
兄弟姉妹を分離するのは望ましくないとも言われますが、親権を分けることは可能です。
解説
1 兄弟姉妹不分離の原則
離婚する際に、未成年の子どもがいる場合は、必ず親権者を決めなくてはなりません。協議により合意できれば問題はないのですが、親権をめぐって調停・裁判になった場合には、裁判所の基準により親権が決まります。
その基準により、兄弟姉妹がある場合には、基本的に「兄弟姉妹不分離の原則」が適用されます。これは子どもの福祉と利益の観点から、兄弟姉妹はなるべく一緒に育てるのが望ましいと考えられているからです。
特に、子どもの年齢が低い時期ほど、この原則は重視されます。
判例では、京都地裁昭和30年9月12日等で兄弟姉妹不分離の原則に基づいて親権が決定されたケースがあります。また、特に幼児である点を考慮してこの原則が適用された判例として、仙台家裁昭和45年12月25日があります。
2 兄弟姉妹の親権を夫婦それぞれで持ちたい場合
1.のような原則もありますが、どうしても夫婦でそれぞれ子どもたちの親権を持ちたいという場合、分けることも可能です。
たとえば協議離婚の場合、夫婦間で合意できれば、父親が兄を、母親が妹を引き取り親権者になることが可能です。また、調停や裁判の場合でも、離婚前の長期別居等により、兄弟姉妹がそれぞれ父親と母親に別れて生活していたような場合は、別々の親権が認められる場合もあります。
また、子どもが15歳以上の場合、子どもの意思も重視されますし、10歳以上であればその意思は尊重されます。実際に、判例でも、子どもが15歳と12歳で、子どもの意思が考慮され、親権が分けられたケースがあります(東京高裁昭和63年4月25日)。
以上のように、兄弟姉妹の親権を分けることは可能ですが、一番大切な子どもの福祉と利益を尊重して慎重に検討する必要があります。
3 まとめ
親権の決定において、子どもの福祉が大切であることは間違いありませんが、親の方も様々な事情を抱えている場合があります。一人で悩まずに、早めに弁護士に相談するようにしましょう。弁護士であれば、相手方と交渉してもらうこともできますし、調停や裁判になった場合に代理人になってもらうこともできます。
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