1 年金分割制度とは
夫婦が離婚する場合、離婚時年金分割を請求することができます。
離婚時年金分割とは、夫婦が離婚する際に、婚姻期間中に支払った年金保険料に対応して、厚生年金や共済年金の婚姻期間に比例する部分を按分する制度です。
婚姻中はお互いが協力し合って財産を形成するものであるため、年金についても公平に分割すべきという考え方に基づき、2007年4月から導入された制度になります。
年金分割の対象になるのは、厚生年金と共済年金のみであり、国民年金や国民年金基金、厚生年金基金、確定給付企業年金や確定拠出年金は、年金分割の対象にならないため注意が必要です。
また、年金分割とは言っても、婚姻期間中の年金保険料積立分に対応する部分しか対象にならないので、婚姻前の支払分については分割できません。
さらに、夫婦の双方が会社員でそれぞれ厚生年金に加入している場合には、夫婦それぞれの年金保険料の支払いを計算して、それを按分することになります。
2 被保険者の種類
年金分割にあたっては、被保険者の種類も関係しますので、ここで種類を確認しておきます。
(1)第1号被保険者
20歳以上60歳未満の人であって、厚生年金又は共済年金に加入しておらず、且つ厚生年金または共済年金の加入者に扶養されていない人。
(2)第2号被保険者
厚生年金保険の被保険者、国家公務員共済組合・地方公務員共済組合の組合員、および日本私立学校振興・共済事業団年金の加入者。
(3)第3号被保険者
第2号被保険者の被扶養配偶者であって、20歳以上60歳未満の人。
2 年金分割の種類
(1)合意分割
2007年4月1日以後に離婚等をし、以下の条件に該当したときに,婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる制度です。
① 婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること。
② 当事者双方の合意又は裁判手続により按分割合を定めたこと。
当事者間の話し合いによって合意分割を行うためには、当事者間で決定した按分割合を定めた書面を作成します。当事者同士では合意できない場合は、一方の当事者が家庭裁判所に申立をして、その割合を定めることができます。
(2)3号分割
夫婦が2008年5月1日以降に離婚をした場合で、2008年4月1日以降に、国民年金の第3号被保険者期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)がある場合に、2008年4月1日以降の第3号被保険者期間における年金(正確には「年金記録」)を分割するという制度です。3号分割の場合、年金の按分割合は、当然に2分の1となり、当事者の同意は不要です。
3 合意分割と3号分割の関係
2008年4月1日以降に関しては、合意分割と3号分割が併存することになります。3号分割の請求のみがなされた場合には、対象となる2008年4月1日以降の期間についてのみ年金分割が行われることになります。
他方、2008年3月31日以前の対象期間を含めて合意分割の請求を行った場合には、合意分割の請求と同時に3号分割の請求もあったものとされます。
4 まとめ
年金分割のことでわからないことあれば、すぐに弁護士に相談してみましょう。
弁護士であれば、どのような場合にどのような分割請求の手続きが必要になるのかアドバイスすることが可能ですし、年金分割の調停や審判での代理人を依頼することも可能です。何かと不安なことの多い離婚関連の手続きも安心して行うことができます。
茨城県全域にわたり、地域に密着したサポートを行っている当事務所にぜひ一度ご連絡ください。