Archive for the ‘コラム’ Category
配偶者と別居中に支払ってもらうことができる生活費の金額はいくら?
相談
離婚を前提に、夫と別居することを考えています。私は専業主婦なのですが、生活費はどれくらい払ってもらえるのでしょうか。
回答
実務上は、婚姻費用算定表を使用して金額を決めることになります。
解説
婚姻費用とは
夫婦が共同生活を営む上で、必要になる生活費のことを婚姻費用といいます。
民法第760条にも「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と、定められており、通常は、収入の多い方が収入の少ない方に生活費の支払いをします。
たとえ夫婦が別居しても、法律上の婚姻が続く限り、原則は夫婦間において生活費を分担する義務は消滅せず、収入が少ない方は収入が多い方に生活費を請求することが可能です。
婚姻費用の決め方
夫婦の合意によって別居するときは、別居を始める前までに、別居中の生活費の分担について夫婦間で協議をします。協議により決定する場合は、別居前の生活水準を踏まえて生活費の支払い額を決めるのが通常です。
夫婦の協議で婚姻費用を決まることができない場合は、家庭裁判所に調停・審判を申し立てて生活費の金額を決めることになります。家庭裁判所では夫婦間における生活費の負担を決めるときに「婚姻費用算定表」が利用されています。
婚姻費用算定表の見方
婚姻費用算定表を見る
家庭裁判所のホームページ等から算定表を確認することができます。表は、養育費と婚姻費用に分かれていますので、該当の表を参照します。
子どもの人数に合わせて表を参照する
婚姻費用の算定表は、未成年の子どもの人数及び年齢ごとに複数用意されています。算定表は、縦軸に「義務者」(婚姻費用を支払う人)の年収、横軸に「権利者」(婚姻費用を受け取る人)の年収が割り振られています。
未成年の子どもがいない場合は、収入が多い人が「義務者」、収入が少ない人が「権利者」となります。
年収を当てはめて金額を割り出す
自分と配偶者の年収を確認し、縦軸と横軸の金額を見て、婚姻費用の算定を行います。
まとめ
専業主婦やパートでほとんど収入がない場合や子どもを抱えて別居するような場合には、別居中の生活費の請求をすることをおすすめいたします。
夫婦で協議して払ってもらえるようであれば問題ありませんが、協議ができない場合や協議しても合意できない場合には、早めに弁護士に相談するようにしましょう。
弁護士であれば、代理人として相手方と交渉することも可能ですし、裁判所での手続きスムーズに行うこともできます。茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。
離婚や婚姻費用請求に精通した弁護士が多数在籍しています。安心してお任せください。
夫が生活費を支払ってくれない場合、生活費を支払わせることはできる?
相談
夫との関係が悪くなり、最近生活費を支払ってくれなくなりました。どうやったら支払ってくれるのでしょうか。
回答
夫婦には婚姻費用を分担する義務があります。以下のような手順で請求するようにしましょう。
解説
婚姻費用の分担
民法第760条によると、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と定められており、夫婦が一緒に生活をする上で必要な費用は、お互いに負担しなくてはなりません。
通常は、収入の多い方が、収入の少ない方に婚姻費用を支払います。
支払ってもらうための方法
協議(話し合い)
夫婦間で話し合って解決できるのが一番なので、まずは話し合いをしてみましょう。二人だけで協議するのが難しければ、親戚や友人等の第三者を入れて話し合ってみるのも良いでしょう。
内容証明郵便の送付
内容証明郵便とは、郵便局が、いつ、誰が、誰宛に、どの様内容の手紙を出したのかを公的に証明してくれる郵便です。通常は、離婚や別居をしている相手に送りますが、同居している場合でも、請求の証拠として残すために送付することが可能です。
婚姻費用分担請求
夫婦で協議しても合意できない場合やそもそも協議に応じてくれない場合には、家庭裁判所に対して婚姻費用分担請求の調停を申し立てましょう。調停でも合意することができず不調に終わった場合は審判に移行することになります。
履行勧告・履行命令
調停・審判を経ても、生活費を支払ってくれないような場合は、調停・審判で決定した内容に従い支払ってもらえるよう、履行勧告・履行命令の手続きを進めることができます。
強制執行
調停・審判で下された婚姻費用の支払い命令にも従わない場合、強制執行で財産を差し押さえることができます。すぐに差し押さえられる財産がなければ、給料の差し押さえをすることも可能です。
ただし、給与の場合は、全額差し押さえられるわけではなく、上限50%までとなっていることに注意が必要です。
「悪意の遺棄」による離婚
生活費を渡さないことは、離婚原因となる「悪意の遺棄」にあたる可能性があります。
悪意の遺棄は、法定離婚事由の1つとなりますので、悪意の遺棄をされたら、離婚訴訟を起こして離婚することができます。裁判で認められれば、相手の同意がなくても離婚することが可能です。
また、悪意の遺棄で離婚に至った場合には、200万円~400万円の慰謝料請求が認められることもあります。
まとめ
婚姻費用は、日々の生活にかかる大事なお金です。貰えなければ生活が立ち行かなくなってしまう可能性があります。そのため、早めに専門家である弁護士に相談し、生活費を払ってもらえるようにしましょう。
弁護士であれば、知識も経験もありますので、自分だけで対応するより早期に解決することができます。
茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。離婚や夫婦間のトラブルに精通した弁護士が、丁寧にアドバイス致します。
過去分の婚姻費用の請求はできる?
質問
別居する前までは、夫が生活費を払ってくれていたのですが、別居してからは生活費を支払ってくれなくなりました。別居時まで遡って生活費の請求をすることはできるのでしょうか。
回答
当事者同士で協議し合意できれば支払ってもらうことができますが、調停等で支払いが確定した場合には、請求時からしか支払い請求が認められないのが通常です。
解説
婚姻費用とは
婚姻費用とは、衣食住にかかる費用、交際費、医療費、子どもの教育費といった夫婦やその子どもが共同生活を送るうえで必要な費用の総称です。
夫婦は婚姻生活を送るうえで、お互いに同等レベルの生活を相手にもさせなければなりません。実際には、収入の多い方が収入の少ない方に支払うことになります。
もし、相手が婚姻費用を支払ってくれないようなら、相手方に婚姻費用の分担を請求することが可能です。
婚姻費用の算定
協議により自由に決めることができる
婚姻費用は、法律等で決まっているものではありませんので、夫婦で協議して自由に決めることができます。
協議で決められない場合には
夫婦の協議で婚姻費用の決定ができない場合は、家庭裁判所の調停・審判で決定することになります。その際、家庭裁判所では、「婚姻費用算定表」を基準に算定を行います。
「婚姻費用算定表」から算定する場合、まずは子どもの人数と年齢から利用すべき婚姻費用算定表を選びます。そして、支払う側の年収ともらう側の年収を確認して、両者の年収(2本の線)が交差するポイントが婚姻費用の金額ということになります。
いつから請求できるか
婚姻費用は、相手方に対して、請求の意思を明確に通知したときから支払い義務が発生すると考えられます。つまり、別居してから数年経ってから請求した場合、遡って支払いを請求しても認められない可能性が高いです。
支払ってもらうためには、請求したという履歴を残すため、メール、メッセージの記録、通話の録音をしたり、内容証明郵便を利用するようにしましょう。
まとめ
婚姻費用の請求について、お困りのことがあれば、早めに弁護士に相談しましょう。婚姻費用を支払ってもらえなければ、生活が立ち行かなくなってしまう可能性がありますので、なるべく早い解決が望まれます。
弁護士であれば、相手との交渉、合意内容の書面化、家庭裁判所での手続きまで一貫してお願いすることができます。当事務所には、離婚や婚姻費用の請求に精通した弁護士が多数在籍しており、ご相談者様のお気持ちに寄り添った解決をサポートすることが可能です。
茨城県で弁護士をお探しの場合には、当事務所にご連絡ください。
別居中の配偶者に対して、生活費は請求することはできる?
相談
現在、夫と別居しているのですが、同居していたときのように生活費を支払ってもらうことはできるのでしょうか。
回答
はい、可能です。別居中の生活費も、夫婦で分担します。
解説
別居中の生活費について
婚姻中の夫婦であれば、原則として同居義務があります。
結婚生活には、食事、住居、その他の生活費用が発生しますが、夫婦には、これらの費用をそれぞれの収入・資産に応じて分担する義務があります。このような夫婦の結婚生活に必要となる費用のことを法律上、婚姻費用と言います。
これは、別居中であっても変わらず、互いに、自分の生活と同レベルの生活を相手も送ることができるようにしなければならないという義務(生活保持義務)があります。そのため、一方が生活費に困っているときは、他方に対して生活費の支払を請求することができます。
生活費の請求時期
生活費は、毎月必要なものですが、別居した途端、それまで払ってくれていた生活費を払ってくれなくなることがあります。そのような場合は、なるべく早く相手に請求するようにしましょう。
とはいえ、相手方も、別居に納得していない、こちらの支出に不満がある、請求された金額に納得できないなどの理由から、すぐには払ってくれないこともあります。その場合には、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停の申立てをしましょう。
支払ってもらうには、この方法が確実性が高いですが、裁判所では、申立てをした月から婚姻費用の分担請求を認めることが多いので、その場合は申立て前の分については支払ってもらうことが難しくなります。
生活費の分担額
別居前に、別居中の生活費について夫婦で協議ができる場合は、別居前の生活水準を踏まえて生活費の支払い額を決定するのが通常です。
しかし、夫婦の一方が勝手に家を飛び出てしまったような場合は、夫婦間での話し合いによる整理が難しくなります。
そのようなときは、家庭裁判所に調停・審判を申し立てる方法で別居中に支払う生活費の額などを定めることになります。
家庭裁判所では夫婦間における生活費の負担を決める際に、「算定表」を用いて算出し、分担額を決定することになります。
まとめ
別居中の生活費でお困りのことがあれば、早めに弁護士に相談しましょう。生活するための費用になりますので、なるべく早く解決することが望ましいと言えます。
弁護士であれば、ご本人に代わって相手方と交渉することも可能ですし、調停の申し立てをする場合にも、代理人としてスムーズに手続きを行うことが可能です。
茨城県で、離婚や生活費の分担について詳しい弁護士をお探しであれば、当事務所にご連絡ください。経験豊富な弁護士が丁寧にサポート致します。
【コラム】面会交流など19 離婚後数年してから面会交流を再開することはできる?
質問
3年前に離婚した元妻が子どもを育てています。離婚当時は、感情的に対立していたこともあり、早く離婚したい一心で、養育費についても面会交流についても何も定めませんでした。今となって子どもに会いたいと思うことがあるのですが、改めて面会交流を始めることはできるのでしょうか。
回答
子どもの都合や感情、様々なことを検討しながら、面会交流ができるように進めていくことは可能です。
解説
1 面会交流とは
面会交流とは、親の離婚により、離れて暮らすことになった親と子どもが、一時的に会ったりして交流することです。両親が離婚したとしても、子どもにとって親であることに変わりはないため、子どもが親の愛情を感じながら成長する上でも、面会交流は大切なものになります。
一般的には、離婚時に、面会交流の頻度、おおよその日時、場所、外出や宿泊の有無等について、取り決めを行います。これらの取り決めは、第一に子どもの利益や福祉を考え、子どもに負担がないようによくよく話し合って決めることになります。
面会交流は原則として実施した方が良いと考えられていますが、次のような場合は、拒否・制限されることがあります。
- 非監護親による連れ去りの恐れ
- 非監護親による虐待の恐れ
- 非監護親の監護親に対する虐待等
- 子の拒絶
2 離婚後数年たってから面会交流を実施することについて
(1)状況の確認
面会交流は子どもの福祉を最大限尊重して行う必要がありますので、離婚時の子どもの年齢と現在の子どもの年齢、子どもが現在、どのような環境で暮らしているのか、子どもの意思等をよく検討する必要があります。
(2)協議等による決定
次に一緒に暮らしている親と話し合いをします。当事者同士で話し合って合意できるのが一番ですが、話し合いで決まらない場合には、家庭裁判所の調停・審判で解決を図っていくことになります。
3 まとめ
面会交流についてお悩みのことがあれば、早めに弁護士に相談しましょう。子どもを第一に考えると、面会交流についてのご相談は早めに解決するのが望ましいと言えます。弁護士であれば、ご相談者様に代わって相手と交渉することもできますし、面会交流の条件について合意ができずに家庭裁判所の調停・審判が必要になった場合でもスムーズに対応することが可能です。
茨城県で弁護士をお探しであればぜひ当事務所にご連絡ください。離婚や面会交流に精通した弁護士が、安心・丁寧なサポートを致します。
【コラム】面会交流など18 面会交流を兄弟姉妹で別々に行うことの可否
質問
離婚した妻が二人の子どもを養育しています。兄弟一緒なら面会交流をしても良いとのことですが、別々に会うことはできないのでしょうか。
回答
子どもの年齢や事情を考慮し、同時に行うことも別々に行うこともあり得ます。
解説
1 面会交流とは
面会交流とは、父母の離婚により、離れて暮らすことになった親と子どもが、一時的に面会したり一緒に過ごしたりすることです。面会交流権は、民法第766条に定められた権利であり、父母が離婚するときには、父または母と子との面会及びその他の交流を協議によって定めるべきとされています。面会交流権は、親の権利でもありますが、子どもの福祉の観点から、子どものための権利であるとも言えます。
2 面会交流について決めておくべきこと
面会交流については、どのような内容の取り決めを行うべきなのでしょうか。
(1)どんな方法で面会交流を行うか。
子どもの都合も考慮しながら、どのような方法で面会するかを決めます。
(2)面会交流の頻度はどうするか。
面会交流の頻度についても、子どもの都合や年齢を考慮して、決定する必要があります。
(3)いつ面会交流をするのか。
いつ面会交流するのかについても可能な限り事前に決めておくと安心です。
(4)面会場所はどこにするか。
面会場所についてもある程度事前に把握できていた方がお互い安心です。直前に変更になることがあったとしても、可能な限り事前に決めておくようにしましょう。
3 面会交流の制限について
面会交流は、子どもの福祉からも大切な権利になりますので、一方の親の都合や感情だけで面会を拒否・制限することはできません。ただし、以下のような場合には、面会交流を拒否・制限できる場合があります。
- 子どもに暴力を振るう
- 子どもに悪影響を与えるようなことをさせる
- 子ども連れ去る可能性がある
- 子どもに金銭を要求する等
4 面会交流を兄弟姉妹で別々に行うことの可否
一般的に、兄弟姉妹は同一の日時に一緒に面会交流をすることが多いですが、それは、子どもの送迎や事前調整など親の労力を考慮してそのようにしているケースが多いようです。面会交流は子どものためのものでもありますので子どもが複数人いる場合には、それぞれの子どもにとって何が良いのかを検討して取り決めが行われ、別々の機会に面会交流が実施されることもあります。
5 まとめ
面会交流についてお困りのことがあれば、弁護士に相談しましょう。前述のように、面会交流は親の権利でもありますが、子どものことを第一に考えて行う必要があります。面会できない期間が長期化しないよう、早期解決が望ましいと言えます。弁護士であれば、代理人としての交渉から、何かあった場合の裁判所での手続きまで一貫して依頼することが可能です。
茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご連絡ください。離婚や面会交流について経験豊富な弁護士が丁寧にサポート致します。
【コラム】面会交流など17 面会交流のルールの変更の可否
質問
離婚時に、元夫と子どもとの面会交流について取り決めを行いました。
子どもが成長するにつれ、部活や習い事などの都合もあり、面会交流のルールを変更したいのですが、可能でしょうか。
回答
話し合いで合意ができればルールの変更が可能ですし、合意できない場合には、家庭裁判所の面会交流調停か審判によって解決を図ることになります。
解説
1 面会交流とそのルール
面会交流とは、父母の離婚により、一緒に暮らせなくなった親と子どもが一時的に会ったりして交流することを言います。面会交流は、親の権利でもありますが、「子どもの利益・福祉」が最も重視されます。
面会交流に関してのルールは、基本的には離婚の際に両親の協議で決めます。面会交流は離婚後に問題になることが多いので、離婚前にきちんと取り決めをし、公正証書を作成しておくのが良いでしょう。取り決めるべき内容は、面会の頻度(月に何回など)、連絡方法、日数、面会時間、場所、宿泊の有無、子どもの受け渡しの方法等です。
面会交流に関して話し合いで決まらなければ、家庭裁判所へ面会交流の調停申立てを行います。調停が不成立であれば、自動的に審判手続へと移行し、審判によって結論が示されることになります。
2 面会交流のルール変更がなされる場合
今回のご相談のように、一緒に暮らしている親からの申出がある場合もあれば、ルールどおりに面会交流をさせてもらえない等の理由から、一緒に暮らしていない親からの申出がある場合もあります。
どちらの親からの申出であっても、まずは当事者同士で話し合いをします。当事者同士の話し合いで解決できない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
家庭裁判所に申立てを行うと、1ヶ月以内に初回の調停の日時を決めるための連絡があり、期日が決まります。面会交流については、子どもの福祉を考慮に入れて検討しなければならないため、家庭裁判所調査官が同席して調停が行われます。調停でも合意が形成できない場合には、審判に移行するという流れになります。
3 まとめ
面会交流についてお困りのことがあれば、早めに弁護士に相談しましょう。面会交流については、子どものためにも当事者同士で話し合って解決した方が良いということはわかっていても、感情の対立からうまく解決できないこともしばしばです。そのような場合、専門家である弁護士が間に立つことによって、スムーズに解決できることもあります。また、家庭裁判所での手続きが必要になった場合であっても、そのまま代理人として対応してもらうことが可能です。
茨城県で弁護士をお探しの場合には、ぜひ当事務所にご連絡ください。離婚や面会交流で経験を積んだ弁護士が丁寧にサポート致します。
【コラム】面会交流など16 面会交流において親が守るべきルールとは
質問
面会交流において親が守るべきルールはあるのでしょうか。
回答
子どもの状況に配慮しルールを決め、そのルールを守るようにしましょう。
解説
1 面会交流とは
面会交流とは、両親の別居や離婚によって、離れて暮らすことになった親と子どもが、一時的に交流することです。夫婦が離婚したとしても、子どもにとってはどちらも大切な両親です。円満な面会交流は子どもが両親から愛されていると感じる重要な機会になります。
面会交流の内容について、まずは当事者同士で話し合って決めることになりますが、当事者同士で合意できない場合には、家庭裁判所の調停や審判で解決を図ることになります。
2 面会交流の取り決めについて
面会交流の円滑な実施をする為には、きちんとルールを決めておきましょう。取り決めるべきルールの内容は以下のような内容です。
- 面会の頻度
- 1回あたりの面会時間
- 子どもの受け渡し方法
- 費用の負担について
- 連絡方法
- 宿泊の可否
- 学校行事への参加、誕生日などの過ごし方
3 面会交流の心得
(1)別居している親の場合
- 子どもの気持ちやペースを尊重しましょう。
- 楽しい時間を一緒にすごせるように配慮しましょう。
- 感情的にはならないようにしましょう。
- 面会中に気がかりなことがあった場合は同居している親に伝えましょう。
- 同居している親の了承を得ずに何かを約束するのはやめましょう。
- 面会交流の取り決めは厳守しましょう。
(2)同居している親の場合
- 子どもの気持ちを大切にしましょう。
- 普段から相手の悪口を言わないようにしましょう。
- 子どもの様子を相手に伝えるようにしましょう。
- 子どもが面会交流に出かけるときは、笑顔で送り出し、笑顔で迎えましょう。
4 まとめ
面会交流について困っていることやわからないことがあれば、弁護士に相談しましょう。面会交流を円滑に行うことは、親のためにもなりますが、子どもの福祉の観点からもとても大切です。トラブルを防いで、スムーズに面会交流を行うためには、条件や内容の取り決めをしっかり行うことも重要ですが、当事者だけでの話し合いでは感情の対立が起こることもあります。そのため、専門家である弁護士に相談しながら行うのが良いでしょう。
茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご相談ください。離婚や面会交流に精通した弁護士が、ご相談者様のお気持ちにそった解決のお手伝いを致します。
【コラム】面会交流など15 試行的面会交流とは
質問
試行的面会交流とは、どのような場合に行われるのでしょうか。
回答
調停や審判で面会交流を決める場合に、家庭裁判所が必要な調査を行いますが、その一つが試行的面会交流です。以下、詳しく見ていきましょう。
解説
1 面会交流とは
離婚により、離れて暮らすことになった親と子が、一時的に会ったりして交流することを言います。面会交流は親の権利でもありますが、子どもの福祉を最大限尊重して、その内容を決める必要があります。
面会交流については、両親が話し合って決定するのが一番ですが、内容や条件について合意できない場合には、家庭裁判所の調停・審判によって解決を図っていくことになります。
2 試行的面会交流とは
調停や審判で面会交流を決める場合、家庭裁判所が子どもの心情、生活状況、親子関係などについての必要な調査を行いますが、その一つが試行的面会交流です。
調停などで面会交流を拒否し話が円滑に進められないとき、家庭裁判所内で試行的に面会交流を行うことの提案がなされます。試行的面会交流が実施される場所は、家庭裁判所内にあるプレイルームで、おもちゃ等がたくさん置かれている部屋になります。プレイルームの中には、マジックミラーやカメラが設置されており、面会交流している親子の様子を外部からも確認できるようになっています。
3 試行的面会交流の実施方法
子どもと一緒に暮らしている親が家庭裁判所に子どもを連れてきたら、家庭裁判所調査官が、子どもと一緒にプレイルームに行きます。子どもが場所にも慣れて遊び始めたら、面会交流をする親に部屋に入ってもらい、少しずつ子どもとの遊びに加わってもらいます。
交流時間については、事前に決めていることが一般的ですが、状況に応じて終了になります。その後、子どもが落ち着いたら、一緒に暮らしている親と帰宅することになります。
4 試行的面会交流実施の後について
試行的面会交流の実施後は、家庭裁判所調査官によって交流の結果が報告書にまとめ、次の調停で、交流場面で見られた課題や問題が指摘されます。それを踏まえて、調停委員会が交流の取り決めに向けた調整を図ります。
5 まとめ
面会交流についてお困りのことがあれば、専門家である弁護士に相談しましょう。面会交流の内容や条件について、当事者同士で合意できるのが一番ですが、離婚時の感情のもつれなどで相手方と対立してしまい、なかなか合意ができないこともあります。そのような場合、弁護士であれば、代理人として相手方と交渉することもできますし、家庭裁判所の調停・審判にスムーズに対応することもできます。
茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご連絡ください。面会交流について知識と経験を積んだ弁護士が親身になってサポート致します。
【コラム】面会交流など14 養育費を支払わない夫への面会交流の制限の可否
質問
元夫が養育費を払ってくれません。それでも子どもと面会交流させなくてはならないのでしょうか。
回答
お気持ちは理解できますが、養育費の支払いと面会交流とは別の問題として扱われています。
解説
1 養育費について
養育費とは、子どもを監護・教育するために必要な費用で、未成熟子(経済的・社会的に自立していない子)が自立するまで要する費用です。具体的には、生活に必要な経費、教育費、医療費などが含まれます。
養育費の支払いが滞った場合には、相手に督促して、払って貰えれば問題はありませんが、それでも払ってもらえないときは、改めて家庭裁判所に養育費請求の調停・審判の申立てをし、養育費の支払いを決め直すことになります。また、調停・審判等で養育費の支払いが決まっている場合には、家庭裁判所に履行勧告の申し出をすることができます。更に、履行勧告でも支払われない場合には、強制執行の申立てをすることができます。
2 面会交流権について
面会交流権とは、離婚などによって、別々に暮らすことになった親と子どもがお互いに面会をする権利のことです。面会交流権というと、親側の権利だという考えられがちですが、面会交流権は親だけではなく子どものための権利でもあります。面会交流を定める場合には、親同士が話し合いをして、具体的な子どもとの面会方法、頻度、日時・場所などについて決定します。
面会交流は子どもの健全な成長のために必要であるという考えから、面会交流を禁止・制限すべき事由がない限り、面会交流は認めるべきとの考え方が主流です。面会交流を禁止・制限すべき事由として、具体的には、非監護親による子の連れ去りのおそれがある場合や非監護親による子の虐待のおそれ等がある場合などが挙げられます。
3 面会交流を制限することができるか
養育費を支払わない元夫と子どもを会わせたくない、という気持ちが生じるのは当然のことかもしれませんが、法的には、養育費の未払いと面会交流権は別物です。そのため、養育費が未払いであるからといって、直ちに面会交流をさせないとすることはできません。また、面会交流をさせずに、非監護親と子どもを会わせないことにより、親であるという自覚が薄れ、ますます養育費を払ってもらえないという悪循環になる可能性もあります。子どものためにも、面会交流は継続することをお勧め致します。
4 まとめ
養育費を支払ってもらうことと面会交流は別の問題です。子どものためにも、面会交流は継続するのが良いでしょう。もちろん、子どものために必要な養育費を支払ってもらえないのは困りますので、支払ってもらうための手続きを平行して行う必要があります。自分だけで対応するのが難しい場合は、弁護士に相談しましょう。
茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご相談ください。些細な質問や相談でも、親身になって対応致します。
« Older Entries Newer Entries »
