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【離婚問題コラム】再婚と相続3 再婚における祭祀財産の承継
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1.祭祀財産について
(1)祭祀財産とは
祭祀財産とは、祖先を祀るためのお墓や仏壇などの、通常の相続財産とは区別される財産のことです。民法には、祭祀財産の種類として「系譜」「祭具」「墳墓の所有権」の3種類が挙げられています。
「系譜」とは、祖先以来の系統を示すもので、家系図や過去帳などがあります。
「祭具」とは、位牌、仏像、仏壇など、祭祀や礼拝に使用する器具や道具のことです。
「墳墓」とは、墓石、墓碑のほか、その所在する土地の所有権等も含まれます。
(2)相続財産と祭祀財産の違い
相続財産を受け継ぐときには相続税がかかりますが、祭祀財産を継承する際は税金はかかりません。また、相続財産は複数の相続人の間で分割して遺産相続しますが、祭祀財産は基本的に1人に受け継がれます。この祭祀財産を受け継ぐ人を「祭祀継承者」と呼びます。
2.祭祀財産の承継者
祭祀を承継できる者の資格には、特に制限がなく、相続人である必要もありません。第一に、被相続人が指定した者がなりますが、指定の方法にも特別の制限がありませんので、書面でも、口頭でも可能であり、明示だけではなく、黙示の方法でも認められることがあります。ただし、相続人等の関係当事者が多い場合は、明示の指定をしておかないと後々トラブルになる可能性が高いので、注意が必要です。
なお、被相続人による指定がないときは、地域の慣習により決まり、慣習も明らかでないときは、家庭裁判所が指定した者が祭祀主宰者になります。家庭裁判所が祭祀主宰者を決定する基準としては、以下のようなものが挙げられます。
・承継候補者と被相続人との間の身分関係や事実上の生活関係
・祭具等の取得の目的や管理等の経緯
・承継候補者の祭祀主宰の意思や能力
・その他一切の事情(利害関係人等の生活状況・意見など)
3.離婚による復氏の際の権利の承継
民法第769条第1項、第771条では、婚姻によって氏を改めた者が、祭祀財産を承継した後に離婚した場合は、当事者その他利害関係人の協議により、祭祀財産の承継人を定めなければならないとしています。
もし、当事者その他の関係人の協議が調わない場合は、家庭裁判所が祭祀財産の承継者を定めます。
4.まとめ
祭祀財産については、明示の上、祭祀承継者を定めておかないと後々トラブルになることが予想されます。また、せっかく祭祀承継者を定めても、離婚による復氏で、再度協議必要になることもあります。未然にトラブルを防ぐためにも、祭祀財産の承継でわからないことがあれば、早めに弁護士に相談するようにしましょう。弁護士であれば、ご相談者様のご意向に沿った解決に向けてアドバイスすることが可能です。
茨城県で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご相談ください。離婚・再婚・相続事件で経験を積んだ弁護士がサポート致します。
【離婚問題コラム】再婚と相続2 再婚と遺言・遺留分
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1.再婚と遺言
遺言がある場合、遺言のほうが法定相続に優先します。被相続人が遺言書で遺産の引き継ぎについて定めていない場合に,はじめて民法の法定相続の規定が適用されます。そのため、法定相続ではなく、少しでも有利に自分の希望どおりに相続したい場合には、遺言を書いてもらうようにしましょう。
遺言には、普通方式の遺言と特別方式の遺言があります。普通方式の遺言には、①「自筆証書遺言」(民法第968条)、②「公正証書遺言」(民法第969条)、③「秘密証書遺言」(民法第970条)の3種類があります。
特別方式の遺言は、特別な状況でやむをえない場合にのみ使われる遺言で、①死亡危急者の遺言(民法第976条)、②船舶遭難者の遺言(民法第979条)、③在船者の遺言(民法第978条)、④伝染病隔離者の遺言(民法第977条)の4種類があります。
2.再婚と遺留分
(1)遺留分に注意して遺言を作成する
民法では、遺言によって相続人の相続割合を自由に決定することを認めていますが(民法第902条第1項)、但し書きにおいて「ただし、遺留分に関する規定に違反することができない」と明示しています。
遺留分とは、一定の範囲の法定相続人に認められる、最低限の遺産取得分のことで、遺留分が認められるのは、基本的には、配偶者と子どもと親(兄弟姉妹以外の法定相続人)です。
遺言によって、自由な内容で相続を決めたとしても、民法上遺留分が認められる者からは、遺留分について請求(遺留分減殺請求)をされることがあります。このように遺留分は、相続人にとっては重要な権利になりますので、遺言を書く場合には、後々の争いを防ぐために、各相続人の遺留分相当額を計算しておき、これを下回らないようにうまく配分しておくのがよいでしょう。
(2)遺留分の放棄
遺留分は、遺留分権利者に認められた「権利」になりますので、原則からいうと、自らこの権利を放棄することもできるはずです。しかし、遺留分の放棄を無制限に認めてしまうと、被相続人が、遺留分権利者に対して、遺留分放棄を強要するというような事態が起こる可能性があります。そこで民法では、相続開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を得なければできないとしており、遺留分権利者であっても相続開始前には自由に遺留分の放棄は行えないことになっています。
3.まとめ
争いを防ぐために遺言書を作っても、遺留分を侵害する遺言書を作ってしまうと、争いに発展します。そのため、遺留分についても十分に考慮して遺言書を作る必要があります。再婚後の遺言や遺留分についてご不明点があれば、弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、専門家としてのアドバイスも可能ですし、万が一争いが起きた場合も代理人として紛争解決に向けた活動をすることが可能です。
茨城県で弁護士をお探しであれば当事務所にご連絡ください。当事務所には、離婚・再婚に関連しての相続問題に詳しい弁護士が多数在籍しております。経験豊富な弁護士が親身になってサポート致します。
【離婚問題コラム】再婚と相続1 再婚後の法定相続
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1.法定相続人と法定相続分
まずは法定相続について詳しく見ていきます。
(1)法定相続人
相続は、人が死亡することによって発生します。亡くなった人を被相続人、相続する人を相続人といいます。また、法定相続とは、民法で定められた相続人とその相続分をいいます。
法定相続人の範囲と順位は以下のように決まっています
① 第1順位:被相続人の子ども(子どもが先に亡くなっている場合は孫、曾孫といった直系卑属)
② 第2順位:被相続人の父母(父母が先に亡くなっている場合は祖父母、曽祖父母といった直系尊属)
③ 第3順位:被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は甥姪)
なお、被相続人の配偶者は必ず相続人になるため、遺産相続順位は関係ありません。
(2)法定相続分
法定相続分は、民法第900条で以下のように決められています。
① 配偶者と子どもが相続人:配偶者に2分の1 子どもに2分の1
② 配偶者と直系尊属が相続人:配偶者に3分の2 直系尊属に2分の1
③ 配偶者と兄弟姉妹が相続人:配偶者に4分の3 兄弟姉妹に4分の1
なお、配偶者がすでに亡くなっていたからと言って、遺産相続順位にまで影響を与えることはありません。
(3)特別受益・寄与分
特別受益とは、共同相続人の中に、被相続人から遺贈又は一定の目的での贈与を受けた者がいる場合に、相続人間の公平のため、相続分の調整を行うものです。寄与分とは、共同相続人の中に、被相続人の財産の維持又は増加に特別な貢献をした相続人がいる場合に、相続人間の公平のために、相続分の調整を行うものです。
2.再婚と相続
(1)前婚の子と後婚の子で相続分は違うのか
子ども(養子を含む)は、第一順位の相続人になり、前婚時に生まれた子と再婚後に生まれた子に相続分の差はありません。配偶者がいる場合の子の法定相続分は、相続財産の1/2を子の数で割ったものとなります。
(2)養子縁組によって連れ子の相続権の有無が変わる
被相続人の再婚相手の子ども(連れ子)は、再婚により当然に親子関係が生じるわけではありません。そのため、被相続人の財産を当該連れ子に相続させたい場合、養子縁組を行う必要があります。言い換えると、養子縁組をしていない連れ子については、被相続人の相続権はないということになります。
3.生命保険金の受取人の変更
生命保険とは、被保険者に万が一のことがあった場合に死亡保険金受取人に指定された人にあらかじめ決めておいた保険金が下りる保険です。被相続人が死亡した際に支払われる保険金の請求権は、受取人の固有財産であり、相続財産にはなりません。
離婚後に再婚した場合、保険金の受取人を前の配偶者のままにしておくと、再婚後の配偶者は保険金を受け取ることができませんので注意が必要です。
4.まとめ
相続については、親族内でトラブルになることが多くあります。想定しうるトラブルを未然に防ぐため、あるいは発生してしまったトラブルを早急に解決するため、再婚後の法定相続についてお困りのことがあれば早めに弁護士に相談しましょう。茨城県内で弁護士をお探しであれば、ぜひ当事務所にご相談ください。離婚・再婚・相続事件で経験を積んだ弁護士が丁寧にサポート致します。
【離婚問題コラム】再婚と扶養2 再婚における親族の扶養
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1.親族の扶養について
扶養については、民法第877条により、直系血族と兄弟姉妹が原則的に扶養義務を負い、特別な事情がある場合に、3親等内の親族が扶養義務を負う場合があると定められています。また、扶養の内容については、生活保持義務と生活扶助義務であるとされています。
生活保持義務とは、自分と同じ程度の生活させる義務で、夫婦間や未成年の子に対する扶養などはこのような生活保持義務に該当します。
他方、生活扶助義務とは、自分にふさわしい程度の生活を維持した上でなお余裕がある場合に最低限の生活を維持させる義務で、他の親族に対する扶養はこのような生活扶助義務に該当します。
2.前妻との実子と、自分が養子縁組した養子との関係
民法第877条によると、直系血族と兄弟姉妹は、互いに扶養する義務を負っています。兄弟姉妹には、父母を同じくする兄弟姉妹のほか、どちらかの親が同一で、異父・異母の兄弟姉妹も含まれます。また、連れ子と養子縁組をした場合であれば、その連れ子も兄弟姉妹に含まれることになります。つまり、連れ子と養子縁組をしなければ、他の子と連れ子は扶養義務を負う兄弟姉妹にはならないことになります。
3.3親等内の親族が扶養義務を負う場合の、特別な事情とは
民法第877条2項では「家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。」と定めています。夫婦・直系血族・兄弟姉妹は当然に扶養義務を負いますが、それ以外の3親等親族は、当然に扶養義務を負うのではなく、家庭裁判所に申立をして家庭裁判所が「特別事情」があると認めた場合に初めて認められます。
しかし、現代では核家族化が進行しており、親族間の結びつきが希薄になっていることもあり、よほどの事情でない限り「特別事情」ありと認められることはありません。
4.まとめ
扶養請求権は、扶養が必要な状態にある扶養権利者が、扶養が可能な扶養義務者に対して求めることによって発生します。扶養の程度や方法は、まずは当事者間の協議で決めますが、協議で合意できない場合やそもそも協議できない場合は、家庭裁判所の調停・審判によって定められることになります。扶養について、何か不安なことがある場合は、弁護士に相談しましょう。
茨城県で弁護士をお探しの場合は、当事務所にご相談ください。当事務所に在籍している離婚・再婚に精通した弁護士が丁寧にポート致します。
【離婚問題コラム】再婚と扶養1 再婚における子どもの扶養
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1.扶養とは
まず、扶養とは、経済的に生活能力のない人の面倒を見ることです。そして、扶養を受ける側を扶養権利者、扶養する側を扶養義務者といいます。扶養を求める権利を扶養請求権といいますが、この権利は一身専属権と考えられています。そのため、扶養請求権は、処分することができないとされています(民法881条)。
2.子どもの扶養について
親が未成年の子どもに対して負う扶養義務については、以下のように整理することができます。
(1)子どもの扶養についての原則
民法第877条により、夫婦間に生まれた子に対して、親は扶養義務を負います。婚姻していない夫婦から子が生まれた場合、分娩の事実により母親がその子を扶養する義務を負うのは明らかですが、父親の場合は、父親がその子を認知することにより、父親もその子を扶養する義務を負うことになります(民法第788条、第766条)
(2)養子縁組をした場合
養子縁組によって他人の子を養子とした場合、「養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる」ものとされています(民法第727条)。つまり、養子縁組の日から、養親は養子を扶養する義務を負うことになります。
連れ子のいる配偶者と結婚した者が、その子と養子縁組をした場合、その後離婚したとしても、それだけで養親縁組が解消されるわけではなく、引き続き養子を扶養する義務を負うことになります。
(3)養子縁組をしない場合
再婚相手が、連れ子と養子縁組をしない場合は、再婚相手と子どもとの間に親子関係はありませんので、再婚相手には子どもに対する扶養義務はありません。
(4)離婚後、子の親権者が再婚した場合
扶養義務は、直系血族の関係があることから発生しているであるため、夫婦が離婚して、親の一方が子の親権者となり監護している場合であっても、もう一方の親も子の扶養義務を負い続けることになります。この場合、子の親権者が再婚したとしても、もう一方の実親の扶養義務は継続します。なお、このような場合に、親権者の再婚相手が、連れ子と養子縁組をした場合には、その再婚相手も連れ子に対して扶養義務を負うことになります。このような場合は、養親が第一次的に扶養義務を負い、実父は養育費の支払義務を免除されることが多くなります。
3.まとめ
再婚における子どもの扶養について、いかがでしたでしょうか。再婚によって子どもの扶養がどうなるのかは、子どもにとっても、親にとっても大きな問題です。養子縁組や養育費の再計算等、何か不安なことがあれば弁護士に相談しましょう。茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご相談ください。離婚・再婚問題に詳しい弁護士がきめ細かなサポートを致します。
【離婚問題コラム】再婚と財産3 再婚と社会保険
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1.健康保険と離婚
医療保険には、大きく分けて「国民健康保険」(自営業や農業、現在職についていない方などが加入)と「健康保険(被用者保険)」(サラリーマンなどが加入)の二つがあります。
(1)婚姻時、国民健康保険に加入
前の配偶者を世帯主とする国民健康保険に加入していた場合
① 離婚後すぐに仕事に就かない場合
市区町村役場に転入・転出届を出せば、前の配偶者の世帯から脱退して、新たに国民健康保険に加入することができます。
② 離婚後すぐに仕事に就く場合
新しい職場で健康保険に加入する場合は、勤務先企業を通じて手続きをすることになります。
(2)婚姻時、配偶者の会社の健康保険に加入
夫がサラリーマンで、妻が専業主婦またはパートの場合、妻は夫の被扶養者として夫の健康保険に加入しています。この場合も次のように場合分けをして考えていきます。
① 離婚後すぐに仕事に就かない場合
離婚によって、配偶者の被扶養者ではなくなりますから、配偶者の健康保険からは脱退することになります。そのため、離婚後にすぐに仕事に就かない場合には、新たに国民健康保険に加入する必要があります。
元配偶者を通じて、勤務先から「資格喪失証明書」をとってもらい、その証明書を市区町村役場に提出して、国民健康保険の加入手続をすることになります。
なお、子どもについては、何もしなければ元配偶者の健康保険に入ったままの状態になります。子どもを国民健康保険に加入させることも可能ですが、その場合には元配偶者から子どもの「資格喪失証明書」も取り寄せる必要があります。
② 離婚後すぐに仕事に就く場合
離婚後すぐに就職する場合には、勤務先を通じて新たな健康保険に加入することになります。また、子どもを扶養に入れる場合には、勤務先を通じて子どもの健康保険被扶養者届を提出することが必要です。
2.再婚後の社会保険
再婚に伴い、後の配偶者の被扶養者となった場合は、後の配偶者の勤務先を通じて保険者に移動届を提出します。その際には、被扶養者の状況確認のため、市区町村税の課税証明書等を添付する必要があります。
また、後の配偶者が、もう一方の配偶者の連れ子と同居している場合、連れ子は被扶養者となります。このような場合は、添付書類として、住民票も必要になります。
3.まとめ
離婚や再婚の際には、付随する手続きがたくさんあります。どれを忘れても後々不利益になる可能性がありますので、どんな手続きが必要なのかをあらかじめ調べ、適切な手続きを行うようにしましょう。また、わからないことがあれば弁護士等の専門家に相談しましょう。茨城県全域にリーガルサービスを提供している当事務所には、様々な手続きにも精通した弁護士が多数在籍しております。親身になってサポート致しますので、ぜひ一度ご連絡ください。
【離婚問題コラム】再婚と財産2 再婚と年金
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1.遺族年金とは
遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が、亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金です。遺族年金には、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があり、亡くなられた方の年金の納付状況などによって、いずれかまたは両方の年金が支給されます。
2.国民年金保険―遺族基礎年金とは
(1)支給要件
被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。(ただし、死亡した者について、保険料免除期間を含めて、保険料納付済期間が加入期間の3分の2以上あること)
(2)対象者
死亡した者によって生計を維持されていた、①子のある配偶者 ②子
3.厚生年金保険―遺族厚生年金とは
(1)支給要件
① 被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき。(ただし、死亡した者について、保険料免除期間を含めて、保険料納付済期間が加入期間の3分の2以上あること)
② 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。
③ 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡したとき。
(2)対象者
死亡した者によって生計を維持されていた、
① 妻
② 子、孫(一定の要件あり)
③ 55歳以上の夫、父母、祖父母(一定の要件あり)
4.遺族年金を受け取っている者が再婚した場合
(1)遺族厚生年金のみを受給している場合
厚生年金に加入する配偶者が亡くなり、18歳以下の子供(18歳到達年度の末日までにある子供)がいない者は、遺族厚生年金のみを受給することが可能です。この場合、遺族厚生年金を受給していた者が再婚すると遺族年金の受給資格が消滅し、支給はゼロになります。
なお、前の配偶者と死別し、遺族厚生年金受給していた者が、再婚によって受給権が失権することを避けるために、再婚の届をしないことが起こり得ます。しかし、「失権」の理由となる「婚姻」には、事実婚いわゆる内縁関係も含まれますので、注意が必要です。
(2)遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給している場合
厚生年金に加入している配偶者を亡くし、18歳以下の子供(18歳到達年度の末日までにある子供)がいる家庭であれば、遺族基礎年金と遺族厚生年金の双方を受給することが可能です。ただし、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給者が再婚した場合は双方の年金が支給停止となります。
一方で18歳到達年度の末日までにある子供は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給資格を有しておりますので、支給停止要件に該当しなければ遺族年金を受給することが可能です。
6.まとめ
配偶者が死亡した場合に受け取れる可能性のあるお金が遺族年金になります。どういった要件でどれくらいのお金がもらえるのかや、今まで受給してきたけれど再婚することが決まった場合にはどうなるかについて、わからないことがある場合は、弁護士に相談しましょう。茨城県全域にわたり、地域に密着したサポートを行っている当事務所にぜひ一度ご連絡ください。離婚や再婚問題で経験を積んだ弁護士が丁寧にサポート致します。
【離婚問題コラム】再婚と財産1 再婚と婚姻費用
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1.婚姻費用の扱いについて
婚姻費用とは、夫婦が生活するために必要な費用であり(民法第760条)、夫婦はお互いに協力し、扶助し合わなくてはならないこととされています(民法第752条)。
婚姻費用の範囲は、衣食住にかかるお金、子にかかる費用、医療費や娯楽費など、婚姻共同生活を営むために必要な一切の費用が含まれます。婚姻費用が問題になるケースとしては、離婚を決意してから、実際に離婚するまでに時間がかかり、別居状態になった場合などが挙げられます。婚姻費用は、このような場合に、収入の多い方から収入の少ない配偶者に対して支払われるものです。
2.婚姻費用の算定
婚姻費用の額は、当事者の合意によって決定しますが、夫婦間の協議が決裂してしまい、合意できないような場合には、家庭裁判所における家事調停または家事審判によって決めることになります。
当事者間での協議の場合でも、何の基準もなく決定するのは難しいため、現在は、養育費と同様に婚姻費用分担額の標準額を示した「算定表」に基づいて算定していくことになります。
3.いつからいつまで支払いが必要か
婚姻費用分担請求は、「請求したとき」から認められる、というのが,現在の裁判所の考え方です。つまり、過去にもらえるはずだった婚姻費用を、後になってから婚姻費用分担請求として請求するのは原則としてできないということになります。婚姻費用分担請求の終わりは、婚姻費用分担義務がなくなるまでであり、具体的には「離婚するまで」、あるいは「再び同居するようになるまで」となります。
4.再婚と婚姻費用
再婚の夫婦であっても、婚姻費用の考え方は、初婚の夫婦の場合と同様です。つまり、婚姻費用の分担を考慮しなくてはならなくなった場合に、収入の多い方から収入の少ない配偶者に対して、「算定表」に基づく金銭が支払われます。
ただし、初婚の夫婦とは異なる点もあります。それは、再婚後の婚姻費用分担において、初婚の相手との間に子どもがいて、養育費を払っているような場合には、その子どもに対する扶養を考慮した上で、婚姻費用の分担が決まるということです。要するに、再婚後の家庭における婚姻費用の分担は、その分だけ減額されることになります。
5.まとめ
再婚後の婚姻費用について、いかがでしたでしょうか。前婚での養育費の支払いは、再婚後の婚姻費用の分担に影響します。再婚時に、相手が養育費を支払っていることを知っていたとしても、再婚後に婚姻費用分担をする際にはできるだけ多く相手方に請求したいと思われるのではないでしょうか。当事者同士で協議をして円満に解決できるのが一番ですが、当事者同士での協議は決裂することもありますし、不安なことがあれば弁護士に相談しましょう。
茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご相談ください。離婚・再婚問題に詳しい弁護士がきめ細かなサポートを致します。
【離婚問題コラム】再婚生活5 再婚後の実親と子どもの面会交流
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1.再婚による面会交流の内容の見直し
親が離婚する際には、どちらか一方が子ども親権者・監護権者になり、同居することになります。そのため、もう一方の親は子どもと一緒に住むことができなくなってしまいます。そこで、別居している親と子どもには面会交流権が認められています。面会交流権とは、離婚などによって別居している親と子どもがお互いに面会をする権利のことをいいます。
前婚の離婚時に、子どもと離れて暮らす非親権者の面会交流が認められていても、子どもと同居する親権者が再婚し、再婚相手が子どもと養子縁組をした場合には、状況が変わってきます。つまり、再婚後に再婚相手と子どもが養子縁組すると、養親は、一緒に暮らすだけでなく、法律上でも子どもにとって新たな親となります。
そうなると、実親との面会交流の実施を継続することで、かえって子どもの精神面を不安定にさせてしまうことも起こり得ます。
そのような場合には、子どもの福祉を最優先に考え、親権者と非親権者は面会交流の内容について見直しをする必要が出てきます。
2.面会交流の内容を見直す方法
再婚によって面会交流を見直す必要がある場合や、その他子どもの成長に応じて内容を見直す必要がある場合には、まずはこのことを相手方に申し入れる必要があります。自分の都合ではなく、あくまでも子どもの幸せのためには、面会交流の内容の見直しが必要であることをよく説明し、理解を得ることが必要になります。
中には、自分の気持ちや都合だけを考えて、面会交流の内容の見直しについて応じてくれない親もいるかもしれません。そのような場合には、家庭裁判所の調停または審判の手続きをとって解決を図っていくことになります。
3.まとめ
再婚と面会交流について、いかがでしたでしょうか。新しく親になる側も、相手の連れ子を受け入れて自分の子どもとして育てていくには並々ならない努力が必要ですし、子どもとしても、新しい親を受け入れ信頼関係を築いていくことには大変な苦労があると思われます。子どもの幸せを考えて、面会交流の見直しについても妥当な内容で合意できるのが一番ですが、非親権者側も子どもが可愛いからこそなかなか合意できないことも考えられます。面会交流の内容見直しについて、不安なことがあれば弁護士に相談するようにしましょう。茨城県で離婚、再婚、面会交流について詳しい弁護士をお探しであれば、当事務所にお任せください。当事務所には、離婚・再婚の様々な局面で経験を積んだ弁護士が多数在籍しております。親身になってサポートしますので、ぜひ一度ご連絡ください。
【離婚問題コラム】再婚生活4 再婚後の子どもの養育費
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1.養育費の支払い義務者が再婚した場合
養育費を決めたときより、義務者の収入が減っている場合は、その事情も考慮して、減額に向けて算定をし直すことがありますが、収入の減少はなくても、義務者の再婚によって生活費の負担が増えた場合にも減額することができるでしょうか。場合をわけて以下検討します。
(1) 再婚相手に収入がない場合
養育費を支払っていた者が再婚すると、再婚相手を扶養する義務が生じます。しかし、再婚を理由に、元配偶者との間の子に対する生活保持義務がなくなるわけではありませんので、養育費の支払い義務は終了しません。とはいえ、養育費支払い義務者の収入も限られていますので、元配偶者との間の子に対する養育費の減額請求をすることができます。
(2) 再婚相手に収入があるものの僅かである場合
再婚相手に僅かながら収入がある場合、この収入を義務者の収入と合算した上で、養育費の算定を行います。
(3) 再婚相手に相当の収入がある場合
再婚相手に相当の収入がある場合には、再婚相手の生活費はその収入で賄うと考え、養育費の算定に当たっては、再婚相手の存在を考慮せずに行います。この場合、養育費の減額は認められないという結果になります。
2.養育費についての権利者が再婚した場合
当初の養育費を決めた当時より、権利者の収入が増えている場合には、養育費は減額に向けて算定し直すことになりますが、権利者が再婚することによって世帯収入が増えた場合にも減額することができるでしょうか。
(1) 子供が再婚相手と養子縁組をしない場合
養育費の権利者である親権者が再婚した場合、単に親権者が再婚しただけでは、子供の地位に変化はないため、養育費にも影響はありません。
(2) 子供が再婚相手と養子縁組をした場合
子どもが再婚相手と養子縁組をした場合、養子制度の趣旨から、養親の扶養義務のほうが実親の扶養義務より優先するとされています。つまり、再婚相手である養親に経済力があるときには、実親の養育費の支払義務がなくなる可能性もあります。
3.養育費減額の手続き
養育費を減額したい場合は、まず元配偶者と減額が必要な理由について話し合いながら減額に向けた話し合いをおこないましょう。お互いの話し合いでは養育費の減額がまとまらず、それでも減額を求める場合は調停を申し立てます。調停では、、収入状況の変化を証明できる証拠を用意する必要があります。さらに、養育費請求調停が不成立になった場合には、自動的に審判手続が開始され、調停に関係した裁判官によって養育費の減額を認めるかどうかの決断が下されることになります。
4.まとめ
再婚後の子どもの養育費について、いかがでしたでしょうか。再婚によって養育費の金額にどんな影響があるのかは、支払い義務者にとっても権利者にとっても大きな関心事だと言えます。再婚等の状況によって額を見直しすることも可能ではありますが、当事者同士での協議は決裂することもありますし、不安なことがあれば弁護士に相談しましょう。茨城県で弁護士をお探しであれば、当事務所にご相談ください。離婚・再婚問題に詳しい弁護士がきめ細かなサポートを致します。
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